田沢恭子のレビュー一覧

  • 世界一わかりやすい量子力学

    Posted by ブクログ

    量子テレポーテーションを中心として、量子もつれの基礎的な原理を数式を使わずに解説している。物理学の常識的な世界の理解を捨てて、実験の結果のみをもとにした仮説を重ねて証明してゆくという姿勢を、実際の実験を追体験してゆく。物理学の理論は世界を構築する概念を統合してゆくことであり、量子力学は、世界と情報という概念の垣根さえも取り払った認識をしているという点が腑に落ちた。

    0
    2025年08月20日
  • 世界一わかりやすい量子力学

    Posted by ブクログ

    数式を使わずに、最新の量子力学の、解明されている部分まで解説されていると思いました。ちょっと最後の辺りの理解が追いつかず。もう、かなり哲学の領域に入ってます。とりあえず、ベルの不等式が破れている事は理解できました。あと、タイトルは、原題をもう少し素直に訳してください。ちょっとタイトル詐欺。

    0
    2025年08月06日
  • 世界一わかりやすい量子力学

    Posted by ブクログ

    著者は2022年ノーベル物理学賞を受賞。
    著者がノーベル賞受賞者というと、内容は難しいと思いがちだが、意外にもこの本はそうではない。むしろ、「えっ」て思えるほど面白い。

    本文中にやたら出てくる「量子のもつれ」。1935年シュレディンガーによって命名されたが、これはとても不思議な現象。素粒子の世界で普通に起こる現象で、お互いに衝突した2つの粒子が、遠く離れてもなお緊密に結びついている。そして一方を観測すると、もう一つの粒子がどんなに遠く離れていても影響を与えるという現象。
    これ、理解できるだろうか?あのアインシュタインでさえこの現象を「不気味な遠隔作用」と言い、気に入らなかったようだ。
    でも、

    0
    2025年07月16日
  • ダーウィンの覗き穴――性的器官はいかに進化したか

    Posted by ブクログ

    2016年発行の本なので、古いといえば古い。多分、この本が発行された後にも新しい知見が出ていると思うけれども、それはそれとしてとても面白い。
    本文が全体の77%で、残りは謝辞と訳者あとがき、そして参考文献という構成なので、途中で『あれ?もしかして終わっちゃう?』という若干の拍子抜け感はあった。
    とはいえ内容は実に面白く多岐にわたっている。
    以前読んだ『おちんちん学』よりも広く、また雄の交尾器だけでなく雌の交尾器についても書かれていて、雌雄の繁殖戦略の違いがわかりやすく伝わった。
    性というテーマは、時に誤解を受け冷笑の対象になるのだけれど、人間の生き物としての本質的な好奇心の対象でもあるというの

    0
    2024年07月26日
  • 重力波は歌う アインシュタイン最後の宿題に挑んだ科学者たち

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    重力波とは何か、その謎を追う科学者たちのノンフィクションストーリー…というよりは、身内争いや政治圧力や対立などを克明に描いた告白本に近いかな。

    ブラックホールは光すら逃れられない強力な重力を持っており「どんな直接的観測結果も得られない」はずだった。
    だからこそ重力が生み出す空間の歪みが重力波となり、歌として聴こえるかもしれないという理論は素晴らしく魅力的になる。ブラックホールの直接的観測が可能になるからだ。

    重力波の骨子はこんな感じだけど、まぁ9割くらいは人と人の諍いに割かれている。別に悪いというわけじゃなく、「科学者」として生きていくなら「科学」だけをしてるわけにはいかないぜ、って当たり

    0
    2023年03月20日
  • ダーウィンの覗き穴――性的器官はいかに進化したか

    Posted by ブクログ

    面白いことは面白いんだが、大規模雪崩のように襲ってくる様々な生物とその生殖器と交配サンプルの多さに、途中からちょっとしんどくなってくる。網羅?って感じ。オランダの生殖器進化研究者。生殖器研究の歴史、現在の研究最前線、古生物から人間までのありとあらゆる生物の性行為について。先日、性淘汰というか、少し前にプラムの『美の進化』を読んだが(鳥類学的な性選択とかの話)、進化とか性選択というと、オスが美しくなってメスに選ばれようとするという説明はとても受け入れやすい。本書では、受け入れられた後にも(交配が行われた後にも)、そうは問屋が卸さない、というような例が多数引用されている。子孫を残すというのはビッグ

    0
    2022年07月12日
  • アルゴリズム思考術 問題解決の最強ツール

    Posted by ブクログ

    思っていたより内容は濃かった。

    くじをn回試行して当たりがw回の場合、期待される当たりの割合は、(w+1)/(n+2)となる(ラプラスの法則)。

    べき分布の場合、これまでの実績と今後の期待値は比例する。
    正規分布の場合、これまでの実績に従って今後の期待値は減少する。
    これまでの実績にかかわらず、今後の期待値が一定である分布をアーラン分布という。分布は急速に立ち上がり、山を描いた後、ゆるやかに下降する。電話の通話と通話の間の空き時間、自動車や歩行者の通行、放射線崩壊、議員の在職期間など。

    事実がすべてわかっている場合は、重要な事柄をじかに評価できるので、時間をかけてじっくり考えるべき。不確

    0
    2021年04月20日
  • ダーウィンの覗き穴――性的器官はいかに進化したか

    Posted by ブクログ

    最近、『○○なんてことするのは人間だけだ!』みたいなセリフを聞かなくなったのは、生物の多様性が人間の範疇を超えていることが知れ渡ってきたからだろうか。

    ・オスのアゴとメスの腰の穴で交尾するコシボソダニ
    ・振動して音を鳴らすペニスを持つガガンボ
    ・メスの役割を押し付け合う雌雄同体のカタツムリ
    ・交接腕を付け根から切断し、自力でうねってメスの中に侵入するカイダコ
    ・ばね式の精包が爆発して皮膚から精子を侵入させるイカ
    ・同性の雄の死体を集団で死姦するマガモ
    ・交尾栓をつくる霊長類

    マット・リドレーの『赤の女王』よりもカタログ的で例が豊富だが、論理と解説はその簡易版。
    なぜそうなっているのかの探求

    0
    2020年05月23日
  • 物語創世 聖書から〈ハリー・ポッター〉まで、文学の偉大なる力

    Posted by ブクログ

    文字と文学の歴史、テクノロジーと文化がどのように発展してきたか。
    文字は楔形文字から表音文字、メディアは粘土板からパピルス、羊皮紙、紙、インターネットへ。印刷は、彫り、手書き(写生)、印刷、テキスティングへ。その発展とともに文字の総量が増大して行って文化に対して影響を与えていった。受けては、古代は特殊な能力を持つ書記。カトリックの聖職者はラテン語で聖なる文書を独占していったが、印刷によりローカライズ版が大きく広まる。焚書も効力を印刷により無くしていった。現代はさらに増えていき、どの瞬間でも文字を打ち出す読むことができる。

    0
    2019年08月22日
  • アルゴリズム思考術 問題解決の最強ツール

    Posted by ブクログ

     計算機科学で培われた「戦略」は、実生活の中に活用できる力を持っている。そりゃそうだ、計算機自体、何かに活用するべく作られているんだから。
     読み物として面白いし、考え方のベースとしての活用もふんわりと感じる。ハッと、までは行かなくても、ナルホド、と思わせられる部分は多々ある。(緩和法とか、ゲームの理論とか。)ただ、表紙に書いてある「問題解決の最強ツール」を得るほんではない。

    0
    2019年08月04日
  • アルゴリズム思考術 問題解決の最強ツール

    Posted by ブクログ

    2019/1/19:目新しさはない。
    追記:5/25再読。この本で紹介された手法がどれだけ実際の仕事に応用できるかを前提に読み直した。巷には実践にすぐ活用できる本も多いが、この本はそれと違いこれを足がかりにして、自分でやり方を考えることが必要な本である。そのため読者も次を考えないと意味がない。数学的な理解を求められるがわかるところだけ自分で応用しても価値が有る。評価を4にあげた。

    0
    2019年05月25日
  • ダーウィンの覗き穴――性的器官はいかに進化したか

    Posted by ブクログ

    フォアプレイがまえがきとなっている時点で、すでに性的なニュアンスがプンプンの本書。
    生物の誕生に必要な性交とそのための装置である生殖器を、様々な生物についてじっくりと観察した様子が、盛りだくさん。
    ヒトの祖先にはペニスにトゲがあったらしく、その時代の雌は大変だったろうな、などどワケのわからない感想を抱いたり。
    そんな雄と雌が別々の雌雄異体はもちろん、驚くのは雌雄同体のナメクジの性交。
    もう、めくるめく生物の合体に、あたまがくらくらしてきそう(もちろんいい意味で)な本である。

    0
    2018年12月04日
  • 重力波は歌う アインシュタイン最後の宿題に挑んだ科学者たち

    Posted by ブクログ

    重力波の検出に命を懸けた科学者たちの物語。著者自身が物理学者。当事者のインタビューを通じて、この壮大なプロジェクトの遂行がいかに難しかったかを浮き彫りにしている。

    0
    2017年06月16日
  • 重力波は歌う アインシュタイン最後の宿題に挑んだ科学者たち

    Posted by ブクログ

    重力波検出に至る科学者たちの人間ドラマ。邦題も、原題の「BLACK HOLE BLUES」も実にしゃれている。

    0
    2016年08月16日
  • 重力波は歌う アインシュタイン最後の宿題に挑んだ科学者たち

    Posted by ブクログ

    LIGO(レーザー干渉型重力波観測所)で2015年9月14日に直接観測された重力波。4キロメートルのパイプを2本、L字型に組み合わせた干渉計で重力波の直接観測に挑んだ科学者のドキュメンタリ。LIGOはアインシュタインの一般相対性理論の正しさを証明するための計測機関だ。大型の加速器と同様に建設するだけでもおおごとな施設を、アインシュタインの最後の宿題を終わらせるために巨額の費用をかける。約2億ドルの予算で研究を進めるのだが、たかが(失礼!)ブラックホールの衝突を検出するために(アインシュタインの理論を証明するために)、科学者は大金を使えることに驚いた。2億ドル使って「何も成果はありませんでした」

    0
    2016年07月24日
  • なぜデータ主義は失敗するのか? 人文科学的思考のすすめ

    Posted by ブクログ

    これ自体が「厚い記述」(?)。。センスメイキングとは何か、一言であらわすのでなく、言葉を割くことで表したような一冊。

    センスメイキングは、デフォルト思考と対照的で、仮説を定めず、質的な証拠をもとに、「なぜ」に答える思考方法。
    デフォルト思考と補完しあいながらつかうことで、人の行動の背後にあるものを理解するのに役立つという。

    具体的にマーケティングの場面では、観察、写真やビデオ、インタビューなどの詳細な記録をもとにパターンを割り出し、またそれを企業のパースペクティブと照らし合わせ、アクションをきめる
    とのこと。

    0
    2016年04月04日
  • オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史2 ケネディと世界存亡の危機

    Posted by ブクログ

    フランクリン・ルーズベルト大統領時代の1941年1月から45年1月まで副大統領であったヘンリー・ウォレスを忘れてはいけない。その後商務長官となっても核兵器廃絶と東西対立回避のために孤軍奮闘する。
    1946年4月ニューヨーク市庁舎での演説から。
    「私は4年前にアメリカの世紀を否定しました。そして今日、さらに力を込めて、アングロサクソンの世紀を否定します。世界中の市井の人々は、啓蒙されたアングロサクソンの原爆によって庇護されるとしても、帝国主義の再興を許容しないでしょう。英語を話す人々の使命は世界に奉仕することであり、世界を支配することではないのです。」
    もし、ルーズベルト大統領が死んだ時、副大統

    0
    2016年03月06日
  • バッテリーウォーズ 次世代電池開発競争の最前線

    Posted by ブクログ

    アメリカのLiB開発の話。細かいところは分からないところも多く、カタカナを覚えられないこともあり、スムーズには読めなかったが、自国・他国へのステレオタイプの差など面白かった。日本を愛する普通の日本人としては、日本は知財を守る側侵害される側という認識だが、まったくそんなこともなく。一方のアメリカのアメリカ観も日本からのものとまったく異なる。
    本題についてはこれからにもよるけど、特に日本で報じられてないように感じたのはどうなんだ…

    0
    2015年12月22日
  • オリバー・ストーンが語る もうひとつのアメリカ史2 ケネディと世界存亡の危機

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    アメリカの別の視点からの歴史、2巻目。東南アジアや南米の人々の歴史が、第二次世界大戦とその後に、アメリカの政治家達による軽視や自己保身によって振り回された様子が書かれてあります。かなり気分の悪くなる内容でした。あまりに極端な内容なので全部を鵜呑みにするわけにはいかないと思いますが、一面に本当もあるのでしょう。
    自分自身も、他人に対する軽視や自己保身によって、周囲に迷惑を掛けていることが無いか。またそういう人間になりたくないと反面教師にするためには、読んでおいて良かったと思える本です。

    0
    2013年12月24日
  • 世界一わかりやすい量子力学

    Posted by ブクログ

    著者のツァイリンガー博士は実験物理学者で、量子テレポーテーションの実験などの功績で2022年にノーベル物理学賞を受賞している。

    本書は学生に実験をさせて、観測されたデータが意味することを議論させるという形式で説明が進む。
    博士自身が、実験を通して試行錯誤してきた様子を表しているのだと思う。

    「世界一わかりやすい量子力学」という日本語タイトルは、本書の内容を的確に示していない。
    原書タイトルは、「Dance of the photons : from Einstein to quantum teleportation」で、
    直訳すると「光子のダンス:アインシュタインから量子テレポーテーション

    0
    2025年11月30日