半村良のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
能登の言葉?
最初、とっつきが悪かったんですが、すぐに気にならなくなって。
短編集って沢山読むと、「あれ?この話、どんなのだっけ?」
ということがよくありますが(え?私だけ?)これは忘れられない
話のオンパレードです・・・とここまで書いて、ふと思った。
翻訳ものを読むことが多いのですが、原題と邦題が違うものが
かなりあります。ひょっとすると、その邦題が今ひとつなのかも。
登場人物たち自身は淡々と生きているだけで怖い思いを
していない話って、こちらの怖さは倍増しますねー。
■箪笥
なんで箪笥の上にいるのかわかんないのが怖いっ
しかもね・・・
■蛞蝓
ナメクジと言えば塩。でもこの、蔵での女房の描写はやりすぎ・・・
■縺れ糸
神の恩賜で暮らす老夫婦にいらぬおせっかいを・・・
芥川でありそうな掌編。
■雀谷
象塚ってありますよね。雀も・・・っていうのは大枠で。
更に外枠が・・・
■蟹婆
目のない蟹ってだけでもう・・・
こういう村って実は本当にあったのでは・・・
どこかにまだあるのでは・・・うきゃ。
■仁助と甚八
これはかなり技巧的な作り。
読んでて、どちらがどちらか、だんだん惑わされます。
■夫婦喧嘩
犬も食わないってやつですね。
される方は溜まりませんが、話としてはこれだけが微笑ましい・・・
■夢たまご
「邯鄲の夢」ですか。輪廻転生って案外こういう仕掛けかも。
■終の岩屋
ある意味、モーロワの「タナトス・パレス・ホテル」。
あれより、死なないのが更に深い。 -
Posted by ブクログ
先年、集英社より再刊されているのは、気づいていた。出張先の横浜は日吉駅の書店で積み上げられているのが目に留まる。おお、これならば読み返せそう。
頻度は多くなかったが、これまで復刊されるごと、幾度となく読み返してきたもの。今回、そのインターバルは長く、ストーリの詳細は頭から抜けきっていた。今の年齢で再読してみても、やなり超特の面白本との感想に変わりはなし。本能寺の変の意味付けを天皇制の擁護としたのは、本書が嚆矢ではなかったか。そういやあ、只今の大河ドラマも同じだった。
SF小説が現在よりも更にマイナーなジャンルだった頃に、SFの定番的手法を網羅して綴られた時代・伝奇小説であり、尚かつ大衆小説としても成功した希少な例でありました。
(2006年記) -
Posted by ブクログ
イスラムの暗殺教団、アトランティス、巨石信仰、人狼、吸血鬼、永遠の命、サンジェルマン伯爵。
SF・伝奇モノの定番プロットがぎっしり詰まったミステリーの傑作。
どのネタも今では手垢がついた感じだけど、これが1971年に発表されたというのが驚き。
密度の濃いストーリー、骨格のしっかりしたキャラクター。
今どきの小説にはない無骨だけどストレートなエネルギーに押されて一気に読まされてしまいました。
中盤以降、提示された謎に登場人物ひとりひとりがパズルのピースのようにパチリとはまっていく展開に目が離せなくなります。
頁を繰る手が止まらなくなる、まさにページターナー!
※男女の描写が相当エロいので、そういうのが苦手な人は受け付けないかもw -
Posted by ブクログ
10年以上前に一度読んで、強烈に印象に残っていた作品を、もう一度読んでみた。初版は1988年出版され、日本SF大賞を受賞している作品だそうだ。昭和の匂いがプンプン漂う下町の人情話と、無敵な超能力者という奇妙な取り合わせだが、全然無理は感じない。
何の変哲もない下町にアパート暮らしする平凡なサラリーマン岬一郎が、ひょんなことから超能力を発現し、次第に力を強大化させていくストーリーだ。岬一郎は、超能力が社会に及ぼす影響を恐れ、自らを律し能力の行使を封印する。だが、社会は過剰に反応し、次第に岬一郎を排除する方向へ動いていく。
といったあらすじだが、主人公はこの超能力者岬一郎ではない。同じ町内で小さな印刷屋を営む、ジャーナリスト上がりの野口という男の視点で、物語は綴られていく。近所のおっちゃん、おばちゃんたちは、岬の能力に驚き、感謝し、隣人であることを誇りに思い、支持しサポートし始める。権力は、岬の能力を警戒し、恐れ、いらだち、やがて排除しようとし始める。ジャーナリズムは、まずネタに飛びつき、もてはやし、大騒ぎして、やがて権力に迎合して、岬を糾弾し始める。
著者は、野口という男に、元ジャーナリストというバックグラウンドを与えた。当の岬一郎には、ほとんど何も語らせず、野口の目を通して三者三様の反応の推移を、ある意味第三者的視点で語らせていく。うまいやり方だ。と同時に、そういった演出意図を読者に感じさせない著者の筆力に感心させられる。
この物語の主題は、本文中にも書かれているが、キリストの受難を現代に(といっても20年以上前だが)再現したことだろう。読み進めるうちに、もしかしたらイエス・キリストも超能力者で、岬一郎が物語の中で直面するような葛藤や不安を経て、悟りを開いたんじゃないかなんて気になってくる。いろいろ考えさせられる物語だ。
最後になったが、残念ながらこの本はもう絶版になっているらしい。紙の本は古本屋でしか手に入らないようだ。私は、昔買った文庫本はどこかに行ってしまったが、電子書籍版を購入して読んだ。XMDF形式でダウンロード可能だ。