鈴木大介のレビュー一覧
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世の中には詐欺を生業としている人がいる。そのような人たちがどんなモチベーションで詐欺を行っているのか(特にどのように罪悪感を克服しているのか)、そしてどうしてそのような人たちが世の中からいなくならないのか、ということに迫ったルポ。
全体的に強烈。軽くカルチャーショックですらある。世代間格差とそのルサンチマンについては共感できる。それでもいろいろ引っ掛かりはある。若者が金持ちになるのは悪ではないのか(この詐欺師たちもそうだが)とか、そもそもこんな社会を作ったのは老人たちなのだから老人が悪いということになっているが、いやいや社会なんて意図して作れるわけないじゃんとか。じゃあ誰が責任を負うのかとな -
Posted by ブクログ
脳梗塞を起こしたジャーナリストによる、高次脳による後遺症をはじめとする体験を文字にしたもの。後遺症がいかに苦しいか、どのように感じているか、当事者の感覚を上手く言語化している。後遺症の症状が、以前に取材をした相手の発達障害や鬱病をはじめとする精神疾患・障害と似ており、それら当事者の感覚を代弁しているといえる。参考になった。
「原因が脳梗塞だろうと何(精神障害など)だろうと、結果として「脳が壊れた」状態になっているならば、出てくる障害や当事者感覚には多くの共通性や類似性があるようなのです」p9
「鈴木君さあ、リハビリってのはさあ、あの、なんつうか、そうそう、駄菓子屋のくじ引きなんだよね。駄菓子 -
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なかなか気合いの入った本でした。
裏社会ライターの中村淳彦と鈴木大介の対談本です。
介護を筆頭とした壊れてる産業、ブラック労働で時間と賃金を取られるより、裸になった方がマシという選択になる時代。
ただそこに単に短時間で稼げるという意識でスペックが高い女性が加わり、裸になっても稼げない女性が出てくる時代になってるようです。
性を売るというのはかなり特殊な女性ととらえてましたがそうじゃないみたいです。
2003年の労働者派遣法の改正を機に普通の女性だらけ。
誤解しちゃダメなのが風俗してるからって貧困層ではないということです。
風俗以外に行く場所がなく、そこから弾かれた女性。それが最貧困層。
社会 -
Posted by ブクログ
自称B級ライターの鈴木氏と中村氏が、セックスワーカーへの取材で気づいた貧困についての対談。
熱く語る鈴木氏と、合理的に客観的に(時にはものすごく堅気に)突っ込みを入れる中村氏。このコンビの対談だからこその面白さ。同じ貧困に出会っている2人だが、それぞれの向かう方向や思想も異なる。
なんとなく、今までも社会保障は「本当に手を差し伸べるべき人に届いていない」感じがしたのだけれども、ほんとに届いていないようだ。
そうして取締りに関しても、弱者の逃げ道をふさぐ方向になっている。
かといって、取り締まりを行わない場合、それはそれで困る人が居たのだろうと思おう。平等に幸せになるな
んてことは起 -
Posted by ブクログ
振り込め詐欺の被害額は年間約500億円。被害者の8割が60歳以上の高齢者。
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取材の中でとにかく痛感したのは「詐欺に遭う側が愚かだ」とあう言説がいかに愚かかだ。そうではない。騙す側が、圧倒的に洗練されているのである。
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詐欺は、最悪の犯罪ではないって言葉が印象的。
貯金ゼロの人間を騙して無価値なものを200万円全額ローンで売るのと、貯金2千万円の人間を騙して200万円を奪う。犯罪は後者だけど、なんとなく前者の方が悪い気がする。
詐欺組織はすごく組織化されてて、株式会社のよう。捕まるのはほんとにとかげの尻尾だけ。その人は上の人をそもそも知らないから、上の人は捕まりようがない。 -
Posted by ブクログ
老人喰いというのは、振り込め詐欺に代表される高齢者をターゲットとした詐欺のこと。
本書は、騙される側ではく騙す側の事情を取材したルポ。
驚いたのは、詐欺をしている若者たちの素性である。
彼らは不良とばかり思っていたが、実は大卒の普通の若者もいる。
そんな彼らが何故詐欺に手を染めるのだろうか。
一つには現場の洗脳がある。
いかにも詐欺は大した犯罪ではないかのように言いくるめられる。
お金を持っている人から搾取することと、貧乏人から搾取することどちらが悪いかとか、富の再分配とか、「貯金ゼロの人間を騙して200万円のローンを組ませるやつがいる。テレビを見てみろ、効くかどうかも分からねえ怪しげな健康食