鈴木大介のレビュー一覧
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実は、先日ADDと診断された。注意欠陥、遂行機能障害、作業記憶の低下…この本に書かれている言葉を使えば、これらの症状が第二子出産後に顕著になった。私と、夫との間において「障害」となった。辛かった、どうにもできないで、責めて泣いて自分をコントロールできなくなった。改善策に処罰を用いる夫に、その冷酷さにストレスが半端なかった。夫も私も、被害者だったし、加害者だった。診断後、ホッとした。この本を読んでも、ホッとした。それくらい、愛情に満ちた本だった。沢山泣けてきた。自分を俯瞰して見れた。自分が言葉にできなかったことを、表現してくれていた。私も夫と夫婦革命を、していけるだろうか。そしてもうひとつ消えない悩みは、息子の育児。おそらく彼も多少なりとも発達のアンバランスがあるタイプ。私との相性がすこぶる悪い。今、今日この一言に緊張している自分と、より一層歯止めが利かず怒鳴ったり、怒ってしまう自分と。愛する息子への関わり方は、考えていかなければいけないなと。
著者、鈴木さんの夫婦生活による気づきが、彼の知識と見解によって俯瞰的に解説されていて、私自身も、自分ごとで涙したり、これはこういう特徴だったのかと冷静に受け止められた。ぜひとも夫に読んで欲しいけれど…叶うのだろうか( ̄▽ ̄) -
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若くして高次脳障害になった著者のリハビリによる回復の記録は貴重なのではないか。粘土の中からおはじきを取り出すリハビリがいかに難しかったか、両手に荷物を持ってしまうと他のことができなくなってしまうことのはがゆさ、リハビリは感動の連続、やがて著者はこれまでの取材対象者が脳を壊していたことに気づく。老人だけではなく若い人にも作業療法士による脳のケアを、こんなこと当事者にしかなかなか気づけない。
「音楽で泣ける感受性を失ったらどうしよう?」と心配していた著者だが、レディガガのBorn This Wayを聞いただけでボロボロと涙が出るようになり、妻との関係も自分の性格も前とは変り、「脳梗塞になって良かったと思えるほどの(以前の自分の考え方の)欠落に気付いた」とまで言う。
「高次脳障害者には助けが必要か聞かずに助けてほしい。”大丈夫?”と聞けば彼らは“大丈夫”と答えてしまう。」著者の友人夫妻は心配して敢えてアポイントなしで自宅に来てくれ、本当に助けになったという。 -
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世の中には詐欺を生業としている人がいる。そのような人たちがどんなモチベーションで詐欺を行っているのか(特にどのように罪悪感を克服しているのか)、そしてどうしてそのような人たちが世の中からいなくならないのか、ということに迫ったルポ。
全体的に強烈。軽くカルチャーショックですらある。世代間格差とそのルサンチマンについては共感できる。それでもいろいろ引っ掛かりはある。若者が金持ちになるのは悪ではないのか(この詐欺師たちもそうだが)とか、そもそもこんな社会を作ったのは老人たちなのだから老人が悪いということになっているが、いやいや社会なんて意図して作れるわけないじゃんとか。じゃあ誰が責任を負うのかとなったら、やはり上の世代しかないとは思うけども。個人的には最終的に諦念が残った。
一つ良い諦めもあった。「電話口で詐欺だと相手にバレたとしても、金は取れる」という衝撃の話が出てくるが、これを読んで自分や家族が詐欺に遭ったらどうしようという気持ちは消え去った。こんなもの太刀打ちできるわけない。そのときはそのときだ。 -
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脳梗塞を起こしたジャーナリストによる、高次脳による後遺症をはじめとする体験を文字にしたもの。後遺症がいかに苦しいか、どのように感じているか、当事者の感覚を上手く言語化している。後遺症の症状が、以前に取材をした相手の発達障害や鬱病をはじめとする精神疾患・障害と似ており、それら当事者の感覚を代弁しているといえる。参考になった。
「原因が脳梗塞だろうと何(精神障害など)だろうと、結果として「脳が壊れた」状態になっているならば、出てくる障害や当事者感覚には多くの共通性や類似性があるようなのです」p9
「鈴木君さあ、リハビリってのはさあ、あの、なんつうか、そうそう、駄菓子屋のくじ引きなんだよね。駄菓子屋にあるだろ、壁に引っかかってるくじの束が。あれ、これかな?これじゃねーだろ、こっちかな?ってかんじで、あちこち手当たり次第に力を入れてみて、指動かそうとしてるのに足が動いたり顔が引きつったりするでしょ。そんで駄目でも片っ端から試してみて、それでも全部はずれくじで、その挙げ句に「ようやく動いたあー」っていうのが、アタリくじ。で、いっぺん当たったら、そのアタリくじを何度も引いて、場所をおぼえちゃって、一発でアタリ引けるようになるっつうのが、リハビリなわけ。分かる?」p54
「本当に、所詮人間なんて、電気信号で動く高精度の機械に他ならない。手を開こうとすると、おしっこが出そうになるなんていうのは、断線や短絡箇所のある自動車のハーネスに通電テストをしているような感覚だ。ヘッドライトの配線に通電しようとしたら、やだもーブレーキランプが光っちゃった、のような」p56
「ボールもまともに投げられないくせに生意気な発言をする子供は、あっという間にイジメの対象になってしまう」p78
「(貧困者)役所に提出する所得証明などの書類の説明や、書き込みが必要な申請物などの説明を始めると、高確率で気絶するような勢いで寝るのだ。公的な書類などを用意しても、5行読めればいい方で、音読してあげてもさっぱり頭に入っていかないようなのだ(著者も後遺症で同じ体験をしている)」p79
「ふらつく足で病院内の売店に向かい、レジで小銭を出そうとすれば、目のピントが合わずに小銭は二重に見え、指は思うように動かずで、遅遅として狙った数の小銭を出せない。小銭を手に持ち続けるための集中力すら維持できず、一枚二枚と硬貨が手から零れ落ちる。それだけならまだしも、数枚の小銭を数えると、何枚まで数えたのか分からなくなってしまう。そんな僕をイライラした顔で見ているレジのおばちゃんの気配に、心の中は苛立ちとパニックの暴風雨が吹き荒れる」p80
「(青年の貧困者)彼ら彼女らに必要なのは、いち早く生産の現場に戻そうとする就業支援ではなく、医療的なケアなのではないか。それも精神科領域ではなく、僕の受けているようなリハビリテーション医療なのではないか」p82
「これほどに優れた人材(リハビリ)が医師の指示下でなければ動けず、退院してもすでに生産に寄与しない高齢者のためにそのスキルが浪費されているのは、いかがなものか。これは若者や子供の貧困が広まる中、高齢者ばかりが優遇される老尊若卑な現代日本の縮図ではないでしょうか」p84
「1時間も歩くと、ポケットの中も小学生男子になった。夜のうちに敷地の街灯に飛来したであろうノコギリクワガタの死体。ちょっとつぶれたコクワガタの死体。分厚いガラスの破片。ビー玉大。ビー玉小には見事なビードロ模様。盛夏の早朝、こんな収穫物をブロック塀の上に並べる僕を、出勤してきた病院職員たちは奇異の目で見ていく。ふふふ、大人め、この楽しさ、この好奇心にあふれた視野、貴様らの健常な脳みそではわかるまいよ。ビバ、選ばれし小学生脳。なるほど楽しい」p96
「(妻の言葉)入院生活に入った夫を見て率直な感想は「人間は脳が壊れるとこんなにも退化するのか」です」p224 -
Posted by ブクログ
なかなか気合いの入った本でした。
裏社会ライターの中村淳彦と鈴木大介の対談本です。
介護を筆頭とした壊れてる産業、ブラック労働で時間と賃金を取られるより、裸になった方がマシという選択になる時代。
ただそこに単に短時間で稼げるという意識でスペックが高い女性が加わり、裸になっても稼げない女性が出てくる時代になってるようです。
性を売るというのはかなり特殊な女性ととらえてましたがそうじゃないみたいです。
2003年の労働者派遣法の改正を機に普通の女性だらけ。
誤解しちゃダメなのが風俗してるからって貧困層ではないということです。
風俗以外に行く場所がなく、そこから弾かれた女性。それが最貧困層。
社会的にそういう商売を潰すことばかりですがその後のこういう人たちのケアが全く考えられてないのも今の現状です。
仕事のない人、できない人に国が介護職を紹介するのにも触れてました。
本来とても繊細な仕事でスペックが要求される仕事に対し軽視されがちな介護職。
労働時間、賃金を考えるとそういう人たちを紹介するのは仕方ないことかもしれませんがそういう人たちをほっておくと1番恐ろしい「最貧困中年童貞」が生まれます。
これは男性の貧困層についてです。
この本で呼ばれてる「最貧困中年童貞」という人たちは簡単に言えば引きこもり、親の金で生活してた人たちで親が他界した後の人たちです。
ただ今後の日本でこの人たちをどう働いてもらうか、どう使うかが最も大事でしょうね。
奨学金問題もかなりリアルでした。
大学にいくためだけに背負わせる借金。
国を挙げたビジネスです。
なんとなくこの本を読んで日本はかなりやばいところにきてるのを強く感じました。
もう奇跡でも起きない限り格差は広がり続けそうです。