酒井順子のレビュー一覧
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京都はたくさんの優れた女性たちの生きた町。
あちこちに、ゆかりの地や建物、石碑が点在する。
彼女たちの面影をたどりながら、ちょっと甘味で一休み、という旅のエッセイだ。
しかし、途中からコロナ禍でステイホームを余儀なくされ、旅するエッセイの大ピンチ!
ストリートビューと脳内の記憶を駆使しての旅も多くなったが、逆に、自由に表に出ることが許されなかった平安貴族の女性の気持ちに寄り添えることもできた。
自由に会いに行けないからこそ、強くなる思い。それは身のうちから魂が「あくがれいづる」ほどに。
天皇の娘や妻でない限り、女性は系図に名前も残らない。
ここに取り上げられている女性達は、それでも爪痕を残し -
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言葉についてのエッセイ
以下、公式の説明
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陰キャ、根暗、映え、生きづらさ、「気づき」をもらった……あの言葉と言い方はなぜ生まれ、なぜ消えていったのか。「ことば」にまつわるモヤモヤの原因に迫る、ポリコレ時代の日本語論。古典や近代の日本女性の歩みなどに精通した著者が、言葉の変遷をたどり、日本人の意識、社会的背景を掘り下げるエッセイ。以下、章題。
・Jの盛衰・「活動」の功と罪・「卒業」からの卒業・ 「自分らしさ」に疲弊して・「『気づき』をもらいました」・ コロナとの「戦い」・「三」の魔力・「黒人の人」と「白人」と・「陰キャ」と「根暗」の違い・「はえ」たり「ばえ -
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酒井順子さんは「はじめに」の冒頭をこう書きました。
「京都は、誰もが惚れてしまう美女のような街である。」
「それも、「あるがまま」系の天然美女ではありません。」
「それは、メイクもファッションも、そして声の出し方すらコントロールした、人為の結果としての美女。」
そして、こう進めます。
「そんな美女の魅力は、若者にとってわかりやすいものではないようです。」
「たとえば私は高校の修学旅行で初めて京都に行ったのですが、その時の感想は、「茶色いっぽい建物をたくさん見た」というものでした。」
さらに、
「自らの心身が古びると共に、古い都への共感が深まってきたのです。」
「かくして私は京都へ足繫く -
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ネタバレ一 迷惑をかけたくない──『楢山節考』 姨捨山
二 いつか、自分も──『恍惚の人』 認知症
のストーリーから入りいろいろ懐かしく思い出す。
恍惚の人では、認知症の親の世話をする嫁、そしてその高校生の息子が母をみてお父さんお母さんは長生きしないでね というらしい。
姨捨山では、主人公は自ら口減らしのためにためらう息子に姨捨山行きをせがむらしい。
老人をどのように扱ってきたか、認知、痴ほう、ボケは昔からあったもの。
男性の老い本ははじけていて、女性の老い本は身の丈に合わせているらしい。しかし実際には男は庭で草をむしり散歩をして、女性は趣味を持ち友人と旅行する。 -
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酒井順子(1966年~)氏は、東京都生まれ、立教女学院小、中、高を経て、立教大学社会学部卒。高校時代から雑誌「オリーブ」にエッセイを寄稿。博報堂勤務、生活総合研究所客員研究員を経て、フリーランスのエッセイストに。『負け犬の遠吠え』で講談社エッセイ賞(2004年)受賞。
本書は、松任谷由実(ユーミン)の楽曲を通して、高度成長期の1970年代から、バブルが崩壊した90年代初頭までの、日本の女性の生き方や価値観の移り変わりを読み解いた評論的エッセイ集で、アルバム「ひこうき雲」(1973年)から「DAWN PURPLE」(1991年)までの20作品が取り上げられている。
私は、酒井氏とほぼ同世代の男性 -
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言葉は生まれ消えていく。改めて言葉は変化していることを実感しました。
生まれ消えていく言葉についての考察が分かりやす、「そうか」「そうなんだ」と思いながら読みました。
冒頭の「J」の盛衰
Jリーグが開幕した1993年から日本の事をJで表す者が増えた。J-WAVE、J-POP、企業の名前にもJが使われた
JR、JT、JFE.
当時を振り返るとJという文字がカッコよく感じたのは確かだった。
しかし、当時選手の事をJリーガーと呼んでいたが、今はJリーガーと呼ぶ人は少ない。
平成の初期には眩しかった「J」という文字が放つ輝きが薄れつつある。一つの文字や言葉は時代の空気を変える力を持ち、またその言葉に -
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一般的な印象は「ガーリー」なオリーブだけど、雑誌ポパイの女の子版として創刊された当時は、米西海岸を意識したファッション雑誌だったらしい。
それがいつからかパリの女子高生「リセ」をお手本にしたファッション誌に。
当時を席巻してたのは、ニュートラブームを取り上げたJJ、CanCamなど女子大生御用達の赤文字系雑誌。男性からのモテを意識した人種対象。
オリーブはあくまで自分の好きな服を! 肌もボディラインも見せず、非モテ系。
振り返って、当時私は何を読んでたっけ…
あ、「宝島」か。あと「ロッキング・オン」「ドール」「フールズメイト」「プレイヤー」
モテるわけないな、そりゃ。
当時の著者自身、時代と -
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さすが酒井順子さん。今の日本の潮流をよみ、それを柔らかく、ユーモアも交えて書かれている。定期的に図書化されたものを読むことで、自分の感覚とチューニングができて、いつも楽しみにしている!ちょっとゆるめのブレイディみかこ日本版だと個人的にはとても高く評価したい。
p.119 "おたくの多幸感”も、今は注目される感覚でしょう。
おたくの人々の多幸感の源は、「好かれる」ことに無関心、というところにあるのではないかと、私は思っています。思う存分に「好く」ことさえできれば、好かれなくてもおたく達は平気。もちろん、誰かから好かれればそれなりに嬉しいにしても、好いている対象から好かれなくても、ま