浜矩子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
筆者は経済問題のトーク番組に割合と顔をお見かけするかたです。辛口のコメントと印象深い顔立ちやファッションのせいもあり、まとまった論旨を知りたいと思っていたら、タイミングよくこの本を見つけたので早速読んでみました。副題にもあるように、1ドル50円時代もまさかのことではなく現実に起こりますよ!と根拠をひとつひとつ積み重ねて述べていく内容になっています。この推論が正しいかどうか、シャーロック・ホームズの名言を引き合いに出しているのが興味深いところです。
私たちの年代では1ドル=360円が馴染み深い為替レートですが、このように基準通貨ドルの価値が固定されていた時代からすると、今は80円を切っていますか -
Posted by ブクログ
■通貨
1.リセットは極めて難しい。慣れ親しんだ昔の姿でやっていきたい。少しばかりの調整を施せば、このままやっていけるのじゃないか。この希望的観測の下に、元の木阿弥を志向する。このような具合で、我々は前には進めない。前進さえできれば、たとえ一時は闇に突入しても、その先には新たな夜明けが待っているはずだ。
2.フランスのトゥールーズ市では、市とNGOが共同で地域通貨「ソル・ヴィオレット」開発し地域を活性させている。
3.1929年の大恐慌時、ドイツのシュヴァーネンキルヘンでは地域通貨「ヴェーラ」を使い、経済を活性化させた。時間が経過するほど貨幣価値が下がる仕組み。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ何とも冴えない日本経済も資産ストックの観点から見れば、まだまだ安定感がある。何と言っても世界の中では押しも押されもせぬ債権大国。世界を振り回した円は、基軸通貨とまではいかないまでも闇将軍的な意味合いにおいて、疑似基軸通貨といってもよい影響力を行使した。円高は日本経済が成熟してきた結果であり、当然の帰結である。この円高環境に日本経済の構造を適合させていくことこそが賢明な生き方である。ところが、日本はプラザ合意を契機に通貨的太平の眠りから目を覚ますべきであったにもかかわらず、金融大緩和という強力な眠り薬を自らに投与することにより目覚めることを拒否してしまった。これがため、新型デフレという高いツケを
-
Posted by ブクログ
実は、TV番組で見た筆者の浜矩子氏は、現実の事業からは遊離した評論家的なイメージを受けたのであまり好きでなかった。しかし、本書を読み印象がガラリと変わった。「地球経済」を殺す(ダメにする)犯人を探し出す探偵七つ道具「ドラマ」、「人」、「数字」、「座標軸」、「反対」、「歴史」、「言葉」を使い、判りやすい切り口で述べられている。これらは、地球経済だけでなく、我々が日頃営んでいる事業活動でも通用する探偵七つ道具であるとも感じた。また、ユーモラスな「二日酔い男」の登場が、遠い存在の「地球経済」を身近に感じさせてくれる。
正直言って、私自身の日頃の生活や仕事をしていく上で、世界の経済動向へ影響を及ぼす原 -
Posted by ブクログ
ローマ帝国の時代、大航海時代、といままで2つのグローバル化があったが、
現在は第三次グローバル化の時代を迎えている。
ただ、いままでは地球が大きくなるグローバル化であったのが
今回のグローバル化が「地球を小さくする」グローバル化だということである。
最近の日本経済の状況については非常にわかりやすく説明されて
大変勉強になったが、結局のところわれわれはどうすべきかについては
かかれて入るのだが、あまり意味がわからなかったのが残念。
----------------------------------------------------
恐慌前夜の地球経済は本当にスタグフレーションの再来だ -
Posted by ブクログ
終始、寒い構成が好みではなかったが、
アベノミクス=大日本帝国の再来説は
興味深く面白い内容であった。
確かにこれらの政策が始まってから、
ブラック企業が淘汰されたり、36協定や残業時間の縮小が促進され、いわゆる「働き化改革」なるものが急スピードで推し進められたのは肌感覚としてあった。
著者の考察だと、働きやすい環境を構築することで、子どもから老人まで、全年齢の生産量を増やしGDPを上昇させるというもの。
その結果として、日本という国家から国民が今よりも搾取される構図が完成する。
個人的には少子高齢化がますます進行しており、人数ではなく一人ひとりの生産性をあげる政策を取るのは仕方がないとも -
Posted by ブクログ
人は何のために働くのか。
ほとんどの人がお金のために働くと答えるだろうなと言うことは想像できました。
就職活動で自己実現や承認欲求を満たすためと、企業側に沿う意思表示をする。その結果が今の日本の現状に繋がるのかも。
古代の奴隷たちは身分は低いかもしれないが、最低限の生活の保証があったことを考えると、時代の進歩が必ずしも人を幸せにする訳ではないのかもしれません。
筆者は、マルクスの「必要の領域」から「自由に領域」への移行は選択する自由があり、初めて生まれる考え方の気もしました。売り手市場であれば、選択も自由になるかもしれませんが、一握りの人が得る果実ではないでしょうか。
働くことの意味は人 -
-
Posted by ブクログ
ブロックごと個別の説明をしているので、これはこれで概略理解はできた。
しかしそもそもの「通貨の正体」については、詳細の説明がされていない。
それもそのはずで「説明のしようがない」ということがある。
逆に本質の説明はある。
「すべては人間の妄想。だから通貨こそが本当の『仮想』通貨。人間の信用ありきなのだから『人本位制』である」
説明とはこの一行に尽きるのかもしれない。
個別説明は「ドル」「ユーロ」「仮想通貨ビットコイン」「バンコール」「人民元」「SDR」「日本円」と章ごとに行われている。
確かに「通貨とは何か」という問いは命題が広すぎる。
個人的には仮想通貨の未来に興味があるが、それは今のリアル