小谷野敦のレビュー一覧
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文章を書いたり、話したりしていると「この言葉の使い方は
これでいいのか?」と感じることがしばしばある。
日本語って難しいよね。だって、「日本」と書いても読みが
「ニホン」だったり「ニッポン」だったりするのだし、『日本
書紀』は「ニホンショキ」なのに、『続日本紀』になると
「ショクニホンギ」になって「キ」が濁るんだもの。
電話オペレーターの仕事をしていた時は「鑑みて」を「考える」
と同義語で使っている同僚がいてイラっとしたしな。
言葉の使い方が気になる。だから本書も日本語の誤用例集かと思っ
たのだが、言葉に関するエッセイ・雑学といった感じかな。
誤用しやすい言葉もいく -
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「〆切本」を読んだ時、田山花袋や車谷長吉の文章がかっこよいことに気付いた。
今まで「私小説ってなんだか露悪的で自己愛が強くてジメジメしてそうで嫌だな」と勝手に想像して、食わず嫌いだったのだが、やはり一流の作家の文章として、光るところが確実にあるのだから、読まないで人生終わるのは、もったいないのではと感じた。
私小説についてもっと知りたいと思ったので、この本を手にとった次第です。
読んでみた結果、半分はその目的に答えてもらったし、半分は目的外の内容でした。
タイトル通りの「私小説のすすめ」としての論旨としては、だいたい以下の通り。
私小説というジャンルが日本においては異様に確立されており -
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先月読んだ「江戸川乱歩と横溝正史」で、作家は「売れたから残る」のではなく「残ったから売れる」のだ、となんとなく気づきました。乱歩は少年探偵団のジュブナイル、横溝は角川映画、にピックアップされたことが、21世紀にもその名を残す原因なのだ、ということです。いわば二次使用されることが、次の二次使用(三次使用?)に繋がり、という新作の連鎖が「売れ続ける」ということ。本書はベストセラーを生み出しても、今では忘れ去られた作家達列伝です。明治・大正・昭和の作家達にとって残る残らないのファーストステップは「全集」に入るか入らないか?次は「文庫」に入るか入らないか?あとは「教科書」とか「舞台」とか「映画」とか、
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いまいち純文学って?大衆小説って?となっていたので、購入してみた。
でも不勉強なので、作家や作品をたくさんあげられても全然分からないあたり、自分にがっかりする。
そもそも大衆小説が歴史や時代小説をさし、通俗小説とは違うというのは知らなくて、びっくりした。
時折話題になる、あの界隈でのこの手の区別、この本を読んでみても私にはどうってことのないことだった。好きなものを買って読む、それがどんな小説でもいいいのだから。研究者なら別だけれど。あいにく私は一読者に過ぎない。
ジャンル分けは便利だけれど、便利さゆえに何か楽しみが一つ消えてしまった感がある。興味のない分野はさほど足を運ばないもの。そこまで -
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『日本人のための世界史入門』(新潮新書)と同様、新書一冊で日本の歴史を概観した本です。
ただ、『日本人のための世界史入門』が、いちおう一通りの世界史の流れをつかむことができるように書かれていたのに比べると、本書はややまとまりに欠けており、NHKの大河ドラマに関する感想などもあって、「日本史よもやま話」といったような印象を受けます。
とりとめのないけれどもおもしろい著者の話を聞いているような気分で読むことができるという意味では、渡部昇一の日本史に関する著作と似ているように思います。ところどころで左翼的なアカデミズムの歴史学に対する皮肉が差し挟まれているのも渡部の本と同じですが、本書の方は日本 -
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昔から芥川賞というものがよく分からなかった。
まず候補作にいまいち「読んでみよう!」と思わせるようなものが少ないし、いざ読んでみても、「…うん。」となるばかりで、なんというか、…どう考えても面白くないよなあ…しかしこれは私が「ブンガク」というものを理解できていないからなのかなあ、なにかこう、これらの作品を受賞作たらしめる見方、面白さ、美しさみたいなものがあって、きっとわかる人にはわかるんだよなあ…と、芥川賞受賞作を読むたびにもやもやしていたわけですが、…うん、もう芥川賞はつまらないってことでいいかな。結局エンタメが好きだし。
『コンビニ人間』が芥川賞受賞作のくせにわりと面白かった、というのは私