渡部典子のレビュー一覧
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第一部でリバースイノベーションの概念を簡潔に説明し、続く第二部で事例を次々と説明することで概念の理解を促すという構成が良かった。とても読みやすい。
途上国のニーズは先進国のニーズとはかけ離れていることや、途上国では超割安価格でそこそこ良い性能を持つ製品が求められていることなどは、本書から学んだ重要なことの一部である。そして、これらの主張から「ファクトフルネス」の内容を思い出した。世界の中心は欧米からアジア、アフリカに移っていくという同書の主張はリバースイノベーションの重要性を支持すると思う。一方で、同書は世界の大半が極度の貧困から既に抜け出しているとも書いている。本書が書かれた時代や、本書が参考にした事例が起きた時代はすでに10年以上前であることを踏まえると、本書を活用する前には、世界の見方のアップデートが必要であると思う。
本筋ではないが、学習について説明責任を負わせるという教訓は印象に残った。不確実性が高いプロジェクトでは、計画遵守や財務指標についてリーダーに責任を負わせるの合理的ではない。しかし、フリーパスで良いわけではない。そこで、例えば、統制の取れた実験を行ったか、迅速かつ低コストで学習したか、学習結果に基づいて適切な意思決定を行ったか、その過程で仮説を精緻化できたかを評価することが重要。
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米国の巨大企業「セールスフォース」の創業者が、その企業理念について語った本。GAFAをはじめ、米国にはいくつもの新興巨大企業が存在するが、その創業者には型破りに個性的な人が多い。そのような人たちが、どのように会社を大きくしていったかの物語は、どれも興味深く勉強になる。失敗を繰り返しながらも、「社会貢献」を前面に出し、多くの人たちを納得させていくのがセールスフォース社の方針だが、大会社の創業者に共通するのは、へこたれない忍耐力と熱意だと思う。興味深い。
「「第4次産業革命」が始まった過去10年間で、人工知能(AI)、量子コンピューティング、遺伝子工学、ロボット工学、第5世代移動通信システム(5G)が、驚異的な進歩を遂げた。10年前には思いもしなかった速度と規模で大量のデジタル情報が流通する一方で、AIやロボット工学が人間と機械の間にある障壁を打破しつつある。地球上のあらゆる人やモノがつながり、複雑なビジネス課題と、誰にも予見できなかった破壊を生み出している」p3
「自分が何をしていようとも、どこで働いていようとも、誰もが成功するビジネスと、より良い世界を築き上げることの両方に貢献することができる。だから、この本の根幹となる前提を一言で表すならば、バリューに根差した企業文化が価値を生み出す、ということだ」p9
「母も父も、私が感じていたようには、コンピュータのどこがそれほど面白いのか十分に理解していなかった(しかし、好きなように勉強させてくれた)」p18
「見知らぬものに対する恐怖心を捨てて、自分の価値観を羅針盤として使い、新しい道を切り拓かなくてはならない。私たち全員が進歩への情熱とその実現に向けた想像力を育むべき時が来た。より良い未来になるかどうかは、私たちの肩にかかっている」p33
「(トヨタへのプレゼン)この野心的な提案とは別に、ゲストを歓迎する雰囲気づくりも欠かせない。日本文化ではプレゼントを贈ることが非常に大事たと知っていたので、豊田さんのために特製のサーフボードを用意することにした。また、ハワイのパンツ、Tシャツ、ビーチサンダルを花で飾り、トヨタの一行が到着する空港に届けるよう手配もした」p60
「私は豊田さんに、自分は日本が大好きなことや(愛車であった)黒のスープラにまつわる懐かしい思い出を話した。ご機嫌取りや、豊田さんの自尊心をくすぐるためではない。ビジネスは一時的だが、関係は永遠に続く。つまり、本物でなければならないし、共通基盤の上に構築しなければならないのだ」p62
「私が個人的に最も満足しているのは、豊田さんと生涯の友人になった事実だ。長年にわたって、私が日本に行くときには一緒に過ごし、豊田さんは快くセールスフォースのイベントで何度か講演をしてくれた。絆ができたのは、製品や技術だけの力ではない。信頼関係が私たち、そして両社を結びつけたのだ」p63
「リーダーにとって最も難しいのは、周囲の誰からも賛同が得られない場合でも、自分の判断を信頼すべき時を知ることだ」p80
「どんなリーダーもあるタイミングで、周囲の賢い人々の判断を割り引いて考える立場にあることに気づくだろう。たとえ自分がここまで来るのを支えてくれた人々の信頼を失うことになっても、自分の直感が正しいと告げることに従い続けるのか、という」p81
「バリューをお金に換算する方法はない。確かにバリュー、特に信頼を優先させれば、利益が犠牲になる場合がある。しかし、短絡的にはそうだとしても、四半期に稼ぎ出す収益が、時間とともに失ったかもしれない信頼よりも値打ちがあることは絶対にない」p87
「ある問題を解決するのに1時間あるとすれば、私はその問題について考えることに55分、解決策を考えることに5分かける」p98
「私たちは目の前の問題の背後にある問題に取り組むことにより、顧客が想像もしなかった形で、より効率的に作業できるソフトウェアを設計できたのである。これ以降、私たちはチェックリストにマークを入れることに注力するのをやめて、ブレークスルーをもたらすやり方を探し求めることが大事だと思うようになった」p99
「最新の製品を売り込んで売上を最大化するのではなく、顧客が実際に何を必要としているかの理解に努めることが、セールスフォースの全従業員の役割だと私たちは信じていた。これを的確に行うためには、自分の机を離れて、顧客の立場で考える必要に迫られることが多い。それはCEOも例外ではない」p110
「顧客が新しい目的地を見つけるのを支援することや、そこに到達するための新しい道を切り拓くことに、どの企業も投資したほうがよい」p123
「私たちは最も優秀な人材を採用し、社内で創造性を活用しながら育成してきた」p129
「(スティーブ・ジョブズ)24か月で10倍に成長するんだ。そうでないと、つぶれるよ」p136
「今やアインシュタイン(ビジネス・アプリ)は私の手のひらの上で、わが社の状況を理解し、会議に参加し、話し合いに関するメモや記録を更新するために関連データを収集し、コメントまでする音声対応デジタルアシスタントとなっている」p149
「革新的な製品を開発するためには研究開発予算だけが重要でないことに、彼は気づいていなかった。私はセールスフォース流のイノベーションをリチャードに説明した。「イノベーションを探求するのが私たちのやり方なんだよ」」p151
「子どもたちは私たちの未来だ。子どもたちに投資をしよう」p247
「将来的に企業を引っ張っていく唯一の方法、もっと言うと、企業で働く唯一の方法は、パソコン作業から顔を上げて、より広い視野を持つことだ。ただし、毎日の雑音やカオス状態から自分の心を守る術を学ばない限り、世の中を認識し直すことはできない。今日では、単純に電源を切って考える時間をつくるだけでは足りない。じっくりと考える時間を取る必要がある。初心を磨き、新しい考え方を受け入れることは、心に良いだけではなく、サバイバル戦術と言える。初心に返って人生と向き合うことは広い意味で、好奇心、感謝の気持ち、学習を自ら進んで取り入れる方法となる。つまり、白い紙を引っ張り出すことであり、自分は専門家だという考えを手放すということだ。「(鈴木俊隆)初心者の心には多くの可能性があるが、専門家の心にはほとんどない」のだ」p255
「政府などの権限を持つ機関が、党派の論理、瀬戸際政策、果てしない手詰まり状態によってますます身動きが取れないため、企業の参加が一層求められている」p321
「私たちは熱狂的なイノベーションと創造性の時代を生きてきた。第5次産業革命では、このすべての「進歩」を、公益のために活用する方法を見つけることが重要になる。今後の成功は、人々や地球のウェルビーイングを第一に優先させて、イノベーションと創造性の成果を活用できるかどうかにかかっている」p344 -
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ネタバレイノベーションとは、決して富裕国から途上国への一方通行ではなく、昨今は途上国から富裕国へのリバースイノベーションが当たり前のように起こっているという点を、当該理由(途上国と富裕国のニーズのギャップ)、マインドセット、ビジネスモデルの3つの視点で記載されています。
全体的な印象としては、クリステンセンの繁栄のパラドクスの無消費経済に対するイノベーションに違い文脈という印象でした。
①富裕国と途上国でのニーズのギャップ
「性能」「インフラ」「持続可能性」「規制」「好み」に必ずギャップが生まれるという論点がありました。途上国には、富裕国の製品の廉価版を提供しておけばOKという考えでは絶対に成功せず、ゼロベースでビジネスを考えていく必要がある。これは、富裕国と途上国という構造のみならず、市場創出活動において全て当てはまるのではないかと感じています。
②マインドセット
一番心に刺さったのは、「自分たちが相手にするには利益率が低すぎるというバイアス」でしょうか。この考えは、単にビジネスモデルを考えきれていないだけ。1億の利益を出す顧客が1人いるのと、100万の利益を出す顧客が100人いるビジネスでは、戦い方が異なるのはごもっともです。
また、途上国だからといって古い技術で安い製品を出せば良いというわけではなく、途上国だからこそ最新の技術を応用してより効率的で安価な製品を出す必要を感じました。そのために如何に社内を巻き込むか、組織の重心を当該事業を推進する組織におくか、そして権限や財務の独立性を保ちながら、既存のリソースを使うことも可能にする。ここまでやって初めて成功への道筋が見える。やはり、成功している人や組織は、並々ならぬ覚悟を持って取り組んでいることを痛感しました。注意点として記載されていたのは、決して全てを途上国向けのイノベーションに注力せよという話ではなく、バランスを維持する必要性についても言及されていたことが、さらに難易度を上げる要因でした。
③ビジネスモデル
まず第一歩は支配的論理を壊すこと。端的には過去の成功体験に縛られないこと。そして、独立した組織を作り上げることが重要なポイントとしてあげられています。その組織で何をコミットするかというと、決して数字ではなく、最も顧客のために効率的で効果のある学習をしているかという点。そういう組織が必要。自分たちの組織に当て嵌めたらそうかな。顧客との接点を持つ組織と、そのニーズを具現化する研究機関とそれを製品化する我々の組織くらいの座組みが必要ではないかと。自分自身も知識として蓄えるだけでなく、行動を伴って支配的論理を崩していきたく、その仲間も欲しいなと思いました。 -
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ネタバレすべての優れた組織のミッション(使命)は、自社が関わり合う人々の生活を豊かにし、ロイヤルティを築くことにあると信じている。そして、優れた組織は株主だけでなく、従業員、ビジネスパートナー、とりわけ顧客に対して、プラスの影響を及ぼさなくてはならない。
顧客リレーションシップを犠牲にして獲得した利益が、悪しき利益だからだ。もし顧客が惑わされたり、不当な扱いを受けたり、無視されたり、強制されたりしたと感じたとしたら、その顧客からもたらされる利益はすべて悪しき利益である。
良き利益と悪しき利益とを識別するための質問とは、どのようなものだろうか。質問自体は単純なものだ。すなわち、「この会社を友人や同僚に薦める可能性はどのくらいありますか」というものである。そしてこの質問を基に得られる指標が「 推奨者の正味比率(NPS)」である。
NPSは、どんな企業の顧客も三つのカテゴリーに分類できるという基本認識に立脚している。すでに説明したとおり、「 推奨者」というのはロイヤルティの高い熱心な顧客で、自らが継続購入客であるのと同時に、友人に対しても顧客になるように薦める。「 中立者」というのは、満足はしているがそこまで熱狂的でない顧客で、競合他社からの働きかけになびきやすい。そして「 批判者」は、劣悪な関係を強いられた不満客である。先の質問に対する顧客の回答が、三者を分類する基準となる。たとえば、一〇点満点中、九点または一〇点と答えた顧客は推奨者であり、以下、中立者、批判者の順に点数が下がっていく。
顧客は二つの条件が満たされない限り、個人的な推奨を行わないことも判明した。まず、その企業が優れた価値を提供していると、顧客が信じていなくてはならない。
第一の条件は顧客の理性を惹きつけるものであり、第二の条件は顧客の感情に訴えかけるものである。この両者が満たされたときに初めて、顧客はその企業を熱心に友人に薦めるようになる。
NPSが目覚しい改善をもたらすのは、次のような場合である。 ①シニアな経営陣、特にCEOが個人的にネット・プロモーター・システムを通した顧客ロイヤルティの改善を、きわめて重要な優先事項として受け止めている。彼らは経済的に取り組むべき理由(収益ある成長につなげること)と、動機付けや士気の面で取り組むべき理由(自社が基本的価値観をどれだけ実現できているかを測定すること)の両方を理解している。 ②NPSの顧客フィードバックを組織全体の主要な意思決定プロセスに組み込み、学びと改善の「クローズド・ループ」をつくっている。何か特別な部署の責任やプログラムとしては扱わず、日々の基本的な優先事項の中に組み込まれている。 ③短期的なプログラムや取り組みとしてだけでなく、企業文化の変革と成長にいたる長期的な道のりとしてネット・プロモーターに取り組んでいる。企業が収益を伴う持続可能な成長を実現させたいのであれば、組織全体でNPSに取り組まなくてはならないことを理解している。 この三つが成功への鍵である。
結局のところ、顧客に喜んでもらうための最も強い要因の一つは、企業がきちんと話を聞き、不満や提案に応えることだ。そうした取り組み姿勢は、同社が顧客を重視しており、大切にしていることの証明となる。それが、顧客と良い関係を築くための基本的な必要条件となる。
ほとんどの企業は、より顧客志向の企業文化を築きたいと思っている。ネット・プロモーター・システムは、この目標の達成に役立つ一連のさまざまなツールや有用な手法を提供するものである。だが、顧客にフィードバックしてくれたことを感謝し、根本原因を確かめ、顧客へのサービスを向上させる方法を学び、適切な対応をするといった「クローズド・ループ」をつくることよりも強力なものはない。NPSは根本的に、測定やサービス・リカバリー以上の存在である。NPSは、人々を大切に扱うことを基礎にビジネスを行う方法なのである。 -
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まとめ
NPSの教科書。
◯勧めたくなる条件は2つ
・理性を惹きつけるもの(価格、特徴、品質)
・感情に訴えかけるもの(信頼関係)
◯NPSのメリット
・業務プロセスの改善
・コスト削減と品質向上
・顧客ロイヤルティの強化
・価値観(ビジョン)の達成、指標で見える化になりわかる
◯批判者は最高の盟友 欠点の特定を手伝ってくれる。
感想
NPSは質問内容は1つで顧客満足度測れるに便利なシステムである。
だけど下記に記載してる内容通り利用方法が難しい。その利用方法に対して、本には参考になることが書いてある。
「そのNPSを「誰に」「どのタイミングで」取るべきなのか」
「お客様に意見に対してどのように返答すればいいのか」
「結果をどう受け止めて製品をよくすればいいのか」
「NPSと収益の関係性をどう見つけるべきなのか」
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ネタバレ<メモ>
・プロセスの4分類。調査、分析、統合、実現
・活動モードは目的を見出す、コンテクストを知る、人々を知る、インサイトをまとめる、コンセプトを探求する、解決策を練る、製品サービスを実現する
・目的を見出す 方向性
変化する状況を理解する
全体を見通す
トレンドを予測する
問題を再構成する
目的を設定する
・目的を見出す ツール
幅広く口コミ情報を収集共有
メディアを通して重要な文化的事象を理解する
革新的な商品サービス、企業人々から着想を得る
トレンドに詳しい専門家から未来の可能性を学ぶ
キーワードをもとにデータベースを幅広く調査する
・コンテクストを知る 方向性
歴史的背景を知る
フロンティアを理解する
システム全体を見る
ステークホルダーを理解する
メンタルモデルを用いる
・コンテクストを知る ツール
組織や業界のイノベーションの経時的な進化を示す
・人々を知る 方向性
あらゆることを観察する
共感を持つ
日常生活に入り込む
オープンに話を聞く
問題をニーズを探る
・インサイトをまとめる 方向性
システムを探る
パターンを探す
概要を作成する
機会を特定する
指針を示す
・インサイトをまとめる ツール
ネットワーク図を作成し、コンテクストの中でいかに価値が生み出され交換されるかを示す
対象物をマップ配置し、分布状況やグループパターンを分析する
全体的なユーザー経験を誘引、参加、関与、退出、延長の5段階で表す
・コンセプトを探求する 方向性
前提を疑う
未来に立って考える
周辺部でコンセプトを探る
付加価値を明らかにする
未来のストーリーを語る
・コンセプトを探求する ツール
ユーザーとプロバイダーにその解決策がどんな価値をもたらすか明らかにする
詳細なユーザー像を定義し、それに沿ってコンセプトを探る
よく知ってるものに例えて、コンセプトを編み出す
他者の視点に立ってコンセプトを考える
現在と未来のシナリオをグループで作成し、人形を役者に見立てて演じる
プロトタイピング
コンセプトスケッチ
コンセプトシナリオ
・解決策を練る 方向性
統合的な解決策を考える
選択肢を考える
価値を判断する
シナリオを構想する
解決策を組み立てる
・解決策を練る ツール
ユーザー中心のカテゴリでコンセプト整理し、組み合わせて解決策を考案
いくつかの起こりうる未来状況を見通して、解決策を作成
解決策ストーリーボード
解決策ロールプレイ
・製品サービスを実現する 方向性
プロトタイプを繰り返す
実際に評価する
戦略を策定する
実際に行う
ビジョンを伝える
・製品サービスを実現する ツール
解決策について短期中期長期の戦略計画を立てる
プラットフォームの原則と特性を踏まえて解決策実現に向けた計画を立てる
製品サービスを市場に投入し、機能やユーザー経験について学習する
イノベーションの取り組みに必要な能力開発計画を立てる
製品サービスの全体的なイメージを表し伝える
全ステークホルダーに新しい製品サービスのビジョンを理解させる
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所謂「GAFA」のような大御所から、それに続くAirbnb、Uber、アリババといった新興勢力まで、供給者と消費者の「ツー・サイド」をマッチングすることによって価値を創出するプラットフォーム型ビジネスモデルのメカニズムと、その成功の要諦や課題を網羅的に整理・解説したビジネス書。
ITの発達によって情報の集約が容易になったことを背景に、成功するプラットフォーム型ビジネスモデルでは、運営者は自ら在庫を持つことなく、供給側と消費側を効率的に結びつけることで、取引量(インタラクション)が持続的に増加するネットワーク効果を生み出し、好循環が回り続けるようになる。そのためには、データを活用した適切な「キュレーション」(情報流通の交通整理)を行うことでマッチング品質を高めることや、プラットフォームのオープン化とクローズド化のバランスを常に意識することで供給側・消費側双方で参加者数を拡大させる仕掛け、さらにはプラットフォームの競争優位性を維持するためのガバナンスや評価手法が必要になる。
本書ではそのようなプラットフォームの構築について、豊富な事例をもとに旧来のビジネスモデル(パイプライン型の直線的なバリューチェーン)と比較しながら、マーケティングや経営戦略の観点だけでなく、マクロ経済やテクノロジー、さらには個人の働き方といった多様な視点も交えて解説される。ここまで網羅的な解説書が発行される時点に至って日本企業の事例の少なさ(というか皆無)には落胆と焦りを感じざるを得ないが、現時点でプラットフォームを扱う書籍としては決定版といえる充実した内容の一冊といえる。 -
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NPSについて学ぶには必読な本。
序草と第I部にて、基礎についてはよく理解できる。
しかしながら、事例については、あちこちに記載され、重複もあり、まとまっていないために読みづらい部分も多い。
序章にて、
「〇〜一〇点で表すとして、この企業(あるいは、この製品、サービス、ブランド)を友人や同僚に薦める可能性はどのくらいありますか」
「そのスコアをつけた主な理由は何ですか」
の質問や、推奨者・中立者・批判者について、
NPSの算出方法を説明してくれる。
NPSは柔軟かもしれないが、
絶対に省くことのできない三つの基本的な要素がなければ、
その効果を得ることができず、
その要素の一つが「クローズド・ループ」である。
第1章では、
AOLやブロックバスターの事例を用いて、
悪しき利益について説明している。
一〇年間に及ぶ研究を通して、
ほとんどの業界で、
批判者に対する推奨者の比率が業界内で最も高い企業は、
一般的に高い利益と健全な成長を享受している。
第3章では、
NPSの経済性について説明している。
顧客の生涯価値を計算すると、
多くの場合、推奨者・中立者・批判者の行動は
大幅に異なっており、
推奨者と批判者を分かつ要因として、
顧客継続率、価格、年間購入額、費用対効果、口コミ
が挙げられる。
相対的(競合対比の)NPSと
相対的な有機的成長率との関係性はきわめて強い。
第4章では、
エンタープライズの事例を基に、
有用な手法になるまでや、導入方法、
成功の秘訣について説明している。
第5章では、
8つの原則について記載されている。
特に、原則四の
経験則からいうと、調査の回答率が65%未満なら、
プロセスを改善する必要があるということは
覚えておきたい。
第II部では、事例と教訓が散りばめられている。
自社で導入しクローズド・ループを回していく際には、
参考にできる内容もあるだろう。
以上