小谷野敦のレビュー一覧
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何とまあ正直な人だこと。あちこち怒らせるようなことをかまわず書くのが著者のスタイルではあるけれど、なかなかこうは書けないだろう。ミステリって読者も評論家も多い。傑作・名作と言われるものを読んで面白くなかったら、自分がちゃんと読めてないのかしら?と思って黙っとく。あるいは著者が言うように「私の好みじゃないです」と言っとく。つまらないのをほめている評を見ると、あの程度のを喜ぶなんて低レベルだなーとか思ったりする。ミステリファンって小うるさいものだ。(SFファンほどじゃないか)
そんな思惑などものともせず、自分の主観で、名だたる「名作」や近年のヒット作などを「まったくつまらん」とメッタ斬り。一方で筒井康隆の「ロートレック荘事件」を最高傑作と絶賛。え?あれって特に珍しくもないワンアイデアのトリックもので…と目をパチパチさせてしまった。まあ、これは個々の作品とかについてどうこう言うものではなくて、天下御免の言いたい放題を芸として楽しむものなのだろう。
とは言え、随所になるほどなあという指摘もある。最近の文芸作品の傾向を「ノワール化とスイーツ化」としているところなど納得である。また、高級官僚が好きな作家を尋ねられて「宮部みゆきさんです」と答えていたそうだが、確かに少し前なら「高尚な」純文学作家の名が上がったはずで、「そういう時代」なのだろう。 -
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英語の勉強について。外国語を学ぶ才能のない人は、単語と文法を一つずつ地道に覚えるしかない。
そもそも、明治大学の3・4年の英語力は、東大1年の英語力より劣っているにも関わらず、そんな人達が教鞭を取るんだから、推して知るべし。
とまあ、辛辣な書きっぷりでとても楽しく読める。
時間を作るには、何かをしないこと。勉強に力を入れるなら、酒は飲まない、旅行には行かない、とか。そりゃそうだ。
あと、本を読むなら、学歴ロンダリングもあるので、誰が書いたものなのか、年齢は幾つのときの本かを気にして読むとよいとも言ってる。
学問の世界において、大きな仕事をした女性学者には、概ね子供はいないってかかれているように、これは男にも言えることだが、何かを大成しようとするならば、集中して他に目もくれず、やり遂げる必要があるって。その通りやと思う。
タイトルにある詰め込めるって何だったんだろ。酒飲まないってことかな。
history of medicine and modern japanは読もーっと。 -
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「顧みて他を言う」⇒関係ないことを言って誤魔化す。「泰山鳴動鼠一匹」正しくは大山。古代ローマのホラティウスの警句である。「ぬきんでる」は「擢んでる」と書く。「青田刈り」は正しくは「青田買い」。「根気強い」は「根気よく」と「粘り強く」を混ぜこぜになった言葉。「博打を打つ」は「博奕を打つ」の誤り。「存じ上げない」の対象は人。「破瓜」は処女が破れるのではなく八+八で女性の十六歳。あるいは八×八で男性の64歳のこと。宅急便はヤマト運輸の商標であり一般名詞は宅配便。「田吾作椋十」=「張三李四」。オクラは英語でイクラはロシア語・・・・・・・。おもしろすぎる。
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東西の古典文学の「だいたいは読み終えた」という著者が、おもしろかおもしろくないかを大胆に判定を下した読書案内です。
本書は作品自体のおもしろさを中心に評価しているのですが、それ以外にもたとえば白樺派の作家たちがトルストイをどのように受け入れたのかといった、受容史的な観点からのおもしろさというものもあるはずで、本書にも随所にそうした薀蓄が示されているのですが、あまりアカデミックな文学研究に立ち入らないようにしているのか、そうした側面はほとんど切り捨てられているように思います。
たとえば、本書で著者が「好きではない」と述べている推理小説などの場合には、先行作品をどのように消化しているのかといった評価の観点もあるように思うのですが、そういうものは好事家に任せておけばいいので、本書のように単純な意味での作品のおもしろさをズバリ述べているのは、一つの見識ではあります。
もっとも著者は、「インターテクスチュアリティ」といった用語に代表されるような、非実証的なポストモダンの文学理論にどうしてもガマンがならないようで、そのことを考慮に入れておいた方がいいかもしれません。 -
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世界史の大まかな流れを、分かりやすく解説した本です。かつて林健太郎の『世界の歴史』上・下(岩波新書)などの新書本が、大学受験世界史の副読本としての役割を果たしていましたが、本書もそうした使い方に適しているように思います。
歴史に関して、英雄史観や西洋中心史観に対するイデオロギー的な批判が盛んにおこなわれている一方で、日本人の多くが歴史そのものに関心を抱くことがなくなっていることに、著者は危機感を募らせています。本書は、そうしたイデオロギー的な歴史批判をひとまず置いて、世界史についての「だいたい」の知識を示した本です。
本文中に数多くの本があげられていて、読書案内としての役割も果たしています。 -
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タイトルといい、主に学者の誤用例を実名であげていることといい、挑発的な一冊。当たり障りのないバカ丁寧な物言いが世にあふれているなかで、あえてこういう書き方をするのが著者のスタイルなのだろう。
明らかな誤用から、なんだかイヤだと思うものまでたくさんの言葉があげられているが、それほど新味はないし、掘り下げてあるわけでもないのが物足りない。
その中で、そうなの!と思ったのが、サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」について。すごく好きな日本語タイトルなんだけど、「キャッチャー」なんだから(わざとだろうけど)誤訳だと思ってきたが、これは「捕手」って意味じゃなく、動詞に「er」をつけて名詞化する用法だそうな。知らなかったなあ。