酒井順子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
私が酒井さんを知ったのは『食欲の奴隷』という作品でした。その強烈なタイトル、そして「スナック菓子を開けたら最後まで食べずにはいられない」など、食べる事に対する執着心が私と酷似しており、物凄いシンパシーを感じてしまい、それから酒井さんの作品を読み続ける事になりました(もちろん、文章や目のつけどころもとても好き)。それが多分今から10年ぐらい前の話なのですが、10年経って再び刊行された、食べ物に関する本。んもう、食い入るように読みました(笑)。10年経っても酒井さんの食に対する執着心は衰える事はなく、年齢を重ねこれまでには食べなかったようなものを食べた事により、視点にも幅が広がった感じがします。『
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Posted by ブクログ
もうホント、酒井順子天才っ!!どうしてこうも「あるあるある〜」というような、日常生活では本当に些細な事とも思える事を拾い上げて、重箱の隅をつっつくように大仰に描写できるのか!!今作は「全裸で歩きたい」煩悩、「同じ話を二度された時、『それ、前にも聞いた』と言いたくなる」煩悩など、日常生活の中で抱く煩悩を30個ピックアップしてあります。上記の2つもかなり「そうそう!!」と頷きましたが、私が特に深く共感したのが「酔っ払いが寝過ごしてほしいと願う」煩悩。「嗚呼、私って性格悪〜」と思いつつも、1度はそんな風に思った事はないですか??(あれ?ない??)文庫化されている酒井さんの著作は全て読んでおりますが、
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Posted by ブクログ
大好きな清張作品。大好きなのだが、何がどう好きなのかうまく説明できずにいたのを、酒井さんが言葉にしてくれた。「お嬢さんだからといって、全てが清いわけではない。エリートだからといって、常に正しいわけではない。どんな人の中にも、黒い欲望、黒い傷、黒い不幸が隠れている。これは、全ての清張作品を貫く確信である」「白そうな人の中にある黒さを見抜いたのと同様に、清張は黒そうな人の白さをも見逃さなかった。多数派の意見に流されることなく、かつ少数派や弱者が必ず正しいわけではないことを知っていた」。自らの目を信じ、その目で人間の中身をグッと見定める公平な眼差し。その視点が好きだ。立てた仮説をたくさんの例証で明か
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Posted by ブクログ
松本清張と酒井順子の組み合わせ、って塩辛と生クリームぐらいの食べ合わせ?って新聞広告でびっくりしました。「ユーミンの罪」「オリーブの罠」の系譜に「松本清張の女たち」ですよ。でも酒井順子が生クリームはちょっと言い過ぎで過去の作品に忍ばせている酒井ならではの辛口成分は確かに松本清張が描いた高度経済成長時代の物語の切り口として非常に有効だったのでありました。むしろ「女の物語」が松本ワールドを成立させるキーファクターだったのではないか?という本格的な松本清張論とさえ思いました。新しい視点ですがど真ん中の作品論の思ました。振り返ると「ゼロの焦点」久我美子からの広末涼子、「霧の旗」倍賞千恵子からの山口百恵