鈴木大介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ親が政治的に偏った発言をすることが多くてコミュニケーションに困っている人にオススメの1冊
2026年現在でもX等SNSではネトウヨによるバカバカしい荒唐無稽な陰謀論が目立つ。SNSで過激な発言をするネトウヨは中高年が多い印象を持っているのだが、本書の「ネット右翼になった父」というタイトルを見て、父親があちら側の世界に行ってしまい家族が崩壊してしまう有り様が書かれているのかなと興味を持ち購入した。(ちなみに私はパヨクも大嫌いである。私の嫌いなネトウヨやパヨクは、学習することを怠り、都合のよい情報だけ鵜呑みにするなどファクトチェック機能皆無で、思想が合わない人間を叩くことしか考えないという人を指す。)
序盤は、筆者の父が商業的右翼コンテンツに毒されてヘイトスラングを多用するようになり、そのせいで父と十分なコミュニケーションを取れずに死別してしまったという後悔の念が書かれているが、「筆者の考え方が左寄りだから過剰に右派コンテンツのせいにしてないか?」と感じ、読むのを辞めようかと思った。
しかしもう少し我慢しようと思って読み進めたところ、筆者の父が右翼的な発言を多用することになった背景を著者が精緻に分析していくという展開になるのだが、ここから個人的にはとても面白くてあっという間に最後まで読み切った。筆者の父が過激思想を持っている変人なのかと思いきや、紐解いていく内に、生まれ育った時代背景や仕事での経験等が晩年の筆者の父の人物像を作り上げたことがわかる。
筆者は父とわかり会えないまま死別したことを後悔しており、存命中の親とコミュニケーションが分断して苦しんでいる人に向けての後悔しないための指南書ともなっている。自分は親とフラットにコミュニケーションができている方だと思うが、親がさらに年齢を重ねて価値観をアップデートできなくなったとき、分断が生じる可能性もある。その時は、こちらも感情的になって親を嫌悪するのではなく、親がそのような思考にいたるプロセスを冷静に分析し、コミュニケーションを怠らないようにしたい。 -
Posted by ブクログ
ネット右翼、という言葉には若干の疑問が湧く。
インターネットの情報に深くのめり込んでいってしまった、という著者の父とその父の死後、父がどうしてそうなってしまったのかを巡る物語。
最後は普通に感動した。
が、自分も考えは保守よりなので著者の父がおかしな考えに傾倒しまくっていたかと言われるとそこまでは感じなかったな。まあ、強めのエコーチェンバーには陥っていたんだろうけど。
これはネット右翼に限らず、コロナ禍以降に親が陰謀論信者になってしまったとかそういう話も多くあるからその一端だよね
ただ、周りにこういう話に付き合ってあげられる人がいなかったというのが問題なのかも。何かを主張する場合は、自分と正反対の人たちの考えも聞かなければいけないね。
著者はこの父が使う差別用語に激しい嫌悪感を持っていたようだけど、そこは同感。
思っていても言葉として口に出してはいけない事の一線を超えてしまったところがいけなかったんだね。でも、それに対して「それは言っちゃダメだよ」って言える人が身近にいなかったんだよね。なんだか少し悲しい話だったな。
自分の父に会いたくなったよ。 -
Posted by ブクログ
印象的なタイトルから「ネット右翼」というものが主題なのかと思っていたのですが、どちらかというと重点は家族との関係の方にあるなというのが読後の印象です。「父は本当にネット右翼だったのか?」という観点からそもそもネット右翼とはどのようなものかを丁寧に検討したり、父の生前の発言や価値観を家族や知人へのインタビューなどから掘り下げていく過程が描かれているので、もちろんそこではネット右翼というものについても様々な考察が行われており、そこも興味深く読んだのですが、最も印象的だったのは、著者の父とはどのような人物だったのかという見方が、著者と姉、母で大きく違っていたということや、父をネット右翼認定してコミュニケーションを断ってしまったことの背景には著者自身のネット右翼的なものへの固定化した偏見や認識があったということに丁寧に向き合っていく過程です。なかなかツラい作業だったと思いますし、なかなかこうした苦しい内省の過程や内容は親しい人にも明かされるものではありません。よくぞ書籍にしてくださったなと思います。