阿部和重のレビュー一覧
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主人公の青年、阿部和重が、自分は特別であるということを証明するために、様々な論理的アプローチをする長編小説。卒業した映画学校で出来た知りあいとのやりとりと、自分の内部での葛藤との2つの軸が走っていく。中山唯生という別の人格を作ったり、自分の誕生日である秋分の日に関する仮説を立てたり、ドンキホーテよろしく物語の主人公になりきったり、ブルースリーのように体を鍛えたりする。彼は世間から徐々にずれていき、周囲とトラブルを起こして関係を断ち切る。最後には、本来の自分はバイトを続け、唯生がフランスへ行き、映画の手法、アメリカの夜を用いて、昼の風景を夜に変えた映像を取りへ行ってしまう。
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アンチエイジングや省エネ、小型化などの日本の産業の得意分野など、成熟拒否の一例かもしれないものを取り上げ、インタビューをしていくという作り。
ダイナミックさが足りないし、東日本大震災が絡んできて余計に軸がわかりにくい。でもそれ抜きに批評書けるかといったらまぁ無理だろうと。
ちなみに日本人の成熟拒否というワードはもう世界が日本を語るうえで常套句中の常套句と化しているらしいです。
私が読んで収穫だと感じた分野は美容整形。
昔は美容整形という言葉すらなくてヤミ状態だったとか、今の医者より昔の医者の方が技術が高かったとか。
高須先生さすがですわと感じた。
作法と美容のたとえとか、すとんと腑に落ちる -
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「グランド・フィナーレ」「馬小屋の乙女」「新宿ヨドバシカメラ」「20世紀」の4本からなる短編集。
この本を読んで最も印象に残ったのは阿部和重の「時間」というものに対する感覚。ロリコン犯罪者の、子供にとっての「時間」と大人にとっての「時間」はまるで別のものだという認識。ある年齢まで、ビデオカメラによって生活を詳細に記憶された女性の「時間」に対する感覚の歪み、すごく面白かった。思えばわたしは時間の経過による思い出の美化、風化といった、「時の欺瞞」とも呼べる何かに対して、ずっと疑問を抱いて来た。こういった時間に対する感性に出会えてとても興味深かったです。 -
Posted by ブクログ
離婚したせいで愛娘ちーちゃんと会えなくなってしまった。
DVと言ってもたった1回妻を突き飛ばしてしまっただけなのに。
その原因も妻が勝手にわたしのデータをコピーしたからだ。
ちーちゃんや他の女の子の写真のデータを。
田舎に帰り大人しく実家の文具屋の店番をしていると
2人の女の子が演劇の指導をして欲しいと訪ねてきた。
小学生は避けていたのにどうしたものか。
「グランド・フィナーレ」ほか全4編。
装丁:スタジオ・エス・アンド・ディー 装画:さわのりょーた
どこか壊れている。自分のしたことが社会的にどう見られるか
わかっているのに抑えきれないのは自己愛なのか。
いろいろなことを予感させる文章が散り -
Posted by ブクログ
第132回芥川賞受賞作。表題作のほか「馬小屋の乙女」「新宿 ヨドバシカメラ」「20世紀」の3編を併録。
離婚して職を失い、故郷へ戻って古い木造の一軒家に住み、仕事もせず、妻に引き取られた一人娘の形見の品であるジンジャーマンのぬいぐるみを抱っこしながら、あてもなく町をブラブラしている、37歳のロリータ・コンプレックスの男のお話。もともと東京で教育映画の監督をしていた彼は、地元の小学生の女の子2人に請われて、演劇の指導をすることになりますが・・・・。
この本に収められた小説は、どれも一読しただけでは理解不能なものばかり。けれど、ちょっと硬めの文体と、内容のアンバランスさが面白く、なぜかしら一気読み