半村良のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
始めての半村良。冒頭の銅線泥棒のところを読んでるときは、地味な話じゃないのかと心配だったけど、いきなり100メートルを6秒3で走る男(女?)が出てきてからは、バッチリ。アトランティス、暗殺教団なんかの大仕掛けもいいけど、一般人の生活から史実を元に想像を膨らませていくという「超」のつかない伝奇小説は、菊地秀行とかの最初から爆走しちゃってる「超伝奇小説」を読んでた身には逆に新鮮に感じられる。これ面白いよ。「ヴァンパイヤー戦争」とか「総門谷」とか、モロにこれの影響を受けてる感じだし、菊地秀行や夢枕獏の小説にセックスシーンが多いのはこの人のせいじゃないかという気がしてきた。
柘榴のママが席を立つ描 -
Posted by ブクログ
最初はミステリーかと思うようなはじまりで、
様々な伏線が用意されていくが、
古代文明に対する考古学や土俗信仰などをふまえてというかこじつけて
途中からオカルトチックな展開になっていく。
好きなジャンルだった。
途中ミステリにありがちな冗長な説明的な部分も続くし、
風呂敷を広げすぎて最後どうなるかと心配になるが、
きちんと最後は哲学的落とし所があって、納得した終わり方でした。直接的な文章でわかりやすかったし、
最後まで読んでみると退屈はしなかったです。
人間の欲はどこまでも深い。
権力(支配欲)、色欲、不死⋯
権力と下層消費者(奴隷)では同じ価値観は共有しえない。
けれど権力者は奴隷なしには -
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馬から落ちて落馬した
低硫黄のインドネシア産原油って。
インドネシア産石油の特徴が、硫黄分が低いのではなかったっけ。
ちなみに硫黄分が多いのはイラン産とかになります。
今日日硫黄分の除去技術は高いので、硫黄は石油の副生物で賄われてるそうな。
硫黄はゴムの架橋とかに使われてますね。この時酸化亜鉛は必須。
スポンジゴムはほぼ硫黄架橋。車のドアやトランク枠とかも発泡体ですね。
TPEが増えてるみたいですが、これは例外。
まあ、お好みで。 -
購入済み
名作戦国自衛隊の続編
名作戦国自衛隊の続編的な作りをしている作品である。戦国時代末期の世界に現代の自衛隊が飛び込んだらどうなるかを結構リアルに描き出している。ストーリーの舞台となる時代も関ヶ原の戦いの前夜という緊迫した時代なので大変に面白い。自衛隊も典型的な役所なので不慮の事態に対応できない という可能性は十分にありそうである。
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昭和十八年から平成二年まで、葛飾は立石の長屋の人々が、故人の命日に集まっては酒を酌み交わしつつ往時を偲ぶ。しかし時は容赦無く過ぎていく。敗戦をむかえ、高度経済成長のなかでそれぞれが必死で生き抜いていこうとするが、年をとっていくことはどうしようもない。かつて集っていた面々が、ひとり、またひとりと旅立っていく。そして、あの酷い、誰も望まなかった戦争を始めた、とてつもなく罪深い者も下血して旅立ち、元号が変わる。土地に刻まれた人々の暮らし。人々は移り変わり、土地もまた姿を変えていく。誰の記憶にもやがて残らなくなっていく日々の営みは、しかし、かつて、その土地に確かにあったのだ。
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50年前の小説。書店にキャッチーな装丁で平積みにされているのを見かけるまで、半村良というSF作家を知らなかった。
表題作長編2作と、ショートショートレベルの短編3編。エッセイ1編。
メインはもちろん長編。
SFなのかなと思っていたら、「不可触領域」の方がかろうじてSFテイストを残しているものの政治をからめたエンタメ小説。
とりわけ「軍靴の響き」は、戦後における再軍備をめぐる社会シミュレーションのような感じ。
重苦しいテーマだけれども、会話を使って飽きさせず、わかりやすく伝えてくる筆力は見事。さすが直木賞作家。
戦争の記憶が我々よりも強く世の中に残っている頃の作品を、戦争が完全に対岸の火事にな