酒井順子のレビュー一覧
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日本の二つのみやこ、東京と京都。両方のみやこを愛する筆者が、色々な事柄について比較しながら両方のみやこについて考察した一冊。京都に対する考察はとても好意的。東京に対する考察の方が「東京は節操がないのう…」と感じるような印象。筆者が東京出身という事で至極当然なのかもしれない。今まで知らなかった京都を垣間見、興味深い。
中でも「贈答」という項目における東京と京都の違いに表現に笑うと共に、ある種の感動を覚えた。
東京人はプレゼントをあげる行為を自己満足を高めるためのものであるとし、またもらったらもらいっぱなしと言うのが基本(何かの機会に返すというのはあるが)。しかし京都人はもらったらそれに見合っ -
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関西の女性が関西弁をしゃべるだけで5割増しにかわいく見えるというのは間違いない。
ただし、この本を読んで一番頷いたのは、「東京大学の麻布気質」である。「勉強以外に何かができる」のが今の東大生の実態であり、それは「ある一つのことを達成した」受験戦争の勝者ではなく、「何においてもすぐれていたい」上流階級のステータスである。
こうした感覚がはびこる社会はうっ屈としたものにならざるを得ない。ちょうど明治の戊辰詔書の時代のようである。
戊申詔勅(明治41年10月13日)
「朕惟フニ、方今人文日ニ就リ、月ニ将ミ、東西相倚リ、彼此相済シ、以テ其ノ福利ヲ共ニス。朕ハ爰ニ益々国交ヲ修メ、友義ヲ惇シ、列国ト与ニ永 -
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ネタバレ私は自分のこと、思いっきり自意識過剰だと思っています。
「誰もお前のことなんか見ちゃいないよ」と思ってはいても、ついつい周りの視線を気にしてしまったり。
だから、この本には励まされました。
だって、自意識過剰なのは私だけではなかった!!
てか、日本人ほとんどが自意識過剰なのであった!!
特に、国際化について書いてある部分がおもしろかったです。
車の「マークツー」を「マークトゥー」と発音するのが恥ずかしい(正しいのにね)、そう発音する人を「スカしてやがる」な〜んて思っちゃうから日本人は英語が話せない。
わかる気がするわ〜。
私もテレビを見ていて、タレントが「カメラ」を「キャメラ」と発音するのを聞 -
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いやー、相変わらず痛快痛快!内田春菊があとがきで「よくもまあこんな言いにくい事を……」というような事を書いていましたが、私もホントにそう思う。今の私は酒井さんが今作で書かれた事とほぼ同じ事を考えているのですが、ネタがネタだけに色んな意味で話しづらいなーと思う事もしばしばなので、「おお、こう考えているのは私だけじゃなかったのね!!」と、しかもどわい好きな酒井さんが同じような考えをお持ちだという事に、「私、これからもこう思っていていいのね!!」と、とても感激した次第です。今まで、こういう風に思っている事を声高に言い放った人が周りにいなかった事もあり、ものすごく力強い気持ちもあったりして(とは言え、
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「負け犬の遠吠え」みたいな、結婚とかテーマがあるのかと思っていたら、そうではなく、いろんなことについてのエッセイだった。 酒井順子さんは文体に特徴があるので、この文体にノレたときはすっごくおもしろく感じるし、ノレないとそうでもない、というか。そのときによる。今回は、たとえばなぜか、「和民で上司を呪い殺しそうな勢いで愚痴を垂れている営業マンの風体」ってとこでゲラゲラ笑った。「呪い殺しそう」ってのがいい。 あと、年賀状について、独身者は家族持ちと違って、「子どもが何歳になった」とか一言添えるべきことがない、めでたくご披露することがないなら出さないのがいいかもしれない、っていうのに深くうなずく。
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枕草子といえば清少納言。
枕草子といえば『春はあけぼの』
誰しも中学時代に覚えさせられたはず。
しかして、あんな暗誦には何の意味があったか。
枕草子のおもしろさ、清少納言の鋭い視点には気づくことは出来ない。
そんな訳で『負け犬の遠吠え』で有名になった
酒井順子が1000年前のエッセイをリミックス。
実は枕草子がおもしろいエッセイであることを実感することが出来る。
清少納言が「むつかしげなるもの(むさくるしくうっとうしいもの)」として「猫の耳の中」と書いているそうだ。
対して酒井順子は「清少納言が猫の耳の中を見ずにいられないタイプの人間であることが私はうれしい。」と書いて