犬村小六のレビュー一覧
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ネタバレシリーズ最終巻。『追憶』とは異なり5巻に及ぶ長編ということで、シリーズを通じた見どころとしては主人公カルエル・アルバスの成長にあるかと思う。1~5巻(4巻は無いけど)の表紙に描かれた彼の容貌を見るだけでも、その変化はありありと見てとれる。
クレアが空族の下に去ってからは物語の時間経過に比べてページ数が非常に少なく、その間にカルエルが抱えていた感情は多くは語られていないが、一人で空族に挑もうと飛び出したことがあったと後日談で語られている。それほどまでに熱した感情を常に自分の胸に抱きながら長い年月を送っていたことを考えると、彼を突き動かしたものの巨大さ、それを抱き続けた彼の強さに心を打たれる。
途中で読むの止めなくて本当に良かった。その後分かりきったような結末をダラダラと続けずにしっかりと完結してくれた点からは、ガガガ文庫の他の小説も読んでみたいと思わせてくれる一冊だったと思う。 -
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ネタバレシリーズ通して名作でした。犬村先生の次回作に期待しております。
「こういう演出を絵にすると綺麗だろうなぁ」ってのを文章で書くのがうまい作家だと思いました。
「とある飛空士への追憶」での最終章を思わせる描写の美しさが、キラキラ光る。
空戦はないです。そういうのは4巻がピーク。本巻はほぼ後日談のようなもの。
1冊まるごとグッドエンド?
ただ…、
「とある飛空士への恋歌」を歌う人間が、幸せを約束されたヒロインとは限らない。
最初のカラーピンナップ挿絵で、すでにヒロインの顔じゃなくなって、哀しそうなアリエルが印象深い。
「追憶」はファナ様の話だった。「恋歌」は…、
クレアは今回、一貫して
分厚い壁の向こうにいるお姫様として描かれている。
それだけに一度きりの邂逅シーンがマジで…。
アリーは整備士の娘で、アリーは身分違いの義妹で、アリーは怪我をして飛空士になれなくなって…
アリーは本当に強い子。アリーはいいこ。
アリー…。 -
Posted by ブクログ
ネタバレミオからプレアデスの進路の情報が届き、プレアデス奇襲という一世一代の大作戦が敢行される。これまでのシリーズの主人公が勢ぞろいし、ウラノスに立ち向かう飛空士シリーズのクライマックス。
まずシリーズ登場人物が一堂に会する見開き絵に感慨深いものがある。誓約シリーズではあるけど、追憶の二人が真ん中にいるのも、追憶大好きな身としては嬉しい。
セントヴォルト、秋津連邦が加わったオーディン航空隊で、清顕に対する態度は対照的で、ヴォルテック航空隊の面々は殺し合った仲であるのに変わらない距離感で、秋津連邦の人たちは厳しい態度で、時代が作った人間模様がすごい。
清顕とイリヤ、ミオの関係、ミオとライナの関係。道中ではどうすれば悲しい結末を回避できるのか心配になるくらい、特に清顕とミオ、イリヤの関係だったけど、個々の約束、エリアドールの7人の誓約が美しい結末に導いてくれたと思う。
そしてエピローグで7人が遂に勢ぞろいする。どうしても負けヒロイン感を感じてしまうミオだったけど、互いの子どもたちが自分たちと同じように触れ合う。それを見て笑い合う二人を見て、子供のころからから変わらない二人の絆を確かめることができて良かった。
追憶シリーズは身分差のロマンス、恋歌シリーズはロマン、そして誓約シリーズは戦争下での少年少女の葛藤を描くシリーズだったと感じている。敵味方に分かれる仲間たち、目の前の大切な人と遠くの大切な人、家族との関係、戦争に従事しながら戦争の悲惨さを嘆く。機械のようになれば楽なんだろうけど、それぞれが悩み苦しんだ末に行きついた結末だからこそ意味があって美しい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレきたるウラノスとの決戦に向けて、シルヴァニア王国の金策、秋津連邦とセントヴォルトの休戦が描かれる。
バルタザールからセシルへの手紙の伏線が回収された際の描写がめちゃくちゃ面白い。冷静なバルタザール目線で冷静な文で描かれるおったまげた様子には笑いを禁じ得ない。そして秋津連邦との休戦で、バルタザールとかぐらが再会する。いちゃつくカップルのような休戦交渉からの、かぐらの不穏な様子。バルタザールからの7人で会うぞというセリフ。そして最後に新聞でかぐらがクーデターの首謀者として処刑されたことが報じられる。流石に生きているでしょ?という気持ちもありながら、7人の誓約を最初に持ち出したのがかぐらであったことが思い出され、そういう展開もあるのかもと少し思ってしまった。生きててほしい。
前巻の清顕とイリヤのように、バルタザールも祖父と会うことで帝国内で出世しなければならないという気持ちから解放される。気持ちや想いが重荷となって自由になれないというのがこのシリーズのテーマなんだろうと思える。逆に王女という重荷を再度担ぐことを決めたセシルとの対比もあるなあと思う。
一方のウラノス側はニナがデミストリ・教皇に追われる展開となり、さらに絶望的。
そんな中、ミオはフィオにプレアデスの情報を託す。絶望的な戦力差のなかで、ウラノスのスパイとなったミオからの情報、イスラ艦隊のカルエル、そして追憶シリーズからシャルル、吉岡武雄と、これまでのシリーズの主役が勢ぞろいし、最強の部隊ができあがり、一筋の光が射す。