【感想・ネタバレ】IP/NN 阿部和重傑作集のレビュー

あらすじ

時代を小気味良く射抜いた峻烈なマスターピース、『インディヴィジュアル・プロジェクション』と『ニッポニアニッポン』。過激で真摯な言葉が吼えるように奏でるストーリーは、今なお新しく、その奇妙で暗示的な読後感は、当代無二のものがある。代表作2編を同時収録した贅沢な一冊。<解説・古泉智浩><収録作品>●『インディヴィジュアル・プロジェクション』最後の一文字に驚愕する、知的スリルに満ちた現代文学の金字塔渋谷で映写技師として働くオヌマは、かつてスパイ養成塾に在籍していた。オヌマの日記から伝えられる、プルトニウム爆弾を巡るヤクザとの攻防や、その撮影フィルムの存在……次第に気味悪く変調する日記は、一体何を明かすのか?●『ニッポニアニッポン』滑稽にすら映る少年の孤独が、テロルの可能性に変わるとき――引きこもりの童貞・鴇谷春生(とうやはるお)は、世間に対する嫌悪と怨念を一身に漲らせた17歳。「俺を一人にしたことを、この国の連中すべてに後悔させてやる……」そう誓った春生はネットを渉猟し、情報で武装。そして、ある復讐計画を企てる。文句なしに面白い! ストーリー至上主義のマンガ家であるオレが言うから間違いない!――古泉智浩氏(漫画家)なにもしないでいられない。けどなにしたいかわかんない。それならこれ読むっきゃない!――やついいちろう氏(エレキコミック)※本書は、2000年6月に新潮文庫より刊行された『インディヴィジュアル・プロジェクション』と2004年7月に新潮文庫より刊行された『ニッポニアニッポン』の合本です。

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Posted by ブクログ

個人的にIPが星3つ、NNが星4つ半ぐらいかな。やー面白かったです、ニッポニアニッポン。主人公のぶっとび具合がもう、一周回ってアホ可愛く思えてしまいます。勝手にトキを守ろうと決めたくせに、トキの交尾に逆ギレしてるあたりが笑える。

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2012年09月03日

Posted by ブクログ

「ぼく」という幻想。

この本は『インディヴィジュアル・ブロジェクション』と
『ニッポニアニッポン』という
阿部の代表作を1冊にまとめたものである。

感じたのは人称の問題だ。

それは「ぼく」という幻想のありかを
突き詰めていくことになる。

1作目のは主人公は自分をスパイだと思う映写技師だ。
ぼく」という一人称で書かれることで、
本当にスパイなのか、
身の回りに危機が迫っているのかどうかが
曖昧なままで物語は進んでいく。

「ぼく」の実は平凡な日常が
Гスパイ行為」というフィルターを通すと、
非日常へ様変わりしていく。

本当の「ぼく」は何なのか?
存在自体が揺らいでいく。
これは今を生きる「ぼくたち」の
不在証明のようにも思えてくる。

もう1作は、トキを逃がそうとする「春生」の物語だ。
トキは学名ニッポニアニッポンであり、
まさに日本を解放するという比喩である。
その物語が3人称で書かれることで、
行動の滑稽さが立ち上がってくる。
これもまた「ぼくたち」のもうひとつの姿に思える。
日本の今という現実に閉じ込められて、
「ぼくたち」は歪んでいないだろうか?

「ぼく」という存在の
幻想を暴く1冊だ。

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2012年04月28日

Posted by ブクログ

なんだか不思議な読後感。体調が悪かったのもあるかもしれんが、特にIPの方は読んだあと暫く現実感を失った。しかし、最後まで意味わからんかった。
IPもNNもスタイリッシュ?といえばそうだが、壮大な中二病とも言える。

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2016年03月10日

Posted by ブクログ

ニッポニアニッポンがめちゃくちゃ面白かった。インディヴィジュアル・プロジェクションはいまいち掴めないというか・・・。あのラストあたりからの急激な展開はかなり読む者をソワソワさせるけど笑。

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2011年12月31日

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