高橋秀実のレビュー一覧

  • ご先祖様はどちら様

    Posted by ブクログ

    季刊誌「考える人」連載中に前半だけ読み、今回文庫版で完読。
    冒頭、名刺を交換しただけの中年の「縄文男」が、なれなれしく「お前、来週の水曜日、時間ある?」と囁きかけてくる。そこからファミリー・ヒストリーの旅が始まる。この中年男がだれかずっと気になっていたのだが、なんと、彼が文庫版の解説を書いていた!
    現在の自分から見て、親が2人、その親の親が4人、そのまた親は8人というように、時間をさかのぼると、祖先はどんどん増えてゆく。逆に時間を下ると、ひとりの祖先から子孫が枝分かれし、これもどんどん増えてゆく。両者は相似の関係。著者がそれを実感するくだりがおもしろい。
    キーワードは「佇む」。先祖がいた場所ま

    0
    2025年06月29日
  • ことばの番人(集英社インターナショナル)

    Posted by ブクログ

    これは面白かった!
    「校正」という仕事をめぐるノンフィクション、と書かれていた通りに
    校正の仕事の内容・知識と、その仕事をされている方の想いについて知ることができた。
    ただ、これからもっとAIが進歩してきたときに、こういう仕事はどうなるんだろう、と思ったり。

    以下メモ(豆知識も)
    校正とは
    ・校正とは「照合」比べる・正す・元の原稿と照らし合わせる
    ・校正とは文を読むことではなく字を見つめる。
    ・校正者は「正確」ではなく「不正確」の許容範囲を定めている。
    ・本当にそれを指摘すべきか。赤字を出すセンスより出さないセンス。全体を考えて最終的に重大な間違いが出ないように努力する

    ・日本最古の書と言

    0
    2025年05月13日
  • ことばの番人(集英社インターナショナル)

    Posted by ブクログ

    「校正」についてのノンフィクション。著者最後の本。「校正」」という主題のためか、これまでの著作よりも「根拠」へのこだわりが強い感じがする。参考文献も豊富。

    【目次】
    第一章 はじめに校正ありき
    第二章 ただしいことば
    第三章 線と面積
    第四章 字を見つめる
    第五章 呪文の洗礼
    第六章 忘却の彼方へ
    第七章 間違える宿命
    第八章 悪魔の戯れ
    第九章 日本国誤植憲法
    第十章 校正される私たち

    0
    2025年02月06日
  • おやじはニーチェ―認知症の父と過ごした436日―

    Posted by ブクログ

    この本に登場する「父」(=著者の父親)は80歳代後半。一方で私の両親はともに80歳代前半。現在私は両親といっしょには生活していないが、両親の認知機能がなだらかな坂を下るかのように低下しているのは日常会話などからなんとなく感じられる。だから私がこの本を読んだきっかけは、自分の両親(さらには自分自身)の認知症がより進行した場合に備えた“予習”だ。

    この本の副題-認知症の父と過ごした436日-とは、著者の母が亡くなった日から数えて父本人が亡くなるまでの日数を指している。つまり父にとって長年生活を共にしてきた妻がこの世からいなくなった時点がスタート。だが冒頭から「父は母の死を認知していないようだった

    0
    2025年01月03日
  • ことばの番人(集英社インターナショナル)

    Posted by ブクログ

    漢字の成り立ちや憲法の誤植、AIと文章の関係性にまで迫った名著で、校正者のみならず文字に関わる者の必読書。

    そもそも校正とは、文字とは、正しさとはなんなのかどうにもわからなくなってくる。私たちは文字に使われているにすぎず、本当の「校正技術」はDNAのみ持つのではないかー。筆者は後書きで、最終章は飛躍と捉える人がいるのではないかとしていたが、あの章はないと救いがなかった。新聞の書評欄で何度も取り上げられていた印象があり、いつまでも語り継ぎたい一冊。

    0
    2025年01月01日
  • ことばの番人(集英社インターナショナル)

    Posted by ブクログ

    つい先ごろ亡くなった高橋秀実の最新刊。「弱くても勝てます」以来、だいぶ読んできた。そして最後に本のテーマが、昨年1年勉強した校正とは…そして本で取材されている辞書を7000冊持っているという境田さん、いや境田先生と本で再会できるとは…いろいろ感慨深いものがありました。

    0
    2024年11月21日
  • 男は邪魔!~「性差」をめぐる探究~

    Posted by ブクログ

    脳の研究は検証方法や、実験群の設計が難しく、世の中には非科学的、エビデンスに基づかない性差論など多く存在する、という話を研究者が語っていたのを聞いたことがある。性差はないとする人もいれば、面白おかしく何でも性差に結びつけて議論されることもあり、一様に語ることはできないことなのだろうなと感じる。一方、その点で、本書の面白みの一つが男女の小学生への友達とケンカした時のやりとりについてのインタビュー。全てではないとは思うけど、説明を聞かない、聞こうとしない、聞き出そうと努力したり、理解しようとしない姿勢はもしかしたら幼少期から根付いてしまうものかもしれないと感じた。
    10年も前の本だけど、今読むべき

    0
    2024年11月17日
  • ことばの番人(集英社インターナショナル)

    Posted by ブクログ

    #ヨンデルホン
    #ことばの番人 / #高橋秀実(#集英社インターナショナル)
    #ドクリョウ #ヨミオワリ
    いわゆる、イメージどおりの「校正」に始まり、果ては漢字の成り立ち、分子にまで。膨大な参考文献・取材に裏打ちされた展開は圧倒的見事。考えるに、文字を作ったのが、誤りの始まりかもしれない…。

    0
    2024年11月02日
  • ことばの番人(集英社インターナショナル)

    Posted by ブクログ

     ことばの番人とは、校正者のことです。
     校正とは、文章を読んで、誤字や脱字などを見つけて修正することです。

     ことばに対する膨大な知識とこだわりを持つ、超ベテランの校正者に著者が話を聞きます。
     へぇ〜と感心し、そこまでやるのか〜とため息が出るエピソードがいろいろ出てきます。
     出版を陰で支えて、ことばを守る校正者。
    初めて知ること満載の本です。

     本のレビューを書いて、ことばで感想を発信しているわたしたちも読んでおくと良いと思います。ことばについての考えが変わるかもしれません。

     超オススメの一冊です!

     著者の語り口が滑らかで、ときおりクスっと笑えるユーモアもあります。読む前は堅

    0
    2024年10月28日
  • おやじはニーチェ―認知症の父と過ごした436日―

    Posted by ブクログ

    面白い!認知症の方と向き合うということの深い考察と、哲学を同時に学べる。否定はしちゃいけない!とか言われるけど肯定すればよいわけではない。
    「力は期待されることで、力になる」とか格言がたくさん。最後に著者が母校の先輩だと偶然知る。

    0
    2024年01月08日
  • 道徳教室 いい人じゃなきゃダメですか

    Posted by ブクログ

    現代の日本の道徳について考察したノンフィクション。
    テレビの事件報道を見ていて「これは道徳的にどうなのか」と思ったのが、この本を読むきっかけ。(首相の息子のスキャンダルなど) 道徳は家庭内のしつけとして、親から教えられるものと思っていたが、現在は学校で学ぶものらしい。この本では、子供から大人まで 道徳観についてのインタビューを行い、教育以外にも様々な現場の道徳観を知ることができて大変面白かった。
    以前、大学教授が書いた道徳本を読んだが、論理的なあるべき論が多かった。正論だし言いたいことはわかるが、現実世界ではどうなのと思うことが多かった。道徳は人が共生していくための最低限のルールで、頭の中だ

    0
    2023年10月09日
  • はい、泳げません

    Posted by ブクログ

    泳げる人も泳げない人も泳がない人もみんな一度はわかると思ったことのある小説
    物語よりもそこにつづられた文章を是非とも読んでいただきたい

    0
    2023年10月01日
  • おやじはニーチェ―認知症の父と過ごした436日―

    Posted by ブクログ

    認知症を何となしにわかっていたつもりでしたが、本書を読んで、概念や定義など他の疾患との特異性を感じました。その事から実際の筆者の父の訳のわからない言動にも何かその背後の意味あるところなど認知症に対しての構え方ヒントが隠されている事を非常に興味深く読ませて頂きました。哲学とは認知症対策だったのかとあとがきで触れていたのも納得でした。

    0
    2023年09月05日
  • おやじはニーチェ―認知症の父と過ごした436日―

    Posted by ブクログ

    物事は、驚くからストレスにならないのか!むしろ冷静を保つことこそ肝心とか思っていたけれど、驚ければ忘れられて、偶然の産物になるのだとか。これ、やってみよう。
    著者のお父さんが、こう言った、こういうことをやっていたと、読み進めるたびに4月に亡くなった親父がのことが、親父もそうだったよな、親父はそうだったかな、と色々思い浮かんできたが、やっぱり会いたいよな、認知のままの親父でもいいからさ。

    0
    2023年08月02日
  • おやじはニーチェ―認知症の父と過ごした436日―

    Posted by ブクログ

    自身の介護実体験と古今東西の思想家の議論とを照らし合わせながら、認知症業界で用いられている言葉を一つひとつ吟味し相対化していく。ただ吟味とは言っても、あくまで所感であって、エッセイ的にいい感じのところで手仕舞いしている感はある。まぁ、だからこそ気楽に読めるのであり、そのように仕上げる著者の力量はすごいと思う。

    0
    2023年07月24日
  • おやじはニーチェ―認知症の父と過ごした436日―

    Posted by ブクログ

    認知症が哲学になっている。こういう捉え方は驚きで新鮮だった。多分国民病みたいになってくる認知症、身近なものでありながら未知のもの。福祉専門学校ではニーチェを必読書にしても良いかと。あるいはサルトル?
    福祉を学ぶ人はこの本を手にとってほしい。

    0
    2023年06月03日
  • 趣味は何ですか?

    Posted by ブクログ

    趣味はないという著者が、いろんな趣味を持つ人のところへ行って、その話を聞きながら、趣味とは何か?という核心に迫っていくような本。

    蕎麦とヨガの章が爆笑で、著者のすっとぼけキャラがいい感じです。趣味にのめり込む人々がいる一方、冷めきった著者の態度と、それに乗っかる自分というような構図で、生あくびが出るなどの正直すぎる描写にはニヤニヤせざるを得ません。
    しかし、誰になんと言われようと、本人が好きでやってるのが趣味なんだからいいじゃない、コスパ、タイパは不要。趣味とはそういうものだよねと思います。
    あとは、人は何もしないことには耐えられないし、かと言って仕事で埋め尽くされるのも辛いから、余った時間

    0
    2023年06月01日
  • おやじはニーチェ―認知症の父と過ごした436日―

    Posted by ブクログ

    哲学は苦手だ。なんだこの本、俺は認知症のことが知りたくて手にしたのにと、正直ザッと読み飛ばそうと思ったがいつの間にか引き込まれたわ。
    100冊を軽く越える参考文献の数にただ者ならぬ作者の本気度を感じてしまった。この人、すごい。
    親子のやり取りに涙は出そうになるし、ノートを引っ張り出して抜書きを始めるし、俺もおかしくなった。アルツハイマーの進行する妻をもっともっと大切にしよう。

    0
    2023年04月22日
  • 道徳教室 いい人じゃなきゃダメですか

    Posted by ブクログ

    2018年度から小学校で「教科」として授業の
    一つに割り当てられています。

    通知表でも評価が下されるとか。

    道徳では何を学ぶのでしょうか。前半はその
    内容に迫ります。

    後半では、大人の社会でも◯◯ハラスメント
    など、道徳的観点で考えると、どういう結論
    が導かれるのか、など実践的な題材を取り上
    げます。

    考えれば考えるほど深みにハマりそうな首題
    に対して、リアルな取材を通して答えを見出
    す著者の姿勢は、実に道徳的な感慨を抱かず
    にはいられない一冊です。

    0
    2023年04月20日
  • 【無料試し読み版】ジェイク本バラエティBOOK ~おススメタイトル4選~

    匿名

    ネタバレ 購入済み

    よく考えられている

    ストーリーはもちろん面白いですが、それだけでなく知識として役に立つ内容が選ばれているというのもすごいと思います。狼とハイエナを比較する内容の漫画というのは珍しいですし、身体の機能について迫るお話も専門的内容を分かりやすく表現している点かあり、工夫されていると思いました。

    #タメになる #深い

    0
    2023年04月01日