阿部和重のレビュー一覧

  • シンセミア(下)

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    地方の一都市を舞台にした群像劇です。登場人物が誰一人として他の人のこと慮ることはなく、自分の欲望のままに突き進みます。数々の登場人物とエピソードが折り重なり、不気味な胎動を感じさせる上巻です。

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    2013年09月25日
  • アメリカの夜

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    主人公の青年、阿部和重が、自分は特別であるということを証明するために、様々な論理的アプローチをする長編小説。卒業した映画学校で出来た知りあいとのやりとりと、自分の内部での葛藤との2つの軸が走っていく。中山唯生という別の人格を作ったり、自分の誕生日である秋分の日に関する仮説を立てたり、ドンキホーテよろしく物語の主人公になりきったり、ブルースリーのように体を鍛えたりする。彼は世間から徐々にずれていき、周囲とトラブルを起こして関係を断ち切る。最後には、本来の自分はバイトを続け、唯生がフランスへ行き、映画の手法、アメリカの夜を用いて、昼の風景を夜に変えた映像を取りへ行ってしまう。

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    2013年07月09日
  • 幼少の帝国―成熟を拒否する日本人―

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    アンチエイジングや省エネ、小型化などの日本の産業の得意分野など、成熟拒否の一例かもしれないものを取り上げ、インタビューをしていくという作り。
    ダイナミックさが足りないし、東日本大震災が絡んできて余計に軸がわかりにくい。でもそれ抜きに批評書けるかといったらまぁ無理だろうと。

    ちなみに日本人の成熟拒否というワードはもう世界が日本を語るうえで常套句中の常套句と化しているらしいです。

    私が読んで収穫だと感じた分野は美容整形。
    昔は美容整形という言葉すらなくてヤミ状態だったとか、今の医者より昔の医者の方が技術が高かったとか。
    高須先生さすがですわと感じた。
    作法と美容のたとえとか、すとんと腑に落ちる

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    2013年05月19日
  • 幼少の帝国―成熟を拒否する日本人―

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    ネタバレ

    視点が面白いなと思いました。
    一件あんまり関係なさそうな事柄が「幼少」というキーワードから
    引き出されて「なるほどな」と思う現象の解説となっていたり。
    物事の見方の視点のあり方の一つを教えていただいたような。

    単なるエッセイとは違うし、ドキュメンタリーや評論ともちょっと違うような。
    この方の小説、実は読んだことはなく著作も初めて読みました。
    今まで出会ったことのないタイプの人だなと感じましたが、小説読んでみようかなとまでは思わなかった。

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    2012年10月22日
  • アメリカの夜

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    阿部さん、うますぎ。シネフィルの阿部さんらしいパスティーシュな作品ですが、非常に洗練されてます。

    笑いながら一気に読めてしまいました。

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    2012年10月02日
  • 幼少の帝国―成熟を拒否する日本人―

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    昭和天皇&マッカーサーの2ショット写真から始まって、高須クリニックと日曜朝の特撮ヒーローを同じ遡上に乗せる剛腕っぷりは小説家ならではの空想力のなせる業。ほとんどインタビューの書き起こしなのに、わざわざこれはノンフィクションですよとのコトワリが確信犯的で、最後にはフィクションめいたカタルシスへと着地させ、読み物として面白い。日本人論としての評価は???

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    2012年09月28日
  • グランド・フィナーレ

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    えっ、そこで終わり?って感じですっきりしない。途中まではすごく面白かったのに。興味のある作家だったが、他の短編も今一でがっかり。。

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    2012年08月30日
  • 幼少の帝国―成熟を拒否する日本人―

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    一見、「幼少」的に思える文化から日本論を展開しているが、「成熟を拒否する」というテーマとは合致していない部分が多い気がする。特にバンダイの第7章辺りでは、バンダイの内情が主な内容で、一体何の本を読んでいるのかわからなくなる。
    成熟を拒否する、とはそのあまり一般的な社会生活すら成り立たないレベルと認識しているので、単に事象への解釈が著者と異なるだけだろうが、全体を通して納得できる内容とは言いがたい。

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    2012年08月05日
  • ミステリアスセッティング

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    初期の論文調から脱皮して、ほどよく読みやすい感じになってきた安部氏。
    ストーリー展開はあいかわらずの跳躍ぶりだけれど、まとまりがあって読みやすいし、面白い。

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    2012年06月16日
  • グランド・フィナーレ

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    「グランド・フィナーレ」「馬小屋の乙女」「新宿ヨドバシカメラ」「20世紀」の4本からなる短編集。
    この本を読んで最も印象に残ったのは阿部和重の「時間」というものに対する感覚。ロリコン犯罪者の、子供にとっての「時間」と大人にとっての「時間」はまるで別のものだという認識。ある年齢まで、ビデオカメラによって生活を詳細に記憶された女性の「時間」に対する感覚の歪み、すごく面白かった。思えばわたしは時間の経過による思い出の美化、風化といった、「時の欺瞞」とも呼べる何かに対して、ずっと疑問を抱いて来た。こういった時間に対する感性に出会えてとても興味深かったです。

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    2012年02月13日
  • IP/NN 阿部和重傑作集

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    ニッポニアニッポンがめちゃくちゃ面白かった。インディヴィジュアル・プロジェクションはいまいち掴めないというか・・・。あのラストあたりからの急激な展開はかなり読む者をソワソワさせるけど笑。

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    2011年12月31日
  • ミステリアスセッティング

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    ネタバレ

    ふつう、だと思った。
    設定なのかな、特に心に響くこともなくなんとなくで読み終わってしまった。
    歌の意味が分かったら違うのかもしれない。
    金原ひとみが帯で「これなくしては生きていけない」と書いてあるからあとがきを見てみたら、文脈としては阿部和重の本全体のことを指すらしい。この本用のあとがきなのだから帯にひいても問題ないのかもしれないけど、あまり好ましくない作為を感じた。
    おじいさんの正体、というのは面白いと思った。
    そう考えると話に無駄がないかも。

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    2012年07月31日
  • グランド・フィナーレ

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    多彩で奇抜な文章は、読みすぎるとお腹をこわしそう。ロリコンとかドラッグとかテロとか、読む人によっては気味悪い小説だろうけど、奇妙な魅力がある。
    ニッポニア・ニッポン、シンセミアと並ぶ阿部和重「神町サーガ」のひとつ。

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    2011年10月14日
  • グランド・フィナーレ

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    表題作は最初から最後までずっと違和感があって気持ち悪い。
    先入観によって、物語の顛末を嫌でも予想してしまい、不安を抱きながら読む自分が居た。
    結局予想とは違う方向へ進みそうになって話は終わったのだけど、中途半端で肩透かしを食らった気分になってしまった。

    個人的には表題作よりも共に収録された短編三本のほうが面白かったなぁ。

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    2013年03月29日
  • グランド・フィナーレ

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     阿部和重作品で、まだ読んでなかったことに気付き購入。

     神町絡みの作品なので、『シンセミア』が非常に面白かったことから期待して読んだのであるが大したことはなかった。主人公の行く末と物語の展開に期待して先を読み進めたのであるが、結果は結局よくわからずあいまいなままという結末で心動かされず。解説で、高橋源一郎が絶賛しているが、これもよくわからず説得力は無し。

     神町を舞台にした話が出てくるので、神町に絡んだ他の作品を再読してみたいとは思うが、今すぐに!というほどの力は無し。

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    2010年12月30日
  • グランド・フィナーレ

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    離婚したせいで愛娘ちーちゃんと会えなくなってしまった。
    DVと言ってもたった1回妻を突き飛ばしてしまっただけなのに。
    その原因も妻が勝手にわたしのデータをコピーしたからだ。
    ちーちゃんや他の女の子の写真のデータを。
    田舎に帰り大人しく実家の文具屋の店番をしていると
    2人の女の子が演劇の指導をして欲しいと訪ねてきた。
    小学生は避けていたのにどうしたものか。
    「グランド・フィナーレ」ほか全4編。
    装丁:スタジオ・エス・アンド・ディー 装画:さわのりょーた

    どこか壊れている。自分のしたことが社会的にどう見られるか
    わかっているのに抑えきれないのは自己愛なのか。
    いろいろなことを予感させる文章が散り

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    2010年10月19日
  • グランド・フィナーレ

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    T:私は「オタク」「ひきこもり」「ロリコン」「ストーカー」・・・メディアが取りあげ、時に社会問題として扱われるような特殊とされる人間ではないと思う。しかし阿部和重の作品に登場する一般的に特殊とされる人物には共感させられるところがある。ここに阿部和重の作品の面白さを感じる。

    M:まったく知らない作家なので質問。「社会問題」の人物像づくりには特殊化(アブノーマルというラベルを貼ること)によって社会の中に外部を作るからくりが隠されていると私は思うのだが、そこらへんは言及されているのだろうか。

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    2010年09月13日
  • アメリカの夜

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    一言で言えば存分に「痛い」小説だ。
    そして、この痛さが分かってしまう自分も、
    十二分に痛々しい青春を送っているまっただ中なのだと思い知らされる。
    けれど、そこからしか見えないものもあるはずだ。
    それは、そう。
    私が自分で捜して行かなくてはいけないことなんだと思う。

    青春は、自分がある限り、どうしようもなく痛いものなのですね。

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    2010年06月22日
  • グランド・フィナーレ

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    第132回芥川賞受賞作。表題作のほか「馬小屋の乙女」「新宿 ヨドバシカメラ」「20世紀」の3編を併録。
    離婚して職を失い、故郷へ戻って古い木造の一軒家に住み、仕事もせず、妻に引き取られた一人娘の形見の品であるジンジャーマンのぬいぐるみを抱っこしながら、あてもなく町をブラブラしている、37歳のロリータ・コンプレックスの男のお話。もともと東京で教育映画の監督をしていた彼は、地元の小学生の女の子2人に請われて、演劇の指導をすることになりますが・・・・。
    この本に収められた小説は、どれも一読しただけでは理解不能なものばかり。けれど、ちょっと硬めの文体と、内容のアンバランスさが面白く、なぜかしら一気読み

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    2010年06月06日
  • ミステリアスセッティング

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    色々な意味でどうしようもなかった。あまりにも、あまりにも。
    頁をめくるごとに日常が非日常へとどんどんスピードを上げて迫っていく。
    作者の悪意すら感じるほど純粋でふわふわした主人公の少女も、
    その彼女に関わる登場人物たちも、物語を語る老人の独白も、
    読み終わった後なんてゆうかもうただただ恐ろしかった。
    ただのエンタメ小説として読むこともできる。しかし探ればキリがない何か。
    阿部和重凄いなぁー、そして怖いなぁーと思ってしまった一冊。

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    2011年05月16日