エコノミストの『2050年の世界』、フリードマンの『100年予想』をここのところ読んできた。
フリードマンの方はまだレビューにまとめてないが…。
日本については両者の見解が大きく異なるのに驚いた。
依って立つ理論の違いによるのだろう。
エコノミストは人口動態学、フリードマンは地政学だ。
最近地政学
...続きを読むをタイトルに謳う本が多い。
その一冊として、本書を手にしたというわけで。
で、本書は必ずしも未来予想の本ではないが、フリードマンと共通する認識もあった。
例えばポーランドの評価。
地勢的にヨーロッパの中で重要な位置にあり、大国とみるべきだ、と。
ショパンの繊細なイメージと結びついて、ソ連・ロシアとドイツに蹂躙されたかわいそうな国、という日本人によくある認識とはかなり異なる。
北極海航路の話は、エコノミストの方でも触れられていた話だったが、本書では日本への影響にも少し触れられていたところもあり、津軽海峡や宗谷海峡が今後地政学的に重要になる、とか。
それ以外でも、驚いたこともある。
まず難民問題。
シリアなどの難民が、ドイツのNGO、NPOにより突然片道航空券を持って押し寄せる事態が起こりかねないという。
労働力不足が解消される? いやいや、全く受け入れ態勢が整わないまま事態が進み、大混乱が起きるのだろうな。
シーパワーが変わらず力を持ち続けるという話を読むと、中国がなぜ今海洋進出を焦って進めているのかが腑に落ちる。
沖ノ鳥島問題というのも、びっくり。
海洋法条約では限りなく「岩」に近いため、中国の南沙諸島問題のカードにされかねないのだそうだ。
エネルギー問題についても、考えさせられる。
民需であれ、軍需であれ、飛行機、ロケットは石油でしか飛ばせない。
石油は今後、戦略物資として温存させられる国とそれができない国に分かれていく。
日本もエネルギーミックスで原発を積極的に考えよ、というのだが…。
これはどうなのか。
数十年後の戦争と、一億年先までの地球環境とをどう考えていくのがいいのだろう。