高橋秀実のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレノンフィクション作家の高橋秀実氏が老年の実父を介護した経験をユーモラスに綴る作品。というか45%くらいは哲学や思想を現実世界へ応用を試みた文章?といっても過言ではありません。
なお高橋氏は小林秀雄賞受賞の作家さんで、村上春樹氏の『アンダーグラウンド』著述に関してリサーチャーをつとめたとのこと。惜しくも2024年にガンで逝去されました。
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当方も父が84歳。相応に認知症症状が出ています。
帰ってくるたびに私の職場を確認する(日本?海外だっけ?)、家内の出身の外国のこと(料理・文化・気候)を度々聞く。
まあ、その程度のことならば私も全然平気で対応できますし、精々様子を見に来れるのも一 -
Posted by ブクログ
書名「ことばの番人」とは凄いタイトルだ。番人、ことばの見張り役、ことばを守る役割の人。という意味に解釈できるが、要するに、校正者だ。
第1章 はじめに校正ありき
で、「文章は書くというより読まれるもの。読み手頼みの他力本願なのだ。世の中には優れた書き手などおらず、優れた校正者がいるだけではないかとさえ私は思うのである」とある。なかなか意味の深い言葉だ。
校正に纏わるいろいろ面白いトピックスが多く紹介されている。中でも伝説的な校正者、その方の蔵書は辞書だけで7000点を超える。7000点だ。ポピュラーな辞書『広辞苑』だけでも100点以上所蔵しているという。校正に辞書は欠かせないツールであるが -
Posted by ブクログ
母が無くなり、認知症の父の面倒を見る事になった著者。
作家でもあり、実際の出来事を哲学的な見地、又賢人の言葉に照らせ合わせながら物語は進んでいく。
・認知症の確定診断は、死んでから脳を見ないと分からない 80-84歳 21% 85-89歳 41%
・物忘れの自覚が有り、メモを取り対策をしている限りは認知症とは言わない。
・反省した態度を見せるのは禁物 謝るときは強気で謝る
・それは違うと否定ばかりすると、いじめられたという感情しか残らない
・家族が苛立つと、その気を感じて本人を追い詰める
・慰め、結びつき、共にいる事、携わる事、自分であること がニーズ
・認知障害を伝える為に、この特殊な旅か -
Posted by ブクログ
ネタバレ認知症に対する著者独自の視点が面白かった。
ように思う。ただ、その切り口が哲学なので少し難解ではあった。
あとがきから読めばもう少しすんなりと頭に入ってきたように思う。
また、お父さんが病気だとわかった時の著者の「考えてみれば、体が動くから認知症が問題だったわけで、動けなくなれば問題でなくなる。体が動くからこその「問題行動」であって、動かなければ問題も消えるのだ。自立した生活ができるのかと不安を覚えるから認知症なのであって、病院生活ならみなさんのお世話になる患者である。いつまで続くのかと悲観したから認知症だったわけで、週単位の余命だと宣告されれば毎日が愛おしい」(p249)という気付きには大い