犬村小六のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ第2部として第二次多島海戦争に従軍するエリアドール勢の様子が描かれる。ミオとの衝撃の別れから時が経ち、清顕とイリアはセントヴォルト撃墜王が率いるヴォルテック航空隊に入る。そしてまたウラノスとの戦争が始まる。次々と死んでいく仲間たちに心を痛めるイリアと清顕。清顕とイリアの急接近の流れかと思ったけど、清顕はミオとのことを思い出してしまう。イリアにもミオにも悲しい思いをしてほしくなくて情緒がおかしくなってしまう。最後にはライナの正体に勘づいた清顕がライナと対峙するシーンから、まさかの清顕が軍警察に捕まるという展開。そしてプレアデスに移ったミオはニナ・ヴィエントと出会う。
エリアドールの7人のバラバラ具合がすごく、今後希望が見えてくるのかわからなくなってしまうような展開で、どうなるか気になるのに加えて恋歌シリーズのヒロイン ニナ・ヴィエントの登場。ここで恋歌と物語が交わり、この飛空士シリーズのクライマックスに向かう気分が高まって続きが気になりすぎる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレミオの苦悩を描いた第3巻。
冬休み中の絶望の展開から始まり、スパイとしての活動、深まっていく清顕とイリアの関係、無人島での清顕との交わり。そして最後のエアハント島へのウラノス侵攻。胸が引き裂かれそうなほどの悲しい展開。子ども自分ながら婚約の誓いまでした清顕と交わったのに、清顕のことを想ってそれを隠し通すという覚悟が凄く、本当に悲しい。バルタザール、かぐやの卒業、皆で見た日の出の光景といった青春色の強い描写からのエアハント急襲、自分の働きによるエアハント島の被害。そして最後、ウラノスの回収部隊に回収される直前の清顕との会話。ミオ、そして清顕への感情移入が止められない展開だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「エリアドールの七人」となった坂上たちの、エアハント士官学校での訓練の様子を描く第2巻。圧倒的な訓練戦績を誇るイリヤと坂上の戦いがあり、イリアと坂上の関係も面白くなってきた。中盤ではかぐや、坂上は秋津連邦の軍に入ること、ミオはセントヴォルト帝国の軍に入ることに言及され、将来戦うことになるのか、誓約を守ることができるかといった不安が表出するが、最後にはそれ以上の爆弾が落とされる。ウラノスのスパイであったライナ、そしてスパイになってしまったミオ。シルヴァニア王家王位継承者であったセシル。特にミオがウラノスと通じてしまったという展開が衝撃的で、坂上の空の一族をぶっ潰すという1巻での宣言が重くのしかかってくる。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ空の一族を伴うハイデラバード連合共同体、セントヴォルト帝国、秋津連邦が覇権を争う多島海を舞台にしたシリーズ。秋津連邦とセントヴォルト帝国の親善のため、両国の士官候補生7人が飛空艇を操縦して多島海を翔破することになるが、空の一族に襲われて名も知れぬ島に不時着する。
始まりの2ページ、『序』で、7人の中に裏切りものと呼ばれるのが2人いること、シルヴァニア王家の生き残り、ウラノスのスパイ、そして主人公である坂上とミオの子ども時代に交わした誓約の話が語られる。めちゃくちゃ大事そう。最初の2ページ、最終巻の最後にも登場しそう。
ウラノスに襲われ、島に不時着したあとも島民に襲われ、飛び立ってからはまたウラノスに襲われ、最後には夜間着水という難関を乗り越えて目的地であるエアハントに到着することになる。そしてエアハント士官学校で叙勲された7人は誓約を立てる。
「たとえ敵味方に分かれようと、我々は憎み合うことはない。友情は永遠だ。」 -
Posted by ブクログ
ネタバレとある飛空士への恋歌シリーズ最終巻。
ニナ・ヴィエントが空の一族の国に行ったことで停戦協定が結ばれる。その後、イスラとレヴァーム皇国の連合は遂に空の果てに至る。この世界の構造が明らかになり、空の果ての描写は感動的なものがあった。なにより残されたものたちが、戦死していった仲間たちとの約束を果たすシーンは熱い気持ちになる。レヴァーム皇国での歓待の描写や、空の果てに至るまでの平穏な旅の描写は、恋と空戦と世界の秘密というロマン溢れる冒険の終わりが近づいているんだと感じさせられた。そして最後はカール・ラ・イールとしての正体を明かし、ニナ・ヴィエントを救うための冒険に再度出ることを発表する。イスラで仲間たちと過ごし、母親との約束を果たしたカルエルの成長を感じる描写で、未来に希望が溢れているんだと思わされる。そんな中、アリエルの想いには心を揺さぶられる。「歌えない恋の歌もある」カルエルの家族として、クレアの親友として身を引くことを選んだアリエルの姿は心にくる…。とある飛空士への恋歌というのはアリエル目線の話でもあったのかと気付き、なんて切ない物語なんだと思った。それも含めてロマンと青春溢れるシリーズだったなと思った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ空の一族の襲撃が続くなか、クレアとカルエルは思い出のシルクラール湖でお互いの正体を知る。その前の甘酸っぱい展開から急激に世界が暗転する。分かっていた展開とはいえ苦しいものがある。そしてそのまま空の一族との決戦に挑むことになる。さらにイスラは人手不足から、カドケス高校の生徒も戦場に召集される。イスラの超弩級戦艦ルナ・バルコも空の一族の襲撃に耐えられず、敗色濃厚となったところでクレアが風呼びの力を取り戻す。カルエルからの「生きろ!!」という言葉。カルエルの母親からの言葉「あなたが許したら、光が闇をぬぐいさる」が現実になった瞬間は感極まるものがあった。タイトルにある恋歌は風呼びの歌のことだったのかー。
劇的な終戦を迎えたが、空の一族から停戦交渉として風呼びの少女、ニナ・ヴィエントを自国に迎え入れることを要求される。果たして結末はどうなるのか。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ1巻の最後でクレア・クルスと出会い、そこから始まるイスラでの学園生活が描かれた第2巻。
イスラの美しい風景や空の描写も相まって、1巻の革命の様子から一転して平和で楽しい生活の様子が描かれている。騎士階級であるヴァンヴィ―ル組との確執はあるけど、寮での食事風景はすごく楽しそう。海に浮かべた飛空機上での野宿の描写は前作でもあり、海の美しさ、怖さ、世界の美しさがよく伝わる。「空の果て」に並ぶ創世神話上の伝説「聖泉」を発見したルイス・デ・アラルコンの言葉も印象的だった。聖泉を発見した功績を称えられるルイスだが、「自分は臆病だったから聖泉を発見して帰ってこられただけ。聖泉を発見してさらに先に進み、帰らぬ人となった勇気ある人たちはその先の景色も見たんだろうか、羨ましい。」イスラ計画は実質島流しのようなもので、厄介払いの側面が強いという政治的な背景もあるが、どうでもよくなるくらいロマンに溢れたルイスのセリフが刺さった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ追憶と同じ世界設定での異なる国での物語。
元バレステロス皇国第一皇子カール・ラ・イールは革命により没落し、飛空機整備士の家庭に引き取られ、カルエル・アルバスと名を変える。亡き母との約束を守るため飛空士見習いとして成長したカルエルは、「空の果て」を見つけるための三か国共同プロジェクトに参加して「空飛ぶ島」イスラに乗り込む。
前作から世界設定を引き継いでいるのもあり、空と海の描写が美しい。そして創世神話に描かれている「空の果て」を見つけるというロマンに、カルエルの復讐の行方と恋というふうに見所が多い。アルバス一家の姉妹やカルエルのキャラクターも良く、特にカルエルは没落皇子らしい、甘えん坊でありながらプライドは高く、聖人のような人格ではないことに好感が持てる。これからイスラでの生活を通してカルエルがどう成長していくのか、プロジェクト、復讐、恋の行方はどうなるのか楽しみ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ前回、若干出遅れたら近所の本屋にのどこにも売ってなくて、結局取り寄せる羽目になったので、今回は事前注文しました。案の定、どこにも売ってなかった。何故だ。
届いたその日に朝までかかって読みました。いろいろあったので、ゆっくり感想書く暇がなかったけど。
やっぱり、アルテミシアこえーよ! いや、しょぼくれているアルテミシアは可愛かったし、それを心配するジャンジャックもいい感じだったので、ワンチャン和解もあるんじゃないかとか甘っちょろいこと考えていたんですが、そうは問屋が卸さなかった。デスヨネー。ソンナワケアリマセンヨネ。ここから、ジャンジャックもそういう方向に進んでしまうのか……。最終的にはガガたち白猫軍との全面対決になるのかなぁ。要は珠の奪い合いですもんね。
あとは、ルシファーがどうなるかが気になるところ。ここで二度とジャンジャックと会えないと悲劇の度合い増して楽しくなるんですけど。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ犬村小六著『とある飛空士への夜想曲 下』を読み終えたとき、胸の奥に深い余韻が静かに広がった。物語が描き出すのは、ただの空戦記ではない。そこにあるのは、空を駆ける若者たちの理想と誇り、そして戦火に呑まれながらもなお人としての矜持を保とうとする魂の軌跡である。
上巻で培われた人間関係や理想が、下巻では容赦のない現実の中に晒される。しかしその中でこそ、彼らの「信念」がより鋭く、より美しく輝きを放つ。著者の筆致は、一陣の風のように軽やかでありながら、戦場の悲哀や生の重みを確かに伝えてくる。空戦の描写は息を呑むほど緻密で、同時に登場人物たちの感情の機微が織り込まれ、ページをめくるたびに胸が締めつけられた。
終章に向けて物語は静かに収束していくが、その静けさの中に込められた祈りのような余韻が忘れがたい。希望と喪失、栄光と絶望がないまぜになった世界の中で、人はなお空を目指す――その姿こそが「飛空士」たる所以なのだと、深く納得させられる。
『夜想曲』という題のとおり、この作品は夜の静寂に響く旋律のように、心の奥底で長く鳴り続ける。読後、ただ切ないだけでは終わらない。痛みを抱えた先にこそ見える希望の光を、確かに感じさせてくれる。著者の描く空は、戦いの舞台でありながら、同時に人の尊厳と夢を託す象徴でもあった。重厚でありながら美しい――まさにその一言に尽きる読書体験であった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ『とある飛空士への夜想曲 上』は、空の果てに生きる者たちの誇りと、戦火に焼かれながらもなお人を想う心の軌跡を描いた、静かな激情の物語である。
前作までで培われた壮麗な世界観を受け継ぎつつ、本作は視点を大きく転じ、敵国側からの視線で「空」と「愛」と「祖国」の意味を問い直す。その挑戦こそが、この巻をシリーズの中でも特別な位置に置いている。
物語の中心に立つのは、天ツ上の若き飛空士・千々石武夫。生まれと立場に翻弄されながらも、空を飛ぶことへの純粋な憧れと、自らの信念だけを頼りに戦場を駆け抜ける姿には、犬村小六らしい“孤高のロマン”が息づいている。
彼の視界に映る空は、ただの戦場ではなく、人の尊厳と運命が交錯する巨大な舞台であり、その描写の一つひとつに、作家の筆が放つ透明な緊張感が宿る。
また、再び交錯する男女の運命は、愛と義務、過去と現在、理想と現実の狭間で静かに軋む。
戦いの中で描かれる恋は、決して甘やかなものではない。むしろ互いの痛みを引き受けながら、それでも相手を思わずにはいられない――そんな人間の原点的な情感が、読み手の心を深く揺さぶる。
上巻という枠の中で大きな決着はまだ訪れないが、その“嵐の前の静けさ”が逆に、下巻への不穏な予感と切なる期待を呼び起こす。
全体として、本作は単なる空戦活劇に留まらず、「国家」「信念」「個人」といった主題を内包した文学的骨格を持つ。
それぞれの立場で生きる者たちが、空を通して己の真実を見出そうとする――その姿は、現代を生きる私たちにも通じる、自己の存在理由を探す旅に重なる。
戦争という極限の現実を背景にしてもなお、作中には“希望”の灯が確かにある。それは、飛空士たちが命を懸けて見上げた青空そのもののように、痛ましくも美しい光だ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ青春と戦争が交錯する切なさに心を揺さぶられる一冊でした。カルエルは仲間の死や理不尽な現実に直面しながら、王子としてではなく一人の若者として成長していきます。その姿は痛々しくも美しく、読者の共感を誘います。クレアとのすれ違う想いもまた、身分の壁という重たいテーマを伴い、物語に深みを与えていました。空戦シーンは緊迫感があり、手に汗握る展開が続きます。とりわけ、戦場での選択と喪失がもたらす心の痛みがリアルに描かれており、ページをめくる手が止まりませんでした。甘さだけでなく、現実の残酷さにも向き合ったこの巻は、シリーズの転機とも言える名作です。
-
無料版購入済み
いい感じではある
犬村小六によるラノベ「飛行士シリーズ」の第二弾「とある飛空士への恋歌」のマンガ化作品。
第一作の「とある飛空士への追憶」は小川麻衣子・画でマンガ化されており、そちらが大好きだったのでこちらも興味を持って読んでみた。
ストーリーは「飛行士シリーズ」で同じ世界観を共有しているが、年代と場所が異なる。
本作は、「追憶」より10年程度後の話となり、かつ国(大陸)が全く異なる為、ごく一部を除いて前作と共通する場面はない。
前作の主人公らしき人物が後半に出てくるものの、基本は全く別のストーリーと考えた方が良いと思う。
作画が異なる為、絵のタッチは「追憶」とはかなり異なる。
が、こちらもいい感じではあるし、むしろかわいらしすぎた「追憶」よりこちらの方が馴染みやすい面もあるかも。
ただし、本作の絵はハッとするほど美しい時もあれば、急に崩れるような時もあり、高いレベルで安定しているとは言えない面があると感じた。
内容自体は悪くなく、今回もなかなか感動的なボーイ・ミーツ・ガールの物語展開が期待できそう。
全4巻と短く、価格も安めなので、これは全巻そろえるべきかな?