【感想・ネタバレ】半村良“21世紀”セレクション1 不可触領域/軍靴の響き 【陰謀と政治】編のレビュー

あらすじ

SF史上最も恐れられた〝予感の書〟復刊。

日本SF界初の直木賞作家・半村良。戦慄のビジョンが令和に蘇る!
油田開発を巡りテロの標的となった日本が再軍備「いつか来た道」を逆走する(『軍靴の響き』)。
豊かな地方都市が濃霧に包まれた夜。山中の研究所で生物学者が謎の集団自殺。
豹とナマケモノを用いた謎の実験は、巨大な政治的陰謀へ繋がっていた(『不可触領域』)。
権力と嘘に翻弄されるディストピアの悪夢、ここに集成。(解説 マライ・メントライン)

トクマの特選!
カバー・口絵イラスト 慧子

〈目次〉
〝 21世紀?セレクション 半村良編 編纂にあたって

PART1 黒い陰謀
フィックス
不可触領域
賄賂のききめ

PART2 闇の中の戦争
Essay 凡人五衰
軍靴の響き
怪談桜橋

解説 マライ・メントライン

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

『怪談桜橋』が素晴らしい。千鳥足で桜橋を歩く主人公はもんぺ姿の女とすれ違う。突然周りは火の海となり、1945年3月9日の空襲だと気づく。幼い頃の記憶を頼りに女を安全な場所へ避難させようとするが…。

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2023年09月27日

Posted by ブクログ

50年前の小説。書店にキャッチーな装丁で平積みにされているのを見かけるまで、半村良というSF作家を知らなかった。

表題作長編2作と、ショートショートレベルの短編3編。エッセイ1編。
メインはもちろん長編。
SFなのかなと思っていたら、「不可触領域」の方がかろうじてSFテイストを残しているものの政治をからめたエンタメ小説。
とりわけ「軍靴の響き」は、戦後における再軍備をめぐる社会シミュレーションのような感じ。
重苦しいテーマだけれども、会話を使って飽きさせず、わかりやすく伝えてくる筆力は見事。さすが直木賞作家。
戦争の記憶が我々よりも強く世の中に残っている頃の作品を、戦争が完全に対岸の火事になってしまった現代、そしてその対岸ではリアルタイムで派手に火事が起こってしまっている現代に読むことの意味。考えさせられた。

私のように、装丁のかわいい女の子に惹かれて軽い気持ちで手に取って、しっかりと考えさせられる人がもっと増えたらいい。

0
2023年05月04日

Posted by ブクログ

ポリティカルフィクションを集めたの作品集なのでSFっぽいのは「不可触領域」かな。ナマケモノを扱うアイデアが好き。共通して言えるのは市井の人を描くのがうまいですよね。

PART1 黒い陰謀
フィックス
不可触領域
賄賂のききめ

PART2 闇の中の戦争
Essay 凡人五衰
軍靴の響き
怪談桜橋

0
2023年05月13日

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