山内昌之のレビュー一覧
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歴史学者である著者が、歴史を学ぶことの意義について論じている本です。
著者は、司馬遷やヘロドトスから現代の歴史学者にいたるまでのさまざまな歴史にかんする議論を紹介し、人間が歴史に対してどのようにかかわり、歴史からなにを学んできたのかということについて考察をおこなっています。
まず目を引くのは、著者が社会史に代表される現代の歴史学の動向に対して批判的なスタンスをとっていることです。著者は、歴史の叙述が生き生きとした文章によってわれわれにその魅力を示すということは、歴史にとって些末なことではなく、むしろ歴史の本質に属するものであると考えており、頼山陽の『日本外史』のような作品についても無礙にあつかうべきではないと主張しています。その一方で、中国の史学史を参照しつつ、経学を史学より上に位置づける立場にも異議を提示し、偶然的な歴史の事実により添いつつ、歴史のうちになんらかの道理を見いだそうと努めてきた歴史学者たちの試みを高く評価しています。
さらに、そのような態度で真摯に歴史から学ぼうとすることが、けっしてわれわれが現実において直面しているさまざまな問題と無縁のものではなく、むしろ現実の問題の解決を求めるうえでも有益であると主張しています。とくに著者は、こうした立場から歴史を学んだ人物として陸奥宗光を紹介し、そのしたたかな知性のありかたが、彼の歴史から学ぼうとする態度と密接なつながりをもっていることを明らかにしようとしています。 -
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ネタバレ自分を苛む嫉妬の感情に対処することを目的に、
佐藤優『嫉妬と自己愛 「負の感情」を制した者だけが生き残れる』にて推薦されていたため、購入しました。
まず、嫉妬とは何かを考えたとき、
"他人が順調であることをにくむ感情"
という定義は、言い得て妙だと感じました。
本書では、偉人の例を取り上げ、嫉妬がいかに危険なものであるかを教え、他人の嫉妬を買わないように警告しています、
自分の場合、嫉妬を買う側ではなく、抱く側だったのですが、本書の例を読み、体感した嫉妬の罪の大きさに、いつの間にか自分の抱える嫉妬が小さくなっていました。
私は秀才でも天才でもありませんが、沈黙は金なりという言葉を心得、そうは言っても、勇気まで失わないよう精進していこうと思いました。 -
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ネタバレ失敗から学ぶことは多々あり、それが戦時のことであれば、生死をかけた戦略や行動であるために、更に学ぶべきことは多いと考える。ただし、完ぺきな人間などいるはずもなく、限られた情報の中で、限定合理的に行動した結果であることを念頭に置く必要がある。
・ウェーバーの価値自由原理である、ヒト/モノ/カネを効率的に利用できているかという効率性の問題と、価値の問題は分けて考えるべきというのはなるほど。そして、効率的なものが常に正当であるということにはならないというのも納得である。
・戦時において、成功した体験は、なかなか否定できない。実績が一度伴うと、それに寄りかかってしまう。必要な時には自己否定ができることが良いリーダーであり、その場合でもスピード感を持って判断できるようになるべきである。この判断のためには、大局観を持ち、真実に目を向け、新しいことを生み出そうとする思考が重要である。
・部下たちの面倒をこまめに見ることが、指揮官への信頼と親近感を増幅させる。
・これらを成すのは、体力と健康である。 -
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30冊の幅が広い、という当たり前の印象。
ちくま新書の名著シリーズはどれもクセが強いように感じていてそこが本シリーズの魅力でもあるのだけど、歴史学に疎い自分にとって本書もかなりクセが強く感じられた。
目次をめくって30冊をまずは確認。マックス・ウェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』あたりはなんとなくわかるが、フーコー『監獄の誕生』となると、どう歴史学と絡めて名著として扱うのか、読む前からドキドキしてくる。
ウェーバーやフーコーを、ギボンやカエサル、チャーチルあたりと同列の扱いで歴史学者が語るのだから面白くない訳がないだろうに。 -
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2012年7月に書かれた本で、1984年に書かれた「失敗の本質」に対して多面的な検証とさらなる考察が実施された本、「失敗の本質」はずっと読みたかった本なのですが、まだ読めておらず、先に新しい版を読むことになりました。
相応の歴史知識や、太平洋戦争時代の人物像に関する情報がもともとないと、やはり難解であるとは思うが、それなりに長い間勉強してきてから読んだので、僕にはさらに造詣が深まったと思う。
『戦場のリーダーシップ』という観点では、僕もこれまでいくつか勉強してきてましたが、「キスカ撤退の木村」や「組織人になれなかった天才参謀 石原莞爾」、「独断専行はなぜ止められなかったのか 辻 政信」など、これまで知らなかったことも新たに知ることができました。
後半には、大和特攻の伊藤長官の
「我々(大和)は死に場所を与えられたのだ」の名言による戦艦大和特攻作戦における意思決定プロセスに関しても記載あり、大変興味深い。 山本七平の『空気論』という部分も大変勉強になった。
(山本七平:『「空気」の研究』1977年)
→ 伊藤長官の論理的思考は空気で説明できない
→ 「空気」の本質を科学的に分析する
2009年度ノーベル経済学賞を受賞した、
オリバー・E・ウィリアムソンの取引コスト理論に従って分析
→ いかにして、空気に水を差すか
カントの人間学的道徳哲学を引用して「自律的な意思を実践できる人間:啓蒙された人」と
以下、引用 P277
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日本軍は、設立当初はメンバー同士が自由闊達に議論する組織であった。 ところが時間の経過とともに制度が完備され、特に人事制度が明確になると、制度上、どうすれば昇進できるのかが明確になった。 こうした状況で、昇進制度に忠実な他律的エリートたちが育成され、実権を握っていった。 (中略)
こういう他律的エリートが統率する組織では、メンバーは容易に取引コストを計算し、合理的計算のもとに全員一致で「空気」を読み取ることになる。 そして、合理的に非効率で不正な結論に導かれることなる。
この意味で、海軍は、不条理に陥ったエリート集団の典型であった。 取引コストにとらわれた人々の、他律的な意思決定に対し、一石を投じることのできる人物、それが自律的な意思を実践する「啓蒙された人」である。このようなリーダーが帝国海軍に数人いれば、組織の不条理から救われたはずである。
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とても面白かった。途中話が流れの中でかわるのでちょっとん?ってなったけど。でも日本史世界史に精通している作者ならではだなぁと思った。
これからは日本史世界史を区別せず学んでいく時代だと思うし、色々な視点から考えることができるのが歴史の面白いところだと思うのでよかった。
もうちょっと、日本史の知識があれば楽しめたかもしれない。
とりあえず、三国志のラスボスは劉邦の妻であると認識しました。彼女、恐ろしすぎる…。絶対、今でいうサイコパスだと思う。
森鴎外のクズっぷりも面白かった。偉人とクズは紙一重。なのかも。
そして実は教科書であまり見かけない人が歴史の基盤を作ってたりするのも興味深い。
そういう人ほどクローズアップされるべきだと思った。
なにより嫉妬はどんな優れた人も狂気に陥れられると学んだ1冊。 -
Posted by ブクログ
山内昌之氏と佐藤優氏の現代政治情勢対談シリーズの1冊。
地政学といえば地政学だが、紛争・問題点などを1章ごとに対談している形で、時期の旬を過ぎるとあまり意味がないのではと思った。
1章 ISと中東情勢 ロシアやアメリカやトルコなどの主要各国、中東各国の思惑が説明されている。
2章 ナショナリズムの深層(スコットランド、ウクライナ、沖縄)この後にイギリスのEU離脱も決まったが、世の中はグローバル化ともにナショナリズムが復権していることも視野に入れたほうがよいと思う。
3章 難民危機 シリア難民の受け入れ対応などによって、各国の思惑が見え隠れする。
4章 シリアのヨーロッパの対応、ロシアのリアリズム ロシアのリアリズム路線が存在感を増していることを書いている。
5章 中東の重視は石油の重視ということでもある。各国のエネルギー戦略が根底にあることの検証。
6章 対中、対韓、対露、「安倍談話」を巡る国としての歴史観についてなど
7章 世界史のリーダーシップ リーダーが必要な時代に必要な資質や能力とは。
ざっと読むのが良い本で、一つずつ検証するという本ではないような気がした。対談だといつものように読みやすい本だったとは思う。