あなたの知人や関係者に、XXを薦めますか?という質問に0~10点で回答し、またその主な理由は?と自由入力のアンケートを行う。そのスコアと記述内容からフィードバックをきかせる。
単純にいうとそれだけだが、これは従来のお客様満足度調査よりもはるかに業績相関がある調査であると直感的に言える。またAISASモデルの時代とあわせて考えてみても、確実にこちらが意味のある調査だ。
10年後には、世の中のお客様調査はほとんどこれになっているのではないかと思う。
以下、memo
P19.質問文の例「0~10点で表すとして、この企業を友人や同僚に薦める可能性はどのくらいありますか」、「そのスコアをつけた主な理由は何ですか」
P46.良い利益と悪い利益
→その違いは、マジ価値からお金を頂けているかどうかだと思う。
P.48悪い利益の例
・飛行機の便数が少なく価格が高い。競合の参入を切望される。サウスウェスト航空の参入により、一気にシェア低下
P61.財務会計の数字だけでは、それが良い利益からもたされたのか、悪い利益なのか。コスト削減はサービス低下によってもたらされたのか、顧客離反率をおさえたものなのか。それがわからない
P81~82.インテュイットの事例
電話による技術サポートの有料化に踏み切っていた。プログラムのインストールさ操作に四苦八苦する新規顧客も、その例外ではなかった。ところが、技術サポートに電話した経験がある顧客のNPSが全体の平均よりも著しく低かったことから、即座にこの方針に問題があることが判明した。担当チームは複数の代替案を出し、NPSへの影響をテストした。そして最終的に、購入後30日間は技術サポートを無料化することが、経済的に最も有利な解決策だと結論付けた。結果として、技術サポートに電話した顧客のNPSが、30ポイントを上回る改善を示した。(中略)電話サポートをインドからアメリカに戻した
P99.肯定的な推奨の80%~90%は推奨者からもたらされる。「口コミによる利益」は全て、推奨者からもたらされると概算して問題ない。
P99, P212.推奨者を増やすメリット
経済性
- 価格に敏感ではない。
- 訴訟やサポートを受けるないので、LTCが低い
- 販売コストが低い(クロスセル・アップセル)
- 口コミによる新規顧客獲得
- 推奨者による新規顧客は、推奨者になりやすい
動機づけ
- 肯定的なフィードバックによって、従業員の士気向上、離職率の低下
P100. 批判者のDMの大きさ
- 否定的なコメント1件を消すのに、3件~10件の肯定的なコメントが相殺される。(こちらは定量分析に乏しいが、DELLが行ったアンケートではそのような回答を得ている。またこれまでの経験知的にもそれぐらいが妥当とのこと)
p104.推奨による新規顧客獲得量の調査方法
- 新規顧客に何故購入したのかを聞く(複数回答)
- 口コミによると答えた人数を、現在の推奨者の数で割ることで、推奨者1人につき、何人の顧客を獲得できたのかを知ることができる
- (これ、複数回答でいいのかな?)
- これにLTVをかけることで、推奨者を1人増やすことのLTVが算出される。
p108.競合調査の目的。直接的な競合よりも早く改善する
p126. あなたはどれぐらい満足したか?という質問もある
P148, P194.雑感。カスタマーサポート部署が問い合わせ対応に使う時間は、このNPSスコアを上げる価値と、そのコストという計算式で導き出すことができる。
P149.雑感。全体を表す必要はないが、定点観測を適切な顧客から実施するのは重要。
P149. 無回答者はすべて批判者と定義している会社もある。この簡単な質問にすら答えられないのは、推奨者が行う行為ではない。また無回答者の動向を追うことで、彼らの経済的価値を明らかにすることも可能である
P154. コールセンターが質問回答後に聞くことも可能。サポートセンター経由での情報収集も、手段のひとつとして考えてよい。
P159. サンプルの偏りは少なからず発生するので、定点観測を意識すれば、特に問題ない。
P164. スコアと行動の相関は定期的に検証をする。(これは恐らく、質問が複数だったり、代替的な手法によってNPSをはかろうとするときにおこる問題だと思われる。)
P218. 批判者に俊敏な対応をすることによるメリット
- appleでは追加売上高が1000ドル以上になる
- 批判から中立・推奨にかえるメリットもある
- ここも費用対効果を分析したうえで、実行する価値がある
P224. 口座残高の多寡で手数料を取るようにしたところ、口座残高が多い顧客からも批判の声が上がった。悪い利益を生むことは、それで得をする人にも、悪い印象を与えることがある。
p227. e-NPSも同様に重要である。これは入社90日と、入社記念日で調査するのが良いのではないか。
P310.e-NPS質問文例「働く場所として、この会社を薦める可能性はどれくらいありますか」
P236. 批判者にTELするなら、0点から対応すべき
P248.アメックスでは、カード紛失後の対応で、NPSスコアが大きく変化する。NPSスコアが大きく変わるキーポイントを見付けられれば、そのための対策が打てる
P298. 一年以内の極端な値上げは、それがリーズナブルなものだったとしても、NPSを下げる要因になった。ので、定期的な契約更改を行うようにした。このように、NPSを変化させるスポットを見付けるのも重要。
P252.エンジニアは顧客フィードバックが届くことを喜んでいる。=直接電話しなくても、その声を届ければ、エンジニアにも、改善が届く
P255.投資信託会社のバンガード・グループでは、顧客からの電話が多い時、徴兵制度によって、経営陣にも顧客との電話をさせる
P256.インテュイットのフォローミーホーム。家に行って、インストールする様子を観察させてもらう
P257.インテュイットの全事業の戦略計画の中には、NPS目標とスコアを上げるための重要な取り組みが盛り込まれている
P262.回答分析ツールも欲しい
プログレッシブでは、「オンライン支払」というワードが、推奨者にも批判者にも多いことに気づいた。詳細分析の結果、それが一回でスムーズにいくかどうかが大きな分かれ目になっていることがわかった。
P266.インテュイットの事例。回答によって、次の質問を変化させる。批判者にはその主な理由を、中立者には、どうすれば推奨者になってくれるかを、推奨者には薦めるときにどんな話をするのかを。
P282.NPSに取り組む際には、最前線のチームを小さな単位に再編して責任をより明確化するか、すべての顧客体験を効果的に取り扱える機能横断型チームを作る必要がある。
P286. 熱狂的な顧客サポートという文化を構築し、維持するためには、適切なタイプの人材を採用することが重要である。byラックスペース
P302.クロスセルを行うときに、以前の回答結果を踏まえて行うとより効果的である
P316.NPSを活用できているかのチェック項目
- 少なくとも1年に1度NPS調査を受ける顧客比率は何%で、どのくらいの回答が戻ってくるか。これらの顧客は売上高の何%を占めているか
- 「クローズドループ」を用いて、フォローアップのために48時間以内に連絡をとっている批判者は何%にのぼるか。連絡をとった人々のうち、講じられた対応に満足した人はどのくらいいるか?
- 所属部門の現在のNPSとその目標を知っている従業員はどれぐらいいるか。また、その目標を達成するために必要な最も重要な改善点を一つ挙げることのできる従業員はどのくらいいるか。
- ターゲット顧客セグメントの中で、推奨者と批判者の障害価値の違いはどのくらいか
- 推奨者を増やすために最も重要な取り組みは何か。推奨者1人を生み出すためにかかるコストはどのくらいか
P322.調査疲れとの戦い
- 顧客との事前合意
- 調査後にコミュニケーションをとる
- 投票のような仕組みを用いた調査
P339. 期待値を大きく超えた瞬間を、真実の瞬間と定義している。
P342.第三者機関に対して調査を依頼して、競合比較を行う。(これはパイの取り合いになってからでよいか。)
P353.インテュイットの事例
- 推奨者、中立者、批判者の経済的価値を信頼性が高い形で試算する。財務リーダーをプロセスに参加させる
-マネジメント変革への長旅としてNPSに取り組む
- 取り組みに参加している企業のほとんどは、突き詰めていくと、社内の人々にかかっていると答える。「サービス」志向な人材を新たに採用する方法や、初日から彼らの心を惹きつけ、うまく溶け込ませるための方法を探さなくてはならない。
- 物語と事例の共有を通して、企業価値は強化されていく。学習するそしきとなり、強い意識とスキルを開発する、有意義な方法を開発していかなくてはならない。
by 顧客体験及びビジネスエクセレンス担当バイスプレジデント ブライアン・アンドリュース