阿部和重のレビュー一覧

  • アメリカの夜

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    「特別」でありたいと願い、「春分のひと」であることに「特別」を見出して、Sホールでアルバイトをする美大生の中山唯生。「春分」と「ドン・キホーテ」と「ブルースリー」のモチーフがちょくちょく出てくる。
    前半が難しく、というか論文調だけど語彙が噛み合わないのかリズムが悪いのか、ぎこちなくなんとも読みにくかった。後半の特訓の話、映画撮影のドタバタになるとするする読めるようになり、唯生の有り余った自意識過剰さが「哀れ」で面白かった。「春分の日」たる「小春日和」の理論はいまいち謎。

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    2017年12月19日
  • グランド・フィナーレ

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    ネタバレ

    短編集。表題作は、ロリコンがバレて離婚させられた男が会えなくなった娘に未練を残しつつ田舎に戻ったら、ある経緯から二人の少女の演劇指導をすることになった話。演劇指導を依頼されるまで随分と退屈だったけれど、救いようのない結末でなくてホッとした。仮構に人物を当てはめてコミュニケートした気になってる、は、改めてそうだと思った。他の短編では、ホームビデオは画面の映像と記憶の映像の2つを観ている、との記述が面白く思った。

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    2016年09月19日
  • IP/NN 阿部和重傑作集

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    なんだか不思議な読後感。体調が悪かったのもあるかもしれんが、特にIPの方は読んだあと暫く現実感を失った。しかし、最後まで意味わからんかった。
    IPもNNもスタイリッシュ?といえばそうだが、壮大な中二病とも言える。

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    2016年03月10日
  • クエーサーと13番目の柱

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    ネタバレ

     緻密な計画、優秀な人材、スリリングな展開。何かしらの諜報機関かよ、と思いきや、その正体はアイドルの追っかけをするボンボンに雇われたモニタリングチームだった。
     という設定なので、コメディ的な要素があるのかと期待するも、堅苦しい文章と終始シリアスなテンションなのが逆に滑稽。終盤にはダイアナ元妃の衝突事故を模したカーチェイスも。やたらと正確な数字が記されているのと、登場人物の名前が全てカタカナ表記という記号性が、妙に臨場感を増す。
     キーになる「引き寄せの法則」と、超能力的な最後にはついていけず、頭に「?」の残る読後感だった。

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    2016年05月16日
  • グランド・フィナーレ

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    何だか文というか漢字が難しかったです。
    芥川賞だから難しいのか、難しいから芥川賞なのか。

    文の雰囲気としては、コメディ要素を抜いた森見登美彦さんって感じでした。

    内容はどうなんでしょうね。
    何だか盛り上がりそうだぞ、って思って読んでたら、やっぱそんなに盛り上がらなかったかって場面が何度かあったような。

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    2015年10月08日
  • アメリカの夜

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    いきなり「ブルース・リーが」で始まる冒頭は唐突であった。唯生の造詣は面白い。脇役たちもいい味出している。唐突な印象は各所にみられたが、こういう文学もアリとなんか感じるものがあった。タイトルもいい。

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    2015年09月03日
  • グランド・フィナーレ

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    ロリコン趣味が露見して、妻と娘に見捨てられ
    友人関係にも暴露されたことで軽蔑を受けるおっさん
    それも仕方の無いことだ
    幼少期に受けた性的虐待の、心の傷というものは
    悪くすると自らの命を絶ってしまう原因にもなりかねないのだから
    ただ、ここでおっさんがその気になりさえすれば
    反論することは可能である
    というのも、心に傷を負わない人間などいない
    おっさんがロリコン趣味を持ったことは
    これもやはりおそらくは、幼少期に受けた心の傷が原因であって
    そこに不可抗力は、認められるべきだと
    だけどもちろん、おっさんはそのようなことを言わぬ
    なぜなら現代社会において
    そのような憎しみの連鎖を断ち切ることは、大人た

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    2015年02月04日
  • ミステリアスセッティング

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    【本の内容】
    歌を愛し、吟遊詩人を夢見ながらも、唄う能力を欠いた19歳の少女シオリ。

    唄うことを禁じられ、心ない者たちにその純粋さを弄ばれても夢を抱き続けるシオリに、運命はさらなる過酷な試練を突き付ける。

    小型核爆弾だというスーツケースを託され、東京の地下深くにひとり潜ったシオリが起こした奇跡とは。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    主人公の妹が辛辣で、冒頭挫折しそうになったけれど、読み通したら予想と違う読後感だった。

    歌うのが好きなのに音痴なシオリは、吟遊詩人を諦め作詞家を志望する。

    人々から騙され酷い目に遭うのに、最後には彼女が世界を救う。

    心身にずしんと響く作品を書き続けてき

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    2014年09月14日
  • 幼少の帝国―成熟を拒否する日本人―

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    ネタバレ

    日本人は未成熟だ、というのが骨子なのだが、アンチエイジングにせよ、製品のミニチュア化にせよ、あちこちの情報を集めて切り貼りしてあるだけで、思考を深めていない。著者の物知りぶりをお披露目してるだけのように感じる。

    日曜朝の子ども番組のキャラクターグッズがどうの、という部分がやたらと熱っぽく語られて著者のオタクぶりが伺えたあたりで,飽きて投げ出してしまった。仮面ラーダーの写真なんて、ここに必要だったんだろうか…。

    幼稚というのは、自虐的に幼稚であることは認めても、なぜ社会がそのような方向に向かうのか理整然と説明できない、論理思考力が足りないのだと思う。小さなものや愛らしいものを好むから、カワイ

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    2014年08月19日
  • シンセミア(下)

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    2014年07月19日
  • アメリカの夜

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    阿部和重、クセになる。
    こう「うあーおもしれー」って感じではないんだけど、淡々とこみ上げてくる感じ。
    アメリカの夜。映画をみようかな

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    2014年05月11日
  • シンセミア(上)

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    山形県東根市 桜桃おうとう 神町じんまち アイルトンセナはうまいやつではなかったか 急性心筋梗塞 コレステロール 中山正巡査 肛門の臭い 毒ガスてろ ボーリング場 フィストファック お台場 証券会社 百貨店 バニラアイス 砂糖コカイン 星置 記憶力 幽霊 東北弁 べっちょ 青年団 オレンジ パン屋 麻生 夫の自殺 オムツプレイ マザコン パン屋 渋谷 ダンプカー 文化村 スターバックス 潮風公園 ジャスコの本屋 広辞苑

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    2014年05月27日
  • グランド・フィナーレ

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    もうあんまし覚えていませんけれども、ロリコン男の話だったかと思います! この題材で芥川賞を受賞できるだなんて…さすが阿部先生ですね! ←え?? 社畜死ね!!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    まあ、取り立てて感想めいた感想はないんですけれども、解説にもあった通り、現実味・人間味に欠けるかのような描写の主人公ではありますけれども、実際にはこういった、特に電脳化著しい現代においてはこのような男が幾多も存在するんじゃないでしょうかねぇ…みたいなことを思ったのでした。僕も実際、人間としての大事な何か、つまりは感情・情緒といった面が欠けているのかと思いますし… ←え??

    といった感じで世間的な評価はあまりよ

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    2014年04月30日
  • シンセミア(上)

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    全2巻。現代を象徴する退廃と破滅のアレゴリーか。腐りきった魑魅魍魎の跋扈するカオスの世界に救いはない。あとに残るのは束の間のアドレナリンの産物である淫靡で衝動的な刹那の興奮のみ。インパクトはあるか。

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    2013年12月18日
  • シンセミア(下)

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    地方の一都市を舞台にした群像劇です。登場人物が誰一人として他の人のこと慮ることはなく、自分の欲望のままに突き進みます。数々の登場人物とエピソードが折り重なり、不気味な胎動を感じさせる上巻です。

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    2013年09月25日
  • アメリカの夜

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    主人公の青年、阿部和重が、自分は特別であるということを証明するために、様々な論理的アプローチをする長編小説。卒業した映画学校で出来た知りあいとのやりとりと、自分の内部での葛藤との2つの軸が走っていく。中山唯生という別の人格を作ったり、自分の誕生日である秋分の日に関する仮説を立てたり、ドンキホーテよろしく物語の主人公になりきったり、ブルースリーのように体を鍛えたりする。彼は世間から徐々にずれていき、周囲とトラブルを起こして関係を断ち切る。最後には、本来の自分はバイトを続け、唯生がフランスへ行き、映画の手法、アメリカの夜を用いて、昼の風景を夜に変えた映像を取りへ行ってしまう。

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    2013年07月09日
  • 幼少の帝国―成熟を拒否する日本人―

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    アンチエイジングや省エネ、小型化などの日本の産業の得意分野など、成熟拒否の一例かもしれないものを取り上げ、インタビューをしていくという作り。
    ダイナミックさが足りないし、東日本大震災が絡んできて余計に軸がわかりにくい。でもそれ抜きに批評書けるかといったらまぁ無理だろうと。

    ちなみに日本人の成熟拒否というワードはもう世界が日本を語るうえで常套句中の常套句と化しているらしいです。

    私が読んで収穫だと感じた分野は美容整形。
    昔は美容整形という言葉すらなくてヤミ状態だったとか、今の医者より昔の医者の方が技術が高かったとか。
    高須先生さすがですわと感じた。
    作法と美容のたとえとか、すとんと腑に落ちる

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    2013年05月19日
  • 幼少の帝国―成熟を拒否する日本人―

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    ネタバレ

    視点が面白いなと思いました。
    一件あんまり関係なさそうな事柄が「幼少」というキーワードから
    引き出されて「なるほどな」と思う現象の解説となっていたり。
    物事の見方の視点のあり方の一つを教えていただいたような。

    単なるエッセイとは違うし、ドキュメンタリーや評論ともちょっと違うような。
    この方の小説、実は読んだことはなく著作も初めて読みました。
    今まで出会ったことのないタイプの人だなと感じましたが、小説読んでみようかなとまでは思わなかった。

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    2012年10月22日
  • アメリカの夜

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    阿部さん、うますぎ。シネフィルの阿部さんらしいパスティーシュな作品ですが、非常に洗練されてます。

    笑いながら一気に読めてしまいました。

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    2012年10月02日
  • 幼少の帝国―成熟を拒否する日本人―

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    昭和天皇&マッカーサーの2ショット写真から始まって、高須クリニックと日曜朝の特撮ヒーローを同じ遡上に乗せる剛腕っぷりは小説家ならではの空想力のなせる業。ほとんどインタビューの書き起こしなのに、わざわざこれはノンフィクションですよとのコトワリが確信犯的で、最後にはフィクションめいたカタルシスへと着地させ、読み物として面白い。日本人論としての評価は???

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    2012年09月28日