田沢恭子のレビュー一覧
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現在の物理学では、光より速いものは無いとされている。
ただ、量子力学の世界ではそうとは言い切れない?ようで、アインシュタインが「不気味な遠隔操作」と呼んだ現象(量子もつれ)は、光の速さよりも遠く離れていても、2つまたはそれ以上の粒子が全く同じ振る舞いをするという。
正しく説明できているかわからないが。
量子力学はまだまだ解明途中であり、全てが明らかになるかどうか分からないが、興味深いのは、「すでに激しい議論を巻き起こしている問題は、量子の概念が頭の中のコンピューター、すなわち脳で、なんらかの重大な役割を果たし得るのかという点だ」(文庫P407)、「量子力学が脳内でなんらかの役割を果たす可能性を原理的には否定できない」(文庫P408)とあり、もしかしたら私たちの脳にも密接に関わっている可能性があるという点だ。
そう言われても全くピンと来ないが、どうやらそんな議論があるらしい。
本書は、実験の経緯なども含め量子力学について書かれているが、ほとんど理解できていない。というか、そもそも難しくてちゃんと読めない。
それもそのはず、量子力学自体、分からない事が多いようなので、私が理解できないのも仕方ないと納得している。
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作品紹介・あらすじ
米で人気のTV番組《コスモス》の司会を務める米天体物理学者による入門書。一冊でわかる宇宙講座の決定版! 解説/渡部潤一
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著者のニール・ドグラース・タイソンは「ブラック・ホールで死んでみる」を書いた人。この「ブラック・ホールで死んでみる」は適度なユーモアがあって読み物としても面白かった。ただ宇宙についてしっかりと理解できたかは疑問が残った。
同じような感想がこの「人生が変わる宇宙講座」にも当てはまると思う。面白くてスラスラと読めてしまうのだけれど、宇宙についての知識や理解が高まったかというと、ちょっと疑問。もちろん、僕自身の理解力の問題もあるのだけれど。
それにしても「人生が変わる」という大げさなタイトルはどういう意図なのだろう。原題は「Astrophysics for People in a Hurry」でおおまかに翻訳すると「忙しい人のための宇宙物理学」といった意味になる。こちらのタイトルの方が本の内容をきちんと紹介しているように思える。少なくとも僕はこの本を読んでも人生は変わらなかった。もっとも、若い頃に読んでいたら「そうだ宇宙物理学者になろう!」と一大決心して人生は変わったかもしれないけれど。 -
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シンプルに難しいっピ!2つの天体をめぐる二体問題はちゃんと明確な答えがあるけど、これが3つの天体が絡む三体問題になった途端一気に複雑化する、それをめぐる解説書なんだけど、なにせ元が複雑な問題なのでなんとかわかりやすくしようと天文学、物理学、数学の興味深いトピックを拾おうとしてかえって解説の力点がつかみにくくなっている。
これはこっちに素養が薄すぎることが悪い読者責任なのだが、同時にもっと詳しい人にはガンガン数式とか使ったほうがいいんじゃないの?という疑惑もあり解説書としてもそれほど秀逸ではない予感がする。
三体問題のブラックホールや彗星における応用は確かに気になるけど、その三体問題自体の解説をもう少し分量を割いてもよかったのではないだろうか。 -
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量子力学は、電子や光子といったミクロな粒子のふるまいを説明する学問である。古典物理学では、物体の位置や速度は常に明確な値をもつと考えられていた。しかし、量子の世界ではそれが成り立たない。粒子は「波動関数」と呼ばれる確率的存在として記述され、その振る舞いは確率振幅によって表現される。これを端的に示すのが、ハイゼンベルクの不確定性原理である。位置を正確に測ろうとすれば運動量が曖昧になり、逆もまた然り。つまり、自然そのものが「確率的構造」をもつという認識へと転換したのだ。
一方、ボーアのコペンハーゲン解釈は、観測行為そのものが物理現象を確定させると主張した。電子は観測されるまでは波であり、観測によって初めて粒子として現れる。ここに、観測者と世界との切り離せなさが露わになる。量子力学は、世界が客観的に「そこにある」というニュートン的世界観を崩壊させたのである。
この波動的性質を数学的に定式化したのが、オーストリアの物理学者エルヴィン・シュレディンガーである。彼は1926年にシュレディンガー方程式を発表し、電子などの粒子を「波動関数」として表すことで、量子現象を連続的な波の運動として記述することに成功した。シュレディンガーの理論は、従来の粒子像に代わる「波動としての実在」という新しい視点を与えたが、その波動が観測によって突然一つの結果に収束するという「波動関数の収縮(collapse)」をどのように理解すべきかが、大きな哲学的問題となった。
シュレディンガー自身は、ボーアやハイゼンベルクの確率的・観測依存的な解釈に批判的であった。彼が提示した有名な思考実験「シュレディンガーの猫」は、その皮肉を象徴している。密閉箱の中の猫は、放射性原子の崩壊(量子的確率事象)によって生死が決まるが、観測されるまでは「生きている状態」と「死んでいる状態」が重ね合わさって存在している。これは、量子力学の原理を日常的なスケールに拡張したときの不条理さを示すものであり、シュレディンガーはこの思考実験を通じて、量子論が「現実とは何か」という問いにいかに奇妙な形で回答を与えるかを示した。
この問題をさらに深めたのが、1935年のアインシュタイン、ポドルスキー、ローゼンによるEPR論文である。彼らは「量子力学的記述は完全ではない」と主張し、量子もつれ(entanglement)と呼ばれる相関に注目した。二つの粒子が相互作用した後に遠く離れても、一方の粒子を観測した瞬間にもう一方の状態が決まるという現象は、光速を超える情報伝達があるように見える。アインシュタインはこれを「spooky action at a distance(遠隔作用の不気味さ)」と呼び、量子力学が局所性と実在性を破っていると批判した。
シュレディンガーはEPR論文を読み、この奇妙な相関現象に対して「Verschränkung(もつれ)」という言葉を初めて用いた。彼はこの「量子もつれ」こそが量子理論の本質であり、単なる異常現象ではなく、世界の構造そのものを映し出すものであると考えた。つまり、シュレディンガーにとって量子力学は、個別の粒子が孤立して存在するのではなく、関係的・全体的なつながりによって現実が構成されることを示す理論だったのである。
この問題は1960年代にジョン・ベルの不等式を通じて実験的に検証可能となり、1980年代のアラン・アスペらの実験で、量子もつれが実在することが確認された。こうしてアインシュタインやシュレディンガーが抱いた哲学的懐疑は、むしろ量子力学の「非局所的実在」という新しい実相を明らかにする結果となった。
哲学的に見れば、量子力学は「存在とは何か」「部分と全体はどのように関係しているのか」という問いに新しい光を投げかける。観測者と対象の境界は曖昧であり、世界は局所的な因果律によってではなく、全体的な相関のネットワークとして構成されている。これは、東洋哲学の「縁起」や「空」の思想とも共鳴する。存在は固定的な実体としてではなく、他との関係のなかで立ち現れる。量子論的世界観は、この関係性の哲学を物理学の言葉で再構築しているともいえる。
量子力学は、科学としては自然の最も正確な記述でありながら、哲学としては世界の不確実性と人間の有限性を突きつける鏡でもある。われわれが見る「現実」は、確率的な重ね合わせのなかに一時的に現れる秩序に過ぎない。したがって量子力学とは、単に電子の理論ではなく、存在そのものの確率的構造を描く試みであり、人間と世界の関係を再定義する思想でもある。科学と哲学の境界を越えて、それは「観測すること」と「存在すること」の同義性を語る――すなわち、「われ思う、ゆえに存在する」という近代的確信を、「われ観測する、ゆえに世界が立ち現れる」という新たな命題へと書き換えるのである。 -
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再生可能エネルギーの選択肢の多くが、様々な問題を抱え、化石燃料の代替エネルギーとしての決め手に欠ける現在、実現すればそれが一気に解決される可能性があるのが核融合(による発電)です。ところが本書にも記載があるように「核融合は未来のエネルギーだ。しかし、いつまでも未来のエネルギーのままなのだ」と揶揄されるように、実現可能性が疑われるほど、ハードルの高い技術でもあります。
本書によれば核技術は大きく4つに分類できます。制御核分裂(現在の原発)、非制御核分裂(原子爆弾)、非制御核融合(水素爆弾)は実現されているのですが、唯一実現されていないのが制御核融合(核融合発電)です。
本書前半部分は核融合を実現させようと取り組んでいる多くの研究者、研究所の現状報告で、他の3つの核技術が既に60年以上前に実現されているのに、何が技術的なハードルとなっているのか、詳しく解説されています。
その中で、核分裂が抱える連鎖反応の暴走(メルトダウン)、放射性廃棄物のリスクが核融合では発生しないなどのメリットについても言及しています。技術的な解説の詳細は割愛しますが、一言で言うと「反応をスタートさせるのが凄く大変」なので、「ちょっとしたことですぐに反応が止まってしまう」といったところでしょうか。
核融合のリスク(危険性)に関して一つの章を割いて解説しているのですが、このトッピクの議論についてはもう少し丁寧な進めて欲しかった印象です。核融合については核分裂よりはリスクが小さいと位置づけ、核分裂発電、化石燃料発電、水力発電などを「エネルギー単位あたりの死者数」という数値で比較して、この中で”核分裂発電が最も安全”という評価を下しています。確かに客観的な指標だとは思いますが、テロなどを考えた時にあまりにエネルギー密度の高い電源はどうなのか、等々もう少し多面的な議論が必要ではないかという印象を受けました。ただ、そういう社会的な議論とは別に、今後ますます増加するエネルギー需要を賄う有効な手段であるということは、本書を通じて良く伝わって来ます。
上記のリスクをどう見積もるかという点はさておき、実現されれば人類は大変有力なエネルギーの選択肢を持つこことが出来るという事、核融合発電実現に向けての現在の立ち位置がよく分かるノンフィクションでした。 -
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著者は2022年ノーベル物理学賞を受賞。
著者がノーベル賞受賞者というと、内容は難しいと思いがちだが、意外にもこの本はそうではない。むしろ、「えっ」て思えるほど面白い。
本文中にやたら出てくる「量子のもつれ」。1935年シュレディンガーによって命名されたが、これはとても不思議な現象。素粒子の世界で普通に起こる現象で、お互いに衝突した2つの粒子が、遠く離れてもなお緊密に結びついている。そして一方を観測すると、もう一つの粒子がどんなに遠く離れていても影響を与えるという現象。
これ、理解できるだろうか?あのアインシュタインでさえこの現象を「不気味な遠隔作用」と言い、気に入らなかったようだ。
でも、この本では、ビリヤードの球に例え説明する。この辺の説明が上手くて、分かり易くしているんだなあと思う。
この現象を利用したのが、量子コンピューターであり、量子テレポーテーションらしい。こんなこと思いつくなんて人間でホントに凄い!
この本に書かれていることを100%理解しなくてもよい。むしろそんなことできっこない。1割程度の理解でいいと思う。「量子のもつれ」。この言葉さえ理解できたら、この本を読んだ価値は十分にあるといえるだろう。
ノーベル物理学受賞者に不思議な世界を案内してもらおう。税抜き1,480円で。 -
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2016年発行の本なので、古いといえば古い。多分、この本が発行された後にも新しい知見が出ていると思うけれども、それはそれとしてとても面白い。
本文が全体の77%で、残りは謝辞と訳者あとがき、そして参考文献という構成なので、途中で『あれ?もしかして終わっちゃう?』という若干の拍子抜け感はあった。
とはいえ内容は実に面白く多岐にわたっている。
以前読んだ『おちんちん学』よりも広く、また雄の交尾器だけでなく雌の交尾器についても書かれていて、雌雄の繁殖戦略の違いがわかりやすく伝わった。
性というテーマは、時に誤解を受け冷笑の対象になるのだけれど、人間の生き物としての本質的な好奇心の対象でもあるというのは事実で、知ることによってより良い生存を手に出来るだろうと思う。
とにもかくにも、雌雄の繁殖戦略の違いは興味深い。関連図書をまた読みたいと思った。 -
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ネタバレ重力波とは何か、その謎を追う科学者たちのノンフィクションストーリー…というよりは、身内争いや政治圧力や対立などを克明に描いた告白本に近いかな。
ブラックホールは光すら逃れられない強力な重力を持っており「どんな直接的観測結果も得られない」はずだった。
だからこそ重力が生み出す空間の歪みが重力波となり、歌として聴こえるかもしれないという理論は素晴らしく魅力的になる。ブラックホールの直接的観測が可能になるからだ。
重力波の骨子はこんな感じだけど、まぁ9割くらいは人と人の諍いに割かれている。別に悪いというわけじゃなく、「科学者」として生きていくなら「科学」だけをしてるわけにはいかないぜ、って当たり前のことをしっかり言ってるだけな気もする。
人との関係性とか資金を集めてきたりとか、一緒に働く人を知るとか…。ポスドクという立場のメンバーも含めて、そう言ったある意味「リアル」な「科学者」を語ったのが本書なんじゃないでしょーか。
社会人からすれば当たり前だけどね…。
しかし帯コメントでワイス博士が『痛快な読み物だ』とか言っちゃってて本当にそう思ってるか!?とは感じたけど。本当に思ってるなら大した人だよ…。 -
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面白いことは面白いんだが、大規模雪崩のように襲ってくる様々な生物とその生殖器と交配サンプルの多さに、途中からちょっとしんどくなってくる。網羅?って感じ。オランダの生殖器進化研究者。生殖器研究の歴史、現在の研究最前線、古生物から人間までのありとあらゆる生物の性行為について。先日、性淘汰というか、少し前にプラムの『美の進化』を読んだが(鳥類学的な性選択とかの話)、進化とか性選択というと、オスが美しくなってメスに選ばれようとするという説明はとても受け入れやすい。本書では、受け入れられた後にも(交配が行われた後にも)、そうは問屋が卸さない、というような例が多数引用されている。子孫を残すというのはビッグディールなんやと、つくづく感じさせられた。
邦題が変ではあるが(主観)
いろんな意味で一読する価値のある本だと思う。 -
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思っていたより内容は濃かった。
くじをn回試行して当たりがw回の場合、期待される当たりの割合は、(w+1)/(n+2)となる(ラプラスの法則)。
べき分布の場合、これまでの実績と今後の期待値は比例する。
正規分布の場合、これまでの実績に従って今後の期待値は減少する。
これまでの実績にかかわらず、今後の期待値が一定である分布をアーラン分布という。分布は急速に立ち上がり、山を描いた後、ゆるやかに下降する。電話の通話と通話の間の空き時間、自動車や歩行者の通行、放射線崩壊、議員の在職期間など。
事実がすべてわかっている場合は、重要な事柄をじかに評価できるので、時間をかけてじっくり考えるべき。不確実性が高く、データが限られている場合には、単純性を重視して早期に打ち切るべき。自分独自の基準で仕事を完璧に仕上げようと時間を費やすのは無駄。
交通や通信のネットワークにおいて、無秩序状態で利己的な経路選択をとった場合、完全なトップダウン型の調整と比べても33%しか劣らない。 -
Posted by ブクログ
最近、『○○なんてことするのは人間だけだ!』みたいなセリフを聞かなくなったのは、生物の多様性が人間の範疇を超えていることが知れ渡ってきたからだろうか。
・オスのアゴとメスの腰の穴で交尾するコシボソダニ
・振動して音を鳴らすペニスを持つガガンボ
・メスの役割を押し付け合う雌雄同体のカタツムリ
・交接腕を付け根から切断し、自力でうねってメスの中に侵入するカイダコ
・ばね式の精包が爆発して皮膚から精子を侵入させるイカ
・同性の雄の死体を集団で死姦するマガモ
・交尾栓をつくる霊長類
マット・リドレーの『赤の女王』よりもカタログ的で例が豊富だが、論理と解説はその簡易版。
なぜそうなっているのかの探求よりも、刺激的な事例を集めることに心血が注がれている趣味本だが、
こちらを先に読んだほうが、後に仮説に対応する事例を思い浮かべられるので、理解の助けに出来るだろう。
生殖に失敗する個体は子孫を残せず、成功した性機構のみが時代に受け継がれる。
強いものでも環境に適応したものでもなく、生殖したものこそが存続するこの世界では、
これらの生殖システムのすべてが"正解"であることを本書から学べば、
人間が考える"多様性"が如何に矮小な範囲内であるかということを、思い知らされるだろう。