犬村小六のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ犬村小六著『とある飛空士への夜想曲 下』を読み終えたとき、胸の奥に深い余韻が静かに広がった。物語が描き出すのは、ただの空戦記ではない。そこにあるのは、空を駆ける若者たちの理想と誇り、そして戦火に呑まれながらもなお人としての矜持を保とうとする魂の軌跡である。
上巻で培われた人間関係や理想が、下巻では容赦のない現実の中に晒される。しかしその中でこそ、彼らの「信念」がより鋭く、より美しく輝きを放つ。著者の筆致は、一陣の風のように軽やかでありながら、戦場の悲哀や生の重みを確かに伝えてくる。空戦の描写は息を呑むほど緻密で、同時に登場人物たちの感情の機微が織り込まれ、ページをめくるたびに胸が締めつけられ -
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Posted by ブクログ
ネタバレ『とある飛空士への夜想曲 上』は、空の果てに生きる者たちの誇りと、戦火に焼かれながらもなお人を想う心の軌跡を描いた、静かな激情の物語である。
前作までで培われた壮麗な世界観を受け継ぎつつ、本作は視点を大きく転じ、敵国側からの視線で「空」と「愛」と「祖国」の意味を問い直す。その挑戦こそが、この巻をシリーズの中でも特別な位置に置いている。
物語の中心に立つのは、天ツ上の若き飛空士・千々石武夫。生まれと立場に翻弄されながらも、空を飛ぶことへの純粋な憧れと、自らの信念だけを頼りに戦場を駆け抜ける姿には、犬村小六らしい“孤高のロマン”が息づいている。
彼の視界に映る空は、ただの戦場ではなく、人 -
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Posted by ブクログ
ネタバレ青春と戦争が交錯する切なさに心を揺さぶられる一冊でした。カルエルは仲間の死や理不尽な現実に直面しながら、王子としてではなく一人の若者として成長していきます。その姿は痛々しくも美しく、読者の共感を誘います。クレアとのすれ違う想いもまた、身分の壁という重たいテーマを伴い、物語に深みを与えていました。空戦シーンは緊迫感があり、手に汗握る展開が続きます。とりわけ、戦場での選択と喪失がもたらす心の痛みがリアルに描かれており、ページをめくる手が止まりませんでした。甘さだけでなく、現実の残酷さにも向き合ったこの巻は、シリーズの転機とも言える名作です。
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無料版購入済み
いい感じではある
犬村小六によるラノベ「飛行士シリーズ」の第二弾「とある飛空士への恋歌」のマンガ化作品。
第一作の「とある飛空士への追憶」は小川麻衣子・画でマンガ化されており、そちらが大好きだったのでこちらも興味を持って読んでみた。
ストーリーは「飛行士シリーズ」で同じ世界観を共有しているが、年代と場所が異なる。
本作は、「追憶」より10年程度後の話となり、かつ国(大陸)が全く異なる為、ごく一部を除いて前作と共通する場面はない。
前作の主人公らしき人物が後半に出てくるものの、基本は全く別のストーリーと考えた方が良いと思う。
作画が異なる為、絵のタッチは「追憶」とはかなり異なる。
が、こちらもいい感じではあ -
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Posted by ブクログ
ネタバレ前巻の頃から薄々感じていたのですが、カルエルの言動にはやや幼さが目立ち、どうにも引っかかるものがありました。
やはり、どれほど親しい間柄であっても礼儀は必要で、「ごめんなさい」と素直に言えない姿勢には、読む側としても少し距離を感じてしまいます。
そのせいか、物語の前半はなかなか気持ちが乗らず、中盤まで読むのに時間がかかってしまいました。
しかし、クレアが要人として退避する展開以降、学生たちも否応なく「空の一族」との戦いに巻き込まれ、物語が大きく動き出します。そこからは私も自然と作品世界に引き込まれていきました。
中でも、ミッチャンとチハルのコンビは本当に健気で、胸を打たれました。最期に見せ