田沢恭子のレビュー一覧
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ネタバレ平凡なタイトルからは想像もつかない深い内容。
意思決定について数学、計算機科学の立場からグダグダと書き連ねておりこの冗長さやこだわりが素晴らしい。
・秘書採用の面接などは最適停止問題と呼ばれるタイプの問題で、全面接者の37%(1/e)までは結論を出さずにただ見ておく。それ以降はこれまで見たどの候補者よりもよい候補者にあったらすぐに採用するのがよい。日常生活でこのような場面は多く、駐車場での空きスペース探しや株の売買、結婚相手の選び方など、全体の試行回数や期間が決まっている場合に広く応用できる。
応募者三名の場合は一名(33.3%)を面接したあと、二人目が一人目よりも良ければその人を、そうで -
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アインシュタインがその存在を予測してから100年、2015年秋米国ルイジアナ州とワシントン州に置かれた検知器LIGO (laser Interferometer Gravitational-wave Observation)で、ついに重力波が人類によって捉えられた。長さ四kmのアームの中で、陽子の直径の一万分の一のレベルの時空の変化を捉えたものだ。観測実験技術として想像を超えるほどの高度なノイズ除去技術が必要なことが何も言われなくてもわかる。ノーベル賞がほぼ確実視される偉業であり、宇宙の観測に新しい手段を加えることによって、現在の宇宙論が抱えるダークマターやダークエネルギーという謎に関して新し
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生殖器という分野は何故だか、基礎生物化学の世界でも研究の対象とはされにくく、まして一般向け科学啓蒙書でも触れられてこなかった領域だという。オランダの生化学研究者である著者は、その原因は第一次性徴を自然淘汰の結果としてある意味当然視したダーウィンの説にあるとしてこれに異議を申し立てる。彼によれば、異性らしさの発現である第二次性徴のみならず、第一次性徴を体現する生殖器そのものが性淘汰、即ち異性の好みによる選別を受けているという。性淘汰は自然淘汰と異なり、例えば「より真新しいものは何か」といったアドホックな評価軸で相手を選別するため、ともすれば適者生存の前提となる「より適応したもの」とはかけ離れた方
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Posted by ブクログ
次世代エネルギーを巡る熱い戦い。
化石燃料からの脱却を視野にいれ、電気自動車のシェア争いなども絡む。
アメリカの視点で見ると日本は研究の商業化が上手いらしい。
国立研究所は基礎研究ばかり重んじている。
新しい発見ばかりありがたがって、過去の改良は軽蔑して見る。
研究者は概して起業精神がなく、失敗を恐れる。
日本の報道などのイメージとは異なる。
自国に対しては誰もが厳しいのだろうか。
結局本書では電池の未来は未知数として終わるが、かなりエキサイティングだった。
ベンチャーはなかなかハートの強さが求められるようだ。
かなり楽しめた。
電池のニュースに注目したい。 -
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トルーマンからアイゼンハワー、ケネディ、ジョンソン、ニクソンまでの大統領によるアメリカの歴史が核の問題を中心に語られる。どのように冷戦が始まったか、ソ連との関係、軍産複合体の陰、アメリカの中南米、ベトナムへの介入などアメリカの帝国主義的、負の側面が暴かれる。ケネディとフルシチョフによるキューバ危機は本当に核戦争一歩手前だったし、その後も危険な状態はいくらもあったことが明かされると、改めて運の良かったことに驚かされる。アメリカにとっては、中南米、アジアは征服されるべきアメリカの権益範囲だとしか考えていないと感じる。その一方でベトナム反戦運動が起こり、サイゴンは陥落し、最終的にはニクソンが辞任に追
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量子力学は、電子や光子といったミクロな粒子のふるまいを説明する理論である。古典物理学では、物体の位置や速度は常に明確な値をもつと考えられていた。しかし、量子の世界ではそれが成り立たない。粒子は「波動関数」と呼ばれる確率的存在として記述され、その振る舞いは確率振幅によって表現される。これを端的に示すのが、ハイゼンベルクの不確定性原理である。位置を正確に測ろうとすれば運動量が曖昧になり、逆もまた然り。つまり、自然そのものが「確率的構造」をもつという認識へと転換したのだ。
一方、ボーアのコペンハーゲン解釈は、観測行為そのものが物理現象を確定させると主張した。電子は観測されるまでは波であり、観測に -
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再生可能エネルギーの選択肢の多くが、様々な問題を抱え、化石燃料の代替エネルギーとしての決め手に欠ける現在、実現すればそれが一気に解決される可能性があるのが核融合(による発電)です。ところが本書にも記載があるように「核融合は未来のエネルギーだ。しかし、いつまでも未来のエネルギーのままなのだ」と揶揄されるように、実現可能性が疑われるほど、ハードルの高い技術でもあります。
本書によれば核技術は大きく4つに分類できます。制御核分裂(現在の原発)、非制御核分裂(原子爆弾)、非制御核融合(水素爆弾)は実現されているのですが、唯一実現されていないのが制御核融合(核融合発電)です。
本書前半部分は核融合を実