【感想・ネタバレ】シンセミア(上)のレビュー

あらすじ

神町。どこにでもあるようなこの片田舎の町は、戦後日本の縮図でもあった。米軍の占領政策の一端を担ったパン屋とヤクザ、田宮家と麻生家は神町で絶大な勢力となり、息子の代になっても両家の固い結びつきは続いていた--あの事件が起きた炎熱の夏までは。壮大なる構想の下に始まる「神町三部作」第一部。

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Posted by ブクログ

フォークナーの流れで共同体物語の傑作である阿部和重の「シンセミア」を再読。長い小説だがあっという間に読み終わる。すごい小説である。まともな登場人物が全く出てこず、とことん安っぽく、馬鹿馬鹿しい内容が盛りだくさんだが、読み進めるうちにどんどん引き込まれていってしまう。それらの描写の集積が、一つの共同体の歴史としてしかと刻み込まれる。圧巻の完成度、恐るべき著者の技術。現代文学の最高峰である。

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2022年04月21日

購入済み

身につまされるかも

パン屋の歴史的な裏付けとか、よく調べてるなって
感心する一方、あるはあるは、エロビデオに
出てきそうなものや、アニメの驚きの展開に使われそうな
ものとか、次々と、あああ、自分もこんなものを
日常目にしているから、世界のことを
しっかり心配して、自分の行く道を考えたり
してないんじゃないか、って、
安穏として、なるようになれでだらしなく
生きている自分が恥ずかしい。
これほど、悪い人ばかりの町って
とんでもないけど、うかうかしてると
なりかねないよね。
最後のところもギクッてした。
まあ、よくもこんなって、
何代も続いてこうなってきたってのも
恐ろしい。

#シュール #ドロドロ #ダーク

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2021年08月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

語り手がどんどん入れ替わって怒涛の情報量に圧倒されるのが楽しい!新しい語り手を「この人はまともかな?」と最初思っても、もれなく全員クズ。しかも愛すべきクズじゃなくて、愛せないクズ。笑 話の展開が読めない、勢いに乗って一気読み。

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2021年06月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

芥川賞を受賞した「グランドフィナーレ」はその評価に悩んだものだけど、一方でシンセミアは紛れもなく力作だと思った。

神町の共同体としての描写はとても濃密。創作だとはとても信じられないような気持ちになった。
この本を読んでいる間だけは、自分もこの町の中にいて、人々の有り様を近い目線で観察しているような没入感があった。

登場人物は悪い意味で癖の強い人々ばかり。
インモラルな性癖や暴力性が包み隠さず描かれるので、苦手な人は苦手かも。

人間の剥き出しで汗臭い欲望を書くのに長けた作家だとは認めつつ、それに少し食傷気味になってしまった。果たして下巻はどうなっていくのか。

あと、登場人物が多すぎて、間が空くと誰が誰だか忘れてしまいそうだったw

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2019年04月23日

Posted by ブクログ

「これでもか!」というくらいの大量の登場人物のほとんどが人道から外れた行為を己の快楽や利得のためだけに行うとある村のスラップスティックな物語。

ドラッグ、盗撮、淫行、殺人……破滅的な行いを繰り返しながらも物語がパタパタと綺麗に収束していく様は見事。
ミステリあり、深い人間描写ありと純文学畑の作家とは思えないエンタメぷりに酔いしれた。過激な描写ばかりのため読む人は選ぶが。

タランティーノを文章化するとこんな感じになるのかも。

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2014年03月08日

Posted by ブクログ

上下逆に投稿してしまいましたが・・下巻では蠢く人物たちの俗悪な狂騒に拍車がかかり一気にカタストロフィに突き進みます。その高揚感だけで読み進めてしまいました。これだけの群像劇をまとめ上げる作者の力量には感服します。神町トリロジー読み進めようと思います。

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2013年10月09日

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こういう多くの人が出てくる群像話は好きです。
はじめのうちは人の把握に疲れますが、読み進めると各登場人物のキャラが際立ってきます。
偏った性癖を持つキャラが多くて楽しめました。

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2013年08月21日

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自分の中で面白いんだけど不快な小説といえばこれ。上巻の描写はほんとに辛い部分もあり。とにかく登場人物が極端に多い群像劇なので読み上げ機能で聴いているとこんがらがることこの上なし。

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2025年10月18日

Posted by ブクログ

子どものおすすめで読み始めた初・阿部和重。なかなかにエロでグロでバイオレンス。ちょっとキツい。が、先が気になり読み進めてしまう。狭い地域共同体の中で絡まりうごめくたくさんの登場人物たち、一体この後どうなってしまうのか…。さて、下巻に行くぞー!

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2024年05月04日

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神町トリロジー(三部作)の第一部。

とても知的だが呆れるほどお下劣。
そして、上巻最後まで読んだが、全く中身がない笑
恐ろしい小説だ。

下巻へ続く。

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2023年03月27日

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舞台は「神の町」と書いた、山形県東根市神町。米軍占領下の血塗られた歴史を持つ町で、20世紀最後の夏の出来事が描かれている。どの人物も欲に塗れた裏の顔を持ち、複雑な人間関係が成り立っていてドロドロしているが、なんだか物語にとてものめり込んでいく。多数の人物が登場するが、彼らのほとんどが狂気じみた性格を持ち、個人的に魅力的な人物は誰もいないのだが、それらの因果関係や物語がどう進んでいくか、多少の緊張感が胸に張り詰めた中で、はまって読み進んでいった。読後感はなんだか気持ちが淀んだ感じ。

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2020年08月25日

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2014年05月27日

Posted by ブクログ

全2巻。現代を象徴する退廃と破滅のアレゴリーか。腐りきった魑魅魍魎の跋扈するカオスの世界に救いはない。あとに残るのは束の間のアドレナリンの産物である淫靡で衝動的な刹那の興奮のみ。インパクトはあるか。

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2013年12月18日

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