阿部和重のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ今でいうところの中二病的思考なシネフィル青年の話。
「特別な存在」でありたいと願う唯夫は、昼と夜の長さが同一になる「秋分の日」生まれということに特別さを感じ、対する「春分の日」的なるものと闘う決意をする。何の冗談か!と!もうニヤニヤしてしょうがないw 唯夫を記述する筆者もまた唯夫自身の別人格で、それはどうやら小説自身の筆者=阿部和重らしく、虚構の中の虚構の虚構と構造が凝ってる。いきなり訳の分からないブルース・リー論から始まって予想のつかない展開も読みづらい文章も全て阿部和重の狙い通りか。
時代は90年代。そして非常に90年代的な小説。サブカルな若者の日常、バブル崩壊後の倦怠感、ネット以前の世界 -
Posted by ブクログ
若くして成功を収めた投資家であるカキオカによって集められたチームは、カキオカが探し求める不可侵にして無償の愛を捧げる対象「Q」の候補者であるアイドルをスパイさながらの活動で監視する。
プロフェッショナルなメンバー達の活躍によって順調に思われたチームの活動だったが、クイーンでありクエーサーでもあるQの対象変更、そして怪しげな「引き寄せの法則」や故ダイアナ妃とQとの暗合を語る新メンバー、ニナイの加入を契機として歯車が狂い始める。やがて事態は加速度的に破滅、あるいは奇跡へと向かっていく...
相変わらずのスタイリッシュな語り口で紡がれる、ほとんどスパイアクションのようなアイドルパパラッチアクション