田沢恭子のレビュー一覧
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LIGO(レーザー干渉型重力波観測所)で2015年9月14日に直接観測された重力波。4キロメートルのパイプを2本、L字型に組み合わせた干渉計で重力波の直接観測に挑んだ科学者のドキュメンタリ。LIGOはアインシュタインの一般相対性理論の正しさを証明するための計測機関だ。大型の加速器と同様に建設するだけでもおおごとな施設を、アインシュタインの最後の宿題を終わらせるために巨額の費用をかける。約2億ドルの予算で研究を進めるのだが、たかが(失礼!)ブラックホールの衝突を検出するために(アインシュタインの理論を証明するために)、科学者は大金を使えることに驚いた。2億ドル使って「何も成果はありませんでした」となる恐れだってある。これほどの大金を使う度胸は科学者の真理を追求する気持ちからくるものだろう。
さて、本書は重力波を解説した本ではない。重力波を直接観測するためにある意味では人生をかけた科学者の物語だ。新聞発表では報じられない人間の物語である。科学者の前に人間の物語がある。小説ではないドキュメンタリの強さを感じられる。難しい理論は出てこないので、科学好きなら難しく感じることもなく読めると思う。また、強引に自分の役に立つように読みたいのであれば、プロジェクトを推進するための予算取りや情熱、メンバーの選定、組織のありかたなどを学べるだろう。
最後に、長い研究期間で、重力波の直接観測に成功した中心的な科学者を挙げる。ライナー・ワイス、キップ・ソーン、デイヴィッド・ライツィー、フランス・A・コルドヴァ、ガブリエラ・ゴンザレス。そして、最終的にはLIGOにいなかった二人の科学者、ロン・ドレーヴァーとロビー・ヴォートの名前も記録しておく。物理学に興味がある人は覚えておいて損はない。きっとクイズ番組に出てくる。 -
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フランクリン・ルーズベルト大統領時代の1941年1月から45年1月まで副大統領であったヘンリー・ウォレスを忘れてはいけない。その後商務長官となっても核兵器廃絶と東西対立回避のために孤軍奮闘する。
1946年4月ニューヨーク市庁舎での演説から。
「私は4年前にアメリカの世紀を否定しました。そして今日、さらに力を込めて、アングロサクソンの世紀を否定します。世界中の市井の人々は、啓蒙されたアングロサクソンの原爆によって庇護されるとしても、帝国主義の再興を許容しないでしょう。英語を話す人々の使命は世界に奉仕することであり、世界を支配することではないのです。」
もし、ルーズベルト大統領が死んだ時、副大統領がハリー・トルーマンではなく、ヘンリー・ウォレスであったのなら、その後の世界の歴史は今と違った道を進んでいたかもしれない。 -
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現代において、いわゆる"normal"とされているものが、何故"normal"と見做されるのか、見做されるに至ったのか、そもそも"normal"とは? 歴史を遡り、語の定義と変化を追いかける。
結局のところ、今世における"normal"、何かしらの「基準」とされるものは、WEIRD=Western, Educated, Industrialized, Rich, Democraticなシスジェンダー男性によって、時に作為的に恣意的にかたち作られたものにすぎない。バイアスかかりまくりの"normal"に縛られる必要はあるのか。
日本はそもそもWEIRDの側には属せないが、「日本」というコミュニティの中で唱えられる「普通」が存在する。どこかの「普通」はどこかの「異常」、誰かの「異常」は誰かの「普通」、ということなのかもしれない。身を置いている環境で「普通」とされる状態に固執することの無為性について考える。 -
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著者のツァイリンガー博士は実験物理学者で、量子テレポーテーションの実験などの功績で2022年にノーベル物理学賞を受賞している。
本書は学生に実験をさせて、観測されたデータが意味することを議論させるという形式で説明が進む。
博士自身が、実験を通して試行錯誤してきた様子を表しているのだと思う。
「世界一わかりやすい量子力学」という日本語タイトルは、本書の内容を的確に示していない。
原書タイトルは、「Dance of the photons : from Einstein to quantum teleportation」で、
直訳すると「光子のダンス:アインシュタインから量子テレポーテーションまで」だ。
文庫化される前の単行本のタイトル
「量子テレポーテーションのゆくえ: 相対性理論から「情報」と「現実」の未来まで」
の方が内容に即していて良いと思うのだが、なぜ変えたのかな?
量子力学は数式以前に、考え方が自分の常識を外れていて理解できない。
例えば
アインシュタイン「誰も見ていない時には月が存在しないと、本気で信じているのか?」
ボーア「誰も見ていない時でも月が存在していることを証明してみせろ。どうせできないだろう」
量子力学は哲学的すぎて屁理屈を聞いているようになる。
ツァイリンガー博士は自身の研究内容を数式なしに、一般人に向けて概念を分かり易く説明しようとしている。
「光」と「量子力学」の関係性をいろんな側面から見て、実験で確認した事実を伝えようとしている。
本書は対談形式になっているので、文章自体は読みやすい。
読みやすいが、理解できない(˘•ω•˘)??ウーン
なので「世界一わかりやすい」と言われても…
読み進めるうちに頭の混乱度が増してきて、量子力学ますます分からなくなった(-_-;) -
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最初にひとこと言わせてもらう。「どこが『世界一わかりやすい』ねん!!」です。以上。
と、これではレビューにならないのでもう少し。著者は実験物理学者で、2022年にノーベル物理学賞を受賞している。
本書の肝は「量子もつれ」「量子テレポーテーション」「ベルの不等式の破れ」であると、私は解釈しました。「量子もつれ」に関しては、私は一応存じ上げているつもりなのですが、後の2つについては正直よくわかりません。いや、「ベルの不等式」がそもそも知らない。
それぞれの言葉の説明については、本書を読めば書いてあるのですが、私の理解の範囲を今のところは超えています。著者が実験物理学者なので、実際に行った実験をモデルに仮想のキャラクターを用いて小説のように解説しているのですが、基本的に物理学と量子物理についての基礎知識があることが前提で書かれているといってもよいでしょう。ほとんどが対話形式で書かれているのはガリレオの「天文対話」を彷彿とさせて、興味深かったです。
「世界一わかりやすい」かどうかはおいといて、本書に数式は全く出てきませんのでご安心を(ちっとも安心できない)。量子物理学が実用の域に入りつつある(過去には原子爆弾を作った基礎科学であるという事実はあるにせよ)、方向性を見出している、ということがわかっただけで、私は読んでよかったと思います。
今年開かれた関西万博で量子コンピューターの体験イベントが開かれていたのですが、私はその当日に行っていたにもかかわらずまったくそのことを知らなかったので、後で大変ショックを受けました(笑)。量子もつれのアートとか、なんじゃそりゃなのですが、見てみたかったなあ。量子コンピューターの仕組みにはいろいろなタイプがあるそうですが、それぞれまだまだクリアしなければならない問題を抱えているそうです。現在のスーパーコンピューターの一億倍速いと言われている量子コンピューター、本書が書かれたときより事態は幾分進んでいるようですが、本で得られる知識としては今のところ最良ではないかと思います。一日も早い実用化が期待されますね。
巻末には付録と用語集が載っているので、それを読みながら読み進めることをお勧めします。 -
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私たちが量子という言葉を作り、発見し、研究し、実用可能な現代(2025)まで長い月日を経過した。これもひとえに量子力学視点からすると量子という存在が発見して確定した時から今日や未来の先までが創られているのだろう。
本著はとても図解を通してわかりやすく教えてくれる。量子力学とは何か、それがどういうことが出来るのか。私たちが知っている通常のパソコンとは次元が異なる演算能力を持っていることは確かだろう。
本著を読んで思ったことは、量子や量子もつれという存在は人間に似ているなと思った。量子力学では観測した瞬間に確定するという。人間も何か意識して行動した瞬間に確定すると似ていると思うのだ。私たちは120年前前という、ついこの間まで量子という存在すら知らなかった。それから、たった120年後には量子コンピューターが完成しつつある。現時点では2030年までに研究が形になり、それ以降は消費者の私たちにも量子コンピューターの恩恵を受けられるだろう。もし完成したその時はある種のシンギュラリティ(技術的特異点)を突破出来る未来が来るかも知れない。AIも指数関数的に進化するし、社会システムも変革が訪れるだろう。戦争という形も変わるだろう。
自然が生み出すものも、人が手を加えるものも全てには絶対は無い。メリットデメリットは必ずある。これから10年後の2035年までには私たちに何かしらの形でその用途が明確になることも必然。
私たちもまた量子力学的視点として観測者であり、確定する存在なのかも知れない。
これからの時代で量子という存在を知るだけでもあらゆる選択肢の中で思索出来る内容であると言えるだろう。 -
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ネタバレ核融合は、投入エネルギーよりも高い出力があるか、が問題。ブレークイーブンを目指している。ここに到達するか、はライト兄弟の飛行機の発明くらい革命的。あとは改良すればいい。
地場閉じ込め核融合と慣性閉じ込め核融合の2つの方法がある。
水素がヘリウムになる核融合のほかに、大きな構成は炭素窒素酸素(CNO)サイクルもある。
恒星は安定化装置があって、概ね同じ大きさを保てる。質量が増えるとサイズが収縮する。密度が上がるので各有業反応が高速に起きる。温度が上がるので、重力に逆らって膨張する。密度が下がって核融合の速度が落ちる。温度が下がる。再び収縮する。
欧州のJET、トーラス共同研究施設。地場でプラズマを閉じ込める方法。トカマク。プラズマのQ値で0.67を達成。
恒星は重力のために、高温、高密度、プラズマの閉じ込めに成功している。
慣性閉じ込め核融合装置、NIF。温度はトカマクより低いが、圧力と密度は遥かに高い。
核融合発電には、エネルギー利得は10倍は必要。膨大なエネルギーを入力すれば実現できることはわかっている。
核融合は止めたければすぐに止められるので、核分裂よりも遥かに安全。
大きなトカマクが必要。ITER計画。南フランス。正味のゲインを得ることが目標。
実験室から発電所に至るまでの課題。
どうやって熱を取り出すか。中性子の発生源になること。三重水素の生成=核融合の中性子とリチウムから三重水素を作り出す方法。
核融合の進歩は遅すぎて、現在の地球を救う手段にはならない。
核融合発電のコスト。
小型モジュール発電装置ができないか。球状トカマクなら大型化しなくてもよいのではないか。