阿部和重のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ロリコン趣味が露見して、妻と娘に見捨てられ
友人関係にも暴露されたことで軽蔑を受けるおっさん
それも仕方の無いことだ
幼少期に受けた性的虐待の、心の傷というものは
悪くすると自らの命を絶ってしまう原因にもなりかねないのだから
ただ、ここでおっさんがその気になりさえすれば
反論することは可能である
というのも、心に傷を負わない人間などいない
おっさんがロリコン趣味を持ったことは
これもやはりおそらくは、幼少期に受けた心の傷が原因であって
そこに不可抗力は、認められるべきだと
だけどもちろん、おっさんはそのようなことを言わぬ
なぜなら現代社会において
そのような憎しみの連鎖を断ち切ることは、大人たちの責務だからだ
その矜持だけでも守りとおしたおっさんはえらい
いやえらくない
まあそんな感じで郷里へとひきこもったおっさんは
なにも知らない昔の友人から、児童演劇の指導役を頼まれたりして
人間的な再生をはかっていくわけだ
本来なら小学生女児の前になど顔を出せないおっさんだが
子供たちの真剣さにほだされて、なんとか「大人」を演じようとする
…劇作家で演出家の故・つかこうへい氏は、演技指導の際
役者を徹底的に批判することで
無駄な自意識をはぎとり、役柄に集中させたのだと聞く
おっさんが、ロリコンとしてその人格を全否定されたことは
結果的にプラスに働いたと言えるだろう
しかし彼の演じる芝居には、脚本がないのだった
ロリコンは「大人」というものについて知っているのか?
ラスト、おっさんは女児たちに
セキセイインコをプレゼントしようと考えるのだが
僕にはそれが村上春樹の短編「蛍」に重なって見えたりもした -
Posted by ブクログ
【本の内容】
歌を愛し、吟遊詩人を夢見ながらも、唄う能力を欠いた19歳の少女シオリ。
唄うことを禁じられ、心ない者たちにその純粋さを弄ばれても夢を抱き続けるシオリに、運命はさらなる過酷な試練を突き付ける。
小型核爆弾だというスーツケースを託され、東京の地下深くにひとり潜ったシオリが起こした奇跡とは。
[ 目次 ]
[ POP ]
主人公の妹が辛辣で、冒頭挫折しそうになったけれど、読み通したら予想と違う読後感だった。
歌うのが好きなのに音痴なシオリは、吟遊詩人を諦め作詞家を志望する。
人々から騙され酷い目に遭うのに、最後には彼女が世界を救う。
心身にずしんと響く作品を書き続けてきた著者の描写に、後ろから支えられているような気持ちになった。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
Posted by ブクログ
ネタバレ日本人は未成熟だ、というのが骨子なのだが、アンチエイジングにせよ、製品のミニチュア化にせよ、あちこちの情報を集めて切り貼りしてあるだけで、思考を深めていない。著者の物知りぶりをお披露目してるだけのように感じる。
日曜朝の子ども番組のキャラクターグッズがどうの、という部分がやたらと熱っぽく語られて著者のオタクぶりが伺えたあたりで,飽きて投げ出してしまった。仮面ラーダーの写真なんて、ここに必要だったんだろうか…。
幼稚というのは、自虐的に幼稚であることは認めても、なぜ社会がそのような方向に向かうのか理整然と説明できない、論理思考力が足りないのだと思う。小さなものや愛らしいものを好むから、カワイイが美学だから、というとってつけた説明ではなく、なぜそうなるかの分析が甘い、その事態そのものが日本人が幼稚なのだろう。これじゃいけないという問題意識はあって、共有されていても、解決策をひねり出そうとはしない。
50すぎたオッサンがおもちゃを万引きしてしまうような世の中。50近いオッサンが子どもを誘拐して自分の嫁にしたいと言っちゃうような世の中。オバサンたちがキティブランドなんか身に着けてる時代。そりゃ、成熟しないよね。子ども時代の想い出を捨てられない人は、どこか言動が無責任なんだもの。 -
Posted by ブクログ
コーラ瓶 肛門 盗撮 金森 隅元 山形県東根市神じんまち 天童市 コカイン白い粉末 小麦粉 洪水 コルトレーン 渋谷道玄坂 アフガン・ハウンドは、アフガニスタン原産の長毛サイト・ハウンド(視覚型狩猟犬)。 木箱AB 禽獣 優れてエコロジカルな結末 山形市花笠祭り 鋏 虎刈り 臍を頂点 腐敗 コンテナ 自警団 熊女 アーアー コカイン歯茎に塗る モデルガン 和歌子 フックボール ターキー 窮鼠猫を噛む カタストロフ 白豚 顔面崩壊 混血児 パンパン 朝鮮戦争 不発弾 UFO シンセミア麻薬の一種 小麦粉塵爆発で死亡の父 パン屋廃業 毒を盛る妻 盗撮サークル壊滅 愚問だな 道連れ
-
Posted by ブクログ
もうあんまし覚えていませんけれども、ロリコン男の話だったかと思います! この題材で芥川賞を受賞できるだなんて…さすが阿部先生ですね! ←え?? 社畜死ね!!
ヽ(・ω・)/ズコー
まあ、取り立てて感想めいた感想はないんですけれども、解説にもあった通り、現実味・人間味に欠けるかのような描写の主人公ではありますけれども、実際にはこういった、特に電脳化著しい現代においてはこのような男が幾多も存在するんじゃないでしょうかねぇ…みたいなことを思ったのでした。僕も実際、人間としての大事な何か、つまりは感情・情緒といった面が欠けているのかと思いますし… ←え??
といった感じで世間的な評価はあまりよろしくない芥川賞受賞作ではありますけれども、個人的にはそこまで酷い作品だと思いませんでした…おしまい。
ヽ(・ω・)/ズコー -
Posted by ブクログ
主人公の青年、阿部和重が、自分は特別であるということを証明するために、様々な論理的アプローチをする長編小説。卒業した映画学校で出来た知りあいとのやりとりと、自分の内部での葛藤との2つの軸が走っていく。中山唯生という別の人格を作ったり、自分の誕生日である秋分の日に関する仮説を立てたり、ドンキホーテよろしく物語の主人公になりきったり、ブルースリーのように体を鍛えたりする。彼は世間から徐々にずれていき、周囲とトラブルを起こして関係を断ち切る。最後には、本来の自分はバイトを続け、唯生がフランスへ行き、映画の手法、アメリカの夜を用いて、昼の風景を夜に変えた映像を取りへ行ってしまう。
-
Posted by ブクログ
アンチエイジングや省エネ、小型化などの日本の産業の得意分野など、成熟拒否の一例かもしれないものを取り上げ、インタビューをしていくという作り。
ダイナミックさが足りないし、東日本大震災が絡んできて余計に軸がわかりにくい。でもそれ抜きに批評書けるかといったらまぁ無理だろうと。
ちなみに日本人の成熟拒否というワードはもう世界が日本を語るうえで常套句中の常套句と化しているらしいです。
私が読んで収穫だと感じた分野は美容整形。
昔は美容整形という言葉すらなくてヤミ状態だったとか、今の医者より昔の医者の方が技術が高かったとか。
高須先生さすがですわと感じた。
作法と美容のたとえとか、すとんと腑に落ちる。
私も中身の美しさが見た目云々って価値観はない人間だから。
あと阿部和重の小説ファンとしてはオタクもヤンキーも渾然一体となった独特なあの初期の世界観はこういう部分から来ているのか、とデコトラの章を読んで納得。楽しめた。