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Posted by ブクログ
こんなノンフィクション書籍は好きだ。それを思い出させてくれた一冊。
行動経済学の成り立ちが、その学問を成立させた著者の視点から語られる。
これまでの経済学と異なる「行動経済学」という分野がどのように形作られていったのか、そして、みずから立てた仮説がどれほど現実世界を予測するのに有効かを、著者がさまざまな実験的手法で客観的に調べる様が描かれている。
考え方を変えるきっかけとなったのは、これまで経済学的に考えて意思決定とは無関係だと考えられてきたことだった。
たとえば、NBAの試合のチケットを高額で手に入れた人は、たとえ会場が車で1時間半かかり、さらには当日吹雪であっても、損をしないように試合を見に行こうとするかもしれない。
しかし、経済学者の考える消費者モデルは、そのような非合理的選択はしない。チケットを手に入れるために支払った対価は、試合を見に行くか行かないかという選択に影響を及ぼさないはずなのだ。なぜなら、試合を見に行こうが行くまいが、支払ってしまった対価は増えたり減ったりすることはないからである。
経済理論に基づく予測の精度を高めるため、著者は似たような事例を「おかしな行動リスト」としてまとめ、それはやがて「行動経済学」として世に出る理論の最初の礎となったのであった。
Posted by ブクログ
それまでの経済学の概念ではありえない現実を解き明かすために生み出された行動経済学。生みの親である著者が、その挑戦の人生を面白おかしく語られた自伝とも言えるものです。他の経済学者と違いぐうたらと語る著者は、最初に疑問に感じた学会の常識に、あきらめず愚直に挑戦する芯の強さを発揮されます。その信念が、同じようなことをしている仲間を見つけ出し、一つの成果を形作っていくところまでが上巻の内容になっています。ある程度の権威を得たところで、この世界の常識と向き合うことになるのですが、、、というところまで。
人間が行うことなので、シナリオ通りに功利のみ追求する結果にはならない。それは何故なのか。どうすれば分析できるのか。ヒントは心理学なのか。シミュレーションされた人間は「お金」のみに功利的に振舞いますが、「お金」がすべてではない私たちには当てはまらないものがあるということについて気付かされた部分がありました。
Posted by ブクログ
・プロセペクト理論の鍵となる予測は、人は利得よりも損失に敏感に反応する。
・スタンレーは自家の芝刈りに、10ドルのバイト代がもったいないからバイトを使わない。でも隣家の芝刈りを20ドルでやるかと聞いたら「するわけないだろ」と答える。
・次の①②は同じ設問なのに、選択が異なる。損失にはギャンブルするが、利得は確実なものを選ぶ。
①300ドル貰えた上で、次のどちらを選ぶか。
A)確実に100ドル貰える(74%)
B)50%確率で200ドル貰えて、50%確率で何ももらえない(26%)
②500ドル貰えた上で、次のどちらを選ぶか。
A)確実に100ドル失う(36%)
B)50%確率で200ドル失い、50%確率で何も失わない(64%)
・300マイル運転する場合、時速70マイルで走れば時速60マイルよりも43分早く着く。ならば試す価値あり。では、あと30マイルしか残っていないときは、4.3分しか早くならない。ならばやめるか。そうなると、スピードをゴールが近づくにつれてスピードを緩めるべきなのか。
・負けが込むと、損を挽回しようと行動する。例えば、競馬の最終レースの大穴のオッズは下がる(みんなが大穴を狙って挽回しようとする)。普段はリスク回避的なプロのトレーダーも負けが込むと最後の四半期に大きなリスクをとりにいく(そして大損を負わせるごろつきトレーダーになる)。これらが、プロスペクト理論の証明となる。
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