あらすじ
歌を愛し、吟遊詩人を夢見ながらも、唄う能力を欠いた19歳の少女シオリ。唄うことを禁じられ、心ない者たちにその純粋さを弄ばれても夢を抱き続けるシオリに、運命はさらなる過酷な試練を突き付ける。小型核爆弾だというスーツケースを託され、東京の地下深くにひとり潜ったシオリが起こした奇跡とは?
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Posted by ブクログ
再読。
吟遊詩人を夢見る音痴な少女、シオリは周囲の悪意と善意に翻弄される日々を送る中、謎のポルトガル人マヌエルが唐突に託された小型核爆弾スーツケース(通称スーちゃん)によってさらなる危機に立たされる。
と、あらすじだけ書いてみても全く意味不明な物語だが、そんな荒唐無稽さ、シュールさと諧謔味たっぷりの阿部和重の筆致が最高です。
Posted by ブクログ
久々の阿部和重の作品だが、相変わらず物語のスピードが素晴らしい。息つく暇もなく、一気に読んでしまった。思い返すと大傑作の「シンセミア」もそうで、一晩であの上下巻を読んでしまったのが懐かしい。
本作は一人の孤独な少女が巻き起こす奇跡の話であり、スピード感溢れる語り口で、孤独な戦いを挑む彼女の姿に惹きつけられてしまう。ケータイ小説として書かれたという背景は個人的にはあまり感じず、短文を重ねながらの語り口は速度を高めるのに効果的に寄与していると感じた。冒頭とラストが、円環を描くようにリンクする小説技法もこの人らしい。
Posted by ブクログ
「グランド~」はあれでしたが、今作は非常に読み易かったです。
音痴でありながらも歌い人を目指すシオリ。彼女がとことん不幸に苛まれる。
荒唐無稽でありながらも現実味のあるストーリーです。最後に何を見出したのか。それは読者次第ではないかと
Posted by ブクログ
主人公が不遇すぎて中盤どころか終盤まで読むのが辛い。
爆弾のくだりからはとにかく話が進むのが早いこと。
飽きる前に読むことはできるが、なんとも後味が…
Posted by ブクログ
【本の内容】
歌を愛し、吟遊詩人を夢見ながらも、唄う能力を欠いた19歳の少女シオリ。
唄うことを禁じられ、心ない者たちにその純粋さを弄ばれても夢を抱き続けるシオリに、運命はさらなる過酷な試練を突き付ける。
小型核爆弾だというスーツケースを託され、東京の地下深くにひとり潜ったシオリが起こした奇跡とは。
[ 目次 ]
[ POP ]
主人公の妹が辛辣で、冒頭挫折しそうになったけれど、読み通したら予想と違う読後感だった。
歌うのが好きなのに音痴なシオリは、吟遊詩人を諦め作詞家を志望する。
人々から騙され酷い目に遭うのに、最後には彼女が世界を救う。
心身にずしんと響く作品を書き続けてきた著者の描写に、後ろから支えられているような気持ちになった。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
初期の論文調から脱皮して、ほどよく読みやすい感じになってきた安部氏。
ストーリー展開はあいかわらずの跳躍ぶりだけれど、まとまりがあって読みやすいし、面白い。
Posted by ブクログ
ふつう、だと思った。
設定なのかな、特に心に響くこともなくなんとなくで読み終わってしまった。
歌の意味が分かったら違うのかもしれない。
金原ひとみが帯で「これなくしては生きていけない」と書いてあるからあとがきを見てみたら、文脈としては阿部和重の本全体のことを指すらしい。この本用のあとがきなのだから帯にひいても問題ないのかもしれないけど、あまり好ましくない作為を感じた。
おじいさんの正体、というのは面白いと思った。
そう考えると話に無駄がないかも。
Posted by ブクログ
色々な意味でどうしようもなかった。あまりにも、あまりにも。
頁をめくるごとに日常が非日常へとどんどんスピードを上げて迫っていく。
作者の悪意すら感じるほど純粋でふわふわした主人公の少女も、
その彼女に関わる登場人物たちも、物語を語る老人の独白も、
読み終わった後なんてゆうかもうただただ恐ろしかった。
ただのエンタメ小説として読むこともできる。しかし探ればキリがない何か。
阿部和重凄いなぁー、そして怖いなぁーと思ってしまった一冊。
Posted by ブクログ
3/2
阿部和重の作品で頻出の、読んでいて気分の悪くなる人物は健在。
携帯電話での配信ということで(文の長さはあまり変わらないものの)改行は多くなった印象。
登場人物に語らせる手法は相変わらず。
ただ、ちょっときれいにまとめすぎちゃった感はあります。