半村良のレビュー一覧

  • 炎の陰画

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    半村量のおそらく初期短編集。戦後間もないひもじい時代を乗り切ってきた話をベースにしたSFというか怪談話から、炎に取り憑かれた戸籍のない少年が、火葬場の少年と出会う話など。怪談が多い。

    落語や講談的な短編『箪笥』がどうにもインパクトが強く、この本の紹介を見てもほぼ『箪笥』なのはちょっと残念な感じ。ただ、現代では絶滅したとも言える、日本海側の方言のままト書きまで書かれ、読みにくいが印象の強い作品だ。

    松本清張も書きそうな復讐劇『白鳥の湖』や表題のもとになった作品など、純文学と事件という、SFの半村良らしからぬ、強いエネルギーの空回りが感じられる作品群である。

    作品としては面白いものが多いが、

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    2023年12月31日
  • 新装版 戦国自衛隊

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    「新世界より」で1000年後に行き、なぜか「戦国自衛隊」で過去にも行ってみたくなった。

    遥か昔の角川映画の印象が強く、かと言って内容はほとんど残っておらず。

    最近はタイムリープなんて言葉を耳にしますが、こちらはタイムスリップのお話しでした。

    あー、ここまで歴史の事だったっけかなぁ。答え合わせは間違いだらけ。薬師丸ひろ子が強烈だったんだけど、あれ?誰役だったのかな。

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    2023年12月23日
  • 半村良“21世紀”セレクション1 不可触領域/軍靴の響き 【陰謀と政治】編

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    ポリティカルフィクションを集めたの作品集なのでSFっぽいのは「不可触領域」かな。ナマケモノを扱うアイデアが好き。共通して言えるのは市井の人を描くのがうまいですよね。

    PART1 黒い陰謀
    フィックス
    不可触領域
    賄賂のききめ

    PART2 闇の中の戦争
    Essay 凡人五衰
    軍靴の響き
    怪談桜橋

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    2023年05月13日
  • 新装版 戦国自衛隊

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    自衛隊が戦国時代にタイムスリップして知識と兵器で無双する、というのは今の異世界転生系の話に近いものを感じた。かなり無茶苦茶な話だが、ラストは良かった。

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    2021年07月21日
  • 僕らの青春~下町高校野球部物語~

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    発想が良い。さすが半村良。
    なかには「名人」という、今では多用しない言葉が連呼される陳腐さもあったが、それは時代の違いであって、現代社会に一石を投じようとした作者の思いを感じた。

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    2020年06月24日
  • 雨やどり

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    新宿歌舞伎町の夜の世界を、連作短編で描く。
    1990年に文庫化されているので、古き良き時代?
    人情や仲間意識が強く、何かあると皆が集まる。
    バーのオーナーやバーテンダー、ホステス。
    みんな何かと訳ありである。
    そんな一昔前の夜の世界を垣間見ることができる。

    2019.10.10

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    2019年10月16日
  • 雨やどり

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    ネタバレ

    昭和の時代の隙間から新宿の夜の街に流れ着いてきた人たちが、人情で繋がっている。かつてこういう時代があったのだなぁと思ったが、今も形を変えて息づいているのかもしれないな。
    新宿の夜の街という舞台がみんなの逃げ場所であるようにも思えるし、結果的にただ少し時間を潰しただけの人もいれば、次第に浸かりきってしまう人もいるのだろう。どちらにしても夜の世界のこと、男と女の駆け引きはよく分からないことだらけだ。

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    2019年09月08日
  • 能登怪異譚

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    夏に気楽に読むにはうってつけの能登を題材にした怪談。
    方言で語られているが非常に読みやすく、挿絵が恐怖を
    煽って効果的だった。

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    2019年07月23日
  • 戦国自衛隊 (4)

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    ネタバレ

    田辺節雄先生のと比べるとこっちの方が読みやすいと思います。両方読んでみると細かい所が違っていて楽しいです。

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    2018年08月30日
  • 小説 浅草案内

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    古き良き昭和の浅草。
    表を歩けば誰かに声を掛けられ、飲み屋に入れば必ず知り合いがいる。
    そんな下町情緒溢れた浅草を半村良が案内してくれる。
    ノスタルジーを感じさせてくれる1冊。

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    2018年05月10日
  • 岬一郎の抵抗 2

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     人類が進化して超能力を手にしたら・・・岬一郎に連なる進化した人類のたどる道については、貴志祐介著『新世界より』参考するとよい、どちらも日本SF大賞受賞作である。『新世界より』は第29回(2008年)こちら、『岬一郎の抵抗』第9回(1988年)受賞。なんと20年を経て、同テーマの小説を読み比べるのも面白い。

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    2017年08月11日
  • 亜空間要塞

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    SFマニアの仲良し4人組が、どこからかふらっと帰ってきた親戚の足跡を追っていたところ、亜空間に飛ばされた。亜空間内の世界はは、人間のいろいろな能力をテストするために仕切られていた。

    話の大筋は、ディックなども書きそうな人間の弱さを強調した世界で、制限が多いだけにそれなりに楽しめる。ただ、のっけから引っかかるのが4人がSFマニアであるというところだろう。

    この本に関しては、読み方はいくつか有る。世界の終わりを予想しながら読んだり、素直に冒険もの、ジュブナイル的なものとして読んだりすることが出来、それぞれそれなりに面白く読めるだろう。

    もう一つの読み方として、古典幻想小説や古典SFのパロディ

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    2017年02月12日
  • およね平吉時穴道行

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    ワタクシにとっての半村良というと、この本だ。中学以来の再読だが、その1回めに読んだ時には、表題作の途中で挫折した。

    表題作はタイトルのとおり。江戸時代の発明家で戯曲家の山東京伝の資料を漁っているうちに、明らかに辻褄の合わない文言にぶつかる。そこで出てくる「およね(米)」が昭和にタイムスリップしてくる?

    ちなみに、長編ではなく、短編集。ただ、表題作も京伝について、思い入れを延々と語り尽くすため、まあ読みにくい。これこそ半村良スタイルなのだが、この歳になると読めてしまうのですが、中学生には厳しかろう。

    表題作の他にも、コピーライター/CM作家を主人公にした半村良主人公の作品が並ぶ。時に落語調

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    2016年04月14日
  • 英雄伝説

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    久々の再読。
    高度成長期の話で、モーレツ社員とかソ連という言葉が出てくるのが時代を感じる。
    でもやはり面白い。社運をかけた仕事に打ち込んでいる広告マンが殺人事件に巻き込まれたことから、どんどん非日常の世界に引き込まれて、話がSF的になってゆく。まさに伝奇SF。
    初読はたぶん高校生の時でもうストーリーはほとんど忘れていたが、紹子さんの料理のエピソードは印象深かったとみえて鮮明に覚えていた。こわい。

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    2016年01月09日
  • 石の血脈

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    初の半村作品。
    アトランティス、吸血鬼、ケルビムなどの伝奇的要素が満載です。
    長い小説だったけれども面白かったぁー。
    高橋克彦の作品が好きな人は読んでいて楽しめるはず!
    他の作品も読んでみよう。

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    2015年12月02日
  • 暗殺春秋

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    【暗黙の了解】

    正しい人殺しはないと、歴史がいう。そんな時僕は思うんだ。死刑とはなんだろうかと。正しい殺人がないのなら正しい死刑もないのではないのだろうか?人を、人が殺す事は本当にタブーなのか?あまりにも身近で、よく考えたくない事かもしれない。人は毎日、殺されている。殺すと言う事が最後に導く先を、最後に見た。

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    2015年10月27日
  • 晴れた空(下)

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    この本の中巻を読んでいるときに関東へ引っ越すことになり、都内で就職もした。
    焼け野原になった東京の復興とともに浮浪児となってしまった少年たちとお母さんとボーヤと特攻隊がたくましく生きた舞台がこの地なのだと思うとなんとも不思議な気持ちがする。
    戦後の混乱の中必死で生きてきた人たちの成果。

    後書きによると、国破れて山河ありと呼べるような山河のない東京は同じ時代、時間に生きたその空の下こそが故郷なのだと言う。なるほどと思った。故郷を描いた物語だから戦後や東京を知らないわたしもやけに切ない気持ちで読めたのだろうと思う。

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    2015年10月08日
  • 晴れた空(上)

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    戦争によって孤児になってしまった少年たちの物語。読んでいてつらい描写や境遇がたくさんあったけど、少年たちは明るい。本当の戦後もこんな風に身寄りのない子達が身を寄せ合って、でも力強く生きていたんだろうか。結局は運やお金の力も大きいわけで、運のないほうとしては「火垂るの墓」を思い出す。屋根があるところで眠ることができて、ご飯があって、当たり前に学校へ行けることがどれだけ幸せか。
    夫が昔寝食を忘れて読みふけったとすすめてくれたので読み始めた一冊だけど、時節柄もちょうどよかったかもしれない。本日広島に原爆が投下されて70年。子どもたちが平和な世の中で生きていけますように。

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    2015年08月06日
  • 回転扉

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    前半はSFというか、怪談。死んだ人たちが生き返って、日本を軍国化して活性化するという、最近紹介したら、勝手にいろんな解釈を入れられそうなお話。その中途半端で突然、第2章に飛ぶと、全く別の話が始まる。

    第2章は、1章と別の話すぎて、しばらく全く違うストーリーなのかと思っていたところ、8割位読み進めたところで、突然1章とのリンクが始まる。

    死者が生き返る話以外は、全体にSF的な要素は少なく、生き返るメカニズムが明らかにされるでもなく、解決するわけでもない。生き返った連中が、なぜ現世で活躍できるのかもわからないものの、調度よいタイミングで事件に巻き込まれるため、読んでいて飽きさせない。

    しかし

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    2015年05月18日
  • 夢の底から来た男

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    悪夢からくるパラレルワールド(?)から始まり、超能力を中心に描く、ちょっと怪談チックなSF短編集。超能力と言っても、テレパシー的なものやちょっとした未来予知という、現実離れ度合いは少なく、ほぼ現代ミステリといった作品がほとんどである。

    その昔、仲間内でSFブームがあった際に、半村良も読まれていたのだけど、一部の作品は評価が高く、それ以外はそうでもなかった。本作は「そうでもなかった」の類なのだろう。超常現象によるダイナミズムが僅かで、人間関係の難しさや怖さといったところが本論になっている。

    この歳になったら、怖さがわかるようになってきたので怪談として読めるが、導入の地味でドライな人間模様の描

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    2016年09月03日