半村良のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
知り合いが多くて、会話も多い。なんて羨ましい環境だろうか。
第五話「一文の酔い」を読んでいるときに、ふとそんな思いがよぎった。元来の人脈の乏しさに輪をかけて、いまは非常に限定的な範囲でしか人と交流できていない。
私の浅草来訪歴は、(恐らく)ほんの1回。数年前、新春浅草歌舞伎を観に上京した時だ。
本書は帰る途中に立ち寄った本屋に置いてあって、来訪記念に購入したものである。今回初めて読み通したが、筆者が住み着いた昭和末年の浅草が、私が目にしたそれとは全く異なっていた。
外国人の影はなく、至るところで江戸っ子言葉が飛び交う、まさにイメージ通りの浅草。人物の容姿を揶揄する等ムッとするような描写もあったが、タイムスリップして覗いてみたくもなった。
「下駄をはいて浅草うろつく私は、ひと足ごとに過去を踏んづけて歩いているわけだ」(P. 75)
「みんな、生きたいように生きればそれでいいのさ。日和下駄を鳴らして」(P. 298)
物語は筆者目線で語られており、彼を取り巻く人々の人情噺が展開されている。(人間関係に関しては、どこまでが真実か分かりかねるが…)
筆者は下駄を愛用しており、カラコロと街を練り歩く姿は両津勘吉を彷彿とさせた。両さんほど口やかましくなくて寧ろおとなしい方だけど、両さん同様、浅草にベタ惚れしているのがよく伝わってくる。
よそ者には手厳しそうだけど、あんな賑やかな環境にいたら確かに退屈しなさそう。
実際筆者は、充実した日々を送られていたと思う。それでも物語の進行的にはこう願わずにいられなかった。
周りの浅草っ子たちには、どんどん筆者を巻き込んでいってほしい。憧憬しながらもその輪に入れなかった私の代わりに。 -
Posted by ブクログ
始めての半村良。冒頭の銅線泥棒のところを読んでるときは、地味な話じゃないのかと心配だったけど、いきなり100メートルを6秒3で走る男(女?)が出てきてからは、バッチリ。アトランティス、暗殺教団なんかの大仕掛けもいいけど、一般人の生活から史実を元に想像を膨らませていくという「超」のつかない伝奇小説は、菊地秀行とかの最初から爆走しちゃってる「超伝奇小説」を読んでた身には逆に新鮮に感じられる。これ面白いよ。「ヴァンパイヤー戦争」とか「総門谷」とか、モロにこれの影響を受けてる感じだし、菊地秀行や夢枕獏の小説にセックスシーンが多いのはこの人のせいじゃないかという気がしてきた。
柘榴のママが席を立つ描写とか、ちゃんと後の事件を暗示していてうまい。今さら俺がいうことじゃないけど、やっぱうまい人の小説はいいよ。マキとのセックスシーンとか、菊地・夢枕に比べると過激な描写ではないんだけど、なんともいえない色っぽさがある。ただ香織に関してはあんまりいい女だという気がしない。ちょっとした仕種の描写を積み重ねたりするのがやっぱり重要なのかな。
病気に感染すると性欲が異常に高ぶってずっと乱交してるとか、兄弟で移った場合は狼人になるとか、石化してから3千年後に不死になるとか、石化をとめるために血を飲む必要があるとか、設定がメチャ魅力的。巨石文明や暗殺教団の歴史的事実との整合性の取りかたも見事。血というか情の部分でも、姉に犯されて狼人になる次郎とか、自分を愛していると思っていた香織が実は自分の親友の伊丹を愛していたとかおいしい展開だし。久しぶりに大当たりを読んだという気がする。
ラストがちょっとあっけない気もするけど、比沙子のところでちょっとホロっとさせられたから、まあいいでしょう。でもこの終わり方だと、続編もありそうだけどね。他の作品に続いてたりするのかな?
それはそうと<クロノスの壺>のオリハルコンはどうなったんだろうね。
独創的な吸血鬼小説という意味では群を抜いてる。「フィーヴァードリーム」も問題じゃないね。 -
Posted by ブクログ
最初はミステリーかと思うようなはじまりで、
様々な伏線が用意されていくが、
古代文明に対する考古学や土俗信仰などをふまえてというかこじつけて
途中からオカルトチックな展開になっていく。
好きなジャンルだった。
途中ミステリにありがちな冗長な説明的な部分も続くし、
風呂敷を広げすぎて最後どうなるかと心配になるが、
きちんと最後は哲学的落とし所があって、納得した終わり方でした。直接的な文章でわかりやすかったし、
最後まで読んでみると退屈はしなかったです。
人間の欲はどこまでも深い。
権力(支配欲)、色欲、不死⋯
権力と下層消費者(奴隷)では同じ価値観は共有しえない。
けれど権力者は奴隷なしには存在しえない。権力や資本が人類社会に寄生するものだから。
この構造がそのまま物語の血のモチーフや超自然的な存在と対比して描かれているので身近なものとして感じられた。
単なる伝奇怪奇とした稚拙さは感じられない。大人向け伝奇。
ああ、でも昭和かも。権力や出世やエロが前面に出てるので昭和の男性が好みそうなテイストかもしれない
昔の本だし価値観も違うのは当然だけどZ世代は嫌いかもしれないな
永遠の愛という言葉があるけれど
儚い命だからこそ人は繋がっていられるのかも。
ちょっと官能小説のようなところもあったり、
敬虔なカトリックなんかは宗教学的に嫌悪感を抱くところもあるかもしれません。 -
購入済み
馬から落ちて落馬した
低硫黄のインドネシア産原油って。
インドネシア産石油の特徴が、硫黄分が低いのではなかったっけ。
ちなみに硫黄分が多いのはイラン産とかになります。
今日日硫黄分の除去技術は高いので、硫黄は石油の副生物で賄われてるそうな。
硫黄はゴムの架橋とかに使われてますね。この時酸化亜鉛は必須。
スポンジゴムはほぼ硫黄架橋。車のドアやトランク枠とかも発泡体ですね。
TPEが増えてるみたいですが、これは例外。
まあ、お好みで。 -
購入済み
名作戦国自衛隊の続編
名作戦国自衛隊の続編的な作りをしている作品である。戦国時代末期の世界に現代の自衛隊が飛び込んだらどうなるかを結構リアルに描き出している。ストーリーの舞台となる時代も関ヶ原の戦いの前夜という緊迫した時代なので大変に面白い。自衛隊も典型的な役所なので不慮の事態に対応できない という可能性は十分にありそうである。