小谷野敦のレビュー一覧
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「顧みて他を言う」⇒関係ないことを言って誤魔化す。「泰山鳴動鼠一匹」正しくは大山。古代ローマのホラティウスの警句である。「ぬきんでる」は「擢んでる」と書く。「青田刈り」は正しくは「青田買い」。「根気強い」は「根気よく」と「粘り強く」を混ぜこぜになった言葉。「博打を打つ」は「博奕を打つ」の誤り。「存じ上げない」の対象は人。「破瓜」は処女が破れるのではなく八+八で女性の十六歳。あるいは八×八で男性の64歳のこと。宅急便はヤマト運輸の商標であり一般名詞は宅配便。「田吾作椋十」=「張三李四」。オクラは英語でイクラはロシア語・・・・・・・。おもしろすぎる。
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東西の古典文学の「だいたいは読み終えた」という著者が、おもしろかおもしろくないかを大胆に判定を下した読書案内です。
本書は作品自体のおもしろさを中心に評価しているのですが、それ以外にもたとえば白樺派の作家たちがトルストイをどのように受け入れたのかといった、受容史的な観点からのおもしろさというものもあるはずで、本書にも随所にそうした薀蓄が示されているのですが、あまりアカデミックな文学研究に立ち入らないようにしているのか、そうした側面はほとんど切り捨てられているように思います。
たとえば、本書で著者が「好きではない」と述べている推理小説などの場合には、先行作品をどのように消化しているのかといっ -
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世界史の大まかな流れを、分かりやすく解説した本です。かつて林健太郎の『世界の歴史』上・下(岩波新書)などの新書本が、大学受験世界史の副読本としての役割を果たしていましたが、本書もそうした使い方に適しているように思います。
歴史に関して、英雄史観や西洋中心史観に対するイデオロギー的な批判が盛んにおこなわれている一方で、日本人の多くが歴史そのものに関心を抱くことがなくなっていることに、著者は危機感を募らせています。本書は、そうしたイデオロギー的な歴史批判をひとまず置いて、世界史についての「だいたい」の知識を示した本です。
本文中に数多くの本があげられていて、読書案内としての役割も果たしています -
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タイトルといい、主に学者の誤用例を実名であげていることといい、挑発的な一冊。当たり障りのないバカ丁寧な物言いが世にあふれているなかで、あえてこういう書き方をするのが著者のスタイルなのだろう。
明らかな誤用から、なんだかイヤだと思うものまでたくさんの言葉があげられているが、それほど新味はないし、掘り下げてあるわけでもないのが物足りない。
その中で、そうなの!と思ったのが、サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」について。すごく好きな日本語タイトルなんだけど、「キャッチャー」なんだから(わざとだろうけど)誤訳だと思ってきたが、これは「捕手」って意味じゃなく、動詞に「er」をつけて名詞化する用法だ -
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「入門」なんて書いてありますが、あんまり実用的な役には立ちません。つーか、小谷野敦ですから。まともに「どうやったら評論家になれますか」なんてこと書いてあると期待するほうが間違いでしょ。『もてない男』のあふれるルサンチマンがここでもちゃんと炸裂してるので、あの鬱屈芸が楽しめる人にとっては買い。
評論家というのは、どうにもあんまりおいしい仕事じゃないらしい、ってことはわかります。「清貧でもいいからもの書きになりたい人に」とか「儲からなくても、論争で神経が参っても、『書いて生きていきたい』人へ!」とか、本書の帯にもエクスキューズがいっぱいです。それは小谷野さん、あなたのことですね、とズバリ指摘して -
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恋愛にまつわるさまざまな言葉の歴史をたどることで、性と愛に関する人びとの意識の変遷を浮き彫りにする試みです。というと、言説史のような手法を連想するかもしれませんが、著者の立場は構築主義的というよりはむしろ実証主義的と言っていいように思います。とくに、第5節「愛の告白」は、著者の抑制的なスタンスに、ちょっと歯がゆさを感じてしまいました。もっとも、こうした地道な研究こそが大切だということはわかるのですが。
主として、日本の近現代の大衆文学、ときにはマンガもとりあげて、人びとの平均的な性愛観を追及しています。博覧強記というか、ここまでくわしく調べあげる執念に驚きました。