行成薫のレビュー一覧
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忙しい母が作ってくれる
お弁当の中身はいつも同じで、
内心、「またこれ?」って
うんざりしてた高校の頃。
友だちのお弁当は彩りが綺麗で
可愛くていいなって思ってた。
湯気に包まれて台所に立つ母の背中。
無骨で大きかった、あのお弁当箱。
年頃の女の子らしくない
ぎっしり詰められた白いご飯。
今ならあの重みが、
お腹をすかせないようにという
母の愛だったんだとわかる。
メンチカツ。卵焼き。
あとは昨夜の残りものが少し。
読みながら思い出して、
ふと、また食べたいなって思ったら
思いがけず目の奥が熱くなった。
今では、私が娘に卵焼きを焼く日々。
いつか、娘も思うのかしら。
「また食 -
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ネタバレ料理を作る人と食べる人、それぞれのドラマがあつて読み終わったあとはおいしいご飯を食べられることいつも自分を支えてくれる人へ感謝の気持ちを感じさせられた。
特にマイ・ハート・ウィル・ゴー・オンという章は、亡き夫が好きだった豚汁が巡り巡って誰かを救っている話で、豚汁を作った奥さんはかなり困難な状況だったけど、豚汁を作って自分を奮い立たせ、またそれが誰かを救っているという繋がりに感動した。
他の章でもおいしいそうな食事が出てきて、どれも食べたくなってくるお話ばかりだった。食べることは生きること、というように人生と食事は密接に関わっていると思う。ただ栄養をとるだけではなく、時に食事は自分自身を支え -
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ごはん小説シリーズ3作目。
今作も前作にも登場の人たちが「食」に拘り「食」で人を繋げて美味しい料理を提供し、みんなが幸せに感じる短編となっている。
○YORO〜キッチンカーを経営している綱木が、お世話になった料理人・前沢の孫娘のためにオムライスの作り方をレクチャーし、ついにはキッチンカーでもオムライスを…。
○夏の鉄板前は地獄〜大学の同級生の地元で海の家でバイトをすることになった海夏人が、焼きそばを作り続ける。夏だ!これこそ夏!そして焼きそばはテッパン!
○サンクス・ギビング〜TV番組でADを務める野村千秋が、オーベルジュを取材することになり同行した先に実家(パセリ農家)があって…。
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「本日のメニューは。」からの繋がりも発見できて楽しめ、さらに「食」のこだわりもバージョンアップしつつ、人との関わりも濃密になっていく。
○ほほえみ繁盛記〜夫の死後、ひとりで切り盛りしていた女将さんが、見た目がオムライスのかつ丼を生み出した理由は…。
○スパイスの沼〜キッチンカーを綱木に任せて店舗を持った井上が、品数を増やすために考えたのはカレーで、スパイスの沼に入り込み…。
(ロコ・モーションのその後…井上に娘が誕生して現在、妻のお腹には第2子が)
○オンリーワン・イズ・ナンバーワン〜贔屓にしていた『らーめん味好』のマスターが亡くなり、愛好家仲間から引き継ぎを提案された西山すみれが、マス -
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「食」をテーマに日常から起きた食べることのそれぞれを描いた短編集。
表紙のおむすびも美味しそうで…迷わずに手をとった一冊。
美味しそうな描写だけではなく、食べたくなり、作ってみたくなる、そして涙腺も緩む人情物語でもある。
○四分間出前大作戦〜入院している父にラーメンを食べさせたい兄弟に協力したのは…。
○おむすび狂詩曲〜メシマズ母のマズメシを回避して『おむすび・結』に通う女子高生。
○闘え!マンプク食堂〜ボリュームたっぷりでおかわり無料は、店主の思いから始まった。
○或る洋食屋の一日〜50年間継ぎ足して作ってきたドミグラスソースに対するシェフの思い。
○ロコ・モーション〜会社を辞めた -
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おいしい季節をむぐる物語・・・
改めて思うが、ご飯物の小説はいいです。
今回は季節をテーマにしつつの短編です。
個人的にはどれも好きな話でした。選べない安定感がありました。
でも、最後の『マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン』も泣きそうになりました。
料理に対する人達の思いや熱意などもすごく感じました。
また、一つのことが沢山の人達を巻き添いにして大きくなる。
それがまた、爽快で面白いです。
自分も心から誇れるもんを好きで仕方がないもんを見つけたいものです。
「本日のメニューは。」シリーズは心が温かくなるので好きです。
でも、恥かしい話が「本日のメニューは。」読めていません。
近いうちに読