ユーザーレビュー リバース・イノベーション ビジャイ・ゴビンダラジャン / クリス・トリンブル / 渡部典子 「リバース・イノベーション」という概念、たぶん日本で有名になったのは、ハーバード・ビジネス・レビューでGEのケースが紹介されてからだと思いますが、本書を読んで、GE以外にも多くの事例があることを知り参考になりました。本書の前半はリバース・イノベーションの理論的な側面と、やりきるための組織、人材的な留...続きを読む意点が記述され、後半は色々な業種に属する企業のリバース・イノベーション事例が紹介されています。 後半の事例集を読むだけでも非常に示唆に富んでいますが、著者も強調しているように、リバース・イノベーションはそれをやりきるのがとても難しいと思います。つまり先進国企業(例:日本企業)がホームカントリー(例:日本)でイノベーションを起こすのと比べて何倍も困難である。それをやりきるためには、本社と現地法人の連携と分業、通常のプロジェクト評価とは違う軸での運営ができるか、など組織面での課題が大きな壁になります。そのため本書を読んで逆に思ったのは、グローバル企業の競争力は、リバース・イノベーションができる組織かそうでないか、によって判別できるということです。 そして日本企業全般を見渡したときに、これができる日本企業はどのくらいいるだろうか?おそらくかなり少ないのではないかと懸念をしました。しかし日本企業と比較的似ていると言われるドイツ企業でもできるのであれば日本企業にできないことはない、チャレンジあるのみ、ということで、本書を読んでリバース・イノベーションの理解が深まると共に、これをやりきることで日本企業のグローバル競争力も絶対高まるだろうなと感じました。 Posted by ブクログ リバース・イノベーション ビジャイ・ゴビンダラジャン / クリス・トリンブル / 渡部典子 途上国の課題解決に重要な視点を与えてくれる。「優れた日本の技術を売る」では、きっと失敗するのだろう。彼らの課題解決を先に考えて組み立てていく必要があるということ。 Posted by ブクログ リバース・イノベーション ビジャイ・ゴビンダラジャン / クリス・トリンブル / 渡部典子 先進国の多国籍企業の視点に立ち、新興国市場向けに顧客ニーズの把握、ゼロベースからの製品開発、バリューチェーンの構築を進め、最終的には先進国市場のニッチを突いたり、先進国市場製品にとって替わる製品となる、新興国から先進国へ、市場や技術成熟の川下から川上へ逆流するイノベーション。 まさに今の日本のデジタ...続きを読むル家電の苦戦をイメージしながら、読み進めました。 なるほどと納得! このリバース・イノベーションというコンセプトの、バーノンモデルとイノベーションのジレンマとの整合性および発展性に期待したいです。 さらに、顧客ニーズを深く理解することと、経営資源の重要性の2点について、改めて重要アイテムであることを実感させてくれます。 そういう意味では、基本の重要性にも気付きを得ることができる。 名著の予感がします。 Posted by ブクログ リバース・イノベーション ビジャイ・ゴビンダラジャン / クリス・トリンブル / 渡部典子 『グローカリゼーションは、国境を越えたマイナーチェンジには対応できるものの、富裕国と貧困国のギャップを解消するまでには至らない。 ほとんどの場合、富裕国向けに設計した製品をただ持ち込んだり、微調整したり、コスト削減のために二、三の機能を省いたりする程度で、これでは中国やインドで急に大ブレイクする製...続きを読む品は生まれない。 10ドル使える人が1人いる市場と1ドル使える人が10人いる市場との基本的な違いに対処しようとするのであれば、もっと変革をもたらす何かが必要となる。』 読みやすく、シンプルで、実践的。 具体例も豊富で説得力もある。 自国での先進国的成功体験に漬かりきった企業への痛烈な警告に聴こえるなぁ。 ここで言われているLGT(ローカル・グロース・チーム)を組織化できる企業風土があるかどうかが、成功出来るかどうかの試金石なんだろうなぁ。 Posted by ブクログ リバース・イノベーション ビジャイ・ゴビンダラジャン / クリス・トリンブル / 渡部典子 現在のグローバル市場が、先進国で生まれたイノベーションを新興国向けに単にカスタマイズ(多くの場合品質と価格を落と)して展開する「グローカリゼーション」のアプローチだけでは太刀打ちできない、新たな競争ステージに入っていることをふまえた経営戦略と、その実践のための方策をまとめた一冊。 筆者が主張するリ...続きを読むバース・イノベーションでは、先進国と新興国の間にある「5つのニーズのギャップ」に着目し、新興国ならではのニーズにフォーカスした製品・サービス、ビジネスモデルを一から開発することを提唱する。そして新興国で成功したモデルが、先進国のニッチ市場、さらには主要市場にまで「さかのぼる」ことで、既存製品・サービスを凌駕することも可能であるという。 新興国の市場に「ブルーオーシャン」を発見し、そこでの成功モデルを「破壊的イノベーション」として先進国市場に持ち込むというふうに捉えることもできるが、それは筆者の理論の一つの側面に過ぎず、リバース・イノベーションのスコープはより広範囲にわたっている。具体的事例も豊富で、実践的ガイドとしても使える良書。 Posted by ブクログ クリス・トリンブルのレビューをもっと見る