半村良のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
先年、集英社より再刊されているのは、気づいていた。出張先の横浜は日吉駅の書店で積み上げられているのが目に留まる。おお、これならば読み返せそう。
頻度は多くなかったが、これまで復刊されるごと、幾度となく読み返してきたもの。今回、そのインターバルは長く、ストーリの詳細は頭から抜けきっていた。今の年齢で再読してみても、やなり超特の面白本との感想に変わりはなし。本能寺の変の意味付けを天皇制の擁護としたのは、本書が嚆矢ではなかったか。そういやあ、只今の大河ドラマも同じだった。
SF小説が現在よりも更にマイナーなジャンルだった頃に、SFの定番的手法を網羅して綴られた時代・伝奇小説であり、尚かつ大衆小説 -
Posted by ブクログ
イスラムの暗殺教団、アトランティス、巨石信仰、人狼、吸血鬼、永遠の命、サンジェルマン伯爵。
SF・伝奇モノの定番プロットがぎっしり詰まったミステリーの傑作。
どのネタも今では手垢がついた感じだけど、これが1971年に発表されたというのが驚き。
密度の濃いストーリー、骨格のしっかりしたキャラクター。
今どきの小説にはない無骨だけどストレートなエネルギーに押されて一気に読まされてしまいました。
中盤以降、提示された謎に登場人物ひとりひとりがパズルのピースのようにパチリとはまっていく展開に目が離せなくなります。
頁を繰る手が止まらなくなる、まさにページターナー!
※男女の描写が相当エロいので -
Posted by ブクログ
10年以上前に一度読んで、強烈に印象に残っていた作品を、もう一度読んでみた。初版は1988年出版され、日本SF大賞を受賞している作品だそうだ。昭和の匂いがプンプン漂う下町の人情話と、無敵な超能力者という奇妙な取り合わせだが、全然無理は感じない。
何の変哲もない下町にアパート暮らしする平凡なサラリーマン岬一郎が、ひょんなことから超能力を発現し、次第に力を強大化させていくストーリーだ。岬一郎は、超能力が社会に及ぼす影響を恐れ、自らを律し能力の行使を封印する。だが、社会は過剰に反応し、次第に岬一郎を排除する方向へ動いていく。
といったあらすじだが、主人公はこの超能力者岬一郎ではない。同じ町内で小 -