高橋秀実のレビュー一覧
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学生時代、道徳の授業がなんとなく気持ち悪く、
意見を求められ、その意見に正解はないけど、まわりが納得するような意見を求められているような空気が苦手でした。
筆者の言うところの「日本の道徳教科書は「みんな仲良く楽しい」が大前提」で、それを感じ取ってと言われているような。
読んでみて腑に落ちたのは、日本の道徳の授業では「みんな」の中の自分を見つめる、みんなとうまくやっていくための「気持ち」を重視しているということ。
学校(あるいは道徳の授業)はファンタジーの世界だと思えば、当時の自分はもう少し気楽に過ごせたのかな。
なるほどと思ったのは、
ドイツの道徳教科書は「一人でいる」ことの価値を尊重する。一人の良い面と悪い面を考えさせ、そこから家族、共同体、国家、宗教へと広がり、「公平な方法で、人々がうまく共生することができるように法律が存在する」現実に目を向けさせる。論理的。そもそも孤独者同士のコミュニケーションなので障害があるのは当然で、技術やルールの学習が重要という考え方。
この本では、道徳からビジネス、AI、エコバックなどに話が広がり、ロボットにインタビューするところなど面白く読めた。ただ、最後にほぼ怒りで書いてるな〜と感じられる部分は少し残念でした。 -
Posted by ブクログ
2014年購入
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高校生の時に一度読んでるけど久々にもう一度読んでみた。
野球のルールは全然わからないしあまり見たことないけど、不思議と情景が見えてくる文章。開成高校の野球部員の受け答えが頭の良い人のそれで、頭良い人の思考は妙に頑固で論理的で面白かった。下手なのに大量得点できるというのは想像つかないけど、その勢いに相手チームはやられるのかな。一度ドサクサ野球を見てみたいなと思った。
「開成の生徒は同じ喋り方をする」というのは、私も大学生時代の時に「この大学の人はみんな喋り方が似てる」って思ったことと通じるものがあった。偏差値の同じような人たちはやっぱりみんな似たような喋り方をするのかな。 -
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君達、日本に生まれた育ってくれてありがとう、と心の声がこぼれてしまう。
有名な進学校開成高校野球部密着ノンフィクション。
彼らは明らかに偏差値が高く、あからさまに練習量が少なく、あまねく野球が好きな高校生。
グラウンドは他部と共用で週一使用。グラウンド整備で終わりそう。しかも皆さん、身体より先に頭で考えちゃうからマイペース。それに対峙する監督さんは、東大卒の保体教師。彼らの思考に見合った檄を飛ばす。練習量が少ないので守備は、捨てる。確実にストライクを入れゲームを壊さないピッチャーを選ぶ。とにかく前からきたボールを打って、早めのチャンスで一気攻める。通称ドサクサ野球。
生徒を実名で掲載し取材を許した、学校・保護者・高校生達の懐の深さよ。
原点から自分で考えてしまう彼らは、自己分析も明確で驕らず凹まず試合に向かう。何度も笑わせてもらいました。成り行きで取材を始めたらしい筆者が彼らに惹かれていく気持ちが伝わりました。 -
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高橋秀実(1961年~)氏は、東京外語大モンゴル語学科卒、TV番組制作会社勤務等を経て、フリーのノンフィクション作家。元ボクサーで、ボクシングのジムトレーナーの経験もある。『ご先祖様はどちら様』で小林秀雄賞受賞(2011年)。
本書は、「小説新潮」の連載をもとに、2012年に出版(2014年文庫化)されたもので、ミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。2014年4~6月には、「弱くても勝てます 〜青志先生とへっぽこ高校球児の野望〜」としてTVドラマ化(日本テレビ系/キャストは二宮和也、有村架純、山﨑賢人等)もされた。
内容は、長年に亘り東大合格者数連続1位の進学校・開成高校の野球部が、2005年の全国高校野球選手権大会の東東京予選でベスト16にまで勝ち進み(5回戦で、優勝した国士舘高校に3-10で敗れた)、そのことに驚いた著者が練習に密着取材し、まとめたノンフィクションである。
副題が「開成高校野球部のセオリー」と書かれていることから、開成ならではの理論的で緻密な戦略・戦術があり、それに関する情報が得られるのかと思って読むと、肩透かしを食う。尤も、日本有数の進学校に学力選抜で入った生徒(=運動が苦手、というわけでは必ずしもないが)が、グラウンドでの練習を週1回しかできない環境で、どのようにすれば勝てる(可能性がある)かについては、青木監督には明確な方針があり、それは、守備はそこそこ/打撃はひたすらフルスイングで、ハイリスク・ハイリターンの勝負をするというもので、理に適っているとも言えるのだが、それが、一般的見て、勝つための戦略・戦術として参考になるかといえば、少々疑問であろう。ましてや、高校で部活をやりつつ一流大学に進学するために参考になることなどはほぼ出てこない。
よって、本書は、そうした読み方をするのではなく、野球に関してはごく普通の高校生である開成の生徒が、野球にどのように向き合い、取り組んでいるのかを、純粋に楽しみながら読むのが良いように思うし、実際に大いに楽しめる。
例えば、
◆ショートの生徒「僕は球を投げるのは得意なんですが、取るのが下手なんです・・・苦手と下手は違うんです。苦手は自分でそう思っているということで、下手は客観的に見てそうだということ。僕の場合は苦手ではないけど下手なんです」
◆ピッチャーの生徒「実は、僕は逆上がりもできないんです・・・中学(開成中学)では軟式野球部にいましたけど、僕はゴロを捕って投げることが苦手ですから、試合にも出られませんでした・・・ピッチャーならできるんです・・・他のポジションは来るボールに反応しなくてはなりません。ボールに合わせなきゃいけないわけです。でもピッチャーだけは違います」
◆外野の生徒「球が来ると焦っちゃうんです。『捕れない』と思っちゃうんです・・・何も考えずにやれば捕れるんです。でも、何も考えずにやれば捕れる、と考えちゃうと捕れなくなる」等々
万事この調子なのだ。
松井秀喜や松坂大輔とは異なる、もう一つの高校野球(もちろん、開成高校という特殊性もあるが)が楽しめる傑作といえるだろう。
(2022年7月了) -
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書店で帯に映画化の文字があったため手に取った。
どうやらカナヅチの人の水泳の話らしい。
私自身は泳げる人側で、コロナ前は月に一度くらいのペースでプールに行き、ゆっくりクロールで1キロ泳いでいた。泳ぐことは好きで四泳法マスターした。
泳げる立場の読み手からすると、
この本を読みながら泳ぐイメージができて楽しかった。そうそう、腕は横にだよね、とか。
なぜ泳げないのか言葉にしてもらえてわかりやすかった。
コロナ中でもイメージトレーニングで泳げて楽しい。
泳げない人には同意できる本。
泳げる人には水泳の楽しさを言葉にしてもらえる本。
本自体ページ数が少ないので、サラッと1日で読めてしまいます。これから夏が来るし、オススメ。 -
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サブタイトルにあるように、開成高校野球部の戦い方を紹介した本。
というよりも、この本が出た時点での開成高校野球部監督の青木先生の考え方を紹介した本、といった方がよいかもしれません。
おそらく、監督の青木先生は、自身のこれまでの野球人生から、悔しかったこと、上手くいかなかったこと、失敗したことをしっかり振り返り、その上で、今の戦力で成果を最大にするための方法を、つねに考えていると思います。
その具体例は、一見、非常識ではありますが、野球というスポーツを根本から考え直す意味で、よい本だと思います。
また、自分のこれまでの経験に照らし合わせる限りでは、青木先生の方向性は、非常に合理的だと思います。
ちなみに、あとがきとして、桑田真澄の文章が載っているのですが、これを読むだけでも、意味がある本だと思います。 -
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東京都の予選でベスト16とは、高校野球経験者の認識ではその凄さを瞬時に理解する。くじ運か?との疑問にもすぐに答えを提供され、なぜ勝てる?と読み進めたくなる欲求を抑えきれなかった。
頑張らないように見えて、努力の片鱗が見えた。きっと勉強で鍛え上げられた耐力の成果だと思った。夢見て自分の身体をイジメぬいて鍛える猛者たちと相対することに少しも怯まない精神的な狡猾さとも思える考えには感心せざるを得ない。失敗を嫌い、侮蔑から逃避する思考で満タンの権力者たちとの対比をしてしまった。学歴が高くても自身の弱点と克服出来ない実力にも向き合い、可能な範囲で勝利する戦略を個々に考え、試し、実行されたら強さにつながる。そんな過程がハッキリと見てとれた。
ミスを許容し、弱みを認め、好きや得意を伸ばす事で勝ちに繋げる理論は、仕事や私生活で充分通用するのではないかと感じた。特に年々個人へのストレスが増していく昨今には有効かもしれない。 -
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会社員であれば誰しも、いつかは「定年退職」を迎える。かくいう私もあと数年で定年退職になるが、定年退職後のプランはまだ何となくぼんやりとしている感じだ。
私が入社したのは昭和の最後の頃で、携帯電話どころかパソコンもワープロも無く、ようやくコンビニが街に建ち始めた頃だった。その当時に定年退職になる方は「第二の人生をのんびり過ごす」という方が多くて、好きな趣味に没頭したりボランティア活動にいそしんだりされる方が多かったような気がする。40年ほど前の話だ。
現在では定年後に再就職するのが当たり前の時代になり、企業に対しても来月2021年4月からは定年が65才まで引き上げられ70才までの雇用が努力義務となる。希望すればかなりの年令まで働くことの出来る世の中になっていくので、定年後の「のんびりと余生を過ごす」という生き方はいまや過去の遺物となっているのかもしれない。
超高齢化社会を迎えた日本では、医療費問題や年金問題を含めて、高齢者がどのように社会に貢献していくか、どうすれば健康な毎日を過ごせるかが社会的な課題となっている。そのため、定年退職後の生活や健康に関する書籍も数多く出版されている。
高橋秀実さんが書かれた「定年入門: イキイキしなくちゃダメですか 」もその一冊で、フリーライターの高橋さんが企業を定年退職になった方々のインタビューをまとめた一冊だ。
この手の書籍では充実した定年退職後の生活を指南するものや、定年退職後の起業に関するものなど「退職後の生き生きとした生活」を促す内容が多い。しかし、今回ご紹介する一冊はそれらとかなり趣が替わっており、「生き生きとしていない方々」が登場する。実際のインタビューを元にしているだけに、退職後の様子がリアルに伝わってくる一冊だ。
退職したあとに手帳のスケジュールを埋めるために新たな趣味を始めた方や、奥様が働いているので家事に専念する方など、決して生き生きとはしていない方々が数多く登場する。中には、時間をもて余して毎日をどう過ごせば良いか途方にくれている方や、定年退職後に充実した生活を送っているもののそこに何となく空虚感が漂う方などもいて色々と考えさせられる。
この一冊は定年退職後の生活をどのように過ごせば良いかという指南本ではなく、定年退職した人のうち“生き生きとしていない人”がどのように過ごしているかを書いたドキュメンタリーなのだろう。それを知ることによって「こういう人も多々いるんだ」と安心するか「自分はこうなりたくないな」と思うかは読んだ人次第だが、そういったことを投げかけるという意味では、今までの定年退職に関する書籍とは若干異なったインパクトを与えてくれる一冊だろう。
要は、進むも停まるも本人次第ということだろうか。 -
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サブタイトルに「イキイキしなくちゃダメですか」とあるので、イキイキしない定年後もよいではないか! という著者の主張が展開されるのかと思いきや、さにあらず。著者がインタビューを試みたいずれの人たちも十分にイキイキしているように見えました。
自分にとってはまだ少し先のことですが、こんな風にアクティブにいけるだろうか、やっぱ仕事もなくなってお金にも困ってますます引きこもる悪循環になるのではないか、とネガティブな想像ばかり膨らんでしまいます。
とはいえ、様々な人たちの定年後を垣間見ることができる点では、この本の内容は興味深いものでした。”入門”とありますが、定年後の生活に対する初歩的なルールがわかるわけでもなく、これといった結論が提示されているわけでもないので、ひたすらゆる~く読み進め、こんな人もいるのね、ぐらいに思っておくのが良いのだと思います。
心穏やかに生きるには、人と比べないこと、ですね。 -
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投入できる資源が少ない場合は、局地的に勝てる部分に資源を投入しそこだけで勝ち、その勝ちに紛れてどさくさのうちに戦場全体で勝ちにいく、というのが開成高校野球部の戦略の根幹である。
で、この戦略は中小企業の社長がドラッカーの次に手を出すランチェスター戦略にも似ており、その意味で普遍的な弱者の兵法なのだろう。
自分も基本的に弱者なので、このような兵法を駆使しないと勝ちの可能性がない開成高校野球部の面々に大いに共感しながら読み進めた。といっても面々はあまりに個性的すぎて読者の共感を拒絶するようなところがあり、筆者のパンピー的な視点に助けられ、そんなに気が合うわけではないけどたまーに飯を食うくらいの遠目の友達のような気持ちだった。そういう友達だって愛おしいじゃない。 -
Posted by ブクログ
<感想>
本書を読んで「健康のためなら死んでもいい」というジョークを思い出した。本書には損をしないためにコストに合わない努力をする人々が出てくる。俯瞰して眺めると明らかに非合理的なのだが、当人たちにとっては目先の小さな損得を回避することが正義になるらしい。
特に「自分の得」を「相手の損失」で測る人々の存在は身につまされた。
損得は比較の中で生まれる。比較対象が無ければ主観の満足度しかない。「損したくない」は同程度の他者との比較から生まれる感情なのだ。
最終章の年配のご婦人たちのコメントは「損したくない」感情を見事に昇華した偉人のようでもあり、哲学者の雰囲気も感じさせる。「損したくない」感情に振り回され苦しんでいた自分自身にとっては、まさに目から鱗が落ちる思いであった。
「「失敗するのもこれまた一興」であり、「せっかく生きているんだから、失敗を楽しまないとそれこそ損じゃないですか」
「一興」という日本語は心に刻んでおきたい。辛いときに呟くマイ呪文にしようっと。
<アンダーライン>
・輝かしい底値
・最終的に最安値を確認できるのは最後のスーパーを確認した時で、実際買うにはそこから最安値のスーパーまで戻らなければいけない
・知ると損した気分になる
・(ポイント)小さな得の積み重ねは大きな損に通じているのではないだろうか
・企業に損させることが彼女の得ということらしい
・価格と値段
★生きているだけで、私たちはリスクを取っている
・「分からなさ」を数値化したものを「リスク」と呼ぶ
★現在価値
★後悔はありますけどね。後悔は損じゃないから
★口にしたら本当に損になっちゃうでしょ
★損しているのを「損している」と言ったって何の意味もないでしょう。愚の骨頂じゃないかしら
★現実の損得を考えたら、結局損するからです。底値だと思って買っても次の日になるともっと安くなっているかもしれないでしょう。
★たまたま安いモノに出くわせば「ラッキー!」と得した気分になるし、高いモノを買って失敗するのもこれまた一興です。「あっ失敗しちゃった」っていうのも楽しいじゃないですか。せっかく生きているんだから、そういうことを楽しまないとそれこそ損じゃないですか