あらすじ
甲子園も夢じゃない!? 平成17年夏、東大合格者数日本一で有名な開成高校の野球部が、東東京予選ベスト16に勝ち進んだ。グラウンドでの練習は週1日、エラーでも空振りでもかまわない、勝負にこだわりドサクサに紛れて勝つ……。監督の独創的なセオリーと、下手を自覚しながら生真面目に野球に取り組む選手たちの日々。思わず爆笑、読んで納得の傑作ノンフィクション!
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Posted by ブクログ
所要時間:3時間
印象に残った文章:常識を疑い、練習は「仮説と検証」を行う場
オススメ度:
身内 5
その他 4
過去の自分(20歳) 5
未来の自分(60歳) 3
子供が【14】歳の時に読んで欲しい
野球に対する「当たり前」を覆された本。とても面白かった。何をするにも一般的な型はあるが、必ずしも当てはめる必要はない。自分が良いと思うことを試してみて、納得できるならそれでもよい。
ムダをムダなのかどうか、根拠も経験がないと断定できない、僕「は」ではなく僕「が」する、という意識の違い等、考えさせられることは多かった。
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実際には「弱そうに見えても勝てます」なんだろうけど、そんな結果を残せている要因は【明確な戦略】の存在とそれを実践するための【準備】をしているから。ちなみに(残念ながら)現在の東大野球部には開成出身の選手はいないみたいです。
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電車で読んでいて、何度も噴出してしまいそうんいなるのをこらえるのが大変だった。
選手もそうだが、監督が論理的でいながらはっちゃけていて、キャラが立っている。
「ドサクサ野球」「何事も大きく」等すてきなフレーズが連発される。
頭の良いこと、論理的であること、自分を客観的に見れることなど、など、本来褒められることが、野球と絡まった途端、ここまで面白く、滑稽にみえるとは、発見だ。
かしこい彼らは真剣に考えて、野球に論理的に取り組んでいるだけなのに、本来こっけいなはずの、ド根性精神の野球を正常な立場として、彼らをみることでどうしようもなく面白くなってしまう。読んでいく内に、この事象は、今の野球の固定観念にしばられている自分を笑っているようなものでああることにうすうす気が付いていく。
Posted by ブクログ
開成高校といえば東大に一番入っている高校ですが、野球部は週に1回しか練習がなくてもたまにかつらしいです。東大の野球部も大概ですが、開成の野球部もとても面白そうでした。守備は捨てて打撃に専念して勢いで勝つというのはなかなか面白い。
Posted by ブクログ
勝つかまけるかわからない。ノれば乱打戦。だめなときはだめ。つまり、運。もちろんそうではないときもあるが、何事にも例外はあるのである。運があるから勝ち負けがあるのである。
のような、いわゆる「野球」のイメージを覆したような理論に圧倒された。
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セオリーっていうほど勝ててないけど!
まぁそれはさておき、開成と言えば頭良いんだから頭脳プレーで勝負だぜ、みたいな、ベイビーステップみたいなんかと思ったら、勢いで打ちまくれ、という豪快さだった。打って当たるか当たらないかはギャンブルだと言い切るところが適当やなー、って最初思ったけど、こういうギャンブルできるからスタートアップで儲けられるんかな、とか思うと、なんか考えてしまうわな。
しかしメンバーそれぞれ主張が強いというか。やっぱ開成ってのはスゴイわけですよ。
Posted by ブクログ
2014年購入
*
高校生の時に一度読んでるけど久々にもう一度読んでみた。
野球のルールは全然わからないしあまり見たことないけど、不思議と情景が見えてくる文章。開成高校の野球部員の受け答えが頭の良い人のそれで、頭良い人の思考は妙に頑固で論理的で面白かった。下手なのに大量得点できるというのは想像つかないけど、その勢いに相手チームはやられるのかな。一度ドサクサ野球を見てみたいなと思った。
「開成の生徒は同じ喋り方をする」というのは、私も大学生時代の時に「この大学の人はみんな喋り方が似てる」って思ったことと通じるものがあった。偏差値の同じような人たちはやっぱりみんな似たような喋り方をするのかな。
Posted by ブクログ
君達、日本に生まれた育ってくれてありがとう、と心の声がこぼれてしまう。
有名な進学校開成高校野球部密着ノンフィクション。
彼らは明らかに偏差値が高く、あからさまに練習量が少なく、あまねく野球が好きな高校生。
グラウンドは他部と共用で週一使用。グラウンド整備で終わりそう。しかも皆さん、身体より先に頭で考えちゃうからマイペース。それに対峙する監督さんは、東大卒の保体教師。彼らの思考に見合った檄を飛ばす。練習量が少ないので守備は、捨てる。確実にストライクを入れゲームを壊さないピッチャーを選ぶ。とにかく前からきたボールを打って、早めのチャンスで一気攻める。通称ドサクサ野球。
生徒を実名で掲載し取材を許した、学校・保護者・高校生達の懐の深さよ。
原点から自分で考えてしまう彼らは、自己分析も明確で驕らず凹まず試合に向かう。何度も笑わせてもらいました。成り行きで取材を始めたらしい筆者が彼らに惹かれていく気持ちが伝わりました。
Posted by ブクログ
高橋秀実(1961年~)氏は、東京外語大モンゴル語学科卒、TV番組制作会社勤務等を経て、フリーのノンフィクション作家。元ボクサーで、ボクシングのジムトレーナーの経験もある。『ご先祖様はどちら様』で小林秀雄賞受賞(2011年)。
本書は、「小説新潮」の連載をもとに、2012年に出版(2014年文庫化)されたもので、ミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞。2014年4~6月には、「弱くても勝てます 〜青志先生とへっぽこ高校球児の野望〜」としてTVドラマ化(日本テレビ系/キャストは二宮和也、有村架純、山﨑賢人等)もされた。
内容は、長年に亘り東大合格者数連続1位の進学校・開成高校の野球部が、2005年の全国高校野球選手権大会の東東京予選でベスト16にまで勝ち進み(5回戦で、優勝した国士舘高校に3-10で敗れた)、そのことに驚いた著者が練習に密着取材し、まとめたノンフィクションである。
副題が「開成高校野球部のセオリー」と書かれていることから、開成ならではの理論的で緻密な戦略・戦術があり、それに関する情報が得られるのかと思って読むと、肩透かしを食う。尤も、日本有数の進学校に学力選抜で入った生徒(=運動が苦手、というわけでは必ずしもないが)が、グラウンドでの練習を週1回しかできない環境で、どのようにすれば勝てる(可能性がある)かについては、青木監督には明確な方針があり、それは、守備はそこそこ/打撃はひたすらフルスイングで、ハイリスク・ハイリターンの勝負をするというもので、理に適っているとも言えるのだが、それが、一般的見て、勝つための戦略・戦術として参考になるかといえば、少々疑問であろう。ましてや、高校で部活をやりつつ一流大学に進学するために参考になることなどはほぼ出てこない。
よって、本書は、そうした読み方をするのではなく、野球に関してはごく普通の高校生である開成の生徒が、野球にどのように向き合い、取り組んでいるのかを、純粋に楽しみながら読むのが良いように思うし、実際に大いに楽しめる。
例えば、
◆ショートの生徒「僕は球を投げるのは得意なんですが、取るのが下手なんです・・・苦手と下手は違うんです。苦手は自分でそう思っているということで、下手は客観的に見てそうだということ。僕の場合は苦手ではないけど下手なんです」
◆ピッチャーの生徒「実は、僕は逆上がりもできないんです・・・中学(開成中学)では軟式野球部にいましたけど、僕はゴロを捕って投げることが苦手ですから、試合にも出られませんでした・・・ピッチャーならできるんです・・・他のポジションは来るボールに反応しなくてはなりません。ボールに合わせなきゃいけないわけです。でもピッチャーだけは違います」
◆外野の生徒「球が来ると焦っちゃうんです。『捕れない』と思っちゃうんです・・・何も考えずにやれば捕れるんです。でも、何も考えずにやれば捕れる、と考えちゃうと捕れなくなる」等々
万事この調子なのだ。
松井秀喜や松坂大輔とは異なる、もう一つの高校野球(もちろん、開成高校という特殊性もあるが)が楽しめる傑作といえるだろう。
(2022年7月了)
Posted by ブクログ
サブタイトルにあるように、開成高校野球部の戦い方を紹介した本。
というよりも、この本が出た時点での開成高校野球部監督の青木先生の考え方を紹介した本、といった方がよいかもしれません。
おそらく、監督の青木先生は、自身のこれまでの野球人生から、悔しかったこと、上手くいかなかったこと、失敗したことをしっかり振り返り、その上で、今の戦力で成果を最大にするための方法を、つねに考えていると思います。
その具体例は、一見、非常識ではありますが、野球というスポーツを根本から考え直す意味で、よい本だと思います。
また、自分のこれまでの経験に照らし合わせる限りでは、青木先生の方向性は、非常に合理的だと思います。
ちなみに、あとがきとして、桑田真澄の文章が載っているのですが、これを読むだけでも、意味がある本だと思います。
Posted by ブクログ
東京都の予選でベスト16とは、高校野球経験者の認識ではその凄さを瞬時に理解する。くじ運か?との疑問にもすぐに答えを提供され、なぜ勝てる?と読み進めたくなる欲求を抑えきれなかった。
頑張らないように見えて、努力の片鱗が見えた。きっと勉強で鍛え上げられた耐力の成果だと思った。夢見て自分の身体をイジメぬいて鍛える猛者たちと相対することに少しも怯まない精神的な狡猾さとも思える考えには感心せざるを得ない。失敗を嫌い、侮蔑から逃避する思考で満タンの権力者たちとの対比をしてしまった。学歴が高くても自身の弱点と克服出来ない実力にも向き合い、可能な範囲で勝利する戦略を個々に考え、試し、実行されたら強さにつながる。そんな過程がハッキリと見てとれた。
ミスを許容し、弱みを認め、好きや得意を伸ばす事で勝ちに繋げる理論は、仕事や私生活で充分通用するのではないかと感じた。特に年々個人へのストレスが増していく昨今には有効かもしれない。
Posted by ブクログ
投入できる資源が少ない場合は、局地的に勝てる部分に資源を投入しそこだけで勝ち、その勝ちに紛れてどさくさのうちに戦場全体で勝ちにいく、というのが開成高校野球部の戦略の根幹である。
で、この戦略は中小企業の社長がドラッカーの次に手を出すランチェスター戦略にも似ており、その意味で普遍的な弱者の兵法なのだろう。
自分も基本的に弱者なので、このような兵法を駆使しないと勝ちの可能性がない開成高校野球部の面々に大いに共感しながら読み進めた。といっても面々はあまりに個性的すぎて読者の共感を拒絶するようなところがあり、筆者のパンピー的な視点に助けられ、そんなに気が合うわけではないけどたまーに飯を食うくらいの遠目の友達のような気持ちだった。そういう友達だって愛おしいじゃない。
Posted by ブクログ
開成高校の野球を作者目線で物語が進んでいきます。
謳い文句はタイトル通りですが、強豪高校という印象が出る為、引っかかります。
勿論、名門高校よりは弱いのですが.......
ですが、考え方、実践方法等は普段の生活や仕事にも応用出来る内容で考えさせられました。
Posted by ブクログ
ニノ出演のドラマの原作。
開成と言えど、やっぱ男子高校生って
バカなんだな(笑)
と思った。
青木監督の罵声も、生徒の言動も、
「高校あるある」が詰まってて共感しまくり。
部屋で一人で夜中に読んでて、始終ゲラゲラ笑ってしまったf^_^;(近所迷惑)
教育的示唆はこの本の中にはコレと言ってないので
あんま、そういうのを求めてはいけない…。
ただ、
「将来エリートコースに乗るような生徒でさえ、高校の時はこれだけボケッと過ごしてるんだから、そりゃウチの生徒なんかもっとボケボケしてるわな」
という広い心だけは持てるようになりました(゜ω゜)。。。
Posted by ブクログ
開成高校の野球部員のマインドは彼らなりに合理的でスマートなものだ。ゆえに客観的過ぎて、当事者意識が希薄だ。これは良くも悪くも社会に蔓延している兆候のような気がする。そういった感覚を活かしながら、野球を通して、殺さずに活かしつつ、挫折と成功の両面を学んでいる。エリートコースで通常得難い経験を野球部員はしているように思えた。絶対条件に適うように野球をする。なんて命題に従って試行錯誤し試合に繋げる。通常の野球部では考えられないやりかたで、野球の世界である程度の成績を残している。練習効率の面からいけばおそらくトップではないだろうか。野球が具体的にひとつひとつ問い直され再構築されていく様子は読んでいて刺激的で面白かった。これからのヒントにもなると思う。良書。
Posted by ブクログ
開成高校野球部を取材した本書。
運動神経やセンスがない彼らなりに、色々と考えて練習している。しかし、頭がいいせいかそれが段々と深みにはまり、しまいには哲学のようになってしまう。
けれど、そんな彼らの少しズレた感覚や、一生懸命さに応援したくなる。
監督も独特の指導方法をしており、野球とは…と考えてしまった。強豪にみる様々な戦略よりも、伸び伸びと思い切り振ることに重点を置く指導方法は、弱いチームだからできることであるだろうが、高校生のスポーツにおいては、素晴らしいことの様に思う。
「野球は勢いで相手を踏み倒す競技だったのだ」(p32)という一文は、一瞬衝撃だったけれど、よくよく考えてみればあながち間違いでもない。時に勢いが勝敗を分けることもある。
今後の開成高校硬式野球部の動向が気になる。
Posted by ブクログ
確かに監督の理論と選手の思考や表現は面白いが、やっぱり甲子園からは程遠いとしか思えない。最後の桑田の後書きは秀逸で、本文をうまく解説している。
Posted by ブクログ
生徒たちには『自分が主役』と思ってほしいんです。大人になってからの勝負は大胆にはできません。だからこそ今なんです。
本文より(p.217)
いろいろと不安に思ったり挑戦することに対するリスクなどさまざまなことをぐるぐるぐるぐると考えてしまうけれど、とにかく挑戦してみないことにははじまらない。つべこべ考えずとにかく思いっきりバットを振る。何かに思いっきり、夢中で取り組んでみることの面白さや楽しさに改めて気づかされました。
Posted by ブクログ
タイトルが気になって読んで見た。あまり野球に詳しくないがポイントを打撃に絞り、打ち勝つ手法は勇気のいる決断とも思う。ただ限られた練習時間と戦力から、よく考えらている手法だしビジネスにも通じるものがあると思う。
Posted by ブクログ
超進学校の野球部の話。運動能力に秀でたわけでもなく、練習時間も短い環境でどうせ負けるではなく自分たちの野球を思い切りやる。理詰めのやり取りが面白いし、監督の指導がすばらしい。2022.11.18
Posted by ブクログ
野球は、頭脳と戦略という人がいる。それも一理ある。他方で、楽しみながら、全力で邁進する姿勢も必要だ。もしかすると彼らには、甲子園にかける”熱い想い”が加われば、もしかすると、もしかするかもしれない。そんな可能性を感じずにはいられない。
彼らには、桑田よりも清原が必要だ!!
Posted by ブクログ
著者の監督及び選手というか生徒への質問に対する彼等の答えの内容が、所謂高校野球強豪校のそれらの人からは決して出てこないと思われるもので実に面白い。生徒達は、投球や打撃についてのヘンテコな独自理論を持っていてそれをすらすら話せる辺りそこは頭の良さ、偏差値の高さを感じさせますが、一方で単純さ、素直さ稚拙さも感じて可愛いくもある。
専用練習球場もない為グラウンドでの練習は週1日、東大目指して勉強もしなければならないという環境の中で、ヘタな開成高校野球部が目指す野球(守備は下手だから思い切り振って一気呵成の責めで10〜15点位の大量得点を上げる)で勝つ為に奮闘する姿が微笑ましい。
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積読してた本を片っ端から読もうシリーズ24冊目。
ドキュメンタリーとは言え、ドラマ化されたのだからと少なからずストーリー性を求めてしまった。
やはり、小説とドキュメンタリーは違かった。
取材がベースになってるので、満遍なくたくさんの選手たちが登場し、キャラが立っているワケでもなく、誰が誰だか全く定着しない。
特に選手たちのコメントは、とにかく「??」の連続。
頭が良い故の、分かり難さ笑
結局あまり開成の凄さがよく分からず唐突に終わってしまった。
うーん、消化不良。
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開成高校野球部の取材記録。
選手や監督達の理屈っぽい独特のコメントと著者のツッコミが面白いです。
物語ではないので読み終わった!というスッキリ感はないですが、感心したりクスッとしたりしながらゆっくり読めました。
強い野球部を目指すのではなくて、弱くても強豪校に一か八か勝てるかもしれない野球部を目指す、という目標設定は新感覚でした。下手なんだから多少打たれてもエラーしても動じない、そういうメンタルコントロールは真似してみたいかも。
Posted by ブクログ
「思いっきり空振りしてこいや!」
思わず読みながら笑ってしまったけど、こうやって言ってくれる指導者、最高だ。
本著は実在の野球部(強豪とは言いがたい部)の練習や試合について著者が取材したノンフィクション。
野球の話ではあるんだけど、目標に対するアプローチの仕方、問題を解決するプロセスや心構えについて知ることができる1冊になっている。
読んで感じたのは、言葉ひとつで物事の見方は変えられること。
精神論が悪いとは言わないけど、どうしたら合理的にできるかを論理的に考えることは大切なんだということ(頭のいい人はこれができているんだろうね)。
「練習」ではなく「実験と検証」。
ボールが「来た」ではなく「来い」と思って対処する。
「私は打つ」ではなく「私が打つ」。
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すんか寸暇を惜しむようにのんびりしている ただ単に「甲子園を目指す」というと、何やら遠くを見るようで体も棒立ちになりそうだが、「強豪校を撃破する」と言葉にすれば、闘う姿勢になる。バットも思い切り振れそうてま、まさにイメージが体の動きを呼び起こすのである。考えてみれば、開成のセオリーは強豪校を相手にした弱者の兵法。それを貫けば、自ずと結果はついてくる。結果を目的にしてしまうと結果が出ないのである。それに「甲子園を目指す」「甲子園に行く」では観戦に行くようでもあり、無意識のうちに気も緩みそうで、イメージとしては逆効果なのかもしれない。 へりくだ遜る 自分に必要なことは自分でやる 彼らに意志の確認をするのは骨である。最初から「やりたかった」と言ってくれれば済むところを、客観的描写を徐々に絞り込んでいくことでようやく意志のようなものに辿り着けるのだ 客観性で追い詰める 私は答えに窮した もともと意思の有無は正確性に乏しいのである 言葉の力を試す思考実験 必要を決めれば十分がついてくる 閃きを凌駕する努力の証明 西日暮里駅の改札 各人各様 道元 福井 親鸞は浄土真宗「爆発」が近づいているように思えてくる 希望は知性から生まれる 幸甚こうじん 「は」ではなく「が」の勝負 仮説と検証の連続 サイクロイド曲線 常識を疑うこと 野の球 桑田真澄
Posted by ブクログ
ドラマ「弱くても勝てます」の原作となっているが、野球部の練習に関すること以外の場面はまったくない。
顧問となった先生の過去へのこだわりもなければ、部員たちの恋愛模様もない。
野球部が取り組んだ他とは違う練習方法や、部員たちの練習への思いを追いかけたノンフィクションである。
既存の練習法を打ち壊し、まったく別のアプローチで勝利を目指す。
一応野球のルールくらいはわかるといった程度の人間にも理解できる練習方法だったけれど、本当にそれでいいのか?と思うようなこともあった。
部員たちは不安にならなかったのだろうか?
疑問の答えは本書の中にあった。
部員たちは、そもそも野球をよく知っているわけではない。
当然、当たり前だとされているセオリーを知らないからこだわりようもない。
「野球をしようとするな」
監督のこの言葉の意味を理解するのは、ちょっと難しかった。
「野球をする」と「野球をしようとする」の違いがわからない。
たぶん、彼らは理屈で納得してからでなければ野球が出来ないのだろう。
何も考えずに球を打つ、走る。球を拾う、球を返球する、球を捕る。
普通のことだと思うのだけれど…。
週1回の練習でも試合に勝てるようになるのか!!と単純に驚いた。
常識からは大きく外れた練習方法だったけれど、だからこそ週1回の練習しかしない彼らでも勝てたのだろう。
この本の面白さは、何よりも普通とは「大きく外れた」部分にある。
監督のいうことのひとつひとつが、変わりすぎていて唖然とする。
でも、読んでいるうちに、唖然とするよりも何だか面白くなってくる。
次はどんなことを言うのだろう。
これで本当に勝っちゃったの?
負けたほうは辛いだろうな…など。
すべてのことを決め付けるのではなく、時には「あり得ない」と思うアプローチが有効なことだってある。
そんなふうに思えたノンフィクションだった。