渡部典子のレビュー一覧
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誰もが認める携帯端末メーカーのトップの地位から、スマートホンの波に乗れずに転落。その後、マイクロソフトとの提携、携帯端末事業の売却、ノキアシーメンスを事業の中心としたネットワーク通信事業者としての会社の立て直し、そしてアルカテルルーセントの買収を通して、世界のトップ企業へ返り咲きます。こうしたノキアの見事な転身を率いたシラスマ会長が語る舞台裏。これは面白い。
iPhone、androidを脅威として捉えず、取締役会では対策の議論すらされていなかったというから驚きです。取締役会と経営執行陣のコミュニケーションの欠如もあって、ほどなくノキアは転落します。この落ちていくスピードの速さと社内の不協和 -
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これも良い本だ。非常に著者の思いが詰まっている。
企業の復活物語を追うだけではく、その当事者の著作だからこそ「あの時はこういう気持ちで臨んだ」的なエピソードがふんだんに入っている。
物語前半、著者はフィンランドを代表する老舗企業ノキアの取締役に就任する。
その時会社は絶好調。携帯電話市場を席巻していて、国を代表する企業として栄華を極めていた。
しかし、時は2008年。
すでにiPhoneは発売されたが、まだ市場ではノキアが勢力を保っていた。
この時がまさに勝利の台座で胡坐をかいていたと言っても過言ではないだろう。
取締役会では、世界を変える可能性がある次世代スマホについて、一切言及されず。
自 -
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ネタバレ【瀕死のNOKIAを救ったのは「パラノイア楽観主義」と「シナリオベース思考」】
今から10年ほど前、NOKIAは数兆円の売り上げを誇る世界一の携帯電話メーカーだった。しかし、そのころ内外に渦巻く危機は「正常性バイアス」によりすべて見逃されていた。
スマートフォン化の流れに乗り遅れ、起死回生を狙ったWindows Phoneの賭けも事実上失敗に終わり、企業存続の危機に陥る。
どん底の状態で指揮を取ることになった著者シラスマ氏は「悪いニュースは良いニュースである。良いニュースはニュースではない。」の精神のもと、ありのままの事実と向き合い、「パラノイア楽観主義」を掲げて立て直しを図る。
それ -
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日本でもすっかり定着した感のあるNPSに関する生半可な知識を本家本元で確認。企業の持続的成長にはNPSに基づくマネジメントが有効であり、通常の顧客満足度調査と違うのは、「究極の質問2.0」という原題に象徴されるように、質問内容が非常にシンプルであり、収益性との因果関係が見えやすい、関係者の動機付けを刺激しやすい、といった点が挙げられるが、やはり重要なのはクローズド・ループの部分か。また、NPSが低めになってしまう日本特有の問題(オランダも!)や日本での事例(平成建設、アメックス)なども補足されており、なかなか読み応えあり。弊社でもご他聞にもれず採用しており、対象セグメントの収益とNPSが上昇し
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先進国の多国籍企業の視点に立ち、新興国市場向けに顧客ニーズの把握、ゼロベースからの製品開発、バリューチェーンの構築を進め、最終的には先進国市場のニッチを突いたり、先進国市場製品にとって替わる製品となる、新興国から先進国へ、市場や技術成熟の川下から川上へ逆流するイノベーション。
まさに今の日本のデジタル家電の苦戦をイメージしながら、読み進めました。
なるほどと納得!
このリバース・イノベーションというコンセプトの、バーノンモデルとイノベーションのジレンマとの整合性および発展性に期待したいです。
さらに、顧客ニーズを深く理解することと、経営資源の重要性の2点について、改めて重要アイテムであることを -
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あなたの知人や関係者に、XXを薦めますか?という質問に0~10点で回答し、またその主な理由は?と自由入力のアンケートを行う。そのスコアと記述内容からフィードバックをきかせる。
単純にいうとそれだけだが、これは従来のお客様満足度調査よりもはるかに業績相関がある調査であると直感的に言える。またAISASモデルの時代とあわせて考えてみても、確実にこちらが意味のある調査だ。
10年後には、世の中のお客様調査はほとんどこれになっているのではないかと思う。
以下、memo
P19.質問文の例「0~10点で表すとして、この企業を友人や同僚に薦める可能性はどのくらいありますか」、「そのスコアをつけた主な理由 -
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『グローカリゼーションは、国境を越えたマイナーチェンジには対応できるものの、富裕国と貧困国のギャップを解消するまでには至らない。
ほとんどの場合、富裕国向けに設計した製品をただ持ち込んだり、微調整したり、コスト削減のために二、三の機能を省いたりする程度で、これでは中国やインドで急に大ブレイクする製品は生まれない。
10ドル使える人が1人いる市場と1ドル使える人が10人いる市場との基本的な違いに対処しようとするのであれば、もっと変革をもたらす何かが必要となる。』
読みやすく、シンプルで、実践的。
具体例も豊富で説得力もある。
自国での先進国的成功体験に漬かりきった企業への痛烈な警告に聴こ -
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現在のグローバル市場が、先進国で生まれたイノベーションを新興国向けに単にカスタマイズ(多くの場合品質と価格を落と)して展開する「グローカリゼーション」のアプローチだけでは太刀打ちできない、新たな競争ステージに入っていることをふまえた経営戦略と、その実践のための方策をまとめた一冊。
筆者が主張するリバース・イノベーションでは、先進国と新興国の間にある「5つのニーズのギャップ」に着目し、新興国ならではのニーズにフォーカスした製品・サービス、ビジネスモデルを一から開発することを提唱する。そして新興国で成功したモデルが、先進国のニッチ市場、さらには主要市場にまで「さかのぼる」ことで、既存製品・サービ -
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「あ!そこ!?」思わず唸る課題発見の実例が充実した一冊。
特に新興国をマーケットにした場合、今あるものをカスタマイズすれば売れるという発想では通用しないという事が痛いほど腹に落ちる。
携帯型心電計開発の背景(電力供給の不安定、設置場所の制約、暑さ・誇りなど設置 型心電計が通用しない) PC用マウスが実は操作性の拡張よりも、 中国都市部ではアパートのとなりの部屋の マウスの干渉を受けて止まる事の克服こそ が重要だったロジテックの戦い
バングラデシュのコレラ脱水症状解決のた めに開発されたゲータレードの事例などなど。
基幹回線網を個人までつなぐ最終段階がなければ通信インフラは利用されない「ラ -
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製造業を始めとする大企業が新興国において、苦戦を強いられる状況が何故起こるか。新興国で成功を収め、且つ先進国市場において波及効果をいかにもたらすか。リバースイノベーションの代表的な成功事例を基に、非常に理解しやすく記述している。
終章の纏めはこれからの会社人生において、幾度と無く読み返していきたい。
新興国市場は先進国のプレモデルではなく、先進国市場に通用していた論理(dominant logic)をそのまま適用する事では成功に至らせることはできない。
新興国市場のニーズ(その地域の生活習慣、文化、マインドも含め)を肌でダイレクトに感じ、支配的論理を取り払い、白紙状態からロジックを形成する事 -
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顧客満足度を計る新しい指標についての解説本。
解説本なので、これに興味をいただかない人にとっては読む価値はゼロ。でもビジネスをやっていて顧客満足度を気にする人であれば一読の価値あり!
これまでの顧客満足度調査は、確かに小難しすぎて自社でやるには難易度が高いし、やったあとに残るのは、お客様の満足度がどうだったかというだけで、具体的な改善アクションに移りにくい。そのため顧客満足度ではなく顧客満足度を知ることによる自己満足に過ぎない。
ネットプロモータースコアによる調査は、自社でやることも出来るし、その後のアクションも単純明快で分かりやすい。ただしその分、全社を挙げて本気でやらなくては何も意味はな -
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「『停滞する日本』ではなく、『変貌を遂げて再浮上する日本』に目を向け」ていて、日本人は悲観的すぎるのでは?と語りかけています。
どんな点で希望が持てるのか
なぜ日本は変化が遅いのか
いかに変革を進めるか
日本型イノベーションシステムへ
確かにいろいろ希望的な点をあげていて、そうなのかもと思うところもあるけれど、何しろ今の日本は変化のスピードが遅くて、希望的な変化な芽がでてきても、枯れてしまいそうでやっぱり悲観的になってしまいます。
他国の変化に遅れをとっているようで焦りがある中、
文化や価値観の違うアメリカのイノベーションスタイルを真似するのでなく、日本の文化や価値観にあったイノベーション