あらすじ
コピーライターの私は、江戸時代の戯作者山東京伝の現代にも通用する広告のセンスに親近感を抱いていた。私は、ひょんな事で、江戸時代の岡ッ引き“平吉”が書いた古日記を入手、日記には、京伝の妹“およね”への恋と、彼女が神隠しにあったらしい異変が記されていた。――そんな時、CMに登用した人気歌手が、知るはずのない日記の内容を熟知している事に気づいた! 彼女によってよみがえった、二百年後の恋のゆくえは……。表題作の他「収穫」等を収めた、半村良の傑作短編集。
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Posted by ブクログ
ワタクシにとっての半村良というと、この本だ。中学以来の再読だが、その1回めに読んだ時には、表題作の途中で挫折した。
表題作はタイトルのとおり。江戸時代の発明家で戯曲家の山東京伝の資料を漁っているうちに、明らかに辻褄の合わない文言にぶつかる。そこで出てくる「およね(米)」が昭和にタイムスリップしてくる?
ちなみに、長編ではなく、短編集。ただ、表題作も京伝について、思い入れを延々と語り尽くすため、まあ読みにくい。これこそ半村良スタイルなのだが、この歳になると読めてしまうのですが、中学生には厳しかろう。
表題作の他にも、コピーライター/CM作家を主人公にした半村良主人公の作品が並ぶ。時に落語調であったり、ショートショートだったりするあたり、かんべむさしを髣髴とさせる。それぞれそれなりに面白いが、こう、突き抜ける程のものはないんだよね。
最後の矢部が主人公のハードボイルドはイマイチ…。やっぱりこの人は、ハードボイルドは合わないわ。