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芥川賞はまことに奇妙な文学賞である。
『火花』は? 『太陽の季節』は? 最高偏差値は?
第1回から最新回まで164作をランク付け! 掟破りの日本文学史
お前の判断基準は何なのだ、と問われるかもしれない。かねて言っている通り、文学にせよ音楽、美術、演劇にせよ、普遍的で科学的なよしあしの判断というのはできない。ただ多くの古典的なものや批評を自分で読んだりして、自己の責任で判断するものだ。もちろんその際に、さまざまな批評用語(これは「批評理論」のことではない)を用いて弁論するのは当然のことだ。しかし、ここで必要なのは「対話的精神」である。自分がよくないと思った作品でも、他人がいいと言ったら、その言に耳を傾ける必要がある。
(本書「まえがき」より)
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Posted by ブクログ
芥川賞の偏差値というものの、全体を眺めると50を中心にしたベルカーブを描いておらず、平均は圧倒的に50を下回って下位に偏重している。著者は芥川賞の性格としてあえて(?)面白くない作品を選ぶ傾向があると見ているらしいが、そうであれば偏差値の母集団は芥川賞受賞作品ではなく、候補作や、あるいはもっと広く現代文芸作品などと想定しているのかもしれない。読者にもわかるよう偏差値の意味をはっきりさせてほしかった。
中身は文壇ゴシップや選考委員による評価、ノミネート作品、受賞できなかった作者へのコメント等、芥川賞周辺の話が多く、「芥川賞全部読む」が表側のブックガイドとすればこちらは裏側のそれという感じもする。ただ「全部読む」が文字通り受賞作品を全部読んだだけなのに対し、本書は選考委員の変遷や他の候補作、受賞者の他作品等もきちんと追いかけていて解像度が高く、かけた熱量は「全部読む」を圧倒的に上回る。
芥川賞を「あえて面白くない作品や地味な作家を選ぶ」と性格付け、神格化された賞を相対化する意味ではよくできた本と言えるかもしれない。確かに口は悪いが批判と悪口は紙一重、それでもネットの罵詈雑言とは全く違い、名前を出し活字にして批判することは勇気のいることだ。
巻末の芥川賞以外の作品評価をみても個人的には同意できる部分が多いだけに、著者の作品を読む基準が知りたかったし、個別の受賞作品の評価についてももう少し言及があっても良かった気がする。
Posted by ブクログ
筆者は学者だったけど今は作家で、やはり実践者・作る側の人だけに説得力がある。そのかわりに随分と偏っている。そこを楽しむ本。
その作家でもある作者が自ら「文学」は終わりに近づいているという。単なる個人の感想だが、文化・芸術の中で、絵画や音楽、演劇でさえもまだ国民から尊重されているように思えている。そして新しい作品が望まれている。が、古いものさえあればいい、と一番思われているのが文学なのではないか? その中で、知名度ゼロの専攻委員やら文壇やらが権威を振り回すのも、失礼ながら馬鹿らしいというか。
あと、賞をめでたく取ったそのあと、ほとんど書いていない作家もいるが、だいだい書いてもボツにされた、とのこと。そういものかと勉強になる。
Posted by ブクログ
2017年までの芥川賞を、
著者の独断と偏見で「偏差値」を付けている。
戦前のものも写真付きで掲載され、
各年の他の候補の名前や、
受賞作なしの時の小話や候補作なども。
今はネットで検索出来る時代だが、
古い作品のリストとしては、そこそこ便利な本でもある。
著者の蘊蓄などが鼻に付く部分も多いが、
無視無視。
再度言うが、著者の独断と偏見の「偏差値」は、
かなり辛辣で、いただけないなーと。
これを読んで純文学を読んでみようと思う人は、
果たして一人でも増えるのだろうか?
そもそも純文学は、
(この定義自体、死語になりつつあるかもしれない?)
文学は、数値化されない面白さが……
……などと言いながら、
この作品にちゃんと星を付ける、私であった。
Posted by ブクログ
昔から芥川賞というものがよく分からなかった。
まず候補作にいまいち「読んでみよう!」と思わせるようなものが少ないし、いざ読んでみても、「…うん。」となるばかりで、なんというか、…どう考えても面白くないよなあ…しかしこれは私が「ブンガク」というものを理解できていないからなのかなあ、なにかこう、これらの作品を受賞作たらしめる見方、面白さ、美しさみたいなものがあって、きっとわかる人にはわかるんだよなあ…と、芥川賞受賞作を読むたびにもやもやしていたわけですが、…うん、もう芥川賞はつまらないってことでいいかな。結局エンタメが好きだし。
『コンビニ人間』が芥川賞受賞作のくせにわりと面白かった、というのは私も感じて「おおっどうした」と思ったので、ちょっと楽しかった。…うーん、なんやかんやで結局読んでるんだなあ。あるいは「やっぱりつまんないな」と確認するために読んでいるのかもしれない。
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