小谷野敦のレビュー一覧

  • もてない男 ――恋愛論を超えて

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    色んな文学作品にかこつけてのモテ論。ところで、気付けば本筆者の作品を結構読んでいる。今回もそうだし、毎回その主張に対しては首を傾げる部分が少なからずあるんだけど、どこか惹かれてしまう。題材の求め方が秀逸なんですね。巷の恋愛論なんて全く興味ないんだけど、上記の理由で本作も紐解くことに。相変わらず独特の論調で、逆に安心して読めました。レイプの項で取り上げられていた、筒井をはじめとした全時代的な言い分には参ったけど、それに対しても至極マトモな返しがなされていたし。総じて”分かる”言い分でした。

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    2018年07月11日
  • 文豪の女遍歴

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    ネタバレ

     高名な小説家のスキャンダルが下世話でよかったのだが、作品についてとてもあっさりと評価を下しているところもよかった。有名なだけで実際読んでも全く面白くない上に、読んでないことでなんだか後ろめたいような気持ちを抱き続けてしまうことがあり、このように言ってもらえると助かる。

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    2018年03月29日
  • 純文学とは何か

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    ネタバレ

     文学と大衆小説があるというのを知ったのは予備校の現代文の授業で、人によって定義があるようだ。この本では「純文学」に限っては、明確に私小説に限定していてとてもすっきりする。「文学」と「純文学」でまた違うのかもしれない。ノベルズを出版すると、純文学作家に入れてもらえないといった因習があるのが面白かった。

     外国の小説家の名前や作品が列挙されているところはさっぱり分からなくて、注釈があったらいいと思ったけど、ちょっとした注釈なら分からない上に読むのが面倒になるので、これでいいのかもしれない。

    ※著者ご本人より指摘いただき、「私小説」に限定はしていないそうです。また、ノベルスを出した作家は「純文

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    2017年12月10日
  • 頭の悪い日本語

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     言葉には五月蠅い方だと思っていた自分だが、教わることが多かった。
     「ひもとく」は本来「繙く」と書く。これは知っていたが、「ぬきんでる」を「擢る」と書くのは知らなかった。
     ほか「キャスティングボート」も「〜ボード」と思い込んでいた。嗚呼、日暮れて道遠し。
     ただ、これだけ間違いに拘泥する小谷野氏でも「ウルトラマンがいた時代」では「『帰ってきたウルトラマン』のヒロインは水沢アキ」等々、大間違いをやらかすのが不思議だ。
     人間、専門外には疎いという一例か。他山の石としたい。

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    2017年11月23日
  • このミステリーがひどい!

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    いつも思うのだけど、なぜ小谷野敦は全方向に敵を作るような書き方をするのか。
    推理小説嫌いと言いながら、それなりには読んでいるのだ。
    そしてほぼボロクソにけなしている。
    嫌いなら読まなきゃいいのに。

    彼は純文学の人だ。
    だからトリックのためにストーリーやら人物造形やらが不自然にゆがめられるのが許せない。

    好き嫌いはしょうがないと思う。
    私も結構毒舌を吐くし、気持ちはわかる。
    だけどどうにも彼の書く文章は品性に欠けるような気がする。

    “『赤毛のアン』が好きなのは、二流大学卒の女子あたりが中心だろうと書いたのだが、これが何だかバカにしていると思われて、いまだに話題になる。(中略)だいたい

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    2017年10月30日
  • 頭の悪い日本語

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    タイトル買いである。第一部の誤用編が、本書の趣旨であるところの日本語の頭の悪い使い方で、公の場や文章での誤用を怒っているのに対し、第二部以降は雑学・豆知識に終始する感があった。まあ、それでも本書で初めて本来の意味を知ったものも少なくなかった。差別語狩りは私も嫌いである。「いちいち言葉を法律にのっとって考える必要はないのである。」にも賛成だ。また、本書では主題として取り上げられてはいないが漢字かな混じりの交ぜ書きも嫌いであることを読みながら考えていた。

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    2017年08月28日
  • 友達がいないということ

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    太字でフロムのバカ!と書いてあって、これは悩める文学青年あるあるなのだろうか。笑ってしまったが、誤読したのはお前だろうと思う。ちくまプリマーなだけに、もっと人生の早い時期、出来れば高2くらいで読みたかった。それなら親への過剰な期待も、早めに諦めがついていただろう。本書にある、「グランド・フィナーレ」の引用のあたりで述べられている「友人知人からの全否定の怖さ」というのがいまいちよく分からない。作中に出てくるロリコンが、自己肯定して全く反省してない怖さなら分かるが……。これは、私が全否定をしてしまう側の人間だからなのかもしれない。とりあえず笑える部分もあったがためになる部分もあった。徒然草と、吉村

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    2017年03月30日
  • もてない男 ――恋愛論を超えて

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    面白かった!
    恋の悩みに取り込んでる自分に、ここには答えが用意されていた!

    わけではなく、もてない男、持たざる者たちの声がここにはあった。

    恋愛なぞするべきでない、とまでは言わないが、どうやら恋愛とはとんでもなくやっかいなものなのである。
    だから悩むわけだが、それが恋なのでしょう。不合理な行為だとわかっているのに。

    「なぜ愛してくれる相手を愛し返せないのか」

    名言である。

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    2017年02月17日
  • 「昔はワルだった」と自慢するバカ

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    小谷野氏のエッセイで、自分がした悪いことを自慢気に話す者の話から、悪とは何かという問いへ漂うように論が進む。著者の他の著作に書かれたエピソードも出てきて既視感を感じるときもあるが、個人的には後半の俗物論が独特の視点で面白かった。

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    2016年04月27日
  • このミステリーがひどい!

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    ミステリ愛好家としてはかなり構えて読んだのだが、意外にもうなずけるところが多い。
    ねちねちしたところのないさっぱりとした「面白くない」の断定は、ときにユーモアも感じられ、小谷野節健在だなあとニヤリとさせられる。ここ数冊の著書の中では最高の質なんじゃないかなあ。

    にしても「俗謡に合わせて人が死ぬと何が面白いのであろうか」には吹き出してしまった。えー!面白いじゃん!むちゃくちゃ面白いじゃん!
    そこの感覚の有無が、ミステリ好きになるか否かの分水嶺になるような気がするな。

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    2016年04月18日
  • 日本人のための世界史入門

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    世界史の授業にちょいちょい蘊蓄やトリビアを混ぜて面白くしていますが、それと覚えることとは別で、まぁそんな脱線した内容が魅力的なんですが、僕はどうにも覚えられません。
    世界史の勉強って、暗記がどうしても多くなるのですが、全体像からの位置付けが分からなかったり、カタカナが多くて混乱したり、地名人名が似たり寄ったりで頭の中で整理が追い付きません。
    それなんかよりは、世界ふしぎ発見のような番組を見せる方が分かりやすいように思います。文字だけでなく視覚にも訴える情報を与えないと覚えられないなあと痛感しました。結局本初を読んでも頭の中には入ってません(笑)
    内容はまぁまぁ面白いのですが、それ以上の感想を持

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    2016年03月21日
  • もてない男 ――恋愛論を超えて

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    この本に書かれているが、もてないということは、自分の好きな女性にもてないということで、万人にもてないということではない。そのとおりである。かなり、女性に優しい筆者であると思う。だから、女友達が多いのであろう。その意味では、フェミニストであると思う。何か、女性とトラブルを起こしたときは、おそらく、女性の側について、相手をストーカー呼ばわりするタイプであろう。もてない男の恋愛論として面白い。また、恋愛が一種の強烈な宗教であるという部分も面白かった。なかなか、他の書籍の紹介も多くて、内容があるので、また、繰り返して、読んだほうがより、おそらく、理解が進むと思った。

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    2016年02月15日
  • 悲望

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    何がセクハラで何がセクハラでないか、というのは
    パワハラとの複合を前提にしない限り
    結局は個人の主観的判断にもとづくのであって
    極端なことを言えば
    恋愛に関するあらゆる言説は、セクハラ認定しうるものなんである
    それはまあ仕方のないことだろう
    どうやっても苦痛にしかならない組み合わせというものは
    悲しいかな存在する
    しかしそこで、セクハラ忌避と恋愛願望を合致させようとするあまり
    潔癖症になってしまっては
    さびしい人生が待っているばかりだぞよ
    といった主張が、これらの小説には見え隠れしてあり
    それは確かに一面、真理なのだけど
    だからってもちろんストーカー行為は正当化されえないし
    またそれによって与

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    2015年08月17日
  • 頭の悪い日本語

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    良い。ユニークな本。
    著者は日本語に詳しく、だからこそ誤用に我慢できない
    らしい。
    誤用なのに大多数が使うともはや誤用とは言えなくなる。
    言葉はいきものと言われる所以だ。
    誤用かどうかの判断も難しい。
    目から鱗が落ちる事例が沢山あった。

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    2014年11月03日
  • 頭の悪い日本語

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    えらそうな書き方だけど、内容的にはそれなりに面白い。今(14年)の言葉も入ってるので決して古い言葉ばかりではなかったのは読んでて意外だった。と思って最後に著者の紹介を見たらなんや若いんだって(あくまでも自分基準ですが)納得した。

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    2014年10月25日
  • 日本人のための世界史入門

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    歴史を知るというよりは、言葉を知るモノを知るということが大事だと感じた
    歴史はその一環として学びたい

    本筋とは関係ないがソクラテスをソークラテースと表記するのは阿呆だと言い切ったのは見事だった

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    2014年05月26日
  • 『こころ』は本当に名作か―正直者の名作案内―

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    名作とされている文学作品に対し、自分の感じたまま、良い悪いを断じるのが痛快。
    無理矢理なところもあるけど、面白く読めるのは、小谷野敦の知識と技術によるものかなと思う。

    小谷野敦は基本的に「もてない男」目線で読んでいる。
    「もてない女」である私から見たら共感できる部分もあったし、感覚が決定的に違うと感じた部分もあった。

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    2015年09月21日
  • 日本人のための世界史入門

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    最初の感じから外れかなと思ったが読んでいるうち引き込まれた。世界史入門というタイトルに実は合っていて今までなんとなく聞いた事件や人物について簡潔に説明され、さらに作者なりの見解それに関わる出来事、参考書、映画をいれてありもっと知りたいと自然と意識が向く。専門家じゃないなら大体でいいあるように変に気張らず軽く読んでくのが吉。万人受けではないと思う。

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    2014年02月06日
  • 『こころ』は本当に名作か―正直者の名作案内―

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    片っ端からぶった切ってる感が何とも痛快でした。名作案内、書評のはずなのに何故か痛快で面白い。容赦ないこき下ろしっぷりがまた笑える。
    普遍的ではない書評、と言うのがまたいい。決して万人受けする内容ではないが、だからこそに著者の好みや価値観が顕著に出ていて楽しめる。
    案内本としてはいまいちだが、一般的な普遍的な書評に飽きた人にオススメしたい

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    2014年02月02日
  • 日本人のための世界史入門

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    一般人には、「だいたい」で充分だし、「だいたい」が良いのである。歴史を学ぶのは、面白いから、と主張する著者の一冊。
    わたしゃ、年表を行き来する世界史について行けず日本史を取った人間だが、面白かった。
    掘り下げは浅いし、とにかくあっちこっちに話が飛ぶ。途中にガンダムやキャンディキャンディは出て来るし、歴史を勉強しようと言う人には向かないんだろうね。
    寝転がって、それでも歴史に興味を持つにはいいね。

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    2013年12月31日