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喜怒哀楽とともに、誰しも無縁ではいられない感情「嫉妬」。時に可愛らしくさえある女性のねたみに対し、本当に恐ろしいのは男たちのそねみである。妨害、追放、殺戮……。あの英雄を、名君を、天才学者を、独裁者をも苦しめ惑わせた、亡国の激情とは。歴史を動かした「大いなる嫉妬」にまつわる古今東西のエピソードを通じて、世界史を読み直す。
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Posted by ブクログ
認められたい。優れていることを証明したいという欲は暴走すると自らと周囲を滅ぼすことになる。そして、そのことによって自らの名誉(存命中・死後問わず)を失うことをスターリンや東条英機から学びたい。 私は小さなことで嫉妬に狂う凡夫だ。優秀な人の能力を目の当たりにすると自分の中で嫉妬の炎が燃えるのが分かる...続きを読む。読み進める中で、歴史に生きた人も同様であることに安心感を覚えたが、それと同時に嫉妬に狂った人生が喜びに満ちたものに終わらないこともよく分かった。 本書でも言われたように『知足』は嫉妬心を上回る心の支えになると思う。日々の小さな喜びを見出して、満足を得たい。 そして、優秀な人を見ても『余所は余所、私は私』と割り切れるような器量も持ち合わせたいと、歴史上に生きた人たちを見て思った。
古来組織と嫉妬は背中合わせでありました。 インテリジェンスの世界でも「歴史についてよく勉強すること。歴史は相似形をかたち作ることが多いのでそれを見逃さないために。加えて動物行動学的なものと嫉妬についてもよくよく勉強すること。人間の行動原理がわかるから」といったことがよく言われるようで、この本は嫉妬の...続きを読む歴史についてひも解いている本であります。 嫉妬というとプライベートの領域では女性と同一視されることが多いですが、仕事・業務・権力と紐付いた嫉妬というのは男性女性関係なく凄惨なものとなります。古来中国の宦官や大和王朝の公家に代表されるように、男の嫉妬は女性よりもむしろ陰湿さ激しさを増す場合が多いようで。 過去の嫉妬を叙述的に書いているので、何かすぐにこれに生かせるぞ!というノウハウ的なものが多いわけではありませんが、嫉妬をする人の思考のパターンや、嫉妬に陥る状況、そして周りからどう見えるかという第三視が豊富に記述されているため、自分がそういった状況に陥った時のパターン認識には有効に役立ってくれると思いました。 エピソードとしては、鴎外がこんなにも嫉妬深かったというのはこの本を読んで初めて知りました。浅学でした。
げに恐ろしきは、男の嫉妬…。この本には男の嫉妬にまつわる妨害、追放、殺戮にまつわるエピソードが古今東西に渡って収録、紹介されてあって、読みながらおなかいっぱいになってしまいました。問題作だと思います。 あんまり具体的なことは書くまいと自分に 戒めているが、僕がとある出来事から学んだことは、男にと...続きを読むって嫉妬という感情が自分という人間を焼き尽くしてしまいかねないくらいに度がし難い感情であるということでした。やはり、嫉妬というものは女性のそれよりも男のそれのほうが何倍も激しいものなのだということを実感した次第でありました。 この本はそんな「嫉妬」というものについて、古今東西のさまざまなエピソードを通じて、世界史というものを考察するというものです。しかし…。嫉妬というものが場合によっては一国の運命を揺るがしかねないような途轍ものない感情であることが延々と書かれてあって『そうだよなぁ…』というなんとも言いようがない感情とそれに伴う妨害工作、追放。殺戮…etcのオンパレードに 「自分の中にもこういう『魔物』が潜んでいるのか・・・。」 という思いに恐れ慄いてしまったことを正直に告白します。 森鴎外は医学者でありながら小説も書けるということで最後まで男爵の称号を得られず、石原莞爾はその天才的な軍事的才能ゆえに東条英機から疎まれ、追放されます。旧ソ連のトハチェフスキーという将軍はその出自と教養。そして才能をスターリンにねたまれ、非業の最期を遂げる…。このほかにもさまざまな嫉妬にまつわるおぞましいエピソードが列挙されていて、新書ながら読んでいておなかいっぱいになってしまいました。 嫉妬。この度がし難い感情を否定することはできませんが、この感情に真正面から向き合ってみるためにも一読して損はないと感じています。
2010年に読んだ本の中でのベスト本。 山内先生といったらイスラムのイメージだけど、こんな歴史雑学の引き出しもあったんだと、思わず感激です。 出典もきちんとカバーしてる点など、評価できると思いましたね。 少しユルイとは思いつつ、思わず人に話したくなっちゃう話の連続で、大変、満足でした。
「嫉妬」という言葉を聞いて良い感情だと感じる方は少ないだろう。だが時に自身を奮い立たせる原動力になったり、その気持ちを抱いた後に来る自身に対する嫌悪感から、より精神を高度に成長させる糧にもなったりする。斯く言う私もビジネスの世界では同僚や後輩の昇進に内心平然ならぬ感情を抱いたり、学生時代には好意を寄...続きを読むせる女性が他の男と話をしているのを見ては、自分は大して好きじゃないという想いとは逆の態度をとりながら自分の精神を無理やり平静に保とうとした事を思い出す。これは絵に描いたような嫉妬である。 本書は歴史上の人物にも見られた嫉妬と、それを要因に発生した政変や粛清などを取り上げている。 それは古代ローマ時代から現代に至るまで、誰もがよく知っている人物にまつわる話が中心となっている為、非常にわかりやすく頭に入ってくる。 そして嫉妬の恐ろしさが世界史・日本史を大きく変えてきた事実にも驚愕してしまう。 兄弟間、夫婦間、親子、上司部下の関係などいずれのパターンでも人が常に自分と他を比べる性質である以上、何処にでも嫉妬は発生する。そして時代背景が戦時のような混乱した状況にあれば、嫉妬の相手方を容易に死に追いやることも珍しく無い。そのやり方も恨みの大きさや見せしめの効果を狙ったケースなどでは見るも無惨な形で執行される。嫉妬とはその様な恐怖につながる危険な感情だし、現代でもニュースにされる様な男女間の嫉妬の行く末などにも通ずる。 嫉妬が生み出すもの、自身の身を追い落とす存在になる様なケースでは相手への恐怖心、自身にできない事をやってのけてしまう事から来る畏怖の念、蹴落としてでも競争に勝ちたいという執念など、かなりの爆発力を秘めている。それほどまでに人を突き動かす原動力になるが、その一方で、そうした嫉妬を受けないタイプや、嫉妬の感情に縛られない人物もいる。本書はそうした人材も取り上げることで嫉妬の感情の抑制に繋がる方法も示唆しているようだ。 とは言え本書を読んで感じるのは、目立てば当然に周りからの嫉妬にさらされるし、そうならない様に身を潜めれば大業を成し遂げるのは難しいし、究極的にはそれを抱えながら上手く生き延びるしか方法は無いというこではないだろうか。 本書後半で取り上げる「天才」石原莞爾と「秀才」東條英機の辺りは非常に面白く、現代社会で自分の周囲を見渡せば、その様な嫉妬に渦巻く争いの一つや二つが容易に出てくる。 本書を読みこうした知識を持っておくだけでも、また一つ自分の精神を周囲にはコントロールされにくい強固なものにできるのではないだろうか。会社組織なら優秀な部下がいてこそ、チームの勝利と自身の評価に結びつくのであって、部下への嫉妬などは持たない事である。万が一上司部下の関係がひっくり返るなら、自身の努力が周りに対して及ばなかっただけである、と素直に受け入れるだけである。が、自分がそこまで立派な人間になる日は遠そうだ。
何年振りかの再読。嫉妬した歴史的な著名人の実例を次々に紹介した本。特に森鴎外と牧野富太郎のところが面白かった。牧野富太郎は、在野の植物研究者で偉人だと、子供の頃、伝記を読んで記憶していたが、そういった面ばかりでなく、非常に人間臭い部分があったと改めて知った。 嫉妬されないためにどうすべきか、学ぶべき...続きを読むところの多い本である。
とても面白かった。途中話が流れの中でかわるのでちょっとん?ってなったけど。でも日本史世界史に精通している作者ならではだなぁと思った。 これからは日本史世界史を区別せず学んでいく時代だと思うし、色々な視点から考えることができるのが歴史の面白いところだと思うのでよかった。 もうちょっと、日本史の知識があ...続きを読むれば楽しめたかもしれない。 とりあえず、三国志のラスボスは劉邦の妻であると認識しました。彼女、恐ろしすぎる…。絶対、今でいうサイコパスだと思う。 森鴎外のクズっぷりも面白かった。偉人とクズは紙一重。なのかも。 そして実は教科書であまり見かけない人が歴史の基盤を作ってたりするのも興味深い。 そういう人ほどクローズアップされるべきだと思った。 なにより嫉妬はどんな優れた人も狂気に陥れられると学んだ1冊。
本書は大いなる嫉妬にまつわる古今東西のエピソードを通じて世界史を読み直した本です。もちろん日本の話もあります。
[ 内容 ] 喜怒哀楽とともに、誰しも無縁ではいられない感情「嫉妬」。 時に可愛らしくさえある女性のねたみに対し、本当に恐ろしいのは男たちのそねみである。 妨害、追放、殺戮…。 あの英雄を、名君を、天才学者を、独裁者をも苦しめ惑わせた、亡国の激情とは。 歴史を動かした「大いなる嫉妬」にまつわる古今東...続きを読む西のエピソードを通じて、世界史を読み直す。 [ 目次 ] 序章 ねたみとそねみが歴史を変える 第1章 臣下を認められない君主 第2章 烈女の一念、男を殺す 第3章 熾烈なライヴァル関係 第4章 主人の恩寵がもたらすもの 第5章 学者世界の憂鬱 第6章 天才の迂闊、秀才の周到 第7章 独裁者の業 第8章 兄弟だからこそ 第9章 相容れない者たち 終章 嫉妬されなかった男 [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
「嫉妬」という観点から、歴史上の人物を分析する。 アイデアは面白いが、何度も読むような本ではないかな。 著者はやや難解な言葉遣いを好むよう。 徳川慶喜、島津久光、呂后、森鴎外、近藤勇、ロンメル、中谷宇吉郎、牧野富太郎、石原莞爾、東条英機、カエサル、スターリン、島津義久、ゴードンなど。
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