遠藤真美のレビュー一覧
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従来の経済学は理論的には正しいのだけど、なぜか現実はその通りとはならない。何故なのか。現実の経済を動かす人間は理論的というわけではないからです。心理学を援用し、そのエビデンスを集める著者は、いよいよ仲間を集めて行動に移されます。下巻では本丸の経済学と闘い、世の中にも影響を与えていく過程が描かれます。行動経済学という言葉が違和感を持たれなくなり、政治の世界にも協力を求められるまでになります。そのうえで著者達の挑戦は次の段階に向かいます。理論とおりにいかない経済学、ではどうしたら良いのか。「ナッジ」という考え方。それを使った具体例まで。著者の半生を追いながら、楽しく行動経済学について知ることが出来
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きっかけは、仕事先の部長の「ナッジを見てうまく使いたい」という言葉に、「ナッジ??」となって、検索して手に取ってみた。
「ナッジ(小突く)」という言葉の生みの親である、リチャード・セイラー氏がこの本の著者。本の構成は、セイラー氏の提唱する行動経済学が、それまでの経済学派からの攻撃を受けながらも実証を元に認知されていく過程が、いくつものストーリーで展開されていく。ページ数で行くと約500ページあり、章立てで行くと33章あるので… お腹いっぱいになる。
この本を読む個人的な動機が、次回部長にあった時に、ナッジの意味を理解しつつ、提案をすると言う事だったが… この本で言われている例は、「駐車違 -
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なんて凄い本だ。あらゆる人に読んでほしい。政策立案に関与する人には特に読んでほしい。
【以下のレビューにネタバレあり】
筆者はグローバリゼーション進展を、①モノの移動コストの低下、②アイデアの移動コストの低下、③ヒトの移動コストの低下の三段階に区分し、産業革命は①を引き下げることで世界に「大いなる分岐」をもたらしてG7の発展につながり(第一のアンバンドリング)、近年のICT革命は②を引き下げることで世界に「大いなる収斂」をもたらし、その結果世界では途上国が急速に成長しているとする(第二のアンバンドリング)。
第二のアンバンドリングにおいては、競争力の源泉は国ではなく、企業やサプライチェー -
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2017年ノーベル経済学賞受賞者、リチャード・セイラーの自伝的行動経済学解説。心理学者リチャード・カーネマン、エイモス・トヴェルスキーとの出会いから、最新の行動経済学の成果まで、著者自身が切り開いてきた行動経済学約40年の歴史を辿る。
すべての人間が合理的に、自分の利益を最大化するように行動するという前提を置く主流派経済学では現実の世の中で人間が実際に取る行動を説明できないことに気づいた著者は、心理学の手法を応用した実験を積み重ね、その結果を根拠に理論を組み立てる行動経済学という新分野を確立した。
行動経済学の主張は主流派経済学の主張と相容れない部分が多く、長い間異端とされた。しかし、少しず -
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ネタバレ金融危機前後の期間にイングランド銀行総裁を務めた著者による、政治経済の大局的視点からの金融政策の諸問題と、持続可能な経済システム構築に向けた提言の書。極めて長大でスケールも大きく、読み進めるうちに見当識を失いそうになるが、全編を通じて「不均衡」「根源的な不確実性」「囚人のジレンマ」「信頼」の四つの概念が軸になっておりブレがなく、理路整然とした論調は読んでいて清々しい。現在の先進国の金融政策が持続可能でないばかりか、新たな危機の火種になりかねないというのは自分の直観に沿うところでもあり、それを極めて精緻に言語化してくれているという意味で稀有な書だった。将来に向けた提言は主に金融政策上のルール構
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従来の経済学は最強の社会科学らしいのだが,偽なる前提から始まる論理体型体系なので,何を言っても真なので,およそ科学とは言えない。このとんでもない経済学をまともな学問にしようとしている流れの一つが行動経済学。とんでもなく間違っている従来の経済学の理論の馬鹿さ加減が分かる。こんな人たちが政策に口出ししていいのだろうか?
マクロ行動経済学というのが必要なのだが,これはなかなか難しいらしい。
原題は MISBEHAVING The Making of Behavioral Economics なのだが,なぜ「逆襲」になるのか意味不明。編集者?訳者?どっちがこんな日本語タイトルにしたの? -
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ノーベル賞獲得者は考えることがやはりすごいなと思った。経済学をこうもわかりやすく、センスの良いユーモアを交えながら楽しみながら学ぶことができた。訳者もすごいと思った。久しぶりに経済ジャンルの読書で良書に出会えた。
人は自分にとって最適な行動をする、常にそうありたいの願っていながら、数時間後には目の前の誘惑に負けて頭の中の計画者が立てた計画を無視して、目の前の効用を獲得してしまう。なるほど、ほぼ毎日心当たりがあるなと感じた。著者が行動経済学における観察・研究を行っていく時間の流れに伴走するかのごとく読めて、楽しかった。後知恵バイアス、限定合理性、保有効果、ハウスマネー効果、確証バイアスなど、理想 -
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本書は、経済学のさなざまな法則が書かれていて、経済学の発展を説明する。経済学を知らない私にとって、経済学入門書となる。
リチャード・セイラーのテーマは、経済学における「命の価値」である。本書は、時代ごとに、セイラーがどんな課題に取り組んでいたかということが整理されているので、行動経済学の学問の変遷がよくわかっていい。
セイラーは著書『逆襲の行動経済学』において、経済学の前提となっている「人間は常に合理的である」という考え、すなわち標準的な経済学の理論に疑問を投げかけた。
セイラーがダニエル・カーネマンとおよびエイモス・トヴェルスキーの理論に驚愕したのは、その理論が人間の不合理な判 -
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人間の意思決定には バイアスがある
「選択アーキテクト(選択の設計者)」:人々が意思決定する文脈を整理して示す責任を負う
医師も書式やウェブサイトを作る人もセールス担当者も親も選択アーキテクト。
中立的な設計などない あらゆることが重要な影響を与える。
計画の錯誤:必要な時間を過度に楽観的に見積もる
現状維持バイアス:惰性。人はいくつもの理由から、現状維持するかデフォルト(選択する人が何もしなかったら選ぶ選択肢)の選択肢に従う強い傾向
(例 スマホはデフォルト設定のまま)
「アンカリング」 アンカー(自分が知っていることなど)を出発点として 影響を受け、調整して考える
「リア -
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Posted by ブクログ
2024/01/23
25年後の世界ってどんな風になっているのだろう、と思い。
目新しいことはほとんど何もなく、そりゃあ今こうなんだから当然その予想になるでしょうな、っていう内容が大変多かった。
でもよく考えたら、今ある状況の延長に2050年があるのだから、今我々が持っている情報からかけ離れた突拍子もない未来が提示されるわけが無い。
突拍子もない未来が訪れる可能性はゼロではないが、それよりも現状から地続きの未来が待っている可能性の方が限りなく高い。そういう観点で読むと、日本は今も2050年も平和な国であり続けるし、閉鎖的な国であり続ける。
後は、未来予測としていちばんわかりやすい情報 -