酒井順子のレビュー一覧

  • 女人京都

    Posted by ブクログ

    京都はたくさんの優れた女性たちの生きた町。
    あちこちに、ゆかりの地や建物、石碑が点在する。
    彼女たちの面影をたどりながら、ちょっと甘味で一休み、という旅のエッセイだ。
    しかし、途中からコロナ禍でステイホームを余儀なくされ、旅するエッセイの大ピンチ!
    ストリートビューと脳内の記憶を駆使しての旅も多くなったが、逆に、自由に表に出ることが許されなかった平安貴族の女性の気持ちに寄り添えることもできた。
    自由に会いに行けないからこそ、強くなる思い。それは身のうちから魂が「あくがれいづる」ほどに。

    天皇の娘や妻でない限り、女性は系図に名前も残らない。
    ここに取り上げられている女性達は、それでも爪痕を残し

    0
    2025年08月01日
  • うまれることば、しぬことば

    Posted by ブクログ

    言葉についてのエッセイ

    以下、公式の説明
    ------------------
    陰キャ、根暗、映え、生きづらさ、「気づき」をもらった……あの言葉と言い方はなぜ生まれ、なぜ消えていったのか。「ことば」にまつわるモヤモヤの原因に迫る、ポリコレ時代の日本語論。古典や近代の日本女性の歩みなどに精通した著者が、言葉の変遷をたどり、日本人の意識、社会的背景を掘り下げるエッセイ。以下、章題。
    ・Jの盛衰・「活動」の功と罪・「卒業」からの卒業・ 「自分らしさ」に疲弊して・「『気づき』をもらいました」・ コロナとの「戦い」・「三」の魔力・「黒人の人」と「白人」と・「陰キャ」と「根暗」の違い・「はえ」たり「ばえ

    0
    2025年07月28日
  • 女人京都

    Posted by ブクログ

     酒井順子さんは「はじめに」の冒頭をこう書きました。

    「京都は、誰もが惚れてしまう美女のような街である。」
    「それも、「あるがまま」系の天然美女ではありません。」
    「それは、メイクもファッションも、そして声の出し方すらコントロールした、人為の結果としての美女。」

    そして、こう進めます。
    「そんな美女の魅力は、若者にとってわかりやすいものではないようです。」
    「たとえば私は高校の修学旅行で初めて京都に行ったのですが、その時の感想は、「茶色いっぽい建物をたくさん見た」というものでした。」

    さらに、
    「自らの心身が古びると共に、古い都への共感が深まってきたのです。」
    「かくして私は京都へ足繫く

    0
    2025年06月22日
  • 女人京都

    Posted by ブクログ

    これを読みながら実際に京都を散策してみた。
    京都の隠し扉を開けるように、ワクワクしながら。
    京都の街を一歩踏み込んで知れた気がした。

    0
    2025年06月05日
  • 老いを読む 老いを書く

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    一 迷惑をかけたくない──『楢山節考』 姨捨山
    二 いつか、自分も──『恍惚の人』 認知症
    のストーリーから入りいろいろ懐かしく思い出す。
    恍惚の人では、認知症の親の世話をする嫁、そしてその高校生の息子が母をみてお父さんお母さんは長生きしないでね というらしい。
    姨捨山では、主人公は自ら口減らしのためにためらう息子に姨捨山行きをせがむらしい。
    老人をどのように扱ってきたか、認知、痴ほう、ボケは昔からあったもの。

    男性の老い本ははじけていて、女性の老い本は身の丈に合わせているらしい。しかし実際には男は庭で草をむしり散歩をして、女性は趣味を持ち友人と旅行する。

    0
    2025年06月07日
  • ユーミンの罪

    Posted by ブクログ

    酒井順子(1966年~)氏は、東京都生まれ、立教女学院小、中、高を経て、立教大学社会学部卒。高校時代から雑誌「オリーブ」にエッセイを寄稿。博報堂勤務、生活総合研究所客員研究員を経て、フリーランスのエッセイストに。『負け犬の遠吠え』で講談社エッセイ賞(2004年)受賞。
    本書は、松任谷由実(ユーミン)の楽曲を通して、高度成長期の1970年代から、バブルが崩壊した90年代初頭までの、日本の女性の生き方や価値観の移り変わりを読み解いた評論的エッセイ集で、アルバム「ひこうき雲」(1973年)から「DAWN PURPLE」(1991年)までの20作品が取り上げられている。
    私は、酒井氏とほぼ同世代の男性

    0
    2025年05月30日
  • うまれることば、しぬことば

    Posted by ブクログ

    言葉は生まれ消えていく。改めて言葉は変化していることを実感しました。
    生まれ消えていく言葉についての考察が分かりやす、「そうか」「そうなんだ」と思いながら読みました。

    冒頭の「J」の盛衰
    Jリーグが開幕した1993年から日本の事をJで表す者が増えた。J-WAVE、J-POP、企業の名前にもJが使われた
    JR、JT、JFE.
    当時を振り返るとJという文字がカッコよく感じたのは確かだった。
    しかし、当時選手の事をJリーガーと呼んでいたが、今はJリーガーと呼ぶ人は少ない。
    平成の初期には眩しかった「J」という文字が放つ輝きが薄れつつある。一つの文字や言葉は時代の空気を変える力を持ち、またその言葉に

    0
    2025年05月25日
  • 子の無い人生

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    「政治と子産み」の章が一番印象に残った。「母として」というフレーズはパワフルという点に共感。キャリアウーマンでも子供を産んでいないと完璧ではない、という風潮は確実にある。安倍昭恵さんとの対談も興味深い。筆者はなんとなく子供を持たなかった人、安倍さんは子供を望んだけど持てなかった人だから少し立場が違う。安倍さんが自分の子供なしの人生は神様から決められたこと、といったようにコメントされているけど、結婚してない人、結婚しているけど子ナシの人とは違う受け止めだなと思う。

    0
    2025年05月17日
  • 子の無い人生

    Posted by ブクログ

    淡々とハキハキして、ユーモアもあり読みやすかった。はっきりした記述に心がキュっとなる場面もあったが、日本における子なし女性の生きづらさについて客観的に捉えられる内容だった。
    気休めではあるようだが、先人に習い子供関連で何かしらの社会貢献をしていこうと思った。

    0
    2025年05月09日
  • うまれることば、しぬことば

    Posted by ブクログ

    作者と同世代なので、毎作楽しみにしています。
    とうに忘れていたこと、意識せずに身についていることを言葉で表現してもらえると、改めて思い至ることがたくさんあります。
    「ハラスメントという黒船」はオモシロ過ぎて、同級生と盛り上がりたいものです。

    0
    2025年04月27日
  • バブル・コンプレックス

    Posted by ブクログ

    星4.5‼️
    期待を凌駕する内容でした。
    研究熱心さとか伝わって来たし、他のエッセイには無い奥深さが在ったように思います⁉️
    ある意味「日本人論」的な所が在って、他の作品も読みたくなりました。
    酒井先生の他の作品が楽しみです

    0
    2025年04月24日
  • 老いを読む 老いを書く

    Posted by ブクログ

    さすが、「負け犬」で名を馳せた、就職氷河期世代のフロントランナー、酒井さん。はや、初老の入口を見据えての「老い本」。
    子どもの頃読んでもらった、かぐや姫(竹取物語)や桃太郎。そして、古典の「枕草子」や「徒然草」に見る老人観。さらには、現代の「老本」の巨塔の作品を解説。単なる老人本でなく、現役世代の冷静な分析か。深い!

    0
    2025年04月19日
  • 家族終了

    Posted by ブクログ

    著者は結婚していなく、子供もいない。
    両親と兄とは死別し、兄の子供はいるが、基本的に自分の家族と言われる肉親は皆いなくなった。だから、家族終了。
    家族が終わったから振り返ることができる内容が赤裸々に書かれていた。なかなか書ける本ではない。

    0
    2025年04月04日
  • 消費される階級

    Posted by ブクログ

    社会の中の差別や格差について書かれているのでふが、着眼点がすごい!
    特に私が驚いたのは、まぶた差別と日韓問題。そうそう、私も一重まぶたなんですよ。
    著者は私と同年代なので、おっしゃっている事には激しく同意。楢山探しにデジタル下層民、金融教育、せっせと筋力を鍛えます。

    0
    2025年03月16日
  • オリーブの罠

    Posted by ブクログ

    一般的な印象は「ガーリー」なオリーブだけど、雑誌ポパイの女の子版として創刊された当時は、米西海岸を意識したファッション雑誌だったらしい。
    それがいつからかパリの女子高生「リセ」をお手本にしたファッション誌に。
    当時を席巻してたのは、ニュートラブームを取り上げたJJ、CanCamなど女子大生御用達の赤文字系雑誌。男性からのモテを意識した人種対象。
    オリーブはあくまで自分の好きな服を! 肌もボディラインも見せず、非モテ系。
    振り返って、当時私は何を読んでたっけ…
    あ、「宝島」か。あと「ロッキング・オン」「ドール」「フールズメイト」「プレイヤー」
    モテるわけないな、そりゃ。

    当時の著者自身、時代と

    0
    2025年03月05日
  • 老いを読む 老いを書く

    Posted by ブクログ

    なんとなく、高齢者向けの本が多いなとは思いながらも、このようにきれいに整理分析をされているのを見ると、なんとも時代の流れを感じることができた。
    筆者の文章の書き方のスタイルが好みだったのもあるし、とても興味を持ってあっという間に読み進めることができました。

    0
    2025年02月23日
  • 消費される階級

    Posted by ブクログ

    さすが酒井順子さん。今の日本の潮流をよみ、それを柔らかく、ユーモアも交えて書かれている。定期的に図書化されたものを読むことで、自分の感覚とチューニングができて、いつも楽しみにしている!ちょっとゆるめのブレイディみかこ日本版だと個人的にはとても高く評価したい。

    p.119 "おたくの多幸感”も、今は注目される感覚でしょう。
    おたくの人々の多幸感の源は、「好かれる」ことに無関心、というところにあるのではないかと、私は思っています。思う存分に「好く」ことさえできれば、好かれなくてもおたく達は平気。もちろん、誰かから好かれればそれなりに嬉しいにしても、好いている対象から好かれなくても、ま

    0
    2025年02月20日
  • 消費される階級

    Posted by ブクログ

    バブル世代ならではのゆとりも感じつつ、頷く場面多数。普段ぼんやり考えたり、引っかかっていたことを、うまく言語化してくれたな、という感じ。
    「楢山」探し、長生き、独り身、ジャニーズ、斜陽日本、共働き夫婦の役割分担の世代格差など、実感と共感、ヒリヒリ感、危機感などをかきたてられながら読んだ。
    ただ、面白かったのに、すぐ忘れちゃうんだよね。たぶん私の脳みそのメッシュが粗すぎるせい。

    0
    2025年02月17日
  • 中年だって生きている

    Posted by ブクログ

    酒井順子さんのエッセイは初めて読んでみました。
    同じ歳であるから同じ目線で楽しく読ませていただきました。しかしこちらのエッセイは2013〜2015年の文章だとあるので、今から10〜12年も前の文章ですね、必ずしも同い年の目線ではないし、彼女はまだ48歳頃という若さなのにちと、老け込みすぎな感じもしました。私は男子ですので、なにか見てはいけないような、覗き見しているような罪悪感と、とても分かる部分とが入り混じっておりました。今度はもう少し歳を近づけた時のエッセイを読んでみたいと思います。

    0
    2025年02月17日
  • 鉄道旅へ行ってきます

    Posted by ブクログ

    東日本大震災もコロナ禍も起こる前の2000年代初め、鉄男2人鉄子1人の旅が企画された。案内人は原氏。2024年に文庫化されるに当たり、当時のお店が無くなったという注が入っていたりして、鉄道離れとコロナ禍が恨めしい。文庫版スペシャル旅(カバー写真も)は、我が故郷の銚子電鉄。自分的保存版なのだが、風呂で読んでいる時に居眠りして水没させてしまい、よれよれになってしまった(涙)

    0
    2025年02月15日