阿部和重のレビュー一覧

  • キャプテンサンダーボルト 下

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    下巻になって物語はとんでもない方向へ進む。荒唐無稽だし都合が良すぎる気もするが、読んでいて飽きさせない。最後は爽快で、良質なエンターテイメントだった。解説でも触れていたが、結局二人の作者のどちらがどこを書いているのかはわからずじまい。でもそんなことを気にさせない力業だった。最後のボーナストラックにまたほろりとさせられた。二人の作者による渾身の長編大作。相葉が主演のスピンオフ作品を読んでみたい。

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    2018年12月19日
  • キャプテンサンダーボルト 下

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    ネタバレ

    銀髪の外国人(怪人)から逃れつつ、「あるけどない」村上病の謎を追う。一応ミステリに分類したけど、なんだろう、冒険もの?エンタメ?
    ラストの展開はかなり熱い!本当にそんなにうまく行くものか(いくら金庫でも空調くらいあるはず)という気がするが、まぁ面白いからよし。
    ダメ押しのボーナストラックがさらによし。男の友情、というより腐れ縁?なんだかんだでお互い大切に思える関係っていいなぁと思う。地味にお互い喜んじゃってるのがまた。

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    2018年08月08日
  • キャプテンサンダーボルト 上

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    スマホの機械音声で話す怪しい外人に殺人兵器を体内に仕込まれ、追いかけられる…。村上病を巡る謎、特撮、野球小ネタ。なんだこれは、と思うが、戦う主人公たちと、謎と陰謀渦巻く世界に実にハラハラドキドキワクワクさせられる。

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    2018年04月07日
  • キャプテンサンダーボルト 上

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    久々に読んだ伊坂作品。
    少し昔の伊坂にもどったようでわくわくどきどきが止まらない上巻でした。
    それぞれの出来事が最後、どう繋がるのか、下巻が楽しみです。
    「ボーナストラック」も相葉のにくめない感じが前面に押し出ていて痛快で心地よかった。

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    2018年03月26日
  • キャプテンサンダーボルト 上

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    久しぶりに「徹夜本」と言える本に出合えた感!タイトル見ただけでは何を意味しているのか判らない。それに読みはじめも、なんの話ー!?と、全然つかめないのに引き込まれる、まさに伊坂ワールド。登場人物多い、場面多い、これどうやってつながるの?的な展開。だけど、上巻を読み終える頃には続きが気になって気になって。下巻も買っておいて正解!

    映画化したら誰がキャスティングされるのか。。。桃沢は北川景子、赤木は堤真一をイメージしています。(主要人物のイメージ構想中)

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    2017年12月06日
  • アメリカの夜

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    玉ねぎを剥いていくような読書体験であった。
    剥ききった果てには当然何もない。しかしその何もないということが、我々を落胆させることはないでしょう。
    その虚無に何を感じられるだろうか。

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    2014年02月06日
  • ABC<阿部和重初期作品集>

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    新潮から出ている「ABC戦争」と「無情の世界」がそのまま合わさっている作品集。特に「鏖」とかもう何回も読んでるんだけど面白すぎる。
    全作品にやにやしぱなっしで読み切った。
    無人島に1冊持ってくならこれ。

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    2013年04月09日
  • アメリカの夜

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    テーマは、ありがちな若者の自分探しの物語だか、主人公は作者の分裂であり、分裂した自己との対話で本書は成り立っている。
    誰よりも「特別な自分」であることを証明するために主人公。結局は「特別な存在」にはとうていなれないという虚しさを募らすだけと知りながらせっせと「特別な自分」の証明を試み続ける主人公。
    日常生活の中での仮構を突き崩す、暑苦しくぶっきらぼうな暴力性を認識しながらも、なお書かねば落ち着かないという、書き手にとっての悲痛さを主人公に投影し、主人公と作者が対話をする。伏線も多く難解だが、面白い。

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    2013年01月16日
  • ABC<阿部和重初期作品集>

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    ABC戦争はちょっと辛かったけど、最後の三本「トライアングルズ」「無情の世界」「鏖」がとても良かった!「鏖」は映像化のキャストまで勝手に考えてしまいました。

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    2012年02月29日
  • ミステリアスセッティング

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    再読。

    吟遊詩人を夢見る音痴な少女、シオリは周囲の悪意と善意に翻弄される日々を送る中、謎のポルトガル人マヌエルが唐突に託された小型核爆弾スーツケース(通称スーちゃん)によってさらなる危機に立たされる。

    と、あらすじだけ書いてみても全く意味不明な物語だが、そんな荒唐無稽さ、シュールさと諧謔味たっぷりの阿部和重の筆致が最高です。

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    2011年09月30日
  • アメリカの夜

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    ネタバレ

    今でいうところの中二病的思考なシネフィル青年の話。
    「特別な存在」でありたいと願う唯夫は、昼と夜の長さが同一になる「秋分の日」生まれということに特別さを感じ、対する「春分の日」的なるものと闘う決意をする。何の冗談か!と!もうニヤニヤしてしょうがないw 唯夫を記述する筆者もまた唯夫自身の別人格で、それはどうやら小説自身の筆者=阿部和重らしく、虚構の中の虚構の虚構と構造が凝ってる。いきなり訳の分からないブルース・リー論から始まって予想のつかない展開も読みづらい文章も全て阿部和重の狙い通りか。
    時代は90年代。そして非常に90年代的な小説。サブカルな若者の日常、バブル崩壊後の倦怠感、ネット以前の世界

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    2011年09月27日
  • アメリカの夜

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    阿部和重の堂々たるデビュー作。全部詰め込んで、思いが溢れて自分まで飛び出してしまったというような反則的蛇足に感動した。

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    2011年05月07日
  • アメリカの夜

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    今読み返したらどう感じるかはわからないですが、今まで読んだ本の中で、一番グッときた気がする。いや、一番じゃないかな。まあ、どうでもいいですね

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    2009年12月13日
  • アメリカの夜

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    もう少し前に読んでいたら嫌悪感で溢れただろうし、
    もう少し後に読んでいたら憐れみを抱いただろう。
    このタイミングだからこそ理解。

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    2009年10月07日
  • アメリカの夜

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    これは良いぞ。青臭いぞ。
    こういうくさいやつのほうが、僕は好きで、たしかにぱっと見のタイトルは「アメリカの夜」のほうがよいのだけれど、
    「生ける屍たちの夜」のほうが僕は好きです。
    いえーい。

    物語性というか、小説の箱をしっかりと意識していて、良いと思いました。
    読みにくいですが。

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    2009年10月04日
  • アメリカの夜

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    秋分の日生まれの中山唯生というもう一人の「自分」を通じて、特別なものを追いかける内面を描き出している。甘い幻想ばっかり追いかけてると死にたくなるよ、と解釈した。自分には何ができるのか、夜の暗闇で考えてみる。

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    2009年10月04日
  • ULTIMATE EDITION

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    虚構よりも虚構的な現代を切り取る。ロシア軍特殊部隊員、ポケモンGO、金正恩、シリア内戦、闇バイトetc. 同時代的テーマを豊富に取り込んだ至極の短編集。心地よいグルーヴ感のもと、知的な遊びと実験性が盛り込まれたメタフィクションは、「読む」楽しさに溢れている。と同時にこの現実世界を(悲惨な戦争や凄惨な拷問さえも)更なる虚構化へと引き摺り込む。

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    2025年11月15日
  • キャプテンサンダーボルト 下

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    やっと色々な疑問が繋がって、スッキリしました。

    相葉のことは最後まで好きにはなれなかったけど、最後までやり遂げる様子にはハラハラドキドキしました。

    ボーナストラックの話がほのぼのしていて好きです^_^

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    2025年03月08日
  • ブラック・チェンバー・ミュージック 下【毎日文庫】

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    阿部和重作品への勝手なイメージで、物語中で細部へのこだわりを持った描写がなされる、というものがあります
    ホントに自分がなんとなく感じただけのふわっとした印象ですけど

    で、過去作『インディヴィジュアル・プロジェクション』だと、フリオ・イグレシアスの歌詞への執拗な考察シーンがでてくるんですよ

    そんな流れで今作を読んだ時に気になっちゃうのが「グラフィティ/チャーチズ」です

    実在の曲なので、検索からの和訳をかけてみたらこれがもう作品にぴったりで
    上で例に出した『インディヴィジュアル・プロジェクション』でのフリオの歌詞のように執拗な考察をするわけでもなく、ただ単にgoogleパワーで翻訳をかけたも

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    2025年03月04日
  • ブラック・チェンバー・ミュージック 上【毎日文庫】

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    自称ドナルド・トランプの隠し子
    南北朝鮮に所属する国家職員の秘密の会合
    ……などが物語序盤から描写されるのですが、基本は主人公横口健二の大冒険といった内容です

    知り合いのヤクザから仕事を押し付けられ、北朝鮮からの密入国者ハナコと一緒に謎の映画雑誌を探し出すはめになった横口健二、そんなお話

    スラスラと読めるし、内容も面白い
    でも改めてストーリーを思い返してみるとお話の進展はほぼないような気もします

    でも読んでいると面白いんですよ、すごい、なにこれ
    上巻の最後の最後になって急に物語がアクセル全開になって、なんだかんだで下巻が読みたくてしょうがないです

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    2025年02月25日