【感想・ネタバレ】嫉妬の世界史のレビュー

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Posted by ブクログ

認められたい。優れていることを証明したいという欲は暴走すると自らと周囲を滅ぼすことになる。そして、そのことによって自らの名誉(存命中・死後問わず)を失うことをスターリンや東条英機から学びたい。

私は小さなことで嫉妬に狂う凡夫だ。優秀な人の能力を目の当たりにすると自分の中で嫉妬の炎が燃えるのが分かる。読み進める中で、歴史に生きた人も同様であることに安心感を覚えたが、それと同時に嫉妬に狂った人生が喜びに満ちたものに終わらないこともよく分かった。

本書でも言われたように『知足』は嫉妬心を上回る心の支えになると思う。日々の小さな喜びを見出して、満足を得たい。
そして、優秀な人を見ても『余所は余所、私は私』と割り切れるような器量も持ち合わせたいと、歴史上に生きた人たちを見て思った。

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2020年11月01日

Posted by ブクログ

古来組織と嫉妬は背中合わせでありました。
インテリジェンスの世界でも「歴史についてよく勉強すること。歴史は相似形をかたち作ることが多いのでそれを見逃さないために。加えて動物行動学的なものと嫉妬についてもよくよく勉強すること。人間の行動原理がわかるから」といったことがよく言われるようで、この本は嫉妬の歴史についてひも解いている本であります。

嫉妬というとプライベートの領域では女性と同一視されることが多いですが、仕事・業務・権力と紐付いた嫉妬というのは男性女性関係なく凄惨なものとなります。古来中国の宦官や大和王朝の公家に代表されるように、男の嫉妬は女性よりもむしろ陰湿さ激しさを増す場合が多いようで。

過去の嫉妬を叙述的に書いているので、何かすぐにこれに生かせるぞ!というノウハウ的なものが多いわけではありませんが、嫉妬をする人の思考のパターンや、嫉妬に陥る状況、そして周りからどう見えるかという第三視が豊富に記述されているため、自分がそういった状況に陥った時のパターン認識には有効に役立ってくれると思いました。

エピソードとしては、鴎外がこんなにも嫉妬深かったというのはこの本を読んで初めて知りました。浅学でした。

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2012年06月05日

Posted by ブクログ

げに恐ろしきは、男の嫉妬…。この本には男の嫉妬にまつわる妨害、追放、殺戮にまつわるエピソードが古今東西に渡って収録、紹介されてあって、読みながらおなかいっぱいになってしまいました。問題作だと思います。

あんまり具体的なことは書くまいと自分に 戒めているが、僕がとある出来事から学んだことは、男にとって嫉妬という感情が自分という人間を焼き尽くしてしまいかねないくらいに度がし難い感情であるということでした。やはり、嫉妬というものは女性のそれよりも男のそれのほうが何倍も激しいものなのだということを実感した次第でありました。

この本はそんな「嫉妬」というものについて、古今東西のさまざまなエピソードを通じて、世界史というものを考察するというものです。しかし…。嫉妬というものが場合によっては一国の運命を揺るがしかねないような途轍ものない感情であることが延々と書かれてあって『そうだよなぁ…』というなんとも言いようがない感情とそれに伴う妨害工作、追放。殺戮…etcのオンパレードに
「自分の中にもこういう『魔物』が潜んでいるのか・・・。」
という思いに恐れ慄いてしまったことを正直に告白します。

森鴎外は医学者でありながら小説も書けるということで最後まで男爵の称号を得られず、石原莞爾はその天才的な軍事的才能ゆえに東条英機から疎まれ、追放されます。旧ソ連のトハチェフスキーという将軍はその出自と教養。そして才能をスターリンにねたまれ、非業の最期を遂げる…。このほかにもさまざまな嫉妬にまつわるおぞましいエピソードが列挙されていて、新書ながら読んでいておなかいっぱいになってしまいました。

嫉妬。この度がし難い感情を否定することはできませんが、この感情に真正面から向き合ってみるためにも一読して損はないと感じています。

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2012年02月08日

Posted by ブクログ

2010年に読んだ本の中でのベスト本。

山内先生といったらイスラムのイメージだけど、こんな歴史雑学の引き出しもあったんだと、思わず感激です。

出典もきちんとカバーしてる点など、評価できると思いましたね。

少しユルイとは思いつつ、思わず人に話したくなっちゃう話の連続で、大変、満足でした。

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2011年01月03日

Posted by ブクログ

「嫉妬」という言葉を聞いて良い感情だと感じる方は少ないだろう。だが時に自身を奮い立たせる原動力になったり、その気持ちを抱いた後に来る自身に対する嫌悪感から、より精神を高度に成長させる糧にもなったりする。斯く言う私もビジネスの世界では同僚や後輩の昇進に内心平然ならぬ感情を抱いたり、学生時代には好意を寄せる女性が他の男と話をしているのを見ては、自分は大して好きじゃないという想いとは逆の態度をとりながら自分の精神を無理やり平静に保とうとした事を思い出す。これは絵に描いたような嫉妬である。
本書は歴史上の人物にも見られた嫉妬と、それを要因に発生した政変や粛清などを取り上げている。
それは古代ローマ時代から現代に至るまで、誰もがよく知っている人物にまつわる話が中心となっている為、非常にわかりやすく頭に入ってくる。
そして嫉妬の恐ろしさが世界史・日本史を大きく変えてきた事実にも驚愕してしまう。
兄弟間、夫婦間、親子、上司部下の関係などいずれのパターンでも人が常に自分と他を比べる性質である以上、何処にでも嫉妬は発生する。そして時代背景が戦時のような混乱した状況にあれば、嫉妬の相手方を容易に死に追いやることも珍しく無い。そのやり方も恨みの大きさや見せしめの効果を狙ったケースなどでは見るも無惨な形で執行される。嫉妬とはその様な恐怖につながる危険な感情だし、現代でもニュースにされる様な男女間の嫉妬の行く末などにも通ずる。
嫉妬が生み出すもの、自身の身を追い落とす存在になる様なケースでは相手への恐怖心、自身にできない事をやってのけてしまう事から来る畏怖の念、蹴落としてでも競争に勝ちたいという執念など、かなりの爆発力を秘めている。それほどまでに人を突き動かす原動力になるが、その一方で、そうした嫉妬を受けないタイプや、嫉妬の感情に縛られない人物もいる。本書はそうした人材も取り上げることで嫉妬の感情の抑制に繋がる方法も示唆しているようだ。
とは言え本書を読んで感じるのは、目立てば当然に周りからの嫉妬にさらされるし、そうならない様に身を潜めれば大業を成し遂げるのは難しいし、究極的にはそれを抱えながら上手く生き延びるしか方法は無いというこではないだろうか。
本書後半で取り上げる「天才」石原莞爾と「秀才」東條英機の辺りは非常に面白く、現代社会で自分の周囲を見渡せば、その様な嫉妬に渦巻く争いの一つや二つが容易に出てくる。
本書を読みこうした知識を持っておくだけでも、また一つ自分の精神を周囲にはコントロールされにくい強固なものにできるのではないだろうか。会社組織なら優秀な部下がいてこそ、チームの勝利と自身の評価に結びつくのであって、部下への嫉妬などは持たない事である。万が一上司部下の関係がひっくり返るなら、自身の努力が周りに対して及ばなかっただけである、と素直に受け入れるだけである。が、自分がそこまで立派な人間になる日は遠そうだ。

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2023年09月09日

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何年振りかの再読。嫉妬した歴史的な著名人の実例を次々に紹介した本。特に森鴎外と牧野富太郎のところが面白かった。牧野富太郎は、在野の植物研究者で偉人だと、子供の頃、伝記を読んで記憶していたが、そういった面ばかりでなく、非常に人間臭い部分があったと改めて知った。
嫉妬されないためにどうすべきか、学ぶべきところの多い本である。

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2023年04月15日

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ネタバレ

自分を苛む嫉妬の感情に対処することを目的に、

佐藤優『嫉妬と自己愛 「負の感情」を制した者だけが生き残れる』にて推薦されていたため、購入しました。

まず、嫉妬とは何かを考えたとき、
"他人が順調であることをにくむ感情"
という定義は、言い得て妙だと感じました。

本書では、偉人の例を取り上げ、嫉妬がいかに危険なものであるかを教え、他人の嫉妬を買わないように警告しています、

自分の場合、嫉妬を買う側ではなく、抱く側だったのですが、本書の例を読み、体感した嫉妬の罪の大きさに、いつの間にか自分の抱える嫉妬が小さくなっていました。

私は秀才でも天才でもありませんが、沈黙は金なりという言葉を心得、そうは言っても、勇気まで失わないよう精進していこうと思いました。

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2020年12月31日

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とても面白かった。途中話が流れの中でかわるのでちょっとん?ってなったけど。でも日本史世界史に精通している作者ならではだなぁと思った。
これからは日本史世界史を区別せず学んでいく時代だと思うし、色々な視点から考えることができるのが歴史の面白いところだと思うのでよかった。
もうちょっと、日本史の知識があれば楽しめたかもしれない。
とりあえず、三国志のラスボスは劉邦の妻であると認識しました。彼女、恐ろしすぎる…。絶対、今でいうサイコパスだと思う。
森鴎外のクズっぷりも面白かった。偉人とクズは紙一重。なのかも。
そして実は教科書であまり見かけない人が歴史の基盤を作ってたりするのも興味深い。
そういう人ほどクローズアップされるべきだと思った。
なにより嫉妬はどんな優れた人も狂気に陥れられると学んだ1冊。

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2017年03月25日

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本書は大いなる嫉妬にまつわる古今東西のエピソードを通じて世界史を読み直した本です。もちろん日本の話もあります。

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2012年01月02日

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ネタバレ

勉強が出来る子は性格もいい,美人はキャラも美しいあるいは性格はブスなど,ある特徴とある特徴を結びつけて人物理解を簡単にする試みの中に,出世や活躍をする人は人物者であるというものがあるが,別物なのだと冷静に考えれば至極当然なことについて,これでもかと例証してくれる。
森鴎外やスターリン,毛沢東,東条英機くらいなら聞いたことがあったが,大海人皇子に対する中大兄皇子,忠長に対する家光,義経に対する頼朝,勝海舟に対する徳川慶喜,西郷隆盛に対する島津久光などそういえばというものまで歴史は嫉妬だらけ。
天才,秀才から凡人まで,嫉妬は万民に公平なんだ。
ただ,女性の嫉妬より男性の嫉妬の方がやっかいだと,世界史を嫉妬という目線から眺め渡した男性の著者がそういうのだから,きっとそうなんだろう。

以前,血なまぐさい日本画の大作を見てその強烈さに半日気持ちが悪かったことがあったが,そのことも載っていた。
前漢の高祖劉邦の正妻呂后が跡継ぎを産んだ寵姫の四肢を切断し失明させ舌を切りトイレに住まわせ人間豚として見世物にしたという逸話。壁いっぱいの絵にした画家の興味の方向性も気になるけど,西太后といい,歯止めのきかない人っているのね。
正室は臣下も追い落としまくり,この女性の死後は逆に,一族郎党皆殺しにあったとあるので,全体としておあいこなようにも見えるが
嫉妬の対象となって人生変わってそのまんまという人のほうが多く,受け流してさえいればそのうち消えてなくなるとか,抗い闘った方が勝率があがるとか,ゴールデンルールが見えてくるわけでもないので読後感は良くない。
実力を発揮しながら嫉妬をできるだけ受けずにやり過ごすためには相当のバランス感覚と大局観と感情制御術を要することはわかるのだけれど,そういう人は滅多にいないと著者も書いているので,誰もが嫉妬し嫉妬されると思っていた方がよさそう。

学者の世界の足の引っ張り合いも書かれているが,他の逸話と比較するとせこく幼稚っぽく,嫉妬を視野に入れた駆け引きを繰り広げるでもなく,一番つまらない章だった。
学校の勉強や学問に秀でるだけでは人間の全体は育たないことを自戒と共に改めて実感。

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2011年10月16日

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[ 内容 ]
喜怒哀楽とともに、誰しも無縁ではいられない感情「嫉妬」。
時に可愛らしくさえある女性のねたみに対し、本当に恐ろしいのは男たちのそねみである。
妨害、追放、殺戮…。
あの英雄を、名君を、天才学者を、独裁者をも苦しめ惑わせた、亡国の激情とは。
歴史を動かした「大いなる嫉妬」にまつわる古今東西のエピソードを通じて、世界史を読み直す。

[ 目次 ]
序章 ねたみとそねみが歴史を変える
第1章 臣下を認められない君主
第2章 烈女の一念、男を殺す
第3章 熾烈なライヴァル関係
第4章 主人の恩寵がもたらすもの
第5章 学者世界の憂鬱
第6章 天才の迂闊、秀才の周到
第7章 独裁者の業
第8章 兄弟だからこそ
第9章 相容れない者たち
終章 嫉妬されなかった男

[ POP ]


[ おすすめ度 ]

☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
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☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
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☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
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[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

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2011年05月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「嫉妬」という観点から、歴史上の人物を分析する。
アイデアは面白いが、何度も読むような本ではないかな。
著者はやや難解な言葉遣いを好むよう。

徳川慶喜、島津久光、呂后、森鴎外、近藤勇、ロンメル、中谷宇吉郎、牧野富太郎、石原莞爾、東条英機、カエサル、スターリン、島津義久、ゴードンなど。

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2023年10月21日

Posted by ブクログ

歴史上の偉人も嫉妬したり、嫉妬されたりしていたという話をまとめた本。歴史上の裏切りの影にこういう感情が存在したのか、という驚きと納得があった。
ただ、知らない偉人も多いのが残念。まあ、自分が歴史に詳しくないだけなのだが。
「嫉妬ドリブン」とも言える負のエネルギーが歴史を動かしていたのは面白かった。

<アンダーライン>
マルクス主義と共産主義の罪は深い。これは、平等思想の美名のもとで、人間の嫉妬を構造化し、密告や中傷を日常化する体制をつくりだしたからである。

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2023年03月16日

Posted by ブクログ

古今東西の歴史を踏まえて、嫉妬とそれによる恐ろしさを説いた一冊。

通説をベースにしているんで、真偽のほどは?

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2017年05月21日

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ネタバレ

劉邦夫人・呂后(りょこう)の話が恐ろしい。
劉邦が信頼している家臣をも嫉妬の対象にして排除していったことや
寵姫を5体を切り刻み、厠の中に置いた話とか。

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2012年08月14日

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時に可愛らしくさえある女性の「ねたみ」に対し、本当に恐ろしいのは男たちの「そねみ」である。

見開きの通り、歴史上の大した男達が嫉妬に狂う姿は「恐ろしい」

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2012年07月11日

Posted by ブクログ

読みやすい。嫉妬と人間関係という変わった切り口から歴史を楽しめてよかった。たまにはこういう変化球も交えると、歴史への考え方が深まるように思う。

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2012年04月19日

Posted by ブクログ

世界史にもいろいろある。お茶の世界史、コーヒーの世界史、まっとうな世界史。

その中で、なんとも興味を引く世界史ではないかと思い、手にとってしまった。



男女の嫉妬の歴史かと思いきや、男同士の嫉妬の歴史である。

西郷隆盛が言う。「殿におかれては、恐縮ながら田舎者でございますので」

それを言われた、久光は、深く、深く根をもったという。

森鴎外も過剰な被害者意識をもち、いつもそれが他人への反発につながったという。

かのショート、ショートで有名な、星新一の父親も星薬科大学、星製薬の土台を

作った立派なかたであったが、同業者、官僚等の反感を買ったという。

徳川の中では、保科正之は、ひとの感謝を忘れない、謙虚な人間であったとあり

嫉妬を生むようなことがなかったとか、そんな話が満載であった。



ひとえに世界史といえども、人の歴史である限りは、盛りだくさんのできごとが

あるわけだ。。。

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2011年09月25日

Posted by ブクログ

「他人に中傷され非難されたときにいたずらに沈黙を守るようでは人間としての尊厳に欠ける。軽侮されることは請け合い。弁明の中で毅然として自分の正当性を主張する勇気と自信も必要」

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2010年11月21日

Posted by ブクログ

嫉妬、怖いですね。
ですがこれが行動の原動力となる場合も。
嫉妬がなければより能力を発揮できたかもしれない人、嫉妬がなければ生き残れなかったかもしれない人、いろんな人がいます。

人間関係の中で、外して考えられないなと、つくづく思いました。

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2010年10月26日

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