高橋秀実のレビュー一覧
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サブタイトルにあるように、開成高校野球部の戦い方を紹介した本。
というよりも、この本が出た時点での開成高校野球部監督の青木先生の考え方を紹介した本、といった方がよいかもしれません。
おそらく、監督の青木先生は、自身のこれまでの野球人生から、悔しかったこと、上手くいかなかったこと、失敗したことをしっかり振り返り、その上で、今の戦力で成果を最大にするための方法を、つねに考えていると思います。
その具体例は、一見、非常識ではありますが、野球というスポーツを根本から考え直す意味で、よい本だと思います。
また、自分のこれまでの経験に照らし合わせる限りでは、青木先生の方向性は、非常に合理的だと思います。 -
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東京都の予選でベスト16とは、高校野球経験者の認識ではその凄さを瞬時に理解する。くじ運か?との疑問にもすぐに答えを提供され、なぜ勝てる?と読み進めたくなる欲求を抑えきれなかった。
頑張らないように見えて、努力の片鱗が見えた。きっと勉強で鍛え上げられた耐力の成果だと思った。夢見て自分の身体をイジメぬいて鍛える猛者たちと相対することに少しも怯まない精神的な狡猾さとも思える考えには感心せざるを得ない。失敗を嫌い、侮蔑から逃避する思考で満タンの権力者たちとの対比をしてしまった。学歴が高くても自身の弱点と克服出来ない実力にも向き合い、可能な範囲で勝利する戦略を個々に考え、試し、実行されたら強さにつな -
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会社員であれば誰しも、いつかは「定年退職」を迎える。かくいう私もあと数年で定年退職になるが、定年退職後のプランはまだ何となくぼんやりとしている感じだ。
私が入社したのは昭和の最後の頃で、携帯電話どころかパソコンもワープロも無く、ようやくコンビニが街に建ち始めた頃だった。その当時に定年退職になる方は「第二の人生をのんびり過ごす」という方が多くて、好きな趣味に没頭したりボランティア活動にいそしんだりされる方が多かったような気がする。40年ほど前の話だ。
現在では定年後に再就職するのが当たり前の時代になり、企業に対しても来月2021年4月からは定年が65才まで引き上げられ70才までの雇用が努力義 -
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サブタイトルに「イキイキしなくちゃダメですか」とあるので、イキイキしない定年後もよいではないか! という著者の主張が展開されるのかと思いきや、さにあらず。著者がインタビューを試みたいずれの人たちも十分にイキイキしているように見えました。
自分にとってはまだ少し先のことですが、こんな風にアクティブにいけるだろうか、やっぱ仕事もなくなってお金にも困ってますます引きこもる悪循環になるのではないか、とネガティブな想像ばかり膨らんでしまいます。
とはいえ、様々な人たちの定年後を垣間見ることができる点では、この本の内容は興味深いものでした。”入門”とありますが、定年後の生活に対する初歩的なルールがわか -
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投入できる資源が少ない場合は、局地的に勝てる部分に資源を投入しそこだけで勝ち、その勝ちに紛れてどさくさのうちに戦場全体で勝ちにいく、というのが開成高校野球部の戦略の根幹である。
で、この戦略は中小企業の社長がドラッカーの次に手を出すランチェスター戦略にも似ており、その意味で普遍的な弱者の兵法なのだろう。
自分も基本的に弱者なので、このような兵法を駆使しないと勝ちの可能性がない開成高校野球部の面々に大いに共感しながら読み進めた。といっても面々はあまりに個性的すぎて読者の共感を拒絶するようなところがあり、筆者のパンピー的な視点に助けられ、そんなに気が合うわけではないけどたまーに飯を食うくらいの遠目 -
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<感想>
本書を読んで「健康のためなら死んでもいい」というジョークを思い出した。本書には損をしないためにコストに合わない努力をする人々が出てくる。俯瞰して眺めると明らかに非合理的なのだが、当人たちにとっては目先の小さな損得を回避することが正義になるらしい。
特に「自分の得」を「相手の損失」で測る人々の存在は身につまされた。
損得は比較の中で生まれる。比較対象が無ければ主観の満足度しかない。「損したくない」は同程度の他者との比較から生まれる感情なのだ。
最終章の年配のご婦人たちのコメントは「損したくない」感情を見事に昇華した偉人のようでもあり、哲学者の雰囲気も感じさせる。「損したくない」感情に -
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ニノ出演のドラマの原作。
開成と言えど、やっぱ男子高校生って
バカなんだな(笑)
と思った。
青木監督の罵声も、生徒の言動も、
「高校あるある」が詰まってて共感しまくり。
部屋で一人で夜中に読んでて、始終ゲラゲラ笑ってしまったf^_^;(近所迷惑)
教育的示唆はこの本の中にはコレと言ってないので
あんま、そういうのを求めてはいけない…。
ただ、
「将来エリートコースに乗るような生徒でさえ、高校の時はこれだけボケッと過ごしてるんだから、そりゃウチの生徒なんかもっとボケボケしてるわな」
という広い心だけは持てるようになりました(゜ω゜)。。。 -
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「出来ること」と、
それを人に「教えられること」の能力は別もので、
たぶん「出来なかった頃のこと」を認知していると、
寄り添えるから教えやすいんだろうなあ。
桂コーチの教え方と、
教えに向き合う過程が興味深い。
いいコーチに出会ったね、高橋さん、と思う。
私は物心ついたときから水が好きで
泳げる側の人だったので、
泳げない人の気持ちについて
考えたことがなかったなあというのを思い知った。
それにしても高橋さんは思い悩みすぎでは、と
感じなくもないが、なるほど泳げないというのにも
パターンがあるのだなと思った。
これを読むと泳げるようになる指南書!
というではないが、
苦手なことに向き合う -
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開成高校の野球部員のマインドは彼らなりに合理的でスマートなものだ。ゆえに客観的過ぎて、当事者意識が希薄だ。これは良くも悪くも社会に蔓延している兆候のような気がする。そういった感覚を活かしながら、野球を通して、殺さずに活かしつつ、挫折と成功の両面を学んでいる。エリートコースで通常得難い経験を野球部員はしているように思えた。絶対条件に適うように野球をする。なんて命題に従って試行錯誤し試合に繋げる。通常の野球部では考えられないやりかたで、野球の世界である程度の成績を残している。練習効率の面からいけばおそらくトップではないだろうか。野球が具体的にひとつひとつ問い直され再構築されていく様子は読んでいて刺
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開成高校野球部を取材した本書。
運動神経やセンスがない彼らなりに、色々と考えて練習している。しかし、頭がいいせいかそれが段々と深みにはまり、しまいには哲学のようになってしまう。
けれど、そんな彼らの少しズレた感覚や、一生懸命さに応援したくなる。
監督も独特の指導方法をしており、野球とは…と考えてしまった。強豪にみる様々な戦略よりも、伸び伸びと思い切り振ることに重点を置く指導方法は、弱いチームだからできることであるだろうが、高校生のスポーツにおいては、素晴らしいことの様に思う。
「野球は勢いで相手を踏み倒す競技だったのだ」(p32)という一文は、一瞬衝撃だったけれど、よくよく考えてみればあながち