渡部典子のレビュー一覧

  • シン・日本の経営 悲観バイアスを排す

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    日本に対する過度な悲観に疑問を投げかけ、強さの理由を分析して読み解いた本。ネガティブなことが当たり前になっているために、驚きと新鮮さを持って読むことができた。タイトな文化で選択的に遅いペースで進んでいること、ゆっくりなペースにはその良さがあり、ルーズな文化でのイノベーションと比べるべきでないことが説明されている。この理論によると、日本は規模ではないディープテックの強さがあり、今後も強くあり続ける可能性がある。そうであってほしい。

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    2024年05月17日
  • 両利きの経営(増補改訂版)―「二兎を追う」戦略が未来を切り拓く

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    上司の推薦で読む

    両利きの経営が、企業の存続のために必須なことを理解。また、これは個人にも応用できるかなと思う。毎日の仕事を完璧にするのも大事だが、適度に諦めて帰宅後にもっと長期的に役立つことに時間を費すのも大事。衰退してしまう企業の多くは、両利きの内新しい領域への探索が上手くできないことが多いらしい。自分自身もそんな気がするので、意識的に多少のリスクを負いながら探索しよう

    あと、大前提として戦略に合う企業文化を醸成することが必要とも書かれていた。文化はセンスが要る気がして難しそうやけど、普段から意識はしたいなぁ
    良い文化があるところはやはり強いと思う

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    2024年05月13日
  • AIファースト・カンパニー――アルゴリズムとネットワークが経済を支配する新時代の経営戦略

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    情報技術の発展により、産業構造は従来から大きく異なってきている。特に日本においてはものづくりが中心で垂直統合型の産業構造が特徴であり、あくまでもプロダクト売りが目的になっていた。しかし、現在はプロダクトではなく、そのプロダクトを利用してどのような顧客体験価値が提供できるのか、自社の枠組みにとらわれず、エコシステムとして価値共創する世界を描き、自社がどのような役割を担うのかを考えなければならない。これは、AI技術や情報データが資産の中心に変わってきたことからその考え方を変える必要があり、産業構造の変化を捉えなければならない。よって、従来の顧客提供価値やビジネスモデルから一歩離れ、顧客視点で改めて顧客体験価値を考え直し、どのように価値を提供するかオペレーティングモデルを考えなければならない。そして、それを理解し、組織を変革するためには、トップをはじめ従業員の理解と変化に対する覚悟が必要と言える。改めて、情報技術、特にAIというものの理解度を上げること、従来の産業構造とこれからの産業構造の変化についてよく学ばなければならないと実感する。従来のやり方に危機感を持ち、そして、これからの変革のために何が必要なのかを教えてくれる本であった。

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    2024年05月07日
  • シン・日本の経営 悲観バイアスを排す

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    日本はその特性から、アメリカと違って、ゆっくり変化しようとしているのだ。
    悲観的になることはない!
    というのがドイツ出身のカリフォルニア大教授がいいたいこと。

    確かに、もちろん、日本の優れたところはある。
    この本でも取り上げられているキーエンスやファナックは素晴らしい企業。
    技術に関するポテンシャルは相当にある。それは知っている。
    技のデパート「舞の海戦略」で巨漢に勝つ、というのもわからないではない。
    でも舞の海は横綱にはなれなかったので、、ケガもあって小結どまり。

    変革が遅いのは日本がタイトな国で、なかなか変わることが容易ではないから、
    アメリカはルーズな国で、どんどん新しいものが生まれる。
    一方リスクも伴っている。どちらがいい、というものではない、と。

    うーん。
    頭がこんがらがる。
    確かに日本の風土は、変化を恐れる、拒むところが大きい。
    でもその理由がわからん。農耕民族だから?どんな国も農耕から入るよ。
    稲作だから?それはあるのかもしれないが、よくわからない。
    地震や台風、豪雪といった自然災害が多いから?四季が厳しいから?
    わからん、、、

    日立は変われたが東芝は変わってない。
    トップ次第なのか?

    残念だが著者の言いたいことを理解することができなかった。


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    2024年04月26日
  • ネット・プロモーター経営―顧客ロイヤルティ指標 NPS で「利益ある成長」を実現する

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    顧客の満足度を高い精度で把握できるとともに、活用のやり方によっては、満足度の高い顧客を拡大し、長期的な業績拡大につなげることができるとされるNPSについての解説本。あくまでNPSはツールであり、トップを含めた全社的、徹底的な取り組みが必要であろう。成功事例をみると、まさにそういう企業が並ぶ。思い付きでちょっと取り組むくらいでは意味がなさそう。

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    2023年09月07日
  • トレイルブレイザー―企業が本気で社会を変える10の思考

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    セールスフォースの創業者の企業哲学が満載。常に新しいことにチャレンジしていくこと、そして組織として成長することが大事

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    2023年06月17日
  • 両利きの経営(増補改訂版)―「二兎を追う」戦略が未来を切り拓く

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    両利きの経営の増補改訂版。事例がアップデートされ、入山さんと冨山さんの解説も増補されている。
    両利きの経営は人口に膾炙した感があるが、その実行の難しさはあまり理解されていないように思う。単に深化と探索の両方を追えばいいというわけではなく、容易に深化の道に陥ってしまう組織の慣性=経路依存性を跳ね除け、探索の道を探るのか。また、単にアイディアを出せばいいというものではなく、それをいかにスケールされるのか。そこに力点がある。
    そのためのフレームとして、既存・新規事業×既存・新規顧客のマトリクス、深化と探索、アイディエーション、インキュベーション、スケーリングを提示する。
    膨大な事例とともに著者たちがポイントとしているのは、探索型組織をどこにつくるのかとスケーリング。
    探索型は既存組織のリソースを活用しながら、一方で既存組織の枠組みからは離れて動けるようにしてあげる必要がある。なので、スピンアウトするのではなく、社内で別組織とするといったことが強調される。また、スケーリングの難しさは多くの紙幅が費やされている。実際、スタートアップとの連携やデザイン思考、リーンスタートアップなどの方法論によって、アイディエーションやインキュベーションに取り組んでいる企業は数多くあるが、スケーリングのタイミングで大体失敗している。スケーリングにあたっては、既存ビジネスから新規事業へのリソースの移転が必要だけれど、それ自体、そもそも既存事業側からしたら面白くない。さらに新規事業は簡単には収益化せず、短期的には既存ビジネスに投資した方が有効にみえるからだ。
    そのために、経営がちゃんとコミットし新規事業を支援すること。一方で撤退の基準も決めておくこと。このあたりの具体的な事例が特にIBMとシスコの事例を使って説明される。
    また、冨山さんの解説でも触れているがアイディエーションも自分たちで画期的なアイデアを考えないといけないという思考パターンにはまることも多く、どちらかというとパクるつもりで取り組む必要があるなど、学びは多い。
    それにしてもアメリカの本らしく分厚い。そこだけが玉にきず。最後に冨山さんがちゃっかりIGPIの宣伝をしているのが笑えた。

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    2022年12月26日
  • リバース・イノベーション

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    ハイスペック製品をハイエンド市場に売ることに慣れてしまっているマーケティング担当者、ハイスペック製品をハイエンド市場のために開発に慣れてしまってる開発担当者には、グサっと来るか何も響かないか両極端に評価が振れる本だと思う。
    どこに市場があって、どこでイノベーションを起こすかの感度があるかないかは企業の生死を決めるポイントになり得る。

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    2022年12月01日
  • ネット・プロモーター経営―顧客ロイヤルティ指標 NPS で「利益ある成長」を実現する

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    NPS は以前から知っていたが、実際に NPS をどう経営に活かすのかについては全く分かっていなかった。本書に書かれている様に、財務情報と同じ重要性で組織全体で活用できるようにすることが真の意味での活用になる。

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    2022年11月30日
  • Personal MBA ― 学び続けるプロフェッショナルの必携書

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    重要なポイントが分かりやすく整理されており、知識がない人でも全体像が理解できる、良書だと思います。
    すべてを理解しながら読み進めるというよりも、筆者も言われるように、全体をざっと読み、手元においておき、必要なときに参考にするのが良いと思います。

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    2022年10月21日
  • ネット・プロモーター経営―顧客ロイヤルティ指標 NPS で「利益ある成長」を実現する

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     良き利益は、劇的なまでに異なる性質を持つ。悪しき利益が顧客を犠牲にして得られるとすれば、良き利益は顧客の熱心な支持によってもたらされる。顧客が心から喜び、もっと買おうと積極的に利用してくれる場合に、さらにはその企業と取引するように友人や同僚に薦めてくれる場合に、企業は良き利益を獲得する。満足した顧客は実質的にその企業のマーケティング部門の一員となり、自分自プロモーター身の購入量を増やすだけでなく、熱心に紹介してくれる「推奨者」となる。悪しき利益への依存症を断ち切りたいと思う企業にとって正しい目標とは、推奨者を生み出し、良き利益につながり、成長を促進するような、高品質の顧客リレーションシップを築くことである。

     10年間に及ぶ研究を通して、ほとんどの業界で次のような事実が確認できた。すなわち、批判者に対する推奨者の比率が業界内で最も高い企業は、一般的に高い利益と健全な成長を享受している。直観に反すると考える向きがあるかもしれないが、突き詰めると、高い顧客ロイヤルティを誇る企業は、競合他社に比べてマーケティング費や新規顧客獲得コストを大幅に抑制できる場合が多い。また、既存顧客向けのサービスに集中し、新規顧客の獲得はきわめて選択的に実施しているが、これらはいずれも、一般的には成長を阻害するものと思われるかもしれない。しかしデータは嘘をつかないものだ。NPSリーダーは、競合企業の二倍以上のスピードで成長しているのである。先述したように、10年間を通して継続的に利益ある成長を遂げてきた企業は全体の9%ほど存在
    するが、そうした企業のNPSは平均して、同業他社のスコアの2.3倍だった。


     ファンクイックは、フィリップスに入社する前にプロクター・アンド・ギャンブルとスターバックスで働いたことがあり、顧客中心主義の組織で働くことがどういうものかを理解し、今回の取り組みが大規模な変革となることを心得ていた。そこで、フィリップスが顧客志向への移行を達成するのに役立ちそうな選択肢を幅広く調べた。世界中の大手企業が用いている手法をすべて評価した後で、ファン・クイックはNPSを活用することに決めた。それについて、次のような説明をしている。「NPSが気に入った理由は、すべての事業部で導入可能な単一の基準だったことです。どこの事業部でも、それぞれが独自の顧客満足度の指標を開発し、それを継続していきたいと思っていますが、実際に結果に結び付いているのはごく少数で、財務業績と直結したものはつもありません。そのため、私たちは他の有効な解決策を探さなくてはなりませんでした。NPSの最大のメリットの一つは、売上成長に直結しており、行動を引き出せることです」
    「売上成長に直結する」という点について、NPSについて調査したファン・クイックと経営幹部 チームは、競合他社と比較した自社のNPSと、競合他社と比較した自社の成長率との相関性が高い ことを見つけた。




    ■NPS測定の重要な要素
    1.信頼性ときめ細やかな調査
    2.タイムリーさ
    3.顧客の行動との関連付け

    ■NPSの原則
    1.究極の質問を尋ね、それ以外の質問は極力減らす
    2.有効な評価尺度を選び、それを使い続ける
    3.自社顧客調査(ボトムアップ)のスコアと外部調査(トップダウンやベンチマーク)のスコアを混同しない
    4.適切な顧客からの回答率を高めることを目指す
    5.財務データと同じ頻度で、NPSの報告や議論を行う
    6.調査単位を細かくして、より速く学習し、責任を持たせる
    7.正確さを担保し、バイアスを取り除く


     日本人のスコアが五点を中心に偏るというのは よく見られる現象ではあるものの、ベインの日本におけるプロジェクト経験では、五点をつけた人の詳細なコメントを拾っていくと、明らかに何らかの不満を持っていることが多い。すなわち、必ずしも満足しているわけではないことがわかる。一方で九点、一〇点をつけた人は、それ以下のスコアをつけた人とは明らかに異なる行動をとっていることが多い。


    ■NPS向上が企業にとって経済的な価値をもたらすことの証明が十分でない
     NPSを効果的に導入するには、いくつかの事前準備が必要であるが、「NPSを向上することが会社にとって目に見えるメリットがある」ことを証明しておくことは、最も重要な準備の一つである。当たり前のことであるが、NPSを上げるという努力が会社にとって、また個人にとっても報われるという納得感がないと、旗を振ってもついてきてくれる社員は少ない。したがって、導入の際には社員に対して十分なコミュニケーションを行うこと、NPSのコンセプトや定性的な意義だけでなく、実際にどのような価値が生まれるのかを説得力あるデータで示すことが重要である。


     二つ目のポイントに挙げた「推奨者を増やすことに焦点を当てる」というのは、従来型の顧客満足度調査とは違ったアプローチであり、新鮮さを感じやすい。何よりも本質的に重要なポイントである。「普通のことをやっていては推奨者にはなってくれない。どうすれば顧客の期待を越えられるような感動体験をつくれるか?」という問いを考えることは、難しくはあるものの、社員のモチベーションを高めることも多い。われわれがNPS導入を支援する際にとるアプローチの一つに、推奨者のインタビューをビデオ収録し、営業担当者に見せて顧客からのフィードバックがいかに建設的でポジティブなものが多いかを理解してもらい、また推奨者をつくるためには何をすればよいかを一緒に考えるワークショップを何度か行う、というやり方がある。推奨者のポジティブなフィードバックによって自信を深め、さらに推奨者を増やすためには何をすればよいかという前向きな発想になり、ひいてはフィードバックを積極的に貰おうという好循環をつくることが目的の一つである。また、実際の施策も、顧客担当部署が単独で考えるよりも、顧客接点の直接の担当者が自発的に考えたものと組み合わせたほうが効果的であることも多い。こういった動きをつくり出すのが「クローズド・フィードバック・ループ」なのである。


    ■NPSを成功させるための三つの鍵
    ①シニアな経営陣、特にCEOが個人的にネット・プロモーター・システムを通した顧客ロイヤルティの改善を、きわめて重要な優先事項として受け止めている。彼らは経済的に取り組むべ理由(収益ある成長につなげること)と、動機付けや士気の面で取り組むべき理由(自社が基本的価値観をどれだけ実現できているかを測定すること)の両方を理解している。
    ②NPSの顧客フィードバックを組織全体の主要な意思決定プロセスに組み込み、学びと改善の「クローズド・ループ」をつくっている。何か特別な部署の責任やプログラムとしては扱わず、日々の基本的な優先事項の中に組み込まれている。
    ③短期的なプログラムや取り組みとしてだけでなく、企業文化の変革と成長にいたる長期的な道のりとしてネット・プロモーターに取り組んでいる。企業が収益を伴う持続可能な成長を実現させたいのであれば、組織全体でNPSに取り組まなくてはならないことを理解している。


     頑丈なアーチ橋がそうであるように、ネット・プロモーター・システムは、二つの柱の上に成り立っている。どちらか一本でも柱を欠けば、すべてが崩れてしまう。一つ目の柱は経済性である。NPSの考え方によって顧客ロイヤルティに投資を行い、その投資収益率を計算することができる。顧客ロイヤルティが高まれば、より大きな収益がもたらされ、その収益をさらにロイヤルティ構築のために投資するという好循環に持ち込める可能性がある。このような経済面での優位性を加速していける企業は、競合他社を大きく引き離すことができる。
     もう一つの柱は動機付けである。多くの人々は、顧客に対して正しい行動をとりたい、プラスの方法で顧客の生活に影響を与えたいと思っている。NPSは、こうした側面で自分たちがうまくいっているのか、まだ不十分なのか、なぜそうなのかといった理由を明らかにしてくれる。こうしてNPSは改善に役立つのである。アップルでは、NPSで九点または一〇点をつけてもらうことはスタンディングオベーションに値すると考えられている。それは良い仕事をしているという証であり、心からの満足感を生み出す源泉となっている。


     …アップルでは、店長が二四時間以内にすべての批判者に電話をかけることになっている。だが、なかにはどうしても連絡のとれない人もいる。そこでアップルは、店長から連絡のとれた批判者と連絡のとれなかった批判者の購買パターンを追跡することにした。二年間の追跡で、連絡のとれた批判者はとれなかった批判者よりもたくさんのアップル製品やサービスを購入していたことが判明した。アップルは、この「クローズド・ループ」を実現するための電話対応にかかる時間を計算してみた。すると、批判者に一時間電話したときに得られ追加売上高が一〇〇〇ドル以上になること、また取り組み初年度で二五〇〇万ドルもの追加売上高を生み出すことが判明した。たいへん高い投資効率だ。しかも、この数字には批判的な口コミを避けられたことによる効果は含まれていない。また当然ながら、店長がそのやりとりから店舗改善に役立ヒントを学んだ効果も含まれていない。


     重要なことは、毎日のリズムの中に組み込むことだ。ネット・プロモーター・システムで優れた結果を出している企業には、もちろん多くのやらなければならないことがある。しかし、意味のある進歩のために不可欠なポイントを一つ挙げるとすれば、それは顧客フィードバックを毎日の通常業務に組み込み、個々の顧客と話をして「クローズド・ループ」をつくって適切な措置をとることである。「適切な措置」は多くの場合、直接的なサービス・リカバリー(失敗の事後フォロー)、つまり個々顧客の問題を解決することが関係してくる。しかしその際には、全顧客の体験を向上させ問題の再発を防ぐために、製品とプロセス改善を行うことも必要である。推奨者を増やし批判者を減らすために、最終的には会社の基本戦略や優先事項の見直しまで求められる場合もある。大事なのは、「クローズド・ループ」によるフィードバック、学び、行動にいたる一連のプロセスにおいて、顧客と直接接点のある従業員から経営幹部までを含めたすべての人々を巻き込まなくてはならないということだ。そうすれば、顧客からの直接的でタイムリーな意見を反映させた、より良い意思決定を組織全体が継続的に行っていくことができる。


     顧客フィードバックを心に強く訴えかけるものにする最良の方法の一つは、マネジャーによる解釈や統計分析の要約ではなく、顧客の実際の声を従業員に聞かせることだ。プログレッシブ・インシュアランスでは、批判者との「クローズド・ループ」において(本人の許可をとって)電話の会話を録音し、その顧客に応対した従業員にデジタル音声ファイルを転送している。顧客の声を聞くことで、従業員は声の調子に触れ、感情的な効果を感じとる。それだけで学習や行動の変化への動機付けとなり、別途コーチングする必要性はほとんどなくなる。


     ここでは、約一兆四〇〇〇億ドルの資産を管理するアメリカ最大の投資信託会社、バンガード・グループCEOであるビル・マクナブを紹介しよう。マクナプのスケジュールは、管理業務、直属の部下のマネジメント、規制当局とのやりとりなどで簡単に埋まってしまう。しかし、彼はそうしない。彼やほかの経営幹部は皆、顧客からコールセンター(バンガードでは「スイス軍」と呼んでいる)にかかってくる電話の量が多いときに、顧客との電話のために時間をとる。全員徴兵制度がとられていスイスのように、経営幹部は全員、ピーク時に顧客サービスの電話対応にあたらなくてはならないのだ。一般社員と肩を並べて働くことで、これが顧客にとっての懸念や大事なことに直接触れることできるかけがえのない機会となっていることを、マクナブもほかの幹部たちも理解している。そう経験を通して、電話担当者が日々格闘しなければならない複雑なシステム、方針、手続きに代表される課題も、彼らは痛いほど実感することになる。たとえば、市場崩壊のような危機の際には、すべての経営幹部はそのときにやっていることを中断して、コールセンターへと急ぐのである。


     だが、顧客のコメントを一言一句まで見ていたとき、プログレッシブの経営幹部は奇妙なことに気づいた。「オンライン支払い」は、推奨者だけでなく、批判者のコメントでも最も頻繁に出てくる文言の一つだったのである。さらに分析していくと、オンライン支払いプロセスが最初の一回でスムーズにいくと、顧客NPSが大幅に高まることがわかった。しかしスムーズにいかなかった場合、NPSは二〇ポイントも低くなった。当時、オンライン支払いプロセスが失敗する割合は一八%だった。これらの失敗は、最初の月の支払いは口頭で依頼できるが、その後も支払いを続けるには署名入りの契約書類の提出を求めるという、銀行の手続きから生じていた。つまり、銀行側がその書類の提出を受けていないとEFTは機能せず、プログレッシブは後日、従来通りの郵送で顧客に請求書を送っていたのである。そのせいで混乱が生じ、回収不能や不払いによる契約キャンセルが増える恐れも高くなっていた。
    これらの失敗は、最初の月の支払いは口頭で依頼できるが、その後も支払いを続けるには署名入りの だった。 契約書類の提出を求めるという、銀行の手続きから生じていた。つまり、銀行側がその書類の提出を 受けていないとEFTは機能せず、プログレッシブは後日、従来通りの郵送で顧客に請求書を送って いたのである。そのせいで混乱が生じ、回収不能や不払いによる契約キャンセルが増える恐れも高く なっていた。
     プログレッシブは、パートナー企業と決済に関する新しいプロセスについて交渉し、決済システムを再設計した。新プロセスでは、顧客は自動の電話案内(「今後の毎月の支払いに同意するなら、一を押してください」というような説明が流れる)を利用して電子署名ができるようになり、自署での契約書類を出さなくてもよくなった。この解決策が実施された後、批判者がオンライン支払いに言及する頻度は減り、頻度の高い上位二〇ワードにも入らなくなった。また、保険契約者の維持率も大幅に改善されたのを見て、マネジャーたちは喜んだ。そして経営幹部は、オンライン支払いというオプションについて、自信を持って新たに宣伝できるようになったのである。今のところ、EFT利用顧客の平均NPSは、EFTを利用していない顧客の平均NPSよりも八ポイントほど高くなっている。


     誰もがすべての仕事を終えるのに十分な時間がとれないこの世界では、「クローズド・ループ」が自動的に重要な意思決定の一部となるように日々の業務フローに組み込まなくてはならない。業務フローに組み込んで初めて、NPSの恩恵を享受することができるようになる。アップル、シュワブ、ラックスペース、インテュイットなど、NPS活用におけるスター企業は、一貫して二四時間以内にすべての批判者に連絡をとろうと努めている。ほとんどの企業がこの目標を九〇%以上(執筆時点)達成している。皆さんの組織では、どのくらい頻繁にこうしたことが実現できているだろうか。

     ラックスペースは人材募集の際に技術力を求めることが多いが、それが最優先されるわけではない。技術的なスキルは教えられるが、物事に対する態度は教えられない。したがって候補者が成功するには、ほかの人々を世話するのが本当に好きであることを示さなくてはならない。「私たちはサービス好きのオタクといえるほどに、他人にサービスすることが好きな人材を採用します」と、ネピアは言う。財務指標と同じくらい測定基準を重視させるために、ラックスペースではチームメンバーに顧客NPSの説明責任を持たせている。しかし、ラッカーズが顧客の役に立ちたがるのは、NPSと連動する報酬が目当てではない。そうした欲求は彼らの基本的性格の一部となっているに違いないからだ。
     フォーシーズンズ・ホテル・グループで長年マーケティング責任者を務めたバーバラ・タルボット(現在は引退している)、ラックスペースと同じ感覚を持っている。優れた顧客体験を提供するには、顧客と直接接点のある従業員の性格が最も重要だと、彼女は確信している。


     フランクリン・コヴィーのチームは、レシート調査のスコアに基づいた店舗ランキングと、同じ店舗で同時期に実施したエンタープライズ方式の電話をかけるプロセスで得られた店舗ランキングとを比較してみた。ヘルスケア、ペットショップ、レストラン、電子機器、自動車部品、自動車修理、ヘアサロンなどについて、標準値との差を測定する八種類のテストを行ったところ、半分以上でランキングに大きな違いが見られた。その後、電話プロセスで一位になった店舗で、実際に顧客の言動が結果と一致しているかを調べてみた。すると予想通り、ランキング上位店の顧客維持率と平均購買金額は高く、一方レシート調査の上位店の顧客維持率と平均購買金額は同チェーンの平均以下だった。電話の場合の平均NPSがレシート調査のスコアよりも約一五ポイント低かったことから、電話アプローチのほうがより多くの批判者を調査対象に含められていたことが明らかとなった。

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    2022年09月17日
  • 両利きの経営(増補改訂版)―「二兎を追う」戦略が未来を切り拓く

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    本書のエッセンスを一言にまとめると…探索と深化を両立させる「両利きの経営」がイノベーションを起こすには必要であり、トップのリーダーシップが重要、といったところか。某経営学の先生はクリステンセン氏のイノベーション理論を越えたと評している。確かにイノベーションのジレンマに対する処方箋ではあるのだろうけど、リーダーシップという属人性の強い要素に帰結しているので、誰にでもというわけにはいかないなというのが正直な感想。読み物としてはクリステンセン氏の本の方が面白いと思う。

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    2022年08月12日
  • 両利きの経営(増補改訂版)―「二兎を追う」戦略が未来を切り拓く

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    久しぶりのザ・経営書。
    イノベーションと言えば、クリステンセンさん世代(?)な私。有名な「イノベーションのジレンマ」を越えるには、クリステンセンさんの言うように新規事業担当を別組織にするだけじゃ既存の経営資源使えないじゃん?という問題意識から書かれている。
    しかし、結局は別組織にして、上が仕組みや文化でしっかり繋いでねというように読める。
    この手の経営書、以前は随分読み漁ったが、結局経営者次第じゃんと思えてしまって、しばらく遠ざかっていた。この本は訳が良いのか翻訳本にしては読みやすいし、事例も豊富で面白いんだが、やっぱり当時の感想を思い出した。学者さんが大企業を一括りにして語っている感が、マネジメント層ではない人間には刺さらないんだよなあ。。

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    2022年07月18日
  • トレイルブレイザー―企業が本気で社会を変える10の思考

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    Sales forceの創業者マーク・ベニオフの考えがよくわかる。イノベーションをコアバリューとするために職位を問わず全従業員に新しいアイデアを求め、その結果、顧客が企業に望んでいることと実際に実現可能なことのギャップが急速に解消されつつある。
    アイデアを柔軟に受け入れ、今を意識しながら、過去から学び未来を予測する。おかしいことにはおかしいと言え、正すための行動をおこせる。なかなか日本の企業からは出てこない有能なリーダーであると思う。

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    2022年05月28日
  • トレイルブレイザー―企業が本気で社会を変える10の思考

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    CRMで知られるセールスフォースCEO、マーク・ベニオフ氏の著書。

    移民の祖先を持ち、祖父や父をロールモデルとした成功より善行を良しとする考えは、白州次郎氏のノブレス・オブリージュに相通ずるものがある。

    偽善という人もいると思うが、何もしないより絶対いい。

    アメリカのさまざまな問題に逃げずに立ち向かう勇敢なCEOが経営する会社を、みんな応援したくなるはずだ。

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    2022年04月19日
  • NOKIA 復活の軌跡

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    海外の、特にNOKIAの近年の動向について全く知らない状態で読み始めたので、出来事の時系列などを理解するのに苦労した。古い慣習や成功体験に基づいた体制が時代にそぐわなくなり、変革を求められるということはNOKIAに限られたことではないと思うが、そこから淘汰されてしまうか生き残ることができるかは紙一重なのだなと感じた。話の規模が大きくマネジメントの層も非常に高い領域での話だったので、自分に生かせる部分はなかなか見つけられなかったが、世の中は盛者必衰であることを念頭に物事に対処しなければならないなと漠然と感じることはできた。

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    2022年04月11日
  • トレイルブレイザー―企業が本気で社会を変える10の思考

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    Salesforceの創業者マーク・ベニオフによる自伝、およびSalesforceが重視するコアバリューに関する主張。GAFAMやその他のIT企業とSalesforceの違いはまさにこの本の主張にあると思う。社会の中にあって利益を追求することを重視し、利益至上主義にならないように行動している。カリフォルニア、サンフランシスコ出身という出自の影響が大きいのかもしれないけれど、Salesforceの利用者が増えるとともにこの会社の理念も一緒に広まってくれたら、それは真にSalesforceという会社のビジョンを実現したことになるだろう。

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    2022年03月13日
  • トレイルブレイザー―企業が本気で社会を変える10の思考

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    セールスフォース・ドットコムのバリューは、信頼、カスタマーサクセス、イノベーション、平等。
    ステークホルダーの幸せを考えた経営を純粋に追求する姿勢が印象的。

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    2022年01月01日
  • トレイルブレイザー―企業が本気で社会を変える10の思考

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    これからの時代の企業はこうなのかと。
    確かなイデオロギーをもち社会問題の解決に真摯に取組む姿勢。
    政治、国、メディアが腐敗していく中、人間の善意はグローバル企業に宿ろうとしているのかもしれない。

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    2021年08月01日
  • トレイルブレイザー―企業が本気で社会を変える10の思考

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    明るい豊かな社会の実現
    片手間ではなく本気で向き合う経営者
    こうした流れになってきているように感じます

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    2021年07月21日