鈴木大介のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
タイトルにインパクトがあったためずっと気になっていたが、もっと早く読めば良かった、、、
前半は筆者から見て晩年ネット右翼化した父を死後振り返ることにより、現代におけるネトウヨや、右寄り左寄りの思想とは何か、が考察されている。どんな経験や世代の問題がその人をその思想に至らしめるのか、ということなどが考察されており、めちゃくちゃ興味深い。
自分も含め「ネトウヨ」や「リベラル」という言葉に漠然としたイメージしか持っていない人が多いと思うが、実はそれらは本格的な保守派や左翼の思想とは程遠いということや、どういう発言それらの思想の持ち主と判断されるのか、ということが整理して書かれている。どことなく現 -
Posted by ブクログ
私自身、つい最近アラフォーに差し掛かった。父は60を過ぎて早期定年退職を迎え、最近はYouTubeで色んな動画を見漁り、まさしく「ネット右翼」とも取られるような発言をしてしまうことが増えてしまった気がする...。
そんなことをぼんやりと思っていた矢先に出会った本書。
なんだか少し読むのが億劫で4ヶ月ほど寝かせてしまっていたが、読み始めたらあれよあれよと一気読みしてしまった。
「コンテンツの摂取とは、食事によく似ている」という一文に恐ろしい程の共感を得た。
読み進めて終盤に差し掛かると、自分でも驚く程に涙が止まらなくなってしまっていた。
父との向き合い方を再考させられるとても良い一冊だっ -
傑作
77歳で末期がんによりこの世を去った父は亡くなる直前にネット右翼になっていた。
父の使う韓国中国人やマスメディア、シングルマザーなどの貧困層へのヘイトスピーチやスラングに心を痛めていた著者は父と最期まで本音で語り合えずに今生の別れを迎えてしまった。
好奇心旺盛で流行り物に飛びつくのでなく「自分で考え自分で選べ」が信条だった父がなぜ老後ネトウヨになってしまったのか、を仮説を立て親族や地域コミュニティの人々に話を聞き検証して、また推論していくノンフィクションストーリー。
その果てに待っていたのは著者自身のネット右翼への憎悪と過敏すぎるアレルギー反応による父への誤解、父の一部の言動に過剰に反応し、父 -
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岡田斗司夫さんの話を聞いて。「最貧困女子」と「貧困と脳」をセットで読んだ。
「最貧困女子」の取材対象が抱えていた不自由が、自分に降りかかった体験記。最貧困女子では取材対象に対してリスペクトはしていたものの、「どうしてこんなことができない?」という気持ちがやはり心のどこかには存在していたという。それが、自身が病気を患って同じ立場になったことで、「最貧困女子」を書いていた時には分からなかった彼女たちの気持ちや状況が身をもってわかった、という内容。
同じく俺も、「どうしてこんなことができない?」という気持ちを、「最貧困女子」で抱いた。そしてその気持ちで「貧困と脳」を読めるから、自分の身にも起こるか -
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『老人喰い』は特殊詐欺に関するノンフィクション…らしいが取材を元にフィクション化されている不思議な本。
この本に登場する特殊詐欺グループのメンバーはほぼ20代の若者。詐欺グループに入るきっかけは様々だが、彼らは「新人研修」で古参メンバーからある洗脳教育を施される。いわく、若者は経済的弱者、詐欺の対象である高齢者は経済的強者。弱者が強者から奪うことに良心の呵責を覚える必要はない。「老人こそ日本のガンだ」云々。
詐欺の対象となるのは資産がある、過去に詐欺被害に遭っている、単身である、親族と疎遠である等の属性の高齢者たち。詐欺メンバーは金を持っている高齢者からのみ奪っていることを免罪符にしているが -
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リアル本にて。
引退後ネット右翼特有のスラングを口にするようになった父親に対して、逝去したあとになぜ父がそのような行動を取るようになったのかを、家族・友人等へのヒアリングをもとに考察したルポ。
政治的な主張に伴う分断を感じる機会が増えている昨今、イデオロギーの異なる家族と家族で居続けるためのヒントのようなものを求めて、この本を手に取った。
本書で紹介している対策自体は、取り立てて真新しいものではないかもしれない。認知バイアスを取り除いた上で、相手をできるだけ具体的に客観的に把握し、差分だけでなく共通点にも注目しよう、ということで、ともすればアンコン研修で説明される内容に近い。ただ、著者ご本人が -
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手にとる前は、親子なのかと思ったが、違った。患者と主治医なのかと思ったが、これも違った。
鈴木大介氏はルポライター、41歳で脳梗塞を発症、高次脳機能障害をもつ。鈴木匡子氏は高次脳機能障害の専門医。ふたりの対談で構成されている。
病巣は右半球、頭頂葉と前頭葉にかけての一帯。顕在化した障害は、作業記憶の低下、注意障害、談話障害、感情障害など。なんといっても本書の読みどころは、当事者のなまの声、いわく言い難い、どうにも表現しようのない、もどかしい障害の状態が表現されている点。しかも、言おうとしていたことがすぐに霧散してゆく。
医者も、研究者も、リハビリのスタッフも、ふつうは概念や外から見た病態から入 -
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「真の弱者は救いたい形をしていない」とはどういう事かの詳細解説みたいな本。
本文にもあったが、知性や精神に重い障害を持つ人と関わった事の無い層には到底信じられない世界だしにわかには受け入れ難い内容だと思う。
知的ボーダーや精神疾患持ちの方と深く関わった事がありそれなりに理解がある方だと自負している私は「分かるー!」の気持ち良さと、あまりの深淵の深さに「ぇえ…」の困惑の連続で感情の交互浴が凄かった。
特に、
『彼女らは本当に、救いようがないほどに、面倒くさくて可愛らしくないのだ』
の部分は、あまりに実感として“理解る(わかる)”ので唸ってしまった。
この本がシンドくて読みきれない方は、「みぃち -
Posted by ブクログ
私は子供の頃から「日本に生まれただけで幸せ」と言われてきた。
それは疑いもなく事実だと思う。
しかしながら、その幸福が誰にでも平等に享受できるものではないのだと、強く全ての日本人に理解してもらいたい。
多くの人がセックスワーク(性風俗や違法の売春まで)を行う人を、「楽して稼ごうとしている」とか「自分を安売りしている」などと忌避するだろう。
たしかに、本書でもそう言った気軽な思いで参入する一般女性も描かれる。
しかし、彼らは「貧困」でさえない。
「貧乏」と「貧困」は異なるのだ。
さらには本書で定義する「最貧困」とは、存在さえ不可視化され、ほぼ全ての日本人が知りもしない、想像もできないほどの、目