小谷野敦のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
いま、ちまたでは女性お笑い芸人が占い師に洗脳された、という話題が持ちきりである。占いってのは、「こちらがわからない手段によって、こちらのことを知る」技法のことであり、事前調査とかコールドリーディングとか視線の動きをみるとか、かまをかけて反応をみる、とか誰にでも当たるこという、とか様々な技法がある。
で、つまりは、それって、「人間を知る」方法なのであり、そのやり方をしらない人にとっては、「魔術師のように」みえる効果がある。
小谷野氏のこの本は、ある意味そういう「魔術師のように人間を知る」本であり、読んだほうがいい本であろう。
どういうことかといえば、「相手が好む本で相手がわかる」ってことで、たとえば「漱石が好き」という人は「母に愛されなかった」人であり、小林秀雄が好きって人は「母に愛された人」。
じゃあ、両方好きな人は「自己欺瞞に陥っているか嘘つきかどちらか」ってことで、これを知っただけでもこの本を読んだ価値があった。
志賀直哉好きはお坊ちゃん。
ワイルドが好きなひとは同性愛者。
ドストエフ好きーはキリスト教好き。
こういうの知っていると、占い師よろしく、相手の生活環境で好きな本がわかるようになるかも。
まあ、まあ、そもそも読書好きにしか通用しない占いだけどね。
人の生まれ育ちが読書の好みを左右するから、普遍的に面白い本なんてないという、まあ、よく考えると当たり前だが、そんなことをいうと評論家は飯が食えなくなってしまうから誰も言わなかったことをいったから「正直者の名作案内」というわけである。
だから、小谷野も、ここに上げた名作が普遍的な価値をもっているといっているわけでなく、あくまで好みだ、としているから正直だ。これによって、小谷野自身の人間がバレてしまうからだ。
結局のところ、自分をどの程度さらけ出したか、が小説の価値に大きく影響する。
で、「そんなとこまで見せちゃうひとっていままでいなかった」ってのが歴史的名作であり、でも、みんながみせちゃうと、いずれ読まれなくなるかもしれない、から、価値は普遍的ではありえないってことです。 -
Posted by ブクログ
こころ』は、いろいろな意見がわかれるところでしょうが、作品に齟齬はあるが、著述の時代を考慮すると名作といって良いのではないでしょうか。親友に対する裏切りや自殺に対するプロットで追うのではなく、江戸と明治の差異で読むと理解できるのではないでしょうか。小谷野 敦『夏目漱石を江戸から読む―新しい女と古い男 (中公新書) 』を読むとそのあたりが、すっきりしました。本書はタイトルで『こころ』論とかなとおもっていたが、『バカのための読書術 (ちくま新書) 』の続編ともいえる読書案内ですね。『こころ』については、『夏目漱石を江戸から読む―新しい女と古い男 (中公新書) 』のほうが、納得できました。
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Posted by ブクログ
酒や車の排気ガスはさほど言われないのに、何ゆえタバコだけがこんなに目の敵にされるのか、その矛盾を摘発しつつ著者の「戦い」について記した本。
あとがきで著者自身が述べているように、一部の文章はネット上のやりとりが元になっていて、お世辞にも美しいとは言えない語り口。それ以外でも過激な表現はけっこう多い。
でも、主張自体は至極もっともで、歯に衣着せぬ糾弾は小気味良くもある。たしかに、偏った層に対するアンケートや世論調査の結果を振りかざして極端なルールを作るのはいただけないし、喫煙者側の意見が大々的に報じられているのも見たことがない。葬られているとしたらアンフェアである。
ただ、行政寄りの司法や、スポンサー寄りの報道は何もタバコに限ったことではない。ここ数ヶ月は特に、TVや新聞の偏った表現を痛感する機会が多かった。
何でもかんでも一律にマニュアルを作って、1か0か、極端な選択を迫る短絡的な風潮もしかり。「お互いに嫌な思いをしない」ための、個々の想像力と判断力があれば不要なはずのルールが、ここ最近は増える一方であるように思う。そのうち、「ここはルールがないから何でもアリ」と逆手に取る者が出てきたりするので、また、そこにルールを作って、、、と悪循環。
結局、市民もメディアも行政も、自分の頭で理解せずに時勢に合わせることばかり考えるからこんな風になるのか・・・
と、ここまで考えたら、タイトルの「ファシズム」が改めて重みを増した。 -
Posted by ブクログ
「もてない男」が、この世には厳然と存在するということ、それは決して解決できることではないという事実を受け入れること、あえて綺麗事で逃げ出したく心理を抑えつけて、赤裸々に見つめること。
直感で誰もが感じているが、言葉に出すのがはばかれる常識を論理の積み重ねで辿り着こうとするインテリぶりには隠されたユーモアが漂っていて、いい人なんだなと思う。
前書きに冗談書かないようにすると書いてあるが、結構冗談なんだよね。それがわからないと嫌な奴と思ってしまうんだろうな。
僕自身は3流大出だけど、著者が自分と同じくらいの学歴を女性に求める気持ちは誠実以外の何物でもないし、よくわかる気がする。
自虐と誠実さが同居しているんだよね。 -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
歌謡曲やトレンディドラマは、恋愛するのは当たり前のように騒ぎ立て、町には手を絡めた恋人たちが闊歩する。
こういう時代に「もてない」ということは恥ずべきことなのだろうか?
本書では「もてない男」の視点から、文学作品や漫画の言説を手がかりに、童貞喪失、嫉妬、強姦、夫婦のあり方に至るまでをみつめなおす。
これまでの恋愛論がたどり着けなかった新境地を見事に展開した渾身の一冊。
[ 目次 ]
第1回 童貞であることの不安―童貞論
第2回 「おかず」は必要か?―自慰論
第3回 女は押しの一手?―恋愛論
第4回 てめえらばっかりいい思いしやがって!―嫉妬・孤独論
第5回 妾の存在意義―愛人論
第6回 強姦する男、誘惑する女―強姦・誘惑論
最終回 恋愛なんかやめておけ?―反恋愛論
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