浜矩子のレビュー一覧
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筆者は経済問題のトーク番組に割合と顔をお見かけするかたです。辛口のコメントと印象深い顔立ちやファッションのせいもあり、まとまった論旨を知りたいと思っていたら、タイミングよくこの本を見つけたので早速読んでみました。副題にもあるように、1ドル50円時代もまさかのことではなく現実に起こりますよ!と根拠をひとつひとつ積み重ねて述べていく内容になっています。この推論が正しいかどうか、シャーロック・ホームズの名言を引き合いに出しているのが興味深いところです。
私たちの年代では1ドル=360円が馴染み深い為替レートですが、このように基準通貨ドルの価値が固定されていた時代からすると、今は80円を切っていますから確かに隔絶の感です。円高円高と少し前には毎日のように経済ニュースで大騒ぎしていたから、円がドルに対して高くなるのはいけないことなのねえ・・でも、高い方がいいようにも思えていました。むろん、輸出産業がダメージを受けるので大変だということも分かるのですが、そう悪いことでもないと思っていたら、この本でも今や、東日本大震災があった後でも大して値を下げなかったくらい有事に左右されない円になったとのことです。ひと昔前は「有事に強いドル」が定番だったようなのですが・・それだけアメリカの国力の低下があるわけです。
この本ではまず基本のこととして貨幣と通貨はどう違うのか、通貨に力をもたらすものは何かから説明しています。そしてワーグナーの歌劇、「ニーベルングの指輪」の筋書をもとに「黄金の指輪の呪い」というようなドラマチックな表現を使いながら、金の保有量に見合った通貨の額しか発行できない金本位制の時代から始まる通貨の歴史を追っていくので、まるで世界史の授業を受けている気分でした。ポンド・ドル・ユーロなどの通貨を巡る現在までの世界経済の成り立ちやそれに日本の立場がどう関わっているのか敬遠しがちな複雑な因果関係が、するすると読むうち分かった気になる内容でした。その意味では普段の経済関係ニュースで報道される出来事がどうにも理解できないと思う方にお勧めの本です。
筆者は最後に来るべき21世紀通貨のあり方を述べていますが、強くなった円という通貨を持つ国民として、日本も真に豊かな社会を実現すべく地域経済の活性化を考えていくことが大事だと思うところでした。 -
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■通貨
1.リセットは極めて難しい。慣れ親しんだ昔の姿でやっていきたい。少しばかりの調整を施せば、このままやっていけるのじゃないか。この希望的観測の下に、元の木阿弥を志向する。このような具合で、我々は前には進めない。前進さえできれば、たとえ一時は闇に突入しても、その先には新たな夜明けが待っているはずだ。
2.フランスのトゥールーズ市では、市とNGOが共同で地域通貨「ソル・ヴィオレット」開発し地域を活性させている。
3.1929年の大恐慌時、ドイツのシュヴァーネンキルヘンでは地域通貨「ヴェーラ」を使い、経済を活性化させた。時間が経過するほど貨幣価値が下がる仕組み。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ何とも冴えない日本経済も資産ストックの観点から見れば、まだまだ安定感がある。何と言っても世界の中では押しも押されもせぬ債権大国。世界を振り回した円は、基軸通貨とまではいかないまでも闇将軍的な意味合いにおいて、疑似基軸通貨といってもよい影響力を行使した。円高は日本経済が成熟してきた結果であり、当然の帰結である。この円高環境に日本経済の構造を適合させていくことこそが賢明な生き方である。ところが、日本はプラザ合意を契機に通貨的太平の眠りから目を覚ますべきであったにもかかわらず、金融大緩和という強力な眠り薬を自らに投与することにより目覚めることを拒否してしまった。これがため、新型デフレという高いツケを払わされる羽目にまで陥ってしまった。先進成熟経済大国となっている日本が高度成長と同じ集権的管理のメカニズムで回しているのだ。古い枠組みで新しい展開に対応しようとしてもミスマッチがある限り次の新天地にはどうしようも辿り着けない。パックス誰それの時代は終わっており、今やグローバル無極化通貨時代。行き詰ったときは、これまでの状況と全く逆のイメージで考える正反対アプローチが肝要。産業空洞化問題が重くのしかかる日本経済の重圧をはねのけるには、去る者追わず来る者拒まずの愛嬌と度胸の心意気が欠かせない。切れ味鋭い巧みなレトリックで著者は円高こそ変革のチャンスと訴える。具体的提言にまでは至っていないものの、示唆に富んだ警句が随所にちりばめられており、学ぶべき点、多々あり非常に勉強になった。
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実は、TV番組で見た筆者の浜矩子氏は、現実の事業からは遊離した評論家的なイメージを受けたのであまり好きでなかった。しかし、本書を読み印象がガラリと変わった。「地球経済」を殺す(ダメにする)犯人を探し出す探偵七つ道具「ドラマ」、「人」、「数字」、「座標軸」、「反対」、「歴史」、「言葉」を使い、判りやすい切り口で述べられている。これらは、地球経済だけでなく、我々が日頃営んでいる事業活動でも通用する探偵七つ道具であるとも感じた。また、ユーモラスな「二日酔い男」の登場が、遠い存在の「地球経済」を身近に感じさせてくれる。
正直言って、私自身の日頃の生活や仕事をしていく上で、世界の経済動向へ影響を及ぼす原因を理解すると、仕事や生活が直接影響を受けるわけではない。しかし、一方で、我々は世界経済、その中の日本経済の中で仕事をし、生活し、その中で大きく影響を受けて、我々や子供達の運命が決まっていく。
古代の人は雷や台風が来ると神の怒りと考え恐れていたかもしれないが、現代の我々は静電気現象や熱帯低気圧により引き起こされる気象現象と理解しているので、適切な対応がとれる。私も、世界経済を激しく変化させている犯人や仕組みを多少なりとも理解し、ただ運命に流されるのではなく自分や子供達に冷静に行動し、自分達の未来を切り拓いていければと思った。 -
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ローマ帝国の時代、大航海時代、といままで2つのグローバル化があったが、
現在は第三次グローバル化の時代を迎えている。
ただ、いままでは地球が大きくなるグローバル化であったのが
今回のグローバル化が「地球を小さくする」グローバル化だということである。
最近の日本経済の状況については非常にわかりやすく説明されて
大変勉強になったが、結局のところわれわれはどうすべきかについては
かかれて入るのだが、あまり意味がわからなかったのが残念。
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恐慌前夜の地球経済は本当にスタグフレーションの再来だったのか、さにあらずである。
1970年代が「景気が悪いのに物価が上がる」時代だったとすれば、
グローバル恐慌前夜の地球経済を覆っていたのは、「物価が上がるから景気が悪くなる」だ!
資本主義を変えた「擬似資本家」
経営者という第三の存在(「資本」対「労働」に加え)に加え、第四の存在「擬似資本家」が出現した。
いわゆる投資ファンドたちである。彼らは同時に擬似経営者でもありながらいわば「雇われ者」集団である。
したがって、時として危うさを承知で危険な投資に手を出してしまう。
四分極化する労働者たち
資本主義の構図は「資本」と「労働」を基本骨格としていたが、いまや「労働」と「労働」が対立する
新しい二元構図の世界へと向かいつつある。(「正規労働者」と「非正規労働者」)
さらに加え、「外国人労働者」、「労働難民化する人々」を加えた四元対立の世界となっている。 -
Posted by ブクログ
終始、寒い構成が好みではなかったが、
アベノミクス=大日本帝国の再来説は
興味深く面白い内容であった。
確かにこれらの政策が始まってから、
ブラック企業が淘汰されたり、36協定や残業時間の縮小が促進され、いわゆる「働き化改革」なるものが急スピードで推し進められたのは肌感覚としてあった。
著者の考察だと、働きやすい環境を構築することで、子どもから老人まで、全年齢の生産量を増やしGDPを上昇させるというもの。
その結果として、日本という国家から国民が今よりも搾取される構図が完成する。
個人的には少子高齢化がますます進行しており、人数ではなく一人ひとりの生産性をあげる政策を取るのは仕方がないとも思った。
結論として、生産性や働き方が良い方向に進んだからといって、人間が幸せになれる分ではないし、
そこは切り離して考えるべきだ。
うまく生きるためには、仕事ではなく
どういう生活をすれば幸せになれるか。
そのためには何をする必要があるのかを
今一度考えなければならない。 -
Posted by ブクログ
人は何のために働くのか。
ほとんどの人がお金のために働くと答えるだろうなと言うことは想像できました。
就職活動で自己実現や承認欲求を満たすためと、企業側に沿う意思表示をする。その結果が今の日本の現状に繋がるのかも。
古代の奴隷たちは身分は低いかもしれないが、最低限の生活の保証があったことを考えると、時代の進歩が必ずしも人を幸せにする訳ではないのかもしれません。
筆者は、マルクスの「必要の領域」から「自由に領域」への移行は選択する自由があり、初めて生まれる考え方の気もしました。売り手市場であれば、選択も自由になるかもしれませんが、一握りの人が得る果実ではないでしょうか。
働くことの意味は人それぞれかもしれませんが、古代、中世、近代、現代で常にサバイバルの様な気もします。不労所得者には、憧れますが。 -
Posted by ブクログ
ブロックごと個別の説明をしているので、これはこれで概略理解はできた。
しかしそもそもの「通貨の正体」については、詳細の説明がされていない。
それもそのはずで「説明のしようがない」ということがある。
逆に本質の説明はある。
「すべては人間の妄想。だから通貨こそが本当の『仮想』通貨。人間の信用ありきなのだから『人本位制』である」
説明とはこの一行に尽きるのかもしれない。
個別説明は「ドル」「ユーロ」「仮想通貨ビットコイン」「バンコール」「人民元」「SDR」「日本円」と章ごとに行われている。
確かに「通貨とは何か」という問いは命題が広すぎる。
個人的には仮想通貨の未来に興味があるが、それは今のリアル通貨とも相対的に関わってくる話だ。
リアル通貨が電子マネー化していく中で、益々「仮想」化は加速していく。
中央銀行が発行する電子マネーは、確かに仕組みとしてブロックチェーンは使っていないかもしれないが、ユーザーからはどう受け取られているのだろうか。
街の買い物で決済として使えるので、リアルだろうが仮想の電子だろうが、事実として人々にとって違和感なく受け入れられているのだろう。
年代にもよると思うが、通貨としての信用が継続しているということだ。
利便性を考えても、益々電子化の流れは止まらない。
その中で一方の「仮想(暗号)通貨」の意味合いはどう変化していくのだろうか?
そんな事を考えると益々通貨が不思議なものに思えてしょうがない。
世界中の人々の妄想で成り立っている「通貨」。
実態があるようで、妄想だからその足元はあまりにも脆すぎる。
人類の価値観が大きく変化した瞬間に、「通貨」の概念が大きく変化する可能性もなくはないのだ。
個人的にはそういう日が遠からず訪れる気がしてしようがない。
何らかの通貨のような「ポイント(単位)で判断する数値」はあるかもしれないが、それは所詮ゲームのスコアのような、それぐらいの価値のものになるような気がするのだ。
究極言えば、食料が無限に無料で手に入るようになれば、人々は働くことが不要になる。
つまりお金を稼ぐということに意味がなくなってしまうのだ。
人によっては高級マンションに住みたいとか、いい車に乗りたいとかあるかもしれない。
そういう人はゲームのスコアを上げればいい。
しかしただ生きていくだけならば、スコアゼロでも、そのゲームに参加すらしなくても生きていける。
食料だけでなく、結構なサービスも無料で提供されているので、人生を暇つぶしするには十分過ぎるくらいだ。
テクノロジーの進化を考えると、そんなことが本当に起こるような気がしてしょうがない。
それもそんなに未来の話でなく、数十年の内に訪れるような気がするのだ。
そうした世界が幸せなのか、どうなのかはなってみなければ分からない。
その頃は人類の寿命も延びるだろうから、益々暇つぶしが大変になっていきそうだ。
通貨はどう変化していくのだろうか。それは人類の生活がどう変化していくのかにかかっている。
「お金っていうのが昔あったのよ」
こんな会話がされる日が本当に訪れるかもしれない。
(2021/6/26)