あらすじ
携帯端末事業でAppleやGoogleに敗北し、一時は倒産を囁かれるも通信機器メーカーとして復活を遂げ、今や5G時代の覇者とも目される“北欧の巨人”、ノキア。不屈の起業家精神で老舗企業を改革した現会長が、その一部始終と経営手法をついに明かす!
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Posted by ブクログ
フィンランドの巨大企業NOKIA復活の物語。一見スマートフォン事業から通信インフラ事業に華麗な変身を遂げたと思われがちなNOKIAのV字回復だが、その内情は痛みと覚悟、さらにシンプルでありながら前向きで冷静な姿勢が読み取れた。NOKIAのようなテクノロジーの先端をいく企業ですら、その根底にあるのはテクノロジーではなく対話と信頼であったという点が深く響く。
Posted by ブクログ
イノベーションに破壊され立ち上がる、フィンランドの国民性もあるのか。ソ連に負けない強さ、歴史もあるんかな。
現代経営の最適ケースワーク。
起業家リーダーシップ あらゆることを学びに
楽観的パラノイア あらゆるシナリオを考え大胆に
whyにこだわる
何を変えるべきか?どう変えるとあなたの仕事はうまくいく?
Posted by ブクログ
誰もが認める携帯端末メーカーのトップの地位から、スマートホンの波に乗れずに転落。その後、マイクロソフトとの提携、携帯端末事業の売却、ノキアシーメンスを事業の中心としたネットワーク通信事業者としての会社の立て直し、そしてアルカテルルーセントの買収を通して、世界のトップ企業へ返り咲きます。こうしたノキアの見事な転身を率いたシラスマ会長が語る舞台裏。これは面白い。
iPhone、androidを脅威として捉えず、取締役会では対策の議論すらされていなかったというから驚きです。取締役会と経営執行陣のコミュニケーションの欠如もあって、ほどなくノキアは転落します。この落ちていくスピードの速さと社内の不協和音がまたリアルに描かれています。落ちるときは速い。。
シラスマ氏が会長になってから、パラノイア楽天主義(緻密な準備と大胆な実行)を掲げ、取締役会と経営執行陣が一丸となった戦略検討、常に複数の選択肢を検討するシナリオプランニングの導入といった改革を進め、ノキアはそれまでとは全く別の企業として息を吹き返します。
歴史的にも、携帯端末メーカーとして君臨する前は、製紙、ゴム事業を生業としていたノキア。変身はそのDNAに組み込まれているのかもしれません。しかしやはり、立役者はリーダーとしてのシラスマ氏なのでしょうね。ベンチャー企業出身ということですが、周りを巻き込み、チームビルディングしながら課題を解決していくマネジメントも凄ければ、トップになっても最新の技術を自ら学ぶ姿勢も素晴らしいことですね。(AIプログラムの勉強もされているそうです)
ビジネス書としても参考になるのはもちろんですが、ノキア転落の舞台裏、マイクロソフトとのM&A交渉の舞台裏など、興味深いエピソード満載で、普通に読み物としても楽しめます。久しぶりの5つ星ビジネス書。
Posted by ブクログ
これも良い本だ。非常に著者の思いが詰まっている。
企業の復活物語を追うだけではく、その当事者の著作だからこそ「あの時はこういう気持ちで臨んだ」的なエピソードがふんだんに入っている。
物語前半、著者はフィンランドを代表する老舗企業ノキアの取締役に就任する。
その時会社は絶好調。携帯電話市場を席巻していて、国を代表する企業として栄華を極めていた。
しかし、時は2008年。
すでにiPhoneは発売されたが、まだ市場ではノキアが勢力を保っていた。
この時がまさに勝利の台座で胡坐をかいていたと言っても過言ではないだろう。
取締役会では、世界を変える可能性がある次世代スマホについて、一切言及されず。
自社の端末開発についても、発売が遅れることについて、その問題点を指摘もせず。
ただ、空気のように報告に対して「Yes」という通過儀礼になっていたという。
そこからノキアの携帯端末市場シェアはガタ落ち。
もちろんスマホ時代が到来するも、そこにシフトできず。
さらに主力製品のロープライズ版ガラケーについても、製品開発が間に合わず発売延期ばかり。
それでも取締役会からの改善策はなく、現場からの「改善のために対応中である」という言葉を鵜呑みにして信じるだけだった。
この時に本当に貴重な「時間」だけが無駄に過ぎていった。
この本書では、著者がノキア会長に就任してから会社を立て直すべく、取締役会の在り方を見直して実行していく様を描く。
まさに著者はキリキリとしながら日々を過ごしていた様子が本書から窺える。
最終的に携帯電話部門をマイクロソフトに売却し、子会社のNSN中心に会社を作り変えていく話だ。
これらを本当に短期間に、綱渡りを渡るべく交渉しながらすべてを実行したのはスゴイ。
結局仲間を信頼して、コミュニケーションを密にとる。
スタンドプレーで抱え込まず、情報は取締役会で必ず共有する。
ストーリーを必ずネガティブ&ポジティブ含めて3案は出し、例え「これしかない」と思えるものがあったとしても、1つだけでなく必ずそれぞれ検討する。
とにかく分析して、楽観的にならず控えめ控えめに考える。
ただし、ある瞬間には思い切って、大胆に攻める。
(ただしそれも闇雲や偶然ではなく、ストーリーでちゃんと予測していることがミソである)
この本が「企業復活物語」だけでないのが特徴だ。
きちんとした「リーダーシップ論」になっている。
「こうあるべき」を実践し、実行した物語。
今の現状を嘆くだけではなく、我々の会社でもやれることがあるのではないだろうか?
まずは現場レベルでもコミュニケーションを密に。
さらに考えられる未来ストーリーを構築すること。
後は実行あるのみだが、状況変化にも柔軟にポジティブに対応すること。
とにかく参考に出来ることは多くあると感じた本だった。
(2020/2/13)
Posted by ブクログ
【瀕死のNOKIAを救ったのは「パラノイア楽観主義」と「シナリオベース思考」】
今から10年ほど前、NOKIAは数兆円の売り上げを誇る世界一の携帯電話メーカーだった。しかし、そのころ内外に渦巻く危機は「正常性バイアス」によりすべて見逃されていた。
スマートフォン化の流れに乗り遅れ、起死回生を狙ったWindows Phoneの賭けも事実上失敗に終わり、企業存続の危機に陥る。
どん底の状態で指揮を取ることになった著者シラスマ氏は「悪いニュースは良いニュースである。良いニュースはニュースではない。」の精神のもと、ありのままの事実と向き合い、「パラノイア楽観主義」を掲げて立て直しを図る。
それは「見落としや落とし穴はないか?」と疑うと同時に「必ず解決策が見つかる!」と確信し、全方位的なシナリオを用意することであった。
Posted by ブクログ
海外の、特にNOKIAの近年の動向について全く知らない状態で読み始めたので、出来事の時系列などを理解するのに苦労した。古い慣習や成功体験に基づいた体制が時代にそぐわなくなり、変革を求められるということはNOKIAに限られたことではないと思うが、そこから淘汰されてしまうか生き残ることができるかは紙一重なのだなと感じた。話の規模が大きくマネジメントの層も非常に高い領域での話だったので、自分に生かせる部分はなかなか見つけられなかったが、世の中は盛者必衰であることを念頭に物事に対処しなければならないなと漠然と感じることはできた。
Posted by ブクログ
ノキアのトランスフォーメーション実現にあたって、 最も重要な役割を果たしたのは、
「起業家的リーダーシップ」
「パラノイア楽観主義」
「シナリオプランニング」
事例が具体的でわかりやすく、臨場感をもって上記の重要性を理解する事が出来た。
Posted by ブクログ
ノキア会長が振り返る2008~2016年の軌跡。なぜノキアがappleに負けたのか。取締役会がどんな議論をしていたのか。マイクロソフト、アルカテル・ルーセントとの大型M&Aのシナリオや交渉の裏側を知れる。CEO同士の交渉内容が赤裸々に記されており貴重。
以下、ネタバレ。お気に入りの箇所。
「どの企業も前方を見るための指標に注目したほうがいい。将来的に起こることと最も相関性の高い過去データを探すべきなのだ。ただし、財務データは最悪の指標の一つだ。顧客満足度などのほうがはるかにいいだろう。」