阿部和重のレビュー一覧

  • 幼少の帝国―成熟を拒否する日本人―

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    昭和天皇&マッカーサーの2ショット写真から始まって、高須クリニックと日曜朝の特撮ヒーローを同じ遡上に乗せる剛腕っぷりは小説家ならではの空想力のなせる業。ほとんどインタビューの書き起こしなのに、わざわざこれはノンフィクションですよとのコトワリが確信犯的で、最後にはフィクションめいたカタルシスへと着地させ、読み物として面白い。日本人論としての評価は???

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    2012年09月28日
  • グランド・フィナーレ

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    えっ、そこで終わり?って感じですっきりしない。途中まではすごく面白かったのに。興味のある作家だったが、他の短編も今一でがっかり。。

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    2012年08月30日
  • 幼少の帝国―成熟を拒否する日本人―

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    一見、「幼少」的に思える文化から日本論を展開しているが、「成熟を拒否する」というテーマとは合致していない部分が多い気がする。特にバンダイの第7章辺りでは、バンダイの内情が主な内容で、一体何の本を読んでいるのかわからなくなる。
    成熟を拒否する、とはそのあまり一般的な社会生活すら成り立たないレベルと認識しているので、単に事象への解釈が著者と異なるだけだろうが、全体を通して納得できる内容とは言いがたい。

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    2012年08月05日
  • ミステリアスセッティング

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    初期の論文調から脱皮して、ほどよく読みやすい感じになってきた安部氏。
    ストーリー展開はあいかわらずの跳躍ぶりだけれど、まとまりがあって読みやすいし、面白い。

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    2012年06月16日
  • グランド・フィナーレ

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    「グランド・フィナーレ」「馬小屋の乙女」「新宿ヨドバシカメラ」「20世紀」の4本からなる短編集。
    この本を読んで最も印象に残ったのは阿部和重の「時間」というものに対する感覚。ロリコン犯罪者の、子供にとっての「時間」と大人にとっての「時間」はまるで別のものだという認識。ある年齢まで、ビデオカメラによって生活を詳細に記憶された女性の「時間」に対する感覚の歪み、すごく面白かった。思えばわたしは時間の経過による思い出の美化、風化といった、「時の欺瞞」とも呼べる何かに対して、ずっと疑問を抱いて来た。こういった時間に対する感性に出会えてとても興味深かったです。

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    2012年02月13日
  • IP/NN 阿部和重傑作集

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    ニッポニアニッポンがめちゃくちゃ面白かった。インディヴィジュアル・プロジェクションはいまいち掴めないというか・・・。あのラストあたりからの急激な展開はかなり読む者をソワソワさせるけど笑。

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    2011年12月31日
  • ミステリアスセッティング

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    ネタバレ

    ふつう、だと思った。
    設定なのかな、特に心に響くこともなくなんとなくで読み終わってしまった。
    歌の意味が分かったら違うのかもしれない。
    金原ひとみが帯で「これなくしては生きていけない」と書いてあるからあとがきを見てみたら、文脈としては阿部和重の本全体のことを指すらしい。この本用のあとがきなのだから帯にひいても問題ないのかもしれないけど、あまり好ましくない作為を感じた。
    おじいさんの正体、というのは面白いと思った。
    そう考えると話に無駄がないかも。

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    2012年07月31日
  • グランド・フィナーレ

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    多彩で奇抜な文章は、読みすぎるとお腹をこわしそう。ロリコンとかドラッグとかテロとか、読む人によっては気味悪い小説だろうけど、奇妙な魅力がある。
    ニッポニア・ニッポン、シンセミアと並ぶ阿部和重「神町サーガ」のひとつ。

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    2011年10月14日
  • グランド・フィナーレ

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    表題作は最初から最後までずっと違和感があって気持ち悪い。
    先入観によって、物語の顛末を嫌でも予想してしまい、不安を抱きながら読む自分が居た。
    結局予想とは違う方向へ進みそうになって話は終わったのだけど、中途半端で肩透かしを食らった気分になってしまった。

    個人的には表題作よりも共に収録された短編三本のほうが面白かったなぁ。

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    2013年03月29日
  • グランド・フィナーレ

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     阿部和重作品で、まだ読んでなかったことに気付き購入。

     神町絡みの作品なので、『シンセミア』が非常に面白かったことから期待して読んだのであるが大したことはなかった。主人公の行く末と物語の展開に期待して先を読み進めたのであるが、結果は結局よくわからずあいまいなままという結末で心動かされず。解説で、高橋源一郎が絶賛しているが、これもよくわからず説得力は無し。

     神町を舞台にした話が出てくるので、神町に絡んだ他の作品を再読してみたいとは思うが、今すぐに!というほどの力は無し。

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    2010年12月30日
  • グランド・フィナーレ

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    離婚したせいで愛娘ちーちゃんと会えなくなってしまった。
    DVと言ってもたった1回妻を突き飛ばしてしまっただけなのに。
    その原因も妻が勝手にわたしのデータをコピーしたからだ。
    ちーちゃんや他の女の子の写真のデータを。
    田舎に帰り大人しく実家の文具屋の店番をしていると
    2人の女の子が演劇の指導をして欲しいと訪ねてきた。
    小学生は避けていたのにどうしたものか。
    「グランド・フィナーレ」ほか全4編。
    装丁:スタジオ・エス・アンド・ディー 装画:さわのりょーた

    どこか壊れている。自分のしたことが社会的にどう見られるか
    わかっているのに抑えきれないのは自己愛なのか。
    いろいろなことを予感させる文章が散り

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    2010年10月19日
  • グランド・フィナーレ

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    T:私は「オタク」「ひきこもり」「ロリコン」「ストーカー」・・・メディアが取りあげ、時に社会問題として扱われるような特殊とされる人間ではないと思う。しかし阿部和重の作品に登場する一般的に特殊とされる人物には共感させられるところがある。ここに阿部和重の作品の面白さを感じる。

    M:まったく知らない作家なので質問。「社会問題」の人物像づくりには特殊化(アブノーマルというラベルを貼ること)によって社会の中に外部を作るからくりが隠されていると私は思うのだが、そこらへんは言及されているのだろうか。

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    2010年09月13日
  • アメリカの夜

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    一言で言えば存分に「痛い」小説だ。
    そして、この痛さが分かってしまう自分も、
    十二分に痛々しい青春を送っているまっただ中なのだと思い知らされる。
    けれど、そこからしか見えないものもあるはずだ。
    それは、そう。
    私が自分で捜して行かなくてはいけないことなんだと思う。

    青春は、自分がある限り、どうしようもなく痛いものなのですね。

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    2010年06月22日
  • グランド・フィナーレ

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    第132回芥川賞受賞作。表題作のほか「馬小屋の乙女」「新宿 ヨドバシカメラ」「20世紀」の3編を併録。
    離婚して職を失い、故郷へ戻って古い木造の一軒家に住み、仕事もせず、妻に引き取られた一人娘の形見の品であるジンジャーマンのぬいぐるみを抱っこしながら、あてもなく町をブラブラしている、37歳のロリータ・コンプレックスの男のお話。もともと東京で教育映画の監督をしていた彼は、地元の小学生の女の子2人に請われて、演劇の指導をすることになりますが・・・・。
    この本に収められた小説は、どれも一読しただけでは理解不能なものばかり。けれど、ちょっと硬めの文体と、内容のアンバランスさが面白く、なぜかしら一気読み

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    2010年06月06日
  • ミステリアスセッティング

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    色々な意味でどうしようもなかった。あまりにも、あまりにも。
    頁をめくるごとに日常が非日常へとどんどんスピードを上げて迫っていく。
    作者の悪意すら感じるほど純粋でふわふわした主人公の少女も、
    その彼女に関わる登場人物たちも、物語を語る老人の独白も、
    読み終わった後なんてゆうかもうただただ恐ろしかった。
    ただのエンタメ小説として読むこともできる。しかし探ればキリがない何か。
    阿部和重凄いなぁー、そして怖いなぁーと思ってしまった一冊。

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    2011年05月16日
  • グランド・フィナーレ

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    とりあえず文庫版の高橋源ちゃんの解説がすごい、あざやか。評価が割れがちな作品を解説させたら彼の右に出る人はいないんじゃないだろうか。その上で評価がイマイチなのは、これが阿部和重の決定版ではないと思うからである。以下、各編のあらすじ。

    「グランド・フィナーレ」は事情により離婚に追い込まれ、愛娘と会うことを禁じられた映像作家が、故郷・神町へ逃げ帰り新しい「希望」を見つけるまで。まわりの人間が感情を爆発させるのに対して、主人公はいちじるしく欲望や感情を欠いているように見える(けど、やってることは異常そのものだ)から、彼の見た希望が本当に希望なのか、答えは宙吊りにされる。
    ちなみに物語中、トキセンタ

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    2010年05月03日
  • ミステリアスセッティング

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    3/2
    阿部和重の作品で頻出の、読んでいて気分の悪くなる人物は健在。
    携帯電話での配信ということで(文の長さはあまり変わらないものの)改行は多くなった印象。
    登場人物に語らせる手法は相変わらず。

    ただ、ちょっときれいにまとめすぎちゃった感はあります。

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    2010年03月02日
  • ミステリアスセッティング

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    阿部和重ってこういう小説を書く人だったんですねという意外性がまずひとつ。

    この物語では吟遊詩人をめざすシオリ(※音痴の女子高生)の視点から描かれていて、シオリ自体が信頼しえない語り手であるがゆえにあまりに真実が曖昧模糊としている。
    誰が信じるべき人間なのかも決められないし覚悟もないのに他人に愛されたがり、そのくせ自分の欲望だけは絶対に曲げない態度は個人的に嫌い。
    こういうありかたを純粋とは呼ばないのでは。
    それから後半のスーツケース急すぎ無理矢理すぎ
    きれいにまとめようとしすぎて好きじゃない

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    2010年06月06日
  • グランド・フィナーレ

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    芥川賞受賞作である表題作を含む4つの短編集。
    表題作は、作中で書かれているある諸事情によって離婚させられ、愛娘の親権も妻に奪われ、娘に会うことすら不可能な「わたし」が故郷へ帰り、双子のような二人の女児に出会う。
    すべての話を読んだ限りでは、私のごくごく個人的な感想をいえば、この文章はあまり好きになれない。どちらかというと苦手なタイプである。まるで早口でまくし立てられているような感覚。実際に、登場人物が相手に相槌もなく、早口に言いたいことを言っているだけの描写がある。コミュニケーションとは言いがたいようなコミュニケーションしかとれないのが「わたし」なのかもしれない、なんて思ったりもする。

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    2010年01月12日
  • アメリカの夜

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    ◇訂正
    読み進めていくうちに以外にテンポになれてきました。
    以外に面白かったでした。

    (以前の)
    ・自己愛性人格障害(統合失調症?)チックな主人公の一人称形式の小説。
    ・蓮實重彦風の文体だけど、リズムあまり良くない気が。。
    ・構成は結構面白いかもしれない。
    ・一般的に病的と見られている人の心情を書くのは上手いと思う。
    ・心情的にあまり寄り付かせず、男の人向けな気がする。

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    2009年10月21日