乾石智子のレビュー一覧
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ネタバレとてもよくできています。
いつものごとく。
四つあった月を人が引きずり降ろして、その力で凍土を人が住める街にする。
宝石で着飾った豪奢な暮らしをしたい、というのが望み。
ファンズの王サルヴィが赤と金の髪の魔法使いに警告するが、魔法使いは聞き入れずサルヴィを殺す。
サルヴィはその角をもってして災いを妨げられると忠告を残すが、その角が滅びるとかならず疫病が流行った。
その偉業をなしとげた王の息子の一人、ディアスは夢を見る。サルヴィが首を切られる夢。
彼は家臣のマイハイのもとで育てられ、権力抗争から<降りて>いる状態。
しかし陰謀に巻き込まれ、角を破壊した罪に問われ国外追放とされてしまう。
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Posted by ブクログ
ネタバレ魔導士の月から800年後の世界。過去(300年)と現在を行き来しながら壮大な兄弟喧嘩を繰り広げる魔導士イザーカト兄弟の話。というと身も蓋もないが、なぜナハティが闇に堕ちたのか、リンターは何をしようとしているのか、他の兄弟たちはどうなったのか明らかになるにつれ、切なさが増していく。ピュリアンやネアリイ、デイスの成長と関係の変化を好ましく思えば思うほどこの結末は切ない。今回も魔法の表現が独特で圧倒される。最後の闘いの描写は解説でもあったが、全然どんなんだか具体的に想像できないけど、納得せざるをえない凄まじさだった。シリーズの中では一番すきだ。
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前巻の記憶が色濃く残っているうちに読みました。
舞台は、前巻から約840年後の世界です。
イザーカト兄弟の物語が主軸にあるのですが、今作でも遥か昔の回想シーンがあったり、他国の人が登場したり、本当にどこまでも世界が膨らみます。
魔道師といっても、時代によっても国によってもまるで違います。切り取られた箇所によってこうも違った姿を見せるのかと、まるで私たちの世界の歴史を眺めるかのような面白さです。
今回は、死を司る闇と生を司る大地(緑)とのコントラストが印象的でした。魔道師はどうしたって闇と切り離せない。そして、闇は世界から消し去ることはできない。
闇を内に抱える以上、冷酷な部分も見え隠れしま -
Posted by ブクログ
「静かにうちよせる波、ときおり響く海鳥の声、半日航路の対岸には帝国本土の連絡港ヂャイの町が白くへばりつき、空も海もイルモネス女神の美の錫杖にかきまわされて、冬でも菫青石(アイオライト)の底なしの青さだ。」
ページを開くとすぐに、こんな文章で書かれた美しい描写。
前作「夜の写本師」と同じ世界でありながら、時間軸が違い、これはその頃から1000年もの昔の話。さらに作中ではそこから400年もの昔にも旅立ちます。
ギデスディン魔法の創始者キアルスなどが登場し、その魔法の成り立ちもおもしろいし、若かりし頃の彼の未熟さもまた読み手にはたまらない。
あとがきにも「本書は前作に先立つ物語であると同時に後日 -
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実の母への憎しみと、罪悪感に葛藤するシエラが、異世界ヴェレスを救う「石の司」として迎えられ、試練を経て成長していく。
ストーリーの初めに、孤独だったシエラを支えていた親友アナベルが、事故死した後もずっと、シエラの心に活きいきと語りかけ、励まし続けるのが印象的。
乾石さんの作品としては初めて、現代世界と異世界を往還するストーリー。
いつもながら、色彩感覚の鮮やかな描写が美しい。
パワーストーンの力を武器にするのは当たり前だけど、宝石職人達の祈りで、力ある石に、さらに強力な力が宿るというのが面白いと思った。
雑誌に掲載されたものをそのまま並べたせいか、一冊のストーリーとしてのまとまりはもう -
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太古からそこにある闇
暗樹
それは純粋な悪で、闇で
不幸と絶望と破滅を願うもの
世界にあまねく根を張るこの永久の闇と対峙する
星と大地の魔法の物語
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ほんの数頁
ほんの数頁のプロローグを読んだだけでもう、
これは絶対に面白い以外の選択肢がない話だと直感するほど
引き込まれる出だしだった
前作、『夜の写本師』と舞台を同じくした世界での
魔法の物語
ファンタジーとはかくあるべき…!と震えるほど
好みな話を書く方なので、期待十分に読み進めたけど
思いを裏切らず大変充実した読後感だった
深く丁寧でありながらどこかサバサバした姿勢が
読んでいて疲れなくて良い
内容についてはもう -
Posted by ブクログ
ネタバレ『夜の写本師』に続く2作目(しかしあくまで独立している話)ということで、さっそく読んでみた。
前作の世界観を引き継ぎ、登場人物の一人であったキアルスが主人公の一人となっている。
「暗樹」の不気味さが際立っていて、ホラーさながらのおそろしさ。
前作は相手が生身の人物であったために気にならなかったが、今回はもっと宇宙の根源的な存在。その壮大すぎる設定や、抽象的でややもすると難解な描写の連続に対して、決着のつけ方には少し拍子抜けするような感じを受けた。
またメインの二人が問題意識や目的を共有する、互いに信頼関係を築く、その過程になるようなエピソードや時間がほとんど存在せず、ただ「テイバドール