京極夏彦のレビュー一覧
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江戸末期、盛岡藩で“御譚調掛”の宇夫方祥五郎は巷の噂話を集めていた。
どんなものでも作る仲蔵が中心となり仕掛けるので、毎回物語が派手で楽しい。宇夫方とのやりとりもマル。武士視点なので、後巷説百物語の空気感があって良き。シリーズ6作目。
今作はシリーズ内でもかなりキレイにフォーマット化された連作短編集という印象。
1話あたりの構成が全て同じ。読んでいて安心感が半端ない。好きすぎる……。
仲蔵がまたいいんよなぁ。柳次も好き。
今回は最終話も美しい。シリーズ作品の6冊目なんだけど、これ一冊としても完成されていて良き。
次で最終巻!!
京極御大はシリーズ作品でもそれぞれ独立しているから、だからこ -
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御行の又市の悪友である靄船の林蔵を主軸に大阪での物語を7編収録。シリーズ5作目。
言葉でまやかしを見せつつ靄の中に絡めとるスタイル。
物語の流れが美しい。派手さはないが小気味良い感じがありつつ、締めの「野狐」にやられた感。やっぱり好き
このシリーズは毎回1話目で騙されて、2話目からは流れがわかるからスイスイ読んで、ラストで「ウワァァァァ」ってなる(笑)もう、私の中ではお約束。これが楽しくて読んでる。騙されたい(笑)
今作は江戸時代の関西弁なんで、より読みやすかったのもある。セリフがみんな脳内で西方の→
イントネーションで再生されて、とても良き。関西人で良かった(笑)
そういえば、林蔵 -
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妖怪に詳しい方々が、
トークイベント「ひどい民話を語る会」を開催した後、書籍化したもの。
民話ってその土地に伝わってるお話ですよね。
それは、作家の話じゃなくて、世間話に尾ひれをつけて、
夜な夜な囲炉裏ばたで子どもにせがまれて爺婆が面白く話して聞かせたエンタメだったんだ、と。
だから、いい加減な終わり方したり、他にも似てる話と混ざってしまったり、聞かせる相手が喜ぶからシモネタになっちゃったり、と素人っぽい雑さもあってひどい話になっちゃう。
イベントのそのまま書籍化されたらしく、対談形式でツッコミが入ったり、楽しい雰囲気が伝わってきます。
さくさくっと読めますが、いっぱい笑っちゃうので1人の時 -
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天保11年。老中首座・水野忠邦の改革が進む中、改革支持派の依頼を受けた洞観屋の藤兵衛は、又市たち〈化け物遣い〉のことを調べていた。
武家社会の存命を図る水野。そこに絡む新たな闇の勢力。生活苦が増す民草。人死にを出さない世のため、小股潜りの又市は一世一代の仕掛けに打って出るが……。
「巷説百物語」シリーズ完結編。
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下総国酒々井宿に、とうか藤兵衛という男がいた。
稲荷と書いて「とうか」と読む。
その「とうか」とは稲荷神社の御使いたるお狐様のことだが、「とうか」を名乗るのは藤兵衛が特に信心深いからではない。お狐様からすれば藤兵衛は、むしろ罰当たりと言っても -
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ネタバレ巷説シリーズ第2弾。
このシリーズの主題は、一作目『巷説百物語 』の感想で語ってしまったけど、まぁ本作も概ね同じ形かな。
妖怪の本質は「現象(コト)」ではなく「存在(モノ/キャラクター)」であり、存在が語られる以上それは物語を伴う。例えばヌリカベなんかは行く手を塞ぐキャラクターである一方、行く手を塞いだエピソード(物語)が求められるわけだ。順番が逆なんだけどね。
ある「現象」を「存在」に変えるプロセスを「物語」と云う。つまり又市の仕掛けはまさしくこのプロセスを利用しているのだ
しかし百介の出番はここで終わりなのだろうか…。
なんだか淋しくなるような。後巷説百物語が楽しみですねぇ。 -
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呉美由紀が友人達と河童について色々語り合う冒頭から一転、中禅寺敦子は薔薇十字探偵社の益田に相談を持ちかけられて……。宝石泥棒と水死体の事件が複雑に絡み合っていくスピンオフ作品2作目。
多々良さん登場。単品だとだいぶん変わった人なんだな→
塗仏の時は京極堂と一緒にいたから薄まっていたのか、私の記憶違いか……とにかく濃い!だいぶん変人。おもしろい。
事件的には、「鬼」と同じく戦後すぐの混乱期をうまく絡めた感じで興味深く読んだ。なかなかヘヴィ。悲しい。でも、戦後ってこういうことはよくあったんだろうな。戦争は嫌だね
「鬼」「河童」と読んで気づいたんだが、このシリーズ、様式が決まっているんよね。