田沢恭子のレビュー一覧
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著者は2022年ノーベル物理学賞を受賞。
著者がノーベル賞受賞者というと、内容は難しいと思いがちだが、意外にもこの本はそうではない。むしろ、「えっ」て思えるほど面白い。
本文中にやたら出てくる「量子のもつれ」。1935年シュレディンガーによって命名されたが、これはとても不思議な現象。素粒子の世界で普通に起こる現象で、お互いに衝突した2つの粒子が、遠く離れてもなお緊密に結びついている。そして一方を観測すると、もう一つの粒子がどんなに遠く離れていても影響を与えるという現象。
これ、理解できるだろうか?あのアインシュタインでさえこの現象を「不気味な遠隔作用」と言い、気に入らなかったようだ。
でも、 -
Posted by ブクログ
2016年発行の本なので、古いといえば古い。多分、この本が発行された後にも新しい知見が出ていると思うけれども、それはそれとしてとても面白い。
本文が全体の77%で、残りは謝辞と訳者あとがき、そして参考文献という構成なので、途中で『あれ?もしかして終わっちゃう?』という若干の拍子抜け感はあった。
とはいえ内容は実に面白く多岐にわたっている。
以前読んだ『おちんちん学』よりも広く、また雄の交尾器だけでなく雌の交尾器についても書かれていて、雌雄の繁殖戦略の違いがわかりやすく伝わった。
性というテーマは、時に誤解を受け冷笑の対象になるのだけれど、人間の生き物としての本質的な好奇心の対象でもあるというの -
Posted by ブクログ
ネタバレ重力波とは何か、その謎を追う科学者たちのノンフィクションストーリー…というよりは、身内争いや政治圧力や対立などを克明に描いた告白本に近いかな。
ブラックホールは光すら逃れられない強力な重力を持っており「どんな直接的観測結果も得られない」はずだった。
だからこそ重力が生み出す空間の歪みが重力波となり、歌として聴こえるかもしれないという理論は素晴らしく魅力的になる。ブラックホールの直接的観測が可能になるからだ。
重力波の骨子はこんな感じだけど、まぁ9割くらいは人と人の諍いに割かれている。別に悪いというわけじゃなく、「科学者」として生きていくなら「科学」だけをしてるわけにはいかないぜ、って当たり -
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面白いことは面白いんだが、大規模雪崩のように襲ってくる様々な生物とその生殖器と交配サンプルの多さに、途中からちょっとしんどくなってくる。網羅?って感じ。オランダの生殖器進化研究者。生殖器研究の歴史、現在の研究最前線、古生物から人間までのありとあらゆる生物の性行為について。先日、性淘汰というか、少し前にプラムの『美の進化』を読んだが(鳥類学的な性選択とかの話)、進化とか性選択というと、オスが美しくなってメスに選ばれようとするという説明はとても受け入れやすい。本書では、受け入れられた後にも(交配が行われた後にも)、そうは問屋が卸さない、というような例が多数引用されている。子孫を残すというのはビッグ
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思っていたより内容は濃かった。
くじをn回試行して当たりがw回の場合、期待される当たりの割合は、(w+1)/(n+2)となる(ラプラスの法則)。
べき分布の場合、これまでの実績と今後の期待値は比例する。
正規分布の場合、これまでの実績に従って今後の期待値は減少する。
これまでの実績にかかわらず、今後の期待値が一定である分布をアーラン分布という。分布は急速に立ち上がり、山を描いた後、ゆるやかに下降する。電話の通話と通話の間の空き時間、自動車や歩行者の通行、放射線崩壊、議員の在職期間など。
事実がすべてわかっている場合は、重要な事柄をじかに評価できるので、時間をかけてじっくり考えるべき。不確 -
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最近、『○○なんてことするのは人間だけだ!』みたいなセリフを聞かなくなったのは、生物の多様性が人間の範疇を超えていることが知れ渡ってきたからだろうか。
・オスのアゴとメスの腰の穴で交尾するコシボソダニ
・振動して音を鳴らすペニスを持つガガンボ
・メスの役割を押し付け合う雌雄同体のカタツムリ
・交接腕を付け根から切断し、自力でうねってメスの中に侵入するカイダコ
・ばね式の精包が爆発して皮膚から精子を侵入させるイカ
・同性の雄の死体を集団で死姦するマガモ
・交尾栓をつくる霊長類
マット・リドレーの『赤の女王』よりもカタログ的で例が豊富だが、論理と解説はその簡易版。
なぜそうなっているのかの探求 -
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Posted by ブクログ
LIGO(レーザー干渉型重力波観測所)で2015年9月14日に直接観測された重力波。4キロメートルのパイプを2本、L字型に組み合わせた干渉計で重力波の直接観測に挑んだ科学者のドキュメンタリ。LIGOはアインシュタインの一般相対性理論の正しさを証明するための計測機関だ。大型の加速器と同様に建設するだけでもおおごとな施設を、アインシュタインの最後の宿題を終わらせるために巨額の費用をかける。約2億ドルの予算で研究を進めるのだが、たかが(失礼!)ブラックホールの衝突を検出するために(アインシュタインの理論を証明するために)、科学者は大金を使えることに驚いた。2億ドル使って「何も成果はありませんでした」
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Posted by ブクログ
フランクリン・ルーズベルト大統領時代の1941年1月から45年1月まで副大統領であったヘンリー・ウォレスを忘れてはいけない。その後商務長官となっても核兵器廃絶と東西対立回避のために孤軍奮闘する。
1946年4月ニューヨーク市庁舎での演説から。
「私は4年前にアメリカの世紀を否定しました。そして今日、さらに力を込めて、アングロサクソンの世紀を否定します。世界中の市井の人々は、啓蒙されたアングロサクソンの原爆によって庇護されるとしても、帝国主義の再興を許容しないでしょう。英語を話す人々の使命は世界に奉仕することであり、世界を支配することではないのです。」
もし、ルーズベルト大統領が死んだ時、副大統 -
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著者のツァイリンガー博士は実験物理学者で、量子テレポーテーションの実験などの功績で2022年にノーベル物理学賞を受賞している。
本書は学生に実験をさせて、観測されたデータが意味することを議論させるという形式で説明が進む。
博士自身が、実験を通して試行錯誤してきた様子を表しているのだと思う。
「世界一わかりやすい量子力学」という日本語タイトルは、本書の内容を的確に示していない。
原書タイトルは、「Dance of the photons : from Einstein to quantum teleportation」で、
直訳すると「光子のダンス:アインシュタインから量子テレポーテーション