半村良のレビュー一覧

  • 小説 浅草案内

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    この空気感。いいな〜
    浅草の人情もグタグタ感もひっくるめて愛すべき町、愛すべき人が描かれた傑作。浅草に、そして故郷に帰って古い友に会って、町にがんじがらめにつかまりたい衝動にかられた。

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    2017年05月21日
  • 魔人伝説

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    超能力を持った新人類か…。誰の認識が正しいのかわからない形で終わっていくのがなかなか秀逸。途中で織り交ぜてある、筆者の社会に対する考え方も、興味深かった。
    「真の支配者は見えにくい方が安全」「官僚が真の支配者」「人類は経済的な側面だけを追求する方向へ進んでしまった」などなど。

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    2017年03月05日
  • 雨やどり

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    ネタバレ

    なんだかしみじみとした昭和歌謡が聞こえてきそうな、そんな雰囲気が全般的に漂っていまして。

    だがそれがいいんですよね。理屈とかより、人情先行の湿っぽいお話が。

    治安も良くなくて危うさをはらんでいるけれど、温もりが残っているような世界観。昨今、絶滅危惧種状態のそんな界隈が、体験したこともないのに何故かノスタルジックに感じられるんですよね、この本。

    活字だけでその雰囲気を味わわせてくれる本作。それは作者の技量故なんでしょうかねぇ。ちょいと新宿の馴染みの店に行きたくなってきちゃいました。

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    2017年02月14日
  • 石の血脈

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    石田さんのブックトークで紹介されていた一冊。
    最初はミステリーのような雰囲気を漂わせながら徐々に神話や伝奇を源流とした壮大なストーリーへと展開していく。
    すごいボリュームだったけど、続きが気になって、あれよあれよと読み進めてしまった。
    特に性の描写が直接的な表現をそこまで用いていないのにエロスを感じさせる文章が素敵だなと思った。

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    2016年09月14日
  • どさんこ大将(下)

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    詳細は上巻のレビューに記載。
    下巻は主人公の青年期からクライマックスへ。腕っ節の強くて単純で優しい主人公と粗っぽい仲間やタチの悪い連中との闘争を描く。
    師匠の噺はいつもあったかくてしんみりする。
    実はこの作品が週刊プレイボーイに連載されていた時から注目していたが「石の血脈」「妖星伝」の著者がよりによってどさんこ大将…内容も富島健夫氏のような文体で、まだ師匠の心意気に慣れてなかった頃だったので、なかば軽蔑したりもした経緯もあり集英社で単行本が上梓された時も無視したがその後冷静になり集英社文庫版を購入した。

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    2016年08月28日
  • 聖母伝説

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    伝説シリーズかつ、主人公は一般人で特殊能力を持ったりしていないので、おもしろいパターン。

    バーテンをしている店にバイトとして連れ込んだ親友が目の前で銃撃され、一命を取り留めるのだが、その親友にいろいろと不思議な過去が…。その後主人公は広告代理店に入社しながらSFを書いていくという、作者と重なってくる部分が面白い。

    厳密に言ってしまうと、SFではなく、SFのアイデアの部分だけで書いてしまったような話。というのも「多分特殊能力」というだけで、あとは特に明かされない程度である。

    SFらしさは殆ど無かったり、大きな事件に巻き込まれることもなかったり、SF談義の中では、他の半村作品が引き合いに出さ

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    2016年06月26日
  • 下町探偵局PART2

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    中学生のころ,銀河テレビ小説を見て面白かったので購入した本。なつかしい。電子書籍化もされているので思い切って整理
    カバー袖に別の作家による小説の映画化の宣伝があるのが角川文庫らしい。

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    2016年01月13日
  • 新装版 戦国自衛隊

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    自衛隊が戦国時代にタイムスリップするSF小説。兵器などハード面での近代性よりも、戦術や地図などのソフト面での近代性を駆使して進軍していく様が重点的に描かれているのが渋い。タイムスリップし、結果歴史を変えてしまった隊員たちが迎えるラストも秀逸。

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    2015年03月30日
  • となりの宇宙人

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    絶滅危惧種の虹色の半村良。日常にちょい足しのSF短編集なので、世代を問わず楽しむことが出来る1冊。で、半村良というと「なんか途中でダレる」が問題なのですが、本作ではそういうダレる作品が少なくなっています。

    なんでダレるのかと分析しながら読んでいくと、目につくのが「ビー」という作品。ビー玉のルールをひたすら淡々と3ページにわたって解説してくれるんだけど、これをもってダレない人がいたらお目にかかりたい。つまり、風景や状態の描写が過激なのだ。

    他の作品でも、「建物の隣には何があって、その横の道がどんな様子で、その店にこんな女将さんがいて」と非常に事細かく説明があり、紀行文なのかな?と錯覚するよう

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    2015年01月28日
  • わがふるさとは黄泉の国

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    歴史や民俗学にからめた話が目立つ伝奇SF短編集。かなり古い作品ですが中身は古臭くなくて面白かったです。かなりユニークな話がそろった短編集。
    お気に入りは初めの三編
    『わがふるさとは黄泉の国』
    表題作。自殺した片思い相手の出身が主人公自身のルーツでもある「自殺村」とわかり、主人公は黄泉の国とも言われるその村を訪れ不思議な体験をする。人と関わるのが苦手な主人公の内面描写がぐさぐさきて痛いです。
    『農閑期大作戦』
    最高。パワフルでコミカルで面白い。東北の田舎から出稼ぎにきた主人公たちは、工事現場で拾った金属板のために、太古に地球に飛来した宇宙人同士の争いに巻き込まれる。そこには土着の日本の神々の思惑

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    2014年12月24日
  • 能登怪異譚

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    傑作「箪笥」。これは読んでおくべきだ。語り、視点、ロケーションの変化など実に技巧的ですばらしい作品だ。次の「蛞蝓」まではまだ良かったが、後がひどい。だんだんつまらなくなってくる。「箪笥」だけのために買うのはよいと思う。

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    2014年07月10日
  • かかし長屋

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    ネタバレ

    これは多分歳をとってしまったからだと思うのだけど、今まで以上にベタな市井人情ものが好物になっている。ノアールを読みたいと思うこともないではないが、それ以上に下町の人情に触れたいと思うのである。鶏唐でがっつり生中呑み放題より、菜っ葉の炊いたんでほんのり上燗チビチビとみたいなもんである。

    さて、俺の読書歴のなかで半村良と言えば、伝奇小説もしくは日本で(世界で?)2番目に長いSF小説ぐらいしかなかったのだけど、なかなか市井人情モノのいけるじゃないかと発見できたのが今作。とある貧乏長屋を舞台とし、そこに住む人々の日常とちょっとした事件を追いかけていく連作集。

    連作と言っても1作1作は小説というより

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    2014年03月18日
  • どぶどろ

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    ネタバレ

    何も知らなければ、幸せなままでいられたのだろうか。
    社会の裏側を知ってしまった平吉の結末がなんとも切ない。
    小さな幸せでさえも、その陰には誰かの犠牲があるのかもなぁ。

    「しあわせになる為には、いろんなことから目をそむけなくては・・・見て見ぬふり・・・」

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    2014年02月16日
  • 産霊山秘録

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    表紙のイラストを見た時には、一瞬読むのをやめようかと思ったが、諦めてしまわなくてよかった。
    章は戦国時代から始まり、以降、江戸、幕末、昭和と下っていく。
    中盤辺りまで読み進めるまでは、あまりに奇抜なごった煮感にいささか面喰らい気味だったが、終いまで読めば物語がきちんと一つの連環のなかに収まり、完結していることが分かり、カタルシスを得る。
    とにかくスケールの大きな着想によって描き切られた作品だ。
    歴史小説、伝奇物としての側面が、SFという輪郭で包まれているような。
    また、作品が発表された1973年という当時の時代性も強く映し込まれている。
    高度経済成長が終わりを迎えようとしており、その代償として

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    2014年02月11日
  • 産霊山秘録

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    破天荒。痛快。戦国、幕末、昭和に関する基礎知識があれば楽しめます。
    文庫一冊に収まるのが残念な気もする。それくらい終わるのが惜しく感じられた。

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    2013年05月13日
  • 完本 妖星伝(3)天道の巻・人道の巻・魔道の巻

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    総じて官能の場面が多いので電車でうっかり読めないのは難点ですが……SFとしてのこの小説の構成は素晴らしい。

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    2013年03月29日
  • 能登怪異譚

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    まるで夜語りの民話のように、朴訥とした能登弁での一人称で語られる物語は、モダンホラ-とは対極的な位置にあるようにも思われるが、それに勝るとも劣らない怖さを味わわせてくれる。
    代表作「箪笥」の何とも説明のつかない奇妙な味とぞくりとする読後感、「雀谷」「蟹婆」で描かれるのはS・キングらのモダン-田舎-ホラーを凌ぐ恐怖と惨劇……その他全9編の"もっしょい"(面妖な)話を収録。

    村上豊氏ののどかな挿絵もなぜか内容にマッチしていて、むしろ怖さを引き立ててすらいるのだから、不思議。

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    2013年04月24日
  • 産霊山秘録

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    2012/08/28:歴史の裏で暗躍する特殊能力者一族の話。ツッコミ所は多々あるものの戦国時代からアポロ計画まで出てくるスケールの大きさに引き込まれました。

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    2012年08月28日
  • 完本 妖星伝(3)天道の巻・人道の巻・魔道の巻

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    ネタバレ

    知らないうちに「完本」3巻になっていたので、何年か振りに再読。
    江戸時代、神道に対する形で発展してきた鬼道衆達が信奉する「外道皇帝」がこの世に生まれ落ちたところから始まる、大伝奇大河SF。

    その皇帝は実はポータラカから来た宇宙人で、あるメッセージを全宇宙に発するために地球の進化に介入した。それで、地球は他の天体とは全く異なる、生命同士が喰らいあう妖星になってしまった、という壮大なお話。

    何度読んでも、あまりのスケールの大きさに圧倒され、皇帝が地球の進化を促進する為にセックスに快楽を与えた、などという発想のすごさに感嘆。人生観を変えてしまうまでの作品ですが、最後があまりにまとまりすぎててちょ

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    2012年02月06日
  • 新装版 戦国自衛隊

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    ネタバレ

     映画を見たのは随分前ですが、今回映画で見た主なキャストを当てはめながら読んでみました。
     映画とは若干内容が違うところもありますが、結構楽しめました。

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    2012年01月24日