遠藤真美のレビュー一覧
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ネタバレ行動経済学の逆襲
正統派経済学が数学的モデルを重視するあまり陥っていた誤謬。
エコン(全ての情報を熟知し最良の選択を行う理想的な人)が決定することを前提に立てられた数学的モデルに従ったシミュレーションが政府の施策を決めていたとは・・・
経済のような複雑系の世界では、バタフライ効果でおなじみのように、初期値や入力の微細な違いが全く異なる結果を生みますが、そういったことすら考慮されていなかったこと以上に、人が全ての情報(どうやって知る?)に基づいて最良の選択を行う(見たことない・・・)という前提であったことに驚きました。
著者は経済学を修めますが、経済理論に反する実社会での現象に興味を持ち、心理学と経済学を融合した行動経済学という新しい学問分野を形作っていきます。
この本は著者の年代別の戦いのトピックをまとめたものです。
認知バイアス、サンクコストなど、今では良く知られた理論も昔は異端として厳しく鞭打たれたことが書かれています。
日本政府もナッジの考え方を取り入れて、効率的な制度設計をしてくれると嬉しんだけど。
官僚の皆さん、頑張って下さい。
竹蔵 -
Posted by ブクログ
経済学の知識のアップデートに取り組んでますが、これはかなり面白かった。
リチャード・セイラーは、カーネマンらに続く行動経済学第2世代というべき人で、ノーベル賞を受賞、ナッジなどの概念の提唱者ということで、有名。
この本も10年違く前に出ているのだが、今更ながら、読んでみた。これまで行動経済学関係で読んだ本の中ではベストかな?
基本、彼の学者人生の物語に沿って、彼が研究したテーマなどが紹介されていくわけだが、これが個人史にとどまらず、行動経済学史にほとんどなっているのがすごい。
さまざまな面白いエピソードと一緒に紹介される議論もわかりやすい。日本語タイトルの「逆襲」はちょっと変だが、行動経済学の歴史は従来の新古典派経済学との論争史でもあって、最初、棒うちの刑に処されていたのが、徐々にその主張が受け入れらていくところとあっているかな?
改めて、行動経済学の歴史を辿って思うのは、これはとても真っ当なものだなということ。つまり、行動主義は、20世紀後半の社会科学の本流と言えるもので、それを経済学に取り入れようという話し。なんで、そんなことになったかというと経済学がなまじ抽象的な数学、微分方程式などで厳密に形式化する演繹的なスタイルで科学性を生み出すことに成功したものだから、まずは観察から始まる帰納法的な方法論が批判の対象になったということ。
社会科学では行動主義的な方法論自体が、批判の対象になって久しいわけだが、この半世紀くらいの経済学は数学的な世界から行動主義的な科学への転換を試みていたということなんですね。
大雑把にいうとそんな話しだが、その議論のプロセスが面白い。
ちなみに、著者は本の初めの方で経済人仮説なしでも経済学の大部分は問題なくやれるし、実際の研究の多くは統計学は使っていても経済人的な最大化の原理を使っているわけではないという議論があって、なるほどと思った。そういえば、ケインズ経済学は経済人を前提としていないし、マクロ経済学も統計的なデータ間の関係性を考えるものだから、経済人仮説はいらないよなと納得した。
ところが、本の最後の方で、セイラーは、これから行動経済学が発展してほしい分野として、一番にマクロ経済学をあげていて驚いた。どうも、私がマクロ経済学を勉強していた40年以上前から事情が変わったらしい。つまり、以前、マクロ経済学のミクロ的な基礎づけという話題があったのは記憶にあるが、その議論が進展して、現在のマクロ経済学は新古典派的なミクロ経済学で基礎付けられているらしい。ミクロ経済学の領域が行動経済学に置き換わっていく中で、マクロ経済の方が今や経済人仮説の牙城になっているのかな???
なんとも面白い現象だ。こうなるとマクロ経済学も学ぶ必要が出てきた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ経済学初心者向けの経済学がどんな問題を解決できるかを例示した啓蒙書です。以下は私向けの備忘録です。ーーーーーーー
★貧困について:貧乏な人に条件をつけずに(生活保護ではなく)一定のお金を配ることで、人々の生活は良くなり、健康を維持できる(平均的に)お金の欠乏から救って処理能力を上げてやることで貧困の罠から抜け出せる。
・人は同じものとして扱うべきという考え方は、アダム・スミス、ジョン・シュツ ワート・ミルの時代の経済学の考えの要である。
★育児について:「添い寝」が乳幼児突然死症候群のリスクを少し上げる。喫煙と飲酒は絶対に避けるべき。
★気候変動を食い止めるには:うまく設計されたピグー税(負の外部性を生みだす対象に課す税金)を課すことにより」、税収入を負の外部性を与えていない人に配ることで世の中の効率が上がる。
★悪い行動を変えるには(児童婚、女性器の切除、野外での排泄):変化の4原則が必要①メッセージを共通の知識にする(みんなに一斉に話す) ②新しい解決策が自分たちのためになると知ってもらう ③規範的期待に働きかける。行動をいままでと変えても罰がないことを知ってもらう。 ④トレンドセッターを利用する。ほかのすべての人に従うのではなく、自分が正しいと思う行動で示して、それを他の人達がまねしたくなるようにする。
★必要なものを必要な人に届けるには:欲しがっている人とあげたい人の情報をクリアリングハウスで得て、その情報を元にトレーディング・サイクルを作り欲しがっている人、あげたい人の輪を作る(例:腎臓の臓器移植)
★謙虚になるには:自身過剰にならないこと。①私たちが良く間違うということをエビデンスと突き合わせることでよく理解しておく ②間違っているかもしれない理由をじっくりと考えるようにして、他人にもそうさせる。 ③意思決定する環境を変えて、自信過剰に陥りにくくする。
★お金持ちになるには:①できるときに貯金をする ②個別の資産ではなくインデックスファンドに投資する。 ③借り入れは慎重にする ④スキルを磨く
★コミュニティを作るには:共に暮らす人が直面している問題がまだ解決していないときは「制度」を作るのが解決策になる可能性が高い。
・コミュニティの制度の8つの要素:①明確な境界 ②ルールと地域の条件との調和 ③集合的選択の取り決め ④監視 ⑤段階的な制裁 ⑥紛争解決のメカニズム ⑦制度をつくる権利の最小限の承認 ⑧入れ子構造 -
Posted by ブクログ
たぶん普通のひとの経済学のイメージが変わる本です。
経済学は「世界をよりよいところにし、人間の繁栄を促進する」学問で、そのために実証的なエビデンスに基づいてベターな(唯一の、でも、必ず成功する、でもない)方法を提示します。
本の目次の一部ですが、「しあわせになるには」「謙虚になるには」「貧困をなくすには」(政策的なアプローチ)「お金持ちになるには」(個人としてのアプローチ)、そして「世界を救うには」という章のタイトルは、経済学がエビデンスに基づいてどれほど幅広い提案ができるか、そして、私たちがどれほどいろいろなことに活用できるかを示していると思います。
目からウロコの一冊でした。 -
Posted by ブクログ
2050年の世界とは。見えない世界を、できる限りのサイエンスの力で予測する。とはいえ、予測は当たらない。だからこそ、その輪郭を示し、それに備えることに意味があるとしている。
社会のあり方はどのように変わるのか、ベルリンの壁はなくなり、中間層の経済圏がどこの国でも出てくる。インド、中国が、西洋の生活を羨ましく、そうなりたいというエネルギーが消費を促していく。
政治と経済は分離すべきという西洋の考え方を大きく飛ばして、中国は政治的な経済的成長を西側諸国に向かって伸ばしていく。権益取得、中国という国自体の繁栄のために、政治が経済を動かしていく。
各地域、各国の分析も非常に広いが、示唆に富む。日本は、経済成長を止めた、平均寿命が最も高く、清潔な都市、素晴らしいサービス水準、しかも高齢化と戦う最初の先進国だ。しかし、国民が、失われた20年の後、経済的な豊かさを放棄すれば、高齢化、つまり十人の労働力が七人の老人を支える構図を受け入れることで、別段困らないのではないかと記載されている。非常に面白く、日本はそれを受け入れそうな気さえする。インドは、自信を持った優秀な人材を多数輩出し、テック企業に供給する。国家の成長は確実で、周りのバングラ、スリランカなどが政治の問題でずっこけているがどう立て直すか。アメリカは、経済成長が先進国で唯一高い、それは人だと。優秀な人を作り上げるエコシステム、移民を惹きつけ続ける都市の魅力がある。経済的な立ち位置は、インド、中国の対等によって下がるが、引き続き中心にいるだろう。
地球への負担を減らす術は見つかる。これが著者マクレイ氏の主たるポイントの一つだ。ESGという言葉で投資行動は変わった。再生可能エネルギーの重要性も確実に増している。先進国が、老いることで消費量が減る一方で、若い成長国、アフリカなどが消費する。これをどのようにコントロールしていくか。そして、懸念点として、自然災害などによる、簡単には動かせないフィジカルな首都機能の低下を挙げている。もう一つの最大の課題は気候変動だ。貧困をなくせば、それだけエネルギーを使う人、家族が増えるからだ。気候変動という課題、2050年までに気温上昇を1.5度に抑えるという目標をどのように貫徹するか。一個人、一企業、国という単位では、到底難しい課題にリーダーシップが必要だと思う。国連でも、なんでもいい。ただ、日本という国の生活様式にヒントがあるとすればそれを輸出することも可能だろう。
要すれば、2050年の世界を予想することなんて最初から無理だ。でもそこに叡智を集めれば、そのより良い世界へのヒントが生まれてくる。AIもその一つだ。一方で、さらなるリスクとして、中東情勢の悪化、宗教対立、情報革命の罠などを挙げ、世界第3位の経済大国にインドがなることを前提に、その中で英語圏のトップであるアメリカが引き続き存在感を持つこと、アフリカが無視できなくなること、オーストラリアとニュージーランドが豊かな国として認められることになること、などを指摘している。
いずれにせよ、世界が2050年により良いところにあるように、我々世代は責任と決意を持って変える。その動きを、本当にやる。そして、多くの人に影響をもたらす動きを作り出す必要がある。 -
Posted by ブクログ
220312 イノベーションうんちく集、秀逸 超見識
天声人語に通じるものがあるがレベルが違う
町の床屋談義と世界の教養、この差異はなんだ 英国の見識
外岡秀俊さんに尋ねたかったところ
1.生産性のパラドックス=イノベーションは経営改革
ロバート・ソロー「コンピュータは生産性を改善していない」(1987)→経営改革・社会改革が必要(138)
2.貨幣とは債務 信頼と交換のシステム 「情報」
3.複式簿記と管理会計
①業績を測定②ベンチマーク活用③目標を設定
④計画を策定⑤遂行状況の管理
⇒組織のVISIONを実現するための道具
不正対策 透明性と説明責任
→マッキンゼー戦略経営コンサルタント
4.有限責任株式会社
巨額の資本調達 大航海時代 鉄道・鉄鋼・電力
直接責任のない経営者には「不正の誘惑」
→国家が損失を埋める時代
exリーマンショック 日本のバブル崩壊
資本主義経済の宿命 ダウンサイドリスクの負担
5.所有権オーナーシップ
1978鄧小平アップサイドリターンを許容=疑似所有権
収穫量は大増産 モチベーション!
資産 所有している有用なモノ
資本 金融システムが認識している資産
ex不動産登記システム→Digital化 透明性とスピード
6.保険システム 賭博か科学かビジネスか
人数 殺人 戦争の英雄